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【アサヒる】マスゴミにストーキングされた北畑事務次官という人【アサヒる】
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投稿者 忍 日時 2008 年 2 月 14 日 09:57:06: wSkXaMWcMRZGI
 

【アサヒる】マスゴミにストーキングされた北畑事務次官という人【アサヒる】

 少し前の話なのですが、「デイトレーダーはバカで浮気で無責任」と発言して叩かれていた経産省の事務次官がいた事を、まだ殆どの方は覚えておられると思います。

 まあ、忘れた、なんていう人は政治ブログなんか彷徨いてはいないと思うのですが、一応、念の為に書いておくと、こういう事件です。


経産次官「デイトレーダーはバカで無責任」 講演で発言

 経済産業省の北畑隆生事務次官が講演会で、インターネットなどで株売買を短期間に繰り返す個人投資家のデイトレーダーについて「最も堕落した株主」「バカで浮気で無責任」などと発言していたことが分かった。北畑氏は7日の記者会見で発言内容を認め、「申し訳ない」と陳謝した。

 講演会は1月25日、都内のホテルで開かれ、経産省所管の財団法人・経済産業調査会が主催。企業関係者ら約130人が無料で参加し、北畑氏が買収防衛策などをテーマに約2時間話した。

 北畑氏はデイトレーダーについて「経営にまったく関心がない。本当は競輪場か競馬場に行っていた人が、パソコンを使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ。バカで浮気で無責任というやつですから、会社の重要な議決権を与える必要はない」と発言。デイトレーダーに適した株式として、配当を優遇する代わりに議決権のない「無議決権株式」を挙げ、上場解禁を唱えた。

 米系投資ファンドのスティール・パートナーズを名指ししたうえで、「株主、経営者を脅す」と発言。「バカで強欲で浮気で無責任で脅す人というわけですから、七つの大罪のかなりの部分がある人たちがいる」などと話した。

 北畑氏は朝日新聞の取材に対し「激しく言い過ぎたかもしれない。講演会で眠い目をした人に難しい話をしているのだから、少しはおもしろく言わないと聞いてくれない。適切ではなかったが、そこだけ取り上げられるのは本意ではない」と語った。

(2008年02月07日 朝日新聞)

 まあ、普通に軽率な失言であった事は事実な訳ではありますが、この記事、そしてこれに乗っかって一緒になってこの次官を叩く某Iセンセーを始めとするカチコイ人達を見ていて、非常に疑問に思った事があります。

 まず、第一点目は、政治家なんかなら兎も角として、たかが省庁の次官の、記者会見とかでは無く、講演会で話した内容、それも、基本的に取るに足らない軽口の類を、マスゴミがここまで取り上げるなんて、普通、常識的に考えておかしいだろう、と。

 過去、これまでの官僚の講演会において、一度も失言らしい失言も無かった、などという事も実に考え難い話であり、何故に、敢えて、この人の講演会のこの発言を、今、このタイミングで、マスゴミどもが挙って取り上げたのか、疑問に思うなという方が無理な話です。

 次に、この人のこの発言は、確かにデイトレーダーを見下した発言ではある訳ですが、ぶっちゃけた話、デイトレーダーなんて言えば格好いい訳ではありますが、やっている事自体はこの次官が言っている通り競馬や競輪と同じ賭博行為な訳で、余程のカンチガイくんでも無い限り、殆どのデイトレーダーは、それが誰にもバカにされる事の無い、社会に対する価値貢献の大きい立派な事だなんて思っちゃいないだろう、と。

 例えば、安倍政権において飛ばしまくっていた久間くんの「原爆はしょうがない」発言なんかは、今尚後遺症に苦しんでいる人々に対して実に失礼極まりない話だし、原爆で亡くなった方々にも失礼極まりない話。

 大体、何処をどう切り取っても、日本国としての視点に立つならば、しょうがない事なんかじゃあ絶体に無い。

 柳沢くんの「女性は産む機械」という発言にしたって、本人は軽口のつもりだったとしても、女性に対して果てしなく失礼極まりない話だし、そもそも機械じゃ無い。

 そして、何より、この二つの発言に対しては、久間くんのものならば被団協、柳沢くんのものならば基地外フェミ団体と、きっちり噛み付く、まあ、噛み付くという表現も何ですが、そういう団体がいた訳です。

 一方の北畑次官の発言はと言えば、まあ「最も堕落した株主の典型」なんつーのは流石に言葉が過ぎるにしても、基本的には間違った事自体は言ってはいないし、証券会社やマスゴミや自称「有識者」のセンセーこそ必死に批判していたものの、当のデイトレーダー自体は別に気にしてもいない。

