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別の農薬を検出、福島県で昨年回収の商品・ギョーザ中毒事件(日本経済新聞)
http://www.asyura2.com/07/health13/msg/545.html
投稿者 そのまんま西 日時 2008 年 2 月 06 日 00:27:06: sypgvaaYz82Hc
 

別の農薬を検出、福島県で昨年回収の商品・ギョーザ中毒事件(日本経済新聞)

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、日本生活協同組合連合会は5日、中国・河北省の「天洋食品」が製造し、福島県内の店舗から昨年回収した「CO・OP手作り餃子」から、高濃度の有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出されたと発表した。

 福島県警は同日、製品の流通経路などの捜査を開始。千葉、兵庫両県で中毒被害を引き起こした有機リン系殺虫剤「メタミドホス」とは別の薬品が新たに検出されたことで、殺虫剤汚染はさらに広がった。

 日本生協連によると、ジクロルボスが検出されたのは、昨年6月3日に天洋食品が製造した商品。濃度が最も高かったのはギョーザの皮で、110PPMに達した。千葉県でメタミドホスが検出されたギョーザと同一製品だが、製造日は異なる。(22:03)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20080205AS1G0504505022008.html


DDVP(ジクロルボス)

概要
 
DDVP(ジクロルボス)は蒸気圧が高く、その性質を利用してくん煙剤やくん蒸剤として用いられる。空気中濃度が高くなりやすく、事故が発生する。
 
発癌性及び変異原性が確認されており、英国では発癌性を考慮して、販売などが一時制限されている。
 
急性毒性が強く、劇物に相当する。
 
急性中毒は被ばく経路によりやや異なるが、次の症状が見られる。
 
食欲喪失・吐き気・おう吐・胃痙攣・下痢・息苦しさ・喘鳴・皮膚の青みをおびた脱色・縮瞳・眼の中と眼の後ろの痛み・視覚がぼんやりする・流涙・鼻水がでる・頭痛・唾液がでる
 
重症では次の症状が見られる
 
軽症時に現れる全症状・衰弱・全身性のひきつりと麻痺・めまい・錯乱・よろめき・不明瞭な会話・全身発汗・不規則な脈あるいは徐脈・けいれん・昏睡・呼吸停止
 
慢性的に被ばくした場合は次の症状が報告されている。
 
・ 記憶と集中力の障害・失見当識・重度の抑うつ・興奮性・錯乱・頭痛・会話困難・反応時間の遅れ・悪夢・夢遊病・眠気や不眠症・頭痛や吐き気、衰弱、食欲不振、倦怠感を伴うインフルエンザ様症状
 
次の人々は過敏な影響を受ける恐れがある。
肺機能低下・肺結核・気管支喘息・慢性的呼吸器疾患・心血管の疾患と循環障害・けいれん発作・最近の抗コリンエステラーゼに被ばく・肝機能不全・18才以下・妊婦と授乳中の母親
 
ペットや家畜ののみ駆除などに使用され、被害を出している。
 
DDVPは神経系に作用し、アセチルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの過剰蓄積を起こし、中毒を発生させる。この他中枢神経の細胞膜などを障害し、発育中の細胞に有害である。脳の発育を阻害する。
 
DDVPは動物の行動や脳内の代謝・ドーパミンなどの神経伝達物質の量に影響を与えることが報告されている。
 
特殊な神経毒性として、DDVPが遅発性神経毒性を持つ。
 
内分泌系に影響を与え、ラットの発情サイクルや精子形成を妨害することが知られている(ホルモンかく乱作用)。又、繁殖(生殖)にも悪影響を及ぼす。甲状腺の日周変化にも影響を与える。
 
免疫機能を抑制することが、ウサギで知られている。
 
呼吸器や循環器にも影響を及ぼす。血球形成にも影響を及ぼす。
 
胃腸にも影響を与え、消化性潰瘍の発症や悪化が懸念される。
 
DDVPは変異原性を示す。
 
人間で、DDVP被ばくと白血病や非ホジキンリンパ腫・前立腺癌との関連が報告されている。動物実験では膵臓や乳腺の腫瘍、白血病が観察されており、米国環境保護庁及び国際癌研究機構では、DDVPを発癌物質に分類している。


目次
 
1.別名・商品名・性質
2.規制
3.毒性
 3.1 急性毒性
 3.2 急性被ばくとその症状
 3.3 慢性毒性
 3.4 特に敏感な人及び被ばくを避けるべき人
 3.5 種差
 3.6 ペット・家畜での中毒事例
4.神経系への影響
 4.1 行動への影響
 4.2 発達中の神経系に対する影響
 4.3 眼への影響
 4.4 神経伝達物質への影響
 4.5 遅発性神系毒性(障害)
5.生殖・内分泌系への影響
 5.1 発情サイクルへの影響
 5.2 精子形性への影響
 5.3 甲状腺への影響
 5.4 副腎皮質への影響
6.免疫系への影響
7.呼吸器への影響
8.循環器への影響
9.血液への影響
10.消化器への影響
11.脂質代謝への影響
12.繁殖への影響
13.催奇形性
14.変異原性
15.発癌性
 15.1 疫学調査
 15.2 動物実験
16.他の条件との相互作用
17.組織分布
参考文献
 
