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放送法改正でNHK支配強化を目論む政府の野望(町田徹の”眼”)
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投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 11 月 18 日 07:26:32: sypgvaaYz82Hc
 

放送法改正でNHK支配強化を目論む政府の野望(町田徹の”眼”)
2007年11月16日 町田徹(ジャーナリスト)

「死んだ」と思われていた放送法の改正論議が突然、息を吹き返した。大手新聞各紙は「対岸の火事」と言わんばかりに関心を示そうとしないが、同法の改正案には、政府から独立した存在であるべき公共放送・NHKを補助金漬けにして、より洗練された形でNHKの海外向け放送を支配しようとする政府のメディア支配の野望が秘められている。このまま暴挙を黙認してよいのだろうか。


「特に重要な法案だと考えているので、できるだけ早く審議に入ってほしい」――。


 最近になって、国会では、新テロ対策特別措置法を廃案としないために再度の会期延長論まで出ているが、実は、すでに実現した12月15日までの35日間の会期延長によって、潤沢な審議時間が確保され、一時はお蔵入りが確実とみられていた、ある別の法案がすっかり息を吹き返していた。

 その法案こそ、当初は「50年ぶりの大改正」と言われながら、大手新聞各紙がなかなか真摯に報じようとして来なかった放送法の改正である。


改正案を通すために政府が民主党に与えた“飴”

 放送法の改正を審議する機運を決定的なものにしようと、増田寛也総務大臣が冒頭の言葉を強調したのは、13日の閣議後の記者会見での出来事だった。

 ちなみに、審議への協力を前提にして、政府・総務省は、民主党にお手柄として与える“飴”の中身も決めている。政府・総務省は、関西テレビの情報番組「発掘!あるある大辞典U」の捏造をきっかけに、今回の放送法改正で、放送局に対する新たな処分規定を設けて規制を強化する方針を打ち出していたが、この観点からの改正をそっくり削除するというのだ。

 この規定には、日本民間放送連盟が強く反対していた背景がある。民主党や共産党がこの規定に反対してきた経緯もある。そこで、「民主党に、同規定を削除する修正案を提出させて、政府がこれを受け入れることによって、民主党に花を持たせよう」(政府首脳)というのが、その“飴”なのだ。

 当初、今回の放送法改正には、3年前のNHKの信じられないほどの不祥事の続出によって急増した受信料の不払い問題の対策として、テレビ受像機の保有者に受信料支払いを義務付ける案が含まれていた(現行法は、支払いでなく、受信契約を義務付けている。このため、学者の中には、番組内容などへの抗議に伴う不払いは許容されるとの学説が存在する)。


 ところが、菅義偉・前総務大臣が、この受信料の支払い義務化と引き換えに、NHKに受信料の2割引き下げを要求したのに対して、橋本元一NHK会長がこれを拒否したため、国民生活と直結するNHK受信料の支払い義務化が見送られた経緯がある。
 
 今回、受信料の支払い義務化に続き、民主党への審議協力の代償として、放送局への新たな行政処分の新設が見送られれば、同法の改正案に秘められていた“毒”はすべて取り除かれたように見える。

 こうした情勢を受けて、本稿執筆段階(15日午前)では、衆議院が総務委員会で20日から同法改正案の審議に着手。12月15日までとなっている現在の臨時国会の会期中に、同院本会議、参議院総務委員会、同院本会議などでも放送法改正案が審議、可決されるのが確実とみられている。

 だが、本当に、放送法改正案から、“毒”は取り除かれたのだろうか。


悪名高い「命令放送」を存続させようとの意図が

 実は、そうした判断は早計と言わざるを得ない。そういう条項が同法改正案には、まだ残されている。それが、専門家や野党の間に廃止論が強い「命令放送」を名前だけ「要請放送」と変えて、事実上、存続、強化しようという条項だ。

 この命令放送は、NHKが海外向けに発信する国際放送について、総務大臣が、対象の地域や放送する内容などを指定して放送することを命じるもの。NHKの放送局の独立性を阻害し、NHKの放送を政府広報と変わらない存在に変質させる恐れもある。

 このため、放送法に規定はあっても、歴代の総務大臣は、その発動を手控えてきたという。ところが、竹中平蔵元総務大臣や菅義偉前総務大臣時代になって、北朝鮮による拉致問題などに関連して命令放送があったのではないか、と取り沙汰されていた。

 こうした中で、初代の総務大臣である片山虎之助前自民党参議院幹事長らも、命令放送を「時代遅れ」と認め、政府・総務省が今回の放送法改正に動いた経緯がある。

 ところが、今回の放送法改正案は、この命令放送の名称を「要請放送」と変えるだけの法案だ。しかも、あえて「(NHKは)要請があったときは、これに応じるよう努めるものとする」と別項を設けており、NHKに強い応諾義務があると明記している点も見逃せない。


補助金漬けで公共放送の独立性を骨抜きに

 さらに言えば、政府は今年度から、これまでラジオだけに限定していた国際放送に対する政府補助をテレビにも拡大、受信料で賄い切れないNHKの財政を支援する体制を強めている。こうした補助と、要請放送の規定をあわせると、政府のNHKに対する統制が強まり、NHKが公共放送としての独立性を維持するのが困難になるとの指摘は少なくない。

 昨年来の放送法改正論議で、受信料の義務化、放送局への行政処分の新設、命令放送の衣替えなどが問題となったにもかかわらず、言論・ジャーナリズム界全体の問題として放送法改正を捉えて、積極的な批判を展開して来なかった大手紙や一部民間放送局の姿勢にも首を傾げざるを得ない。これらの報道機関はこれまで、NHK問題にほとんど関心を示さなかったばかりか、報じる際の記事の扱いも非常に小さいものが多かった。

 残念なことだが、この点では、今回の放送法改正案に、大手新聞社の子会社が多い民間放送の経営に関して、首都圏のキー局がローカル局の再編や再建支援を円滑にできるようになる放送持ち株会社の設置解禁などの“飴”が盛り込まれていたことが無関係とは言えない。言い換えれば、大手新聞各社は、瑣末な利害に捉われて、本筋の批判を怠ったというのである。

 NHKに対する支配の強化を目論む政府の姿勢は、論外だ。だが、それに真っ向から異を唱えない大手紙にも、問題が多いと言わざるを得ないのではないだろうか。


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