 つか、そんな事言われたくらいで傷つくようなガラスのハートでは、デイトレーダーなんて心臓に悪い事続けていられる訳も無いですしね。

 纏めると、久間くんの発言に対しては実際被爆者の方が怒っていたし、柳沢くんのものにしても、基地外フェミという特殊な分類のものにしても、一応は女性が怒っていた事は間違い無いのですが、この北畑次官のそれは、ぶっちゃけ当事者は誰も傷付いてもないし怒ってもいない訳です。

 実際、「デイトレーダーから怒りの抗議続出」なんてアホな事、起ってもいませんしね。

 じゃあ、何でアホのマスゴミはこの問題をわざわざ取り上げ、当事者が怒り狂っている訳でも無いのに無理に話を広げようとし、アホの有識者がそれに乗っかって、アホな大騒ぎをしとるんだろうと、激しく疑問に思った訳です。

 官僚がそんな発言したからと言って、それを契機にデイトレードを止める肝っ玉の小さなデイトレーダーがいるとも思えませんから、「市場が縮小するかも」なんてアホな心配もあり得んしね。

 で、ずっと考えていたんですが、今から引用する、北畑次官の講演のテクストを読んですっきりはっきりと分かりました。


経済産業事務次官講演会
「会社は株主だけのものか? ─企業買収防衛策・外為法制度改正・ガバナンス─」
平成二十年一月二十五日(金)

国富増大の源

 二年前、局長時代に新経済成長戦略を担当しました。当時は日本の将来は暗いという話ばかりでしたから、人口減少社会でも成長はできる。十年間で二・二%以上の成長を目指す。財政再建と構造改革だけが日本の経済政策ではないということで、成長戦略という旗振りをしました。安倍内閣でも、成長なくして財政再建なし、日本の未来なしということでした。今また福田政権のもとで、新成長戦略の策定作業をしています。

 国富の増大という言葉があります。経済産業省の最大の仕事は、国の富みを増大させることによって日本の国民生活の向上を図っていくものです。そのためには国際競争力のある産業を持ち続けなければなりません。この成長戦略はマクロの経済政策です。それから、今は自動車などが日本経済を支えていますが、将来の産業を育てる政策として、昔、セミマクロ政策と言いましたが、産業政策があります。きょうは、それのもう一つ下と申しますか、ミクロ政策、会社のあり方についてご説明をしたいと思います。と申しますのは、日本経済全体の成長の根っこは企業の中にあるからです。日本全体で五百万ぐらいの会社があり、そのうちの三百万は株式会社形態をとっています。もちろん個人で事業を起こしている人もいますが、経済成長の源の大半は企業、とりわけ株式会社というメカニズムの中で生み出されてきます。そこの議論をしておくのも一つの成長政策だろうということで、企業のあり方をご説明申し上げたいと思います。


(中略)

日本の競争力の原点

 日本の競争力の原点はどこにあるのだという議論をしています。人材といっても、ノーベル賞を受賞する学者の数からいうと圧倒的に少ないし、技術力、研究開発力といっても、そんなに世界を制覇するようなびっくりする発明が多いわけでもない。だけれども、自動車、家電、電子などを見ると競争力は維持しています。これはなぜでしょう。多分、この答えは日本の企業のあり方、仕組みの中にあるのでしょう。その中で、日本のよさを残しながら、グローバル経済の中でどう対応していかなければいけないのかという議論をするべきだと思っています。

 さて、企業と言ったり、会社と言ったりしますが、ここでお話をするのは原則、株式会社、それも上場企業を念頭に置いてお話をいたします。

 株式会社という仕組みは、最も効率的に利益を生み出す仕組みだと言えるかと思います。また、最も大規模に事業ができる仕組みだと思います。それから、日本のイノベーション、競争力も、個人がそういうものを持っているというよりは、圧倒的に株式会社の中に存在しています。例えば知的財産、技術、優秀な人材の多くを所有しているのは法人である株式会社です。したがって、この仕組みをうっかり間違えてつくり変えると、日本の競争力は失われ、経済成長、イノベーションにも影響するでしょう。

マネー経済化の中での企業のあり方

 そういった中で一つの曲がり角というか、危機になりつつあるのではないかと思われるのがマネー経済です。一九九五年と二〇〇五年の世界の資金の流れを推計・比較してみますと、九五年の家計、すなわち個人投資家が持っていたお金が四十七・七兆ドルでした。これが十年たち、二〇〇五年になると七十四・八兆ドルで、十年で約一・五倍になりました。十年間で世界経済のGDPは五割増ぐらいでしょうから、世界の経済成長に応じて家計で保有されている資金は膨らんできたわけです。その個人のお金がどこに行っているかということで、銀行と株式市場と債券市場、それから最近話題の原油市場を計算してみますと、銀行預金が十年前の二倍、株式市場は二・五倍、債券市場が一・五〜二倍です。この辺は世界の経済の伸びに少しプラスアルファをしたぐらいでお金が回ってきているのですが、問題は、こういうお金の膨らみ方の中で投機資金が世界を動かす時代になってきたことです。そのお金が例えば原油市場に流れ込み、WTIの先物契約残高は、十年前は六十五億ドルでしたが、今は何と千二百億ドル、二十倍以上のお金が流れ込んでいます。世界経済が一・五倍〜二倍ぐらいにしかなっていない中で、原油の先物取引所にあるお金が二十倍になっています。もちろん中国とか、インドなどが原油を買う一方、産油国の生産量がそう伸びないという需給関係で価格が決まることはありますが、それ以上に世界にあふれた投機資金が原油市場に流れると、十年前は原油一バレル二十ドル前後だったのが、あっと言う間に百ドルになるのです。