 

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*のついている用語は用語集を参考にして下さい。
 
1.別名・商品名・性質
 
別名
ジクロルボス、2,2-dichloroethenyl dimethyl phosphate
 
商品
くん煙剤・燻蒸剤・乳剤として単独に使われる他に、様々な農薬と混合して製剤化される。
 
くん煙・くん蒸剤・エアゾル :VP15くん煙顆粒、VPスモーク、エアゾルVP、園芸用バポナ、サンスモークVP、ジェットVP、昭和VPスモーク、日曹VPスモーク、日曹殺虫プレート、日曹ジェットVP、パナプレート、ホスビットジェット、ヤシマVPプレート
 
乳剤:〔DIC〕DDVP乳剤、「DIC」DDVP乳剤75、DDVP乳剤、アグロスDDVP乳剤75、キングDDVP乳剤75、キングホスビット乳剤、クミアイDDVP乳剤50、クミアイDDVP乳剤75、クレハDDVP50%乳剤、三共DDVP乳剤デス、サンケイDDVP乳剤50、サンケイDDVP乳剤75、三明DDVP乳剤50、三明DDVP乳剤75、シェルDDVP50%乳剤、シェルDDVP乳剤75、シオノギDDVP乳剤50、常磐DDVP乳剤50、武田DDVP乳剤、武田DDVP乳剤75、デス、デス75、特農DDVP乳剤50、日化VP乳剤50、日産DDVP乳剤50、日産DDVP乳剤75、「中外」DDVP乳剤75、日曹ホスビット乳剤、日農DDVP50乳剤、日農DDVP乳剤75、ネオカリン、ホクコーDDVP乳剤50、ホクコーDDVP乳剤75、ホスビット乳剤75、マルカDDVP50%乳剤、マルカDDVP乳剤75、ミカサDDVP乳剤50、ミカサデッパー乳剤75、ヤシマデッパー乳剤、ヤシマデッパー乳剤75、山本DDVP乳剤75、ラピック、ラピック75乳剤、理研DDVP乳剤50
 
性質
ほかの有機リンと比較して、蒸気圧が高く、容易に揮発する。このため、燻蒸剤やくん煙剤として多用され、事故も発生している。

 
DDVP 1.2  x 10-2 mmHg, 20℃
MEP 6   x 10-6 mmHg, 20℃
クロルピリホス 1.87 x 10-5 mmHg, 25℃
クロルピリホスメチル 4.2  x 10-5 mmHg, 25℃
ジメトエート 8.5  x 10-6 mmHg, 25℃
ダイアジノン 1.4  x 10-4 mmHg, 20℃
フェンチオン 4   x 10-5 mmHg, 20℃
マラチオン 4   x 10-5 mmHg, 30℃

WHO・FAOのPesticide Data Sheets (PDSs) より
 
 
2.規制
 
日本
 
・ 廃棄物処理法;規制物質
・ 水道法;監視項目
・ 毒物及び劇物取締法;劇物
 
米国
 
EPAは特定の農薬の特別見直し special reviewを行っている。農薬の使用が健康や環境に不合理なリスクを与えると考えられた物質に関して実施されている。DDVPも特別見直し中の農薬である。
 
英国
 
英国では、DDVPに発癌性があると考えられるために、2002年4月に販売や宣伝・流通が一時禁止が発表された。この禁止措置は、DDVPの安全性を証明されるまで継続される。
ニュースを見よ。
http://www2.sala.or.jp/~bandaikw/news/pestcide/UK/UKHSE020419DDVPsuspend.htm


 
 
3.毒性
 
3.1 急性毒性
 
DDVPの急性毒性は強く、劇物に指定されている。DDVPの主な毒性機構はアセチルコリンエステラーゼ過剰蓄積による刺激であると考えられている。DDVP被ばく経路は経口や経皮・吸入などである。樹脂ストリップ製剤(DDVPをしみ込ませたもの)によっても中毒が起こることが知られている (Hummel 2000)。
 


 
経口 LD50  ラット・雄
          雌 80 mg/kg
56 mg/kg
経皮 LD50  ラット・雄
       雌 107 mg/kg
75 mg/kg
吸入LC50  ラット  0.198 mg/L
一次眼刺激   弱い刺激物
一次皮膚刺激   弱い刺激物
皮膚感作   不明
急性遅発性神経毒性 ニワトリ  なし

    EPA (2000)による (Hummel 2000)
 
 
3.2 急性被ばくとその症状 [Anonymous (2001) を見よ]
 
DDVP中毒は家庭と農業で広く使われている。カリフォルニア州のデータによると、中毒事故の大部分は、DDVPで処理した後に室内に入って起こっている。処理した場所やその近くに入る前に十分な換気をしなかったり、適切な個人防備装備をしていなかったことが多いという (Hummel 2000)。
 
カリフォルニア州の調査では、建物内でのDDVP使用による症状は、息切れや呼吸困難・息苦しさ・痛み・集中力喪失・頭痛・めまい・その他が見られるという。その他の非職業的被ばくでは、呼吸困難や顔や鼻の接触性皮膚炎・結膜炎・頭痛・吐き気・その他の症状が見られた (Hummel 2000)。
 
● 経口被ばく2時間以内に、次の症状が、出ることが報告されている [Anonymous (2001)を見よ]。
 
・ 食欲喪失
・ 吐き気
・ おう吐
・ 胃痙攣
・ 下痢
 
 
● 吸入被ばく2時間以内に後に次の症状が発生することが報告される [Anonymous (2001) を見よ]。
 
・ 息苦しさ
・ 喘鳴
・ 皮膚の青みをおびた脱色
・ 縮瞳
・ 眼の中と眼の後ろの痛み
・ 視覚がぼんやりする
・ 流涙
・ 鼻水がでる
・ 頭痛
・ 唾液がでる
 
● 皮膚吸収後に次の症状が15分から4時間以内に現れることが知られている [Anonymous (2001) を見よ]。
 
・ 吸収した場所の発汗と引きつり
 
● あらゆる経路による重症の場合は次の症状が現れる [Anonymous (2001) を見よ]。
 
・ 前記の全症状と同じ症状
・ 衰弱
・ 全身性のひきつりと麻痺
・ めまい
・ 錯乱
・ よろめき
・ 不明瞭な会話
・ 全身発汗
・ 不規則な脈あるいは徐脈
・ けいれん
・ 昏睡
・ 呼吸停止
 
 
3.3 慢性毒性
 
● 有機燐に対するくり返しあるいは長期被ばくは、上記の急性被ばくと同じ影響を生じると思われる (Anonymous 1996)。
 
● くり返し被ばくした労働者などで報告されているその他の影響 (Anonymous 1996)
 
・ 記憶と集中力の障害
・ 失見当識
・ 重度の抑うつ
・ 興奮性
・ 錯乱
・ 頭痛
・ 会話困難
・ 反応時間の遅れ
・ 悪夢
・ 夢遊病
・ 眠気や不眠症
・ 頭痛や吐き気、衰弱、食欲不振、倦怠感を伴うインフルエンザ様症状
 
 
3.4 特に敏感な人及び被ばくを避けるべき人 [Anonymous (2001) を見よ]
 
・ 肺機能低下のある人
・ 肺結核
・ 気管支喘息
・ 慢性的呼吸器疾患
・ 心血管の疾患と循環障害
・ けいれん発作
・ 抗コリンエステラーゼに最近被ばくした人
・ 肝機能不全があった人
・ 18才以下
・ 妊婦と授乳中の母親
・ 中枢神経系に器質的疾患がある人
・ 精神障害者
・ てんかん
・ 顕著な内分泌及び自律神経障害のある人
・ 消化性潰瘍
・ 胃腸炎
・ 腎障害
・ 慢性結膜炎と角膜炎
 
 
3.5 種差
 
人間では個人差があることが知られているが、動物の種間では大きな差があることが知られている。
 
シロアシマウス(Peromyscus leucopus;普通のマウスとは種が異なる)は、普通のマウスよりDDVPに敏感なことが知られているが、この原因は血清コリンエステラーゼが低いためであると考えられている (DiGiacomo et al. 1987)。
 
 
3.6 ペット・家畜での中毒事例
 
DDVPをしみこませたノミカラーをつけたネコ50匹中21匹で、アタキシア(運動失調)と抑うつが生じた。5匹のネコが死亡した。全てのネコで全血のコリンエステラーゼ活性が有意に低下し、頸部の皮膚炎が37%で起こった (Bell et al. 1975)。
 
500 mgのDDVPを含むノミカラーを23匹のネコに1週間から15週間つけた。明瞭な中毒症状は現れず、若いネコで体重増加も有意な影響を受けなかった。全血コリンエステラーゼはカラーをつけた最初の週に減少し、樹脂中のDDVP濃度が次第に減少するにつれて正常に戻る前に、5から8週間低いままであった。中毒症状はカラーをつけた1週間以内に起こった。中毒発現には温度と湿度が関連すると思われる (Seawright and Costigan 1977)。
 
バナストリップの事例
 
生まれたばかりの牛が近くに吊しておいたバナストリップによって中毒になり、下痢をした例が報告されている (Frankenhuis 1976)。
 
 
4.神経系への影響
 
有機燐剤の主な標的は、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素、アセチルコリンエステラーゼであり、有機燐は不可逆的にこの酵素活性を低下させる。その結果、アセチルコリンが蓄積し、シナプスにおける情報伝達が妨害を受け、過剰興奮状態となる。中毒症状の多くは中枢や末梢・自律神経系に対する影響によるものである。
 