 世界は実物の経済から金融が世界を回す経済になりつつあるのですが、こういった中で企業のあり方は大きな変化にさらされているのではないかと思います。会社は株主のもの、お金で何でも買えるとなれば、この世界にあり余っているお金がどう流れるかで、日本の企業のあり方は大きく変わってくるわけで、そこの対応をいろいろ考えておかなければいけません。資本主義とか、株式会社制度が発展していった中で、このマネー経済のもとで株式会社をどう考えていったらいいのかという議論をさせていただきたいと思います。

会社制度は万国共通ではない

 日本の企業のあり方について私が言うことはどちらかというと少数説です。大半の人、例えば米国のビジネススクールに二、三十年前に留学された方が今、会社の幹部やマスコミ界の論客になっていますが、この方たちの多数説の考え方は、会社は株主だけのもので、株主が究極の実権を持っているという株主万能主義です。それから、日本で言われるところの、いわゆる「アメリカ型」の株式会社制度が世界の普遍的な仕組みであって、日本はそれに合わせていかなければならない。だから、日本はこれをそのまま導入していくべきだとおっしゃるのですが、ほんとうにそうなのかなという気がします。そもそも、アメリカの立派な会社の実像が「アメリカ型」なのかも、定かではありません。

 グローバル経済の中で、世界各国は株式会社制度を持っています。大雑把に言って、ヨーロッパ、アメリカ、日本の株式会社制度は核になる大枠の部分は一緒ですが、細部を見ると随分違います。それから新興国、例えばロシアとか中国も株式会社に近い制度を持っていますが、日本、アメリカ、ヨーロッパの株式会社とはかなり違っています。ロシアの巨大ガス会社も、ほんとうにマーケットだけで動く会社なのかという感じがします。中国の公司(コンス)と言われる株式会社に近い制度ですが、これも日本の会社と同じとは言えません。各国それぞれ異なる会社制度があって、世界普遍の部分と独特の部分があって、お互いの立場を尊重しあいつつ、制度のあり方を議論して来ています。その独特の部分に、もし日本の成長力の源泉があるのであれば、そこをどう扱うべきか、真剣に考えなければなりません。このような問題意識で、企業はだれのものか、ほんとうに株主だけのものと言い切っていいのかというのが、きょうのテーマです。


(中略)

日本における敵対的買収への対抗策

 前置きはこれぐらいにして、前半の企業買収防衛策から外為法の規制までのお話をします。まず、M&Aとは何か。釈迦に説法でしょうが、M&Aは企業合併と企業買収、事業譲渡、これらを意味するものです。会社法上の仕組みで言うと、企業の合併、事業譲渡は三分の二の特別決議でできます。その中で敵対的買収という言葉がよく出てきます。これは会社の現経営陣に対して友好的でない買収のことで、株主の利益を守るための、現経営陣と新しく会社を買おうとしている人たちの間の争いを意味します。

 この敵対的買収からの防衛策は、この数年、日本では急速にいろいろな制度が整備されてきました。株式ではなくて新株予約権の第三者への発行で防衛をしようとしたのはニッポン放送とライブドアをめぐる事件です。これはニッポン放送側が裁判で負けています。それから、ライツプランという新株予約権を使った別の防衛策もあり、最近、ブルドックソースがファンドと争って、最高裁まで行ったという事例があります。これはブルドックソース側の勝利でした。それから黄金株(拒否権付種類株式)という、一株で企業合併や事業譲渡を拒否できるという買収防衛策もあります。日本では国際石油開発(INPEX)という昔の石油公団の出資会社であった会社が民営化して上場する際に、経済産業大臣に黄金株一株を預けておくという条件付きで上場しました。こういった買収防衛策が、欧米と同様、日本でも入ってきました。