例えば、DDVP投与15分後(50 mg/kg・経口)に脳内でアセチルコリンレベルが48%から171%増加する。大脳皮質はアセチルコリンとコリンの増加率が他の脳の部位より大きいと報告されている (Modak et al. 1975)。
 
ラットにDDVPを投与し、脳のアセチルコリンを調べた研究がある。4 mg/kg之アセチルコリンを投与すると20分後に、コリン作動性症状が現れ、脳の全アセチルコリンが100%、遊離が146%、不安定に結合したものが113%、安定結合したものが66%減少し、アセチルコリンエステラーゼが66%低下した。また、少量を長期投与した場合にも脳のアセチルコリン量に変化が見られた。この実験では0.2 mg/kgという少量DDVPの90日間投与によっても影響が現れている (Kobayashi et al. 1980)。
 
DDVPをラットに投与すると、大量1回投与及び少量のくり返し投与で脳波の周波数の増加と平均振幅減少などが見られ、末梢神経では伝導速度の低下と不応期の延長が見られる。これらの機能異常と種々の組織や血液中のコリンエステラーゼ活性との間に関連は見られなかった (Desi and Nagymajtenyi 1988)。
 
幼いウサギにDDVPを投与し、その影響を電子顕微鏡を用いて大脳や小脳・脳梁を調べた研究では、DDVPは生体膜を障害することが分かった。このことは分化成熟中の細胞に特に有害であった(Dambska and MaSlinska 1988)。
 
成熟したラットに3 mg/kg/日のDDVPを10日間投与し、小脳と脊髄を電子顕微鏡で調べた研究では、小脳の細胞で透明な空胞やミトコンドリアの集合、脊髄の浮腫といった構造的な異常が見られている Hsan et al. 1979)。
 
 
4.1 行動への影響
 
DDVPが行動に影響を与えることが報告されている。
 
比較的少量のDDVP (3 mg/kg/日)をラットに10日間腹腔内投与すると、オープンフィールド試験*では行動の抑制が見られた。7日目に区画移動数が24%に低下したが、10日目では60%に回復した。立ち上がり*反応は7日目に低下したが、10日目には急速な回復を示した。しかし、洗顔動作*は10日目でも更に減少した。排便*は7日目に0%まで抑制されたが、10日目には完全な回復を示した。運動は有意な抑制を示し、精巧な運動は粗大な運動よりも抑制された (Ali et al. 1980)。
 
比較的少量のDDVP (3 mg/kg/日)をラットに10日間腹腔内投与すると、神経伝達物質であるドーパミンやノルエピネフリン・セロトニンのレベルを調べた。ドーパミンは5日目と7日目に有意な減少を示したが、10日目には脳幹で13%回復した。ノルエピネフリンは大脳皮質で減少した。セロトニンは大脳と脳幹で減少した。ノルエピネフリンとセロトニンは10日目に有意な回復を示さなかった。行動とこれらの神経伝達物質のレベルとの間に関連があると思われる (Ali et al. 1980)。
 
 
4.2 発達中の神経系に対する影響
 
ウサギの個体発生中のコリンエステラーゼに対するDDVPの影響を調べた。妊娠した雌ウサギにDDVP(6 mg/kg/24時間)を妊娠の最後10日間投与した。子供の血液と脳組織のコリンエステラーゼ活性を調べた。脳のアセチルコリンエステラーゼ活性の低下が見られた。この変化は研究した生後1-16日の間続いた。活性低下は線条体やブローカの核・嗅脳のニューロパイルと、アンモン角や視床・新皮質の神経細胞に見られた。この結果は高次中枢機能に関連する脳の中枢が、個体発生の間のDDVP中毒によって影響されることを示す (MaSlinska and Zalewska 1978a)。
 
ウサギに妊娠終わりの10日間DDVP 6 mg/kg/日を投与し、子の脳内チトクロムオキシダーゼとコハク酸脱水素酵素を、生後1、8、16日に日調べた。DDVPを投与された親から生まれた子ウサギではチトクロムオキシダーゼとコハク酸脱水素酵素の減少が見られ、「酵素の成熟」が妨害された。ニューロパイルの変化は神経細胞自体より顕著であった。代謝かく乱に敏感であるアンモン角のSDH活性は減少した (MaSlinska and Zalewska 1978)。[15]
 
DDVPをテンジクネズミの妊娠42日と46日の間に投与すると、誕生時に脳重の激しい低下が見られた。重量は特に小脳と延髄、視床・視床下部・四丘体で激しかった。視床や海馬では顕著でなかった。こ障害の発生にはDNAのアルキル化が関与していると思われる (Mehl et al. 1994)。
 
DDVPが脳の発育不全を起こすことが知られているが、これはDDVPがDNAのアルキル化を起こし、DNAを修復する機能を阻害するためであると考えられている (Mehl et al. 2000)。
 
生後6日目から10日間DDVPを経口投与して、授乳中のウサギの脳中燐脂質と蛋白質に対するDDVPの影響を調べた。生後16日目で血漿中アミノ酸の有意な減少があった。脳の中で蛋白の濃度と減少は低下した。脳の海馬中の燐脂質パターンは特定の燐脂質で変化を示した。一部の脳部位では蛋白質に対する燐脂質の比は有意な増加を示した。有機燐に慢性中毒した動物脳中の燐脂質・蛋白の不均衡は脳の多くの場所に起こる変化の主な原因かも知れない (Maslinska et al. 1984)。
 
脳の発育への影響は、代謝されてDDVPに変化するトリクロルホン(DEP)でも知られており、これらの系統の物質に対する被ばくによる脳の発達への影響は危惧される。
 
 
4.3 眼への影響
 
DDVPは眼の網膜のアセチルコリンエステラーゼ活性の低下を起こし、また、縮瞳を起こすことが知られている。
 
DDVPはビーグル犬で縮瞳を起こす (Wagstaff and Winston 1980)。[20]
 
 
4.4 神経伝達物質への影響
 
DDVPをラットに投与すると、尾状核及び周囲の核のドーパミン含量を増加させ、青斑核のノルアドレナリン含量を増加させる (Kutsenko and Savateev 1981)。
 
ラットに10 mg/kgのDDVP投与した後、脳のカテコルアミン含量が変化した。ドーパミン含量増加が尾状核や中隔の核で、ノルアドレナリン含量増加が青斑核で見られた。DDVP投与前にアトロピンを投与すると、これらの変化は見られない (Kutsenko and Savateev 1981a)。
 
アセチルコリンについては「神経系への影響」を、またアミン類については「行動への影響」を参考にして下さい。
 
 
4.5 遅発性神系毒性(障害)
 
動物実験で遅発性神経毒性を発揮することが知られており、人間でも報告されている (Anonymous 2001)。神経障害標的エステラーゼneuropathy target esterase の阻害は、有機燐誘導遅延性神経毒性を有機燐が起こす可能性の敏感な指標であるとされている。DDVPを投与するとこのエステラーゼが阻害することが報告されている。
 
30才の女性が自殺目的でDDVP約1000 mg/kgを飲んだ。急性中毒症状が4日間続いた。飲んだ4週後に多発性神経障害を起こした。わずかな回復が21か月後に見られた。この症例では運動神経のみがおかされ、感覚神経は正常であった (Sevim et al. 2003)。
 
ブラジルのリオデジャネイロ大学のバスコンセロスらのグループは、DDVP系の殺虫剤を飲んだ14日後に下肢の麻痺を伴う知覚過敏を発症した39才の女性を報告している。後に上肢で錐体路機能不全が観察された。この例では、末梢神経のみならず、中枢神経系も関連していた (Vasconecellos et al. 2002)。
 *注:錐体路;脳及び脊髄で随意運動をつかさどる、神経の経路。
 
 
動物研究
 
ラットに 6 mg/kg/日のDDVPを慢性的(8週間)に投与し、生化学及び行動への影響を調べた。DDVPは神経障害標的エステラーゼや他の酵素活性を低下させた。アセチルコリンエステラーゼ活性も減少した。行動では区画移動*と常同的な自発運動活動の顕著な低下を起こした。筋肉の強さや協同も重大な障害も受けた。条件づけ回避反応で調べた記憶機能の顕著な悪化も見られた (Sarin and Gill 1998)。
 
比較的大量のDDVP(200 mg/kg)の皮下注射による神経の微小管*(マイクロチュブル)の燐酸化に対する影響を、有機燐誘導遅延性神経毒性(OPIDN)発症後にラットで調べた。微小管結合Ca+・カルモジュリン依存性蛋白燐酸化酵素とcAMP依存性燐酸化酵素を測定した (Choudhary et al. 2001)。
 
回転棒試験で調べた場合投与15日後までは、投与しない対照と比較して差はないが、21日目になると有意な差が現れ、回転する棒から落下するまでの時間は対照では179秒であったのに対して、DDVPを投与したラットでは54秒と、有意な低下を示した。更に投与動物では筋肉の弱まりも示している (Choudhary et al. 2001)。
 
以上のことから、DDVPは遅発性神経毒性を誘導することが示された。このメカニズムの一つは、微小管の燐酸化を起こさせ、微小管を不安定にし、その結果、微小管の変性を招き、最終的に遅延性神経毒性を招くと思われる (Choudhary et al. 2001)。
 
DDVPを成熟したニワトリ皮下に大量に投与した後(市販50%製剤中100 mg/kg有効成分)、神経障害が現れた (Nag and Nandi 1991)。
 
 
5.生殖・内分泌系への影響
 
5.1 発情サイクルへの影響
 
生後からDDVP蒸気に連続したラットでは最初の発情周期の開始が平均で10日間遅れ、この遅れは統計的に有意であった (Timmons et al. 1975)。
 
 
5.2 精子形性への影響
 
比較的少量のDDVPを生後4日と5日に(それぞれ20 mg/kg)、又は生後4日から24日に10 mg/kgを未熟な雄ラットに投与した。体重の変化はなかったが、精巣重量と精細管の直径・精子になる細胞・セルトリー細胞数・ライデッヒ細胞数が減少した (Krause et al. 1975)。この機構は、男性ホルモン合成が減少したことによると考えられている(Krause et al. 1976)。
 