M&Aの功罪

 いきなり敵対的買収と防衛策の話をしたので少しわかりにくかったかもしれませんが、M&Aそのものは非常に意味のあるものです。経営のスピードを上げる、事業拡大のスピードを上げるという意味では、M&Aは、市場で価格を通じて製品シェアを伸ばしていくよりは手っとり早い方法です。また経営者に緊張感を与えるという、いい面があろうかと思います。それから、「失われた十年」の事業再編のときには、この手法が非常に有効でした。ただ、これは会社を売ったり買ったりというやや乱暴な考え方です。会社にはいろいろな従業員、目に見えない組織力、取引先、そのようなものがいろいろ入っているわけで、それごと売買するわけですから、ここは少しよく考えなければいけない部分があります。物と同じように簡単に売買することがいいのかどうか、議論はしなければいけないでしょう。

 私ども経済産業省も例えば持株会社の解禁とか、会社法制の改革、税制、独禁法の扱い等々で、十数年前からM&Aがやりやすい環境整備をやってきました。その結果、日本のM&Aは年間五百件ぐらいから、最近は年間三千件ぐらいが行われるようになりました。大半は友好的買収ですが、時には敵対的買収もあります。友好的買収が進んだ結果、いろいろな産業の事業再編が進みました。鉄鋼、紙・パルプ、流通では、企業の数がドラスティックに減り、事業再編を通じて、あの不況から脱出をするという意味でも効果がありましたし、事業再編によって国際競争に強い企業を日本に持つという効果もありました。そういう面でM&Aのよさはたくさんあります。しかし他方で、新聞をにぎわすような事件もたくさん出てきました。


(中略)

各国の企業買収防衛策

 今の商法上、会社法上も、企業買収防衛策はできるのですが、大部分の経営者は、会社法上、企業買収防衛策は違法ではないか。とりわけ株主平等の原則に反するのではないかということで非常に慎重でした。そこで私どもは法務省と一緒になってガイドラインをつくる作業をしてきました。先ほどのように日本はM&Aがしやすくなる制度改革をやってきたわけですが、片方、その結果、呼び込んでしまう買収者の選別を図りバランスをとる制度の整備が遅れました。外国を見ますと、主要国では、形は違いますが、それぞれこのような制度の整備を講じています。英国は入口で規制をするもので、「城壁」アプローチと言っていますが、会社の株を三〇%以上取得する場合には全部買い付け義務があり、残りの七割の人の株が買ってくれと言ったら、同じ値段で全部買わないといけません。しかも、あらかじめ全部買い付けを実行する資金があるか否か裏付けを要求され、ないと買収がかけられません。したがって、三三・四%を買ったら上場廃止ですよという手法はできません。英国流の防衛策が講じてあれば、三三・四%ではなくて、一〇〇%を買って本当にリスクを取って経営する覚悟と資金力を持っていないと買えないのです。一〇〇%を買うと売り逃げができないわけで、本気のM&Aでないとイギリスではできません。

 アメリカは、全部買い付け義務はないのですが、その代わり個々の企業が防衛策を取ることが認められており、ライツプランと呼ばれる新株予約権を使った防衛策が普及しています。ライツプランとは、あらかじめ新株予約権を株主に配っておく制度で、敵対的買収者があらわれて、例えば二〇%以上を買いたいと言ってきたときに、この新株予約権を発効させ、例えば一株持っている人は四株もらって五株になる一方で、敵対的買収者にはその権利がないことをあらかじめ決めておく制度です。この制度が発動されると、例えばある会社の株を二〇%持っている人が、三四%を取って、少数株主の権利が行使できる株主になろうとします。しかし、その人が企業価値・株主共同利益を著しく損なう買収者だと認定がされると、その人が持っていた新株予約権は無効になり、残りの人たちの株権だけが五倍に膨らみ、敵対的買収者の所有株の割合が希釈されるわけです。今の例で言えば、二〇%を持っていた人が一気に四%までダウンして、買収者が大変な損を受けるという制度です。大変乱暴な制度なのですが、そうすると、どうなるかというと、買収者はいきなりTOBをかけられなくなります。TOBをかけると二十から六十営業日以内に買うか、買わないかの結論を出さなければいけないのですが、そのままやれば損をすることが目に見えているので、経営者は買収者と十分な情報交換をし、株主に経営方針や代替案を提示する時間を稼ぐことができます。そこで買収者はどうするかというと、株主総会で議決権争い(プロキシファイト)をして、賛同する株主の数を五〇%集めて、現経営陣を総入れ替えをして、この防衛策を廃止させます。そしてその後、TOBをかけるということで、このプロセスを通じて、株主には時間的余裕ができて、次の株主総会まで二カ月、三カ月あれば、その間に買収者が言っていることがいいのか、今の経営陣が言っていることがいいのかを比較できます。そういう株主が判断するための時間を稼ぐ制度ですが、アメリカでは上場企業の四割がこれを入れています。いきなりTOBをかけられて右往左往し、どっちがいいかわからない状態で株主が狼狽売りをすることを防ぐ制度です。

 このような制度が最もいいのではないかということで、法務省とガイドラインをつくりましたら、現在、上場企業の四百十社が、何らかの形でこのような買収防衛策を入れています。買収防衛策とは呼ばれますが、実際には、株主が適切な判断をするための情報、時間を確保するための「一時停止措置」とも呼ぶべきもので、閉鎖的な性格のものではありません。そして、海外でも、普及しているものです。


(中略)

非上場化のルールづくり

 ある自動車部品の社長に「あなたの会社はいい会社だけれども、危ないから、企業買収防衛策をやったらどうですか」と言ったら、からからと笑い、「うちは心配ありません。非上場ですから」と。「何で非上場なんですか」と聞いたら、「うちは儲かっていて、資金調達のために上場する必要はありません。同族企業ですが、創業者一族が上場によって創業者利益をもらって、田舎に別荘を建てるという発想はありません。従業員のために動く会社です。会社の目的は従業員の雇用の安定です。だから、うちは何の心配もありません」と言っておられました。確かに上場するときのルールは、証券取引所がルールを持っています。また上場不適格になるときのルールもあるのですが、自発的に上場をやめて非上場になるとき、透明で公正な形でこれを実施するためのルールは今までなかったのです。入口のルールはあるけれども、出口のルールはなかったわけです。買収防衛のために上場をやめるという検討をした会社があります。この会社は、どこかの市街地に昔、大きな繊維工場を持っていて、それを今、商店街に貸して地代が毎年五十億円ずつ入ってきているそうです。繊維会社としては大したことがなくても、安定した地代収入があるので、それを返済原資としてMBO(Managing Buy Out)をやりなさいというアドバイスを受けました。これは経営陣によるTOBのことです。一応上場していますから、株主がいるので、今、例えば千円の株を経営陣が千五百円で株を買い集める。そのための資金はファンドが用意をしてくれる。それで買って、三分の二まで買い取れば、残りの三分の一の少数株主の株は法律上対価を払って償却ができますから、三分の二を買い取れば全株を買い取れるわけです。その手法をやってみませんかと誘いを受けたのですが、弁護士に相談をしたら、今の制度上はできないかもしれない、あるいは、やったら背任罪で訴えられるかもしれない。場合によっては、インサイダー取引になるかもしれないと忠告を受けてやめたそうです。

 そういうことで、非上場という選択肢があるけれども、そのためのルールがなかった。非上場になる企業の株主の保護のための措置なども含めて「企業価値研究会」でMBOのルールをつくりました。これで、ようやく入口のルールと出口のルールが整ったわけです。繊維・アパレル関係の優良な上場会社が現経営陣と幹部クラスの数十人でMBOをやって、全株を買い取りました。その資金はノンバンクから借りました。株主は現経営陣だけになり、上場廃止しました。ただ、これは企業買収防衛策の観点からではありません。繊維産業では、大胆に将来の布石を戦略的に打っていかないと生き残れない。大胆な経営をやるために非上場となる道を選んだのだと経営者は言っています。非上場になった後のガバナンスの仕組みをどうするのかという課題が残っていますが、これも注目すべきケースなのではないかと思います。

外為法による企業買収の規制

 さて、今まで言っていることと観点が違うのですが、政策として買収を規制すべき会社があるのではないかという議論があります。それが外為法による規制です。今まで説明した企業買収防衛策は、あくまで現経営陣と買収者の間での争いで、決定権は株主が持っていました。もちろん内外無差別の仕組みです。これからの話は、これと異なり、国の安全保障などの観点から、外資に一定以上の株を持ってもらってはいけない産業があるのではないかということです。会社は株主のもの、つまり株主が所有権を持っているので売り買いがされますが、そのときに外国企業が株を持つことには各国でも規制があります。一番有名なものはアメリカのエクソン・フロリオ条項で、国防生産法という名前がついています。大統領のもとの対米外国投資委員会が、外国人がアメリカ上場企業の一〇%以上の株を買うときには安全保障を害するおそれがある場合には、中止を命じることができるという法律です。これは、日本と比べると強力な制度で、業種を問わず全業種が対象になります。最近の例ではIBMがパソコン部門を中国のレノボという会社に売ることを決め、これがエクソン・フロリオ条項の対象になり、審査が行われて、最後は承認が下り、パソコン事業の売却が行われました。