成熟したラットにDDVPを2日又は3週間経口投与した。体重や精巣重量は変化しなかった。DDVP投与後に見られた精子形性障害はホルモンを媒介するのではなく、直接的な細胞毒性によると思われる (Krause 1977)。
 
90日間雄ラットの皮膚にDDVP(30 mg/kg/日)を塗布した。中毒症状や死亡は生じなかったが、精巣と肝臓の組織に細胞病変が見られた。細胞障害の程度とDDVP投与期間には性の関連があった。30日以上投与したラットで障害は顕著であった。精巣は精細管の変性を示し、ライデッヒ細胞はほとんどなかった。肝臓細胞は充血し、萎縮し、様々な段階の壊死的変化を示した。このことはDDVPを取り扱う間に労働者のために、強い注意が必要であることを示している (Ali and Abdalla 1992)。
 
フェニトロチオン(スミチオン)などの有機燐剤は男性ホルモン受容体に影響を及ぼすことが知られているので、DDVPでも注意する必要がある。
http://www2.sala.or.jp/~bandaikw/archiv/pesticide/insecticide/organophos/MEP/mepandro.htm
 
 
5.3 甲状腺への影響
 
DDVP(5 mg/kg/日)を90日間投与すると甲状腺と副腎でDNAとRNA・蛋白質含量の日周リズムの変化とDNAリズム振幅の顕著な減少が起こる。精巣ではリズムの変化はなかった。代謝されてDDVPに変化することが知られているトリクロルホンに慢性的に被ばくしたラットで甲状腺と副腎の構造で大きな変化が起こる。それには甲状腺のDNAと蛋白質及び副腎のRNA含量の日周変化などである (Nicolau 1983)。
 
 
5.4 副腎皮質への影響
 
DDVP投与したマウスで副腎への影響が見られている。投与後副腎重量の有意な増加が見られ、ノルエピネフリンとエピネフリン含量は減少した (Ramade and Roffi 1976)。
 
 
6.免疫系への影響
 
DDVPをウサギに経口投与した場合、免疫抑制作用が見られた (Desi et al. 1978)。
 
サルモネラ菌接種後、DDVPをLD50の1/40、1/20、1/10を投与し液性及び細胞性免疫を調べた。血清抗体は投与量に依存した減少を示し、ツベルクリン検査で測定した皮膚発赤は同じように量依存性の低下を示した (Desi et al. 1978a)。
 
 
7.呼吸器への影響
 
DDVPを吸入させると、血液のコリンエステラーゼに影響を与えなくとも、呼吸器系に影響を及ぼすことを証明した研究がある。DDVP濃度は0.8 及び1.8μg/Lで、被ばく期間は3日間であった。気管支のアセチルコリンエステラーゼ活性はそれぞれ対照の約6割と5割に低下したが、血液のアセチルコリンエステラーゼ活性の低下は見られなかった。高濃度(4.3μg/L)は血液のアセチルコリンエステラーゼ活性も低下させる(対照の約4割)。組織化学的には気管支腺と平滑筋の酵素活性が被ばく後最少量(0.2 μg/L)でさえ強い減少を示した。これらのことは呼吸器の慢性閉塞性疾患で気管支痙攣と分泌過剰に少なくとも関連すると思われる (Schmidt et al. 1978)。
 
DDVPを生後3か月の牛に静脈注射して中毒を起こさせた。投与1分後には重度な呼吸困難や興奮・衰弱・筋繊維性攣縮・コリンエステラーゼ阻害を示した。肺のコンプライアンス*と動脈酸素圧の低下と全肺抵抗、気道の抵抗、肺胞動脈勾配の増加が有意に見られた。体の分泌や心拍数・呼吸速度・一回換気量・動脈二酸化炭素圧はDDVPによって有意に影響を受けない。筋繊維性攣縮と中枢抑制・コリンエステラーゼ阻害を除いてこれらの症状はアトロピンによって逆転される (Lekeux et al. 1986)。
 
 
8.循環器への影響
 
ペントバルビタールで麻酔した雄ラットにDDVP(30、50、70、90 mg/kg)を投与すると、心電図の異常と心拍数減少・心停止を起こす。心臓への毒性はコリンエステラーゼ阻害によるアセチルコリン蓄積の影響と思われる (Naidu et al. 1987)。
 
 
9.血液への影響
 
ラットに急性中毒量のDDVPを投与すると、ヘモグロビンとヘマトクリット値が増加し、平均赤血球ヘモグロビン濃度の増加が見られた。これらの増加は低酸素後の赤血球形成の増加によると思われる。臨床症状を呈さない量を投与した場合、これらの影響は減少した。また赤血球大小不同症*や変形赤血球症*・多染性*を伴っており、赤血球形成の障害を思わせる。これらの結果は、長期被ばくをする人で予防的に血液学的調査を考慮すべきことを示している (Ellinger et al. 1985)。
 