 フランスやドイツも似たような制度を持っていますし、日本も外為法の中で、業種と製品を限定してですが、事前届出を必要とする制度があります。国の安全保障とか、公共の安全という観点から、OECDで認められたコードの中で業種を指定しています。武器、航空機、原子力、電気などです。企業買収防衛策と外為法の規制については、そういうことを政府が進めているのは日本の株式市場が閉鎖的なことを示しているのではないか。あるいはそれが原因で株価が下がったのではないかと言われるのですが、それは全く根拠がないと私は思っています。これらの制度は、これまでお話ししてきたように、どの欧米先進国でも導入されていますし、しかも、日本より強力です。たとえば、企業買収防衛策のライツプランは、アメリカは上場企業の四割が入れていますが、日本では一割です。しかも日本の最高裁の判例は、アメリカの判例に比べれば、買収者に優しいものです。アメリカでは、有事になってからでも、取締役会限りで、買収者に補償の必要なく、導入が可能です。それから、外為法における新しい規制が、日本では動き出したばかりですが、アメリカのほうは以前から運用をしています。そして、日本では業種を限定していますが、アメリカでは、全業種について、しかも、事後的にも介入が可能です。日本の企業も、この法律に引っかかって、撤退した企業があります。日本が他国に比して閉鎖的ということは全くありません。

 それから、インベスト・ジャパンという政策を日本はやっているではないか。外国からの投資を歓迎と言っているのに、これは何だという議論がありますが、これもおかしな議論です。インベスト・ジャパンで日本に投資をしていただく会社を歓迎するのは、日本に技術を持ってくる。日本で事業をやって雇用を増やす。日本のだめな経営を立て直すという経営革新のノウハウを持っている。こういう外資を歓迎しているのです。日本の会社ではだれも手を出さなかった会社の事業再生を見事に日本で成功させた外資系企業がありました。ああいうものがインベスト・ジャパンのねらいとするところです。インベスト・ジャパンは基本的には技術、雇用、経営革新を期待しているのです。もちろん資金を持ってこられる外資は歓迎ですが、それは日本の人口減少に伴って貯蓄率が下がってくる中で、長期的な資金不足対策としてです。それにそもそも日本は今、個人金融資産だけでも千四百兆円あり、これが株式市場に回るような制度改革が重要です。


(中略)

会社法と現実感覚のギャップ

 会社法上は、株式会社の特色は五点あるというのが通説です。一つは、出資者による所有です。会社は株主のものだというものがまず第一原則です。二番目は、会社は人の集まりで法人格を持っていることです。つまり株主から自立して、自分の名前でいろいろな商売ができるという法人格があるわけです。三番目が出資者は出資した以上には責任を伴わないという有限責任です。四番目は、出資者と業務執行者の分離、つまり所有と経営の分離です。経営は別の人に任せることができるというものです。それから最後は、出資持分の譲渡性といって、株主はいつでも株を売り払って、その会社の経営から逃れることができます。これが法律上の株式会社でして、簡単に言うと、会社は株主のものだということです。しかし、企業経営の現場の現実感覚から見ると、会社は株主のものと言い切るのには非常に違和感があります。例えばチャップリンの『モダンタイムズ』では、産業革命の直後、資本家が金を出して工場をつくって、未熟練労働者を雇って、製品をつくる姿が描かれています。この時代では、会社は株主のものだというのは、それがいいかどうかは別にして、納得感はあったと思います。なぜかというと、資金不足の時代だったからです。産業革命のころは、資金がまさに希少資源だった時代ですから、金を出した人が「全部、おれのものだ」と言うのは納得感がありました。労働者の数が多く、原材料と同じように未熟練労働者を労働市場で自由に仕入れられました。そういうときには、会社の株主が、税金は若干払うかもしれませんが、コストを払った後の残りの利益は全部、おれのものだというのは納得感がありました。日本でも三井、三菱、住友が戦前、鉱山経営をやっていたときに、鉱山から出てくる利益はその財閥のものだというのには納得感があったと思います。

 では、今の会社を見たときに、利益を生み出しているのはだれだと言えるでしょうか。お金は日本に千四百兆円あるわけですし、世界中に金があふれ返っていて、お金を持っている人が「全部、おれのものだ」というので、ほんとうにいいのでしょうか。むしろ会社は、社長以下、研究者、従業員という、現場で日々、創意工夫、改善をする人たちが利益の源泉のはずであって、株主が全部、それを取っていいというのは、今の会社の実態から言うと納得ができません。

 それに加えて、株主は、ほんとうに責任ある株主ばかりでしょうか。普通は所有には責任を伴うのですが、株主は制度上そうともいえません。法律上、株主は有限責任で、かつ、いつでも株式を譲渡して会社を逃げられます。所有と経営の分離とは、経営ノウハウがある他人に経営を任せるということです。そういう人たちが会社全体をおれのものだと断言できるかと言えば、少しおかしいのではないと思います。

百円ライター

 百円ライターの会社がありました。百円ライターは日本では全くの斜陽産業です。その会社が左前になり、事業再生を商社が株主として手がけました。従業員が歯を食いしばって会社再生のため、賃下げに応じるなど、一生懸命頑張った結果、借金を返済して、内部留保が十億円出ました。すると、その瞬間、商社が中国の企業に売り渡してしまいました。会社が利益を生み出すようになったのは、労働者が頑張って賃下げに応じた結果なのですが、商社が全株を持っている以上、そのまま中国に売られても文句は言えません。法律上はそうです。これはさすがに政治的に問題になり、国会でも議論になりました。会社の利益を生み出すもとは、労働者、それから例えばその会社の製品が好きだという取引先、消費者、工場の操業を認めている地域社会が利益を生み出す源泉です。会社の利益を生み出すのは資金を提供する株主だけではなくて、社長以下の社員、取引先、利害関係のある地域住民、その人たちが協力をし合って利益を生み出しているのだと言えるのではないか。これがステークホルダー論ですが、そういう議論が最近盛んになってきました。

 従業員は会社に入ったら、四十年間、会社のことを考えています。この点は、日本の長期雇用の慣行と関連しています。それに対して株主は、そんな長期に考える必要はありません。朝、その会社の株を買って夜には売ってしまうデートレーダーもいます。もちろん、このような売買で利益を上げることは株主の当然の権利として認められています。しかし、デートレーダーが会社の所有者だといっても、実体的には、どうも納得感が得られません。それから、会社が仮に倒産をしそうなときに、普通は会社を倒産させないために、先ほどの百円ライターの労働者のように経営陣以下、借金返済に一生懸命努力をします。しかし株主権利は有限責任で譲渡可能性がありますから、この会社はもうだめだと思ったら、株主は見限って出て行くことが容易です。ですから、よくいわれる経営者のモラルハザードだけではなく、株主にも随分モラルハザードが生じうるのです。

同じ船に乗る株主とそうでない株主

 もろちん、そういう存在だけではありません。短期の株価との変動にあまり左右されず、会社の持続的な存続を前提にリスクを負担し、その中で長期的な利益の最大化にコミットしている株主は多くいます。例えば昔であれば財閥系の人たちが大株主になって、所有と経営は分離しているけれども、優秀な経営者を派遣して、会社をしっかり経営しているという大株主がいました。ファミリー企業(同族企業)は問題点もないわけではありませんが、大体、会社の経営に責任を持つ経営者を兼ねることが多いです。それから、銀行も長期的な視野で株を保有してくれる株主であると思います。ただ、どちらかといえば自分が貸している債権が不良債権にならないようにという観点からの債権者としてのステークホルダーかもしれません。それから、機関投資家がいます。例えば生命保険会社は、個人から長期のお金を預かって、その運用先として株を持ちますが、これは長期保有が基本です。少なくとも経営責任を有する主体として株主を考える際には、同じ株主でも、会社と同じ船に乗る株主とそうでない株主に分けて考えなければならないだろうと思います。

コーポレートガバナンスはだれがするのか

 二番目はコーポレートガバナンスです。会社は人の集団で、株主から一応分離をしているわけですから、その会社の経営をどういうふうに健全化、前向きにしていくか。そのため、だれが会社を管理するかという問題がコーポレートガバナンスです。通説的企業統治(ガバナンス)論では、資本市場(株主)が会社にガバナンスをきかせるべきだと言います。経営者を株主が監視をするわけです。そして、いい経営者には多額の報酬を与えて、それの見返りとするというものです。要するに株主の利益を代表する人とし取締役が経営者を見張る仕組みででき上がっていますが、これでほんとうにガバナンスが完璧かというと、そうではありません。どんなに会社の経営者、従業員を監視する仕組みを構築しても不祥事は起きています。その典型はエンロン事件です。エンロンは大変優良な会社だと言っていたのですが、実は経営者が株主に、うその財務諸表を見せていただけでした。監査法人もだまされた、あるいはぐるだったわけです。株主の利益を守るためのガバナンスの仕組みは非常に複雑につくり上げられていました。それでも不祥事は防げなかったのです。

 日本の場合は、例えば最近、企業の不祥事で偽装事件が多く起きていますが、あの中で株主の代理人が告発した事例はほとんどありません。だれがほんとうに実体的に会社のガバナンスをきかせているかというと、極端に言えば、従業員の内部告発です。誹謗中傷的な内部告発もありますが、善良な内部告発もあります。食品の偽装事件では、このようなことをやっていて、長年の会社の信用を傷つけるのではないかという従業員や消費者の告発が発端でした。従業員は三十年、四十年と会社で仕事をしていますから、不正がよく見えますし、見て見ぬふりをすることに良心の呵責が働くのです。一つは従業員がガバナンスをきかせていると言えます。

 それからもう一つ、最大のものは、製品・サービス市場での企業間競争(顧客)によるガバナンスです。いいものをつくらないとその会社の製品が売れないというマーケットの選択によってガバナンスがきいています。これは日本の経済を見ると明らかに機能しています。売れない物をつくっていると会社がおかしくなるということで、経営者は緊張するわけです。事実、ある経済学者の研究によると、輸入品の浸透度が大きかったり、輸出比率が高い、国際競争に接っしている製造業の産業分野は、ガバナンスが良好なことが実証されています。