 
10.消化器への影響
 
DDVPの重度中毒では胃腸に影響することが知られている。タシェブはこのような症例を報告している。最初の患者は急性胃潰瘍と穿孔を起こし、腹膜炎がおこり、3日目に亡くなった。第二の患者では十二指腸球部後に潰瘍が2つ発生し、出血が見られた。手術成功したが、閉塞性イレウスのために再開腹が必要であった。この患者は80日後に退院した。有機燐剤急性中毒によるこのような重度の胃腸の合併症の可能性は指摘されている(Tashew 1988)。
 
ラットにDDVPを投与すると、胃の塩酸分泌の増加とアセチルコリンエステラーゼ活性の低下、ヒスチジン脱炭酸酵素の活性増加が見られた (MaSlinska et al. 1979)。このような影響は、消化性潰瘍の発症や悪化が懸念される。
 
11.脂質代謝への影響
 
DDVPが脂質代謝に影響を及ぼすという (Kozlowska 1988)。
 
 
12.繁殖への影響
 
マウスの外部寄生虫のためのDDVP蒸気被ばくが繁殖中断を生じるかを調べるために、種々の濃度のDDVP蒸気に曝し、繁殖結果を調べた。全ての被ばくレベルで10日までの間処理したマウスで血漿コリンエステラーゼ濃度の低下が見られた。DDVPは被ばくしたマウスで生殖に影響を及ぼさない (Casebolt et al. 1990)。
 
 
13.催奇形性
 
DDVPを最大耐用量をマウス(60 mg/kg/日)とウサギ(5 mg/kg/日)を経口投与し、あるいは4μg/l)を一日7時間吸入させた。どちらの経路でも催奇性はなかった (Schwetz et al. 1979)。
 
 
14.変異原性
 
DDVPはサルモネラ菌とストレプトミセスで点突然変異を誘発する (Carere et al. 1978)。
 
DDVPは人間のリンパ球のDNAに障害を与え、DNA修復機能にも影響を与える (Perocco and Fini 1980)。
 
DDVPは単離されたラット肝細胞でDNA単鎖切断を誘導する (Yamano 1996)。
 
DDVPは魚で染色体異常を誘発する (Rishi and Grewal 1995)。
 
DDVPをラットに投与すると骨髄細胞で染色体異常を誘発する (Nehez et al. 1994)。
 
現実的濃度である0.064 mg/lのDDVPを12時間吸入させたラットでは、DNAやRNAのアルキル化は生じない (Wooder et al. 1997)。
 
ラットの気管上皮培養細胞で、姉妹染色分体交換と染色体異常を起こし、形質転換*も誘導する (Lin et al. 1988)。
 
DDVPを雄マウスの皮膚に塗った後に、皮膚を培養し、ケラチノサイトで小核誘導を調べた。DDVPは塗布してから1時間以内に採取した皮膚の培養細胞で小核を誘導する。DDVPは急速に皮膚から吸収され、マウスの皮膚で小核を誘導するので、被ばくした人間に危険を及ぼすと思われる (Tungul et al. 1991)。
 
 
15.発癌性
 
疫学研究でDDVP使用と白血病との関連が報告されており、動物実験でも膵臓や乳腺の腫瘍や白血病が観察されており、人間の発癌物質である可能性をEPA (Anonymous 1995) やIARC (Anonymous 1991) が指摘している。B2
 
英国では2002年4月にDDVPが発癌性の疑いがあるため、安全性が証明されるまで、予防措置として一時使用禁止されている。
 
 
15.1 疫学調査
 
農業での発癌物質被ばくと白血病とが関連するかどうかを調べるために、アイオワ州とミネソタ州で症例対象研究を行った。調べたのは白血病男性患者578人と対照の1245人であった。農業者は非農業者と比較して白血病全体[オッズ比=1.2]、慢性リンパ球白血病[1.4]のリスク増加が見られた。殺虫剤のDDVP(2.0)や天然物であるピレトリン(3.0)などで有意なリスク増加が見られた (Brown et al. 1990)。
 
米国アイオワ州都ミネソタ州で新しく非ホジキンリンパ腫と診断された622人の白人男性と1245人の対照とで、農業就労と特定の農業被ばくとに関連するリスクを調べた。以前農業に従事した男性は非ホジキンリンパ腫のリスクがわずかに高いが、特定の作物や動物との関連はなかった。1.5倍以上のオッズ比を持つものはいくつかの農薬群の取り扱いや混合・使用であり、カルバリルやクロルデン、DDT、ダイアジノン、DDVP、リンデン、マラチオン、ニコチン、トキサフェンなど個別農薬で高かった (Cantor et al. 1992)。
 
米国のイリノイ州とノースカロライナ州で、農薬使用免許を持つ人を対象に大規模な健康影響調査が行われている。この研究で農薬使用と小児癌の関連が示されたが、DDVPが小児癌発生を増加させることが示されている (Flower et al. 2004)。
 
カリフォルニア大学のミルズとヤンは、カリフォルニアの主にスペイン系労働者で前立腺癌に関する症例対照研究を実施した。彼らは前立腺癌のリスクはシマジンやリンデン・ヘプタクロルと関連し、DDVP及び臭化メチルとの関連が示唆されることを報告した (Mills and Yang 2003)。
 
 
 
15.2 動物実験
 
マウス(60/性/群)に10及び20 mg/kg/日(雄)または20及び40 mg/kg/日(雌)のDDVPを週5日、104週間投与した。40 mg/kg投与した雌マウス前胃の扁平上皮乳頭腫の発生率(18/50)は対照(5/49)と比較して有意に増加した。雌雄の両方で有意な正の傾向があった。前胃のがんと扁平上皮細胞乳頭腫の合わせた発生率は高い投与量の雌で有意な傾向を示した (19/50)。腫瘍発生率が比較的低い投与量で増加したことは注目に値する (Anonymous 1995)。
 
 2年間の胃管投与研究で (NTP, 1986b)、F344系統のラット(60/性/群)に4または8 mg/kg/日を、1日1回、週5日2年間投与した。雄ラットで臓の腺房腺腫の発生率は、0, 4, 8 mg/kgでそれぞれ16/50, 25/49, 30/50であり統計的に有意な増加を示した。肺胞・気管支の腺腫発生率は有意でなかったが、投与量に関連する正の傾向を示した。白血病(リンパ球性・単球性・単核性・未分化性)の発生率は、 0, 4, 8 (mg/kg)/日の雄についてそれぞれ11/50, 20/50, 21/50 であった。これらの値は 4, 8 mg/kg/日で統計的に有意に高く、有意な投与量に関連する傾向を示した。低投与量雄ラットで肺腫瘍の統計的に有意な増加があった。雌で、乳房の線維腺腫の発生率(19/50)は統計的に有意であった。全ての種類の乳癌(線維腫・線維腺腫・癌・腺癌・腺腫)について分析した場合、0, 4, 8 mg/kgについてそれぞれ11/50, 20/50, 17/50であった (Anonymous 1995)。
 
週5回103週間、各群50匹の雌雄のラットに0、4、8 mg/kgのDDVPを、各群50匹の雄マウスに0、10、20 mg/kgを、各群50匹の雌マウスに0、20、40 mg/kg投与した。DDVPによって誘導された癌は、膵臓外分泌部の腺腫(雄ラット)と前胃の扁平細胞乳頭種(雌雄のマウス;別の2匹は扁平細胞癌があった)。雌ラットでは膵臓外分泌部の腺腫と乳腺の繊維腺腫があった。これらの結果はDDVPがラットとマウスで発癌性であることを示している (Chan et al. 1991)。
 
ラットに0-5.0 mg/m3のDDVPを2年間吸入させたが、5 mg/m3のDDVPに被ばくさせたラットでコリンエステラーゼ活性が低下したことを除いて影響は見られなかった。また、DDVPの発癌性はなかった (Blair et al. 1976)。
 
マウスにDDVPを長期投与すると、雌雄で膀胱の移行上皮の過形成*を増加させ、リンパ腫の発生を減少させる。癌性の変化は見られない (Horn et al. 1987)。
 
雌雄のラットに長期間DDVPを投与して発癌性を検討した。DDVPを投与したラットで統計的に有意な胆管細胞増殖と肝臓の卵円形細胞*増殖とが見られた。DDVP投与雌では副腎主用途乳癌の有意に低い発生が見られている。この減少は、DDVPに容易に変化するトリクロルホン投与実験でも見られている。DDVP投与雄ラットでは膀胱や腎盂の過形成*、腎盂の移行上皮癌が多く発生した。雌ラットではこのような癌の発生率は対照より低かった (Horn et al. 1988)。
 
 
16.他の条件との相互作用
 
ラットでDDVPの毒性は、与えた餌によって変化することが知られている。高蛋白食と低蛋白食・高脂肪食・標準食を与えたラットでは、高蛋白食で最も死亡率が低く、次いで標準食、低蛋白食・高脂肪食の順であった (Purshottam and Kaveeshwar 1979)。
 
 
17.組織分布
 
人間でDDVPを摂取し死亡した場合、剖検では肺と腎臓のうっ血、舌背から咽頭の出血性潰瘍が見られた。DDVPは脾臓(3340μg/g)と心臓(815μg/kg)に高濃度に検出され、血液(29)や脳(9.7)、肺(81)、腎臓(80)、肝臓(20)にも検出された (Shimizu et al. 1996)。

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最終更新 2004年4月15日
掲示 2001年9月30日 渡部和男

http://www2.sala.or.jp/~bandaikw/archiv/pesticide/insecticide/organophos/DDVP.htm



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