 つまり、コーポレートガバナンスとの関係でも、「会社は株主のものだ」というよりは、「株主も含めた、従業員、取引先、消費者などのステークホルダーのもの」という方が実態ではないでしょうか。

内部留保と会社の継続性

 三番目は、内部留保と会社の継続性の問題です。株式会社は利益を生み出すメカニズムだと申し上げましたが、利益を生むことが究極の目標ではないように感じます。日本の経営者の多くは、利益は事業を継続し社会に貢献するために必要な手段だと考えています。日本には二百年以上続いている会社が三千社あるそうです。ドイツでは六百社、アメリカでは十四社だそうです。日本の中小企業の社長さんがアメリカに行って、「私の会社は三代続いた中小企業です」と言ったら、アメリカ人にケラケラと笑われたそうです。「三代百年も続いていれば、アメリカなら大会社になっているか、倒産しているかのどっちかだ。何で日本の中小企業は、そんなに継続に重みを置くのか。儲からない会社になったら廃業すればいいじゃないか。儲かるなら大会社にしたらいいじゃないか」ということですが、日本の経営者の大多数はそうではなくて、会社を継続することによる社会貢献が第一で、利益はそのための手段なのです。松下幸之助氏の「水道理論」というものがあります。会社は永遠に存続をしていくのだ。一生懸命事業をやって、安く物を提供するのだ。水道の水を盗む泥棒はいない。家電製品が水道のように安くなるようなことが会社の目的だ。こう言っていて、自分の利益を追求するだけではなくて、世の中に役に立つことと、会社が継続し、従業員の雇用を保障することが大切だと言っています。これが日本の経営者の多数説です。戦後は終身雇用制というか、裁判所の判断で、むやみに従業員のクビを切ってはいけないというルールになっていますから、そういう意味でも従業員に対する責任として会社を継続していかなければいけなくなりました。倒産させることは悪いことだというのは、日本ではコンセンサスになっていると思います。

 先日の日刊工業新聞にありましたが、サントリーの会社の目的は利益三分主義と言って、儲かった利益は社会に還元する。それから値段を下げてお客様に還元する。それから、将来の事業資金として使うと。この三つに分けるとのことです。社会とお客様と将来の継続性のために金を使うということです。竹中工務店は、いい建物をつくることが会社の目的で、利益追求をやりすぎるといい物がつくれないと言っています。YKKでも、創業者の吉田忠雄氏は「善の巡環」と言って、従業員持株だけではなくて、取引先にまで株を持ってもらって、儲かったら、その人たちに利益を還元するとしています。株主は株主ですが、取引先重視、従業員重視、儲かった利益はその人たちに還元をしていくという考え方の経営です。

 それから、前述の自動車部品メーカーも、会社の目的は雇用の安定だとしてあります。創業以来、従業員のクビを一度も切ったことがないのがセールスポイントだそうでして、四国の工場を海外進出に伴って廃止をするときには、そこの従業員の雇用を確保するために介護ビジネスに進出しました。介護ビジネスを四国でやっても儲かるわけはないのですが、雇用を守るためにそういう決断をしたそうです。これは非常に短期間に利益を追求する株主からすれば背信行為かもしれません。でも、そういうことが企業の存続を重視するという日本の企業文化をつくっているのです。

 こういうことから言いますと、少なくとも短期的な利益だけを追求する類の株主と多くの日本の経営者との考え方は違っています。会社を存続させ社会貢献を持続させることを重視し、そのため、配当よりも将来のための投資に向けた内部留保を重視してきたのが日本の経営なのです。

米国のエクセレントカンパニーの発想

 以上のように、日本の会社の実態から見ると、会社は株主だけのものではないと結論できるかと思いますが、そのことをあまり言い過ぎると、それは日本の経営の特殊性で国際スタンダードにならないのではと懸念されます。そこでアメリカのエクセレントカンパニーはどうだろうということで、調査団を〇七年十一月に派遣しました。訪問先はジョンソン・アンド・ジョンソン、IBM、デュポン、ゼネラル・エレクトリックです。いずれも百年以上続いている、アメリカではまれな長寿企業です。この人たちと議論をしていると、私が申し上げた日本の会社の経営の考え方と非常に似た部分もあることがわかりました。

 まずアメリカの長寿命の会社は、顧客、従業員、地域社会、株主に均しくウェートを置いています。それから、長期に会社を持続させるためには研究開発が必要ですが、厳しい資本市場の中でこれを実現していくための経営のコツは、ともすると短視眼になりがちな株主との議論、説得が重要で、IRの重点は、この辺に置くべきだということです。それから大組織でもイノベーティブなアイデアが死滅しないような工夫、従業員全体のモラルを上げるための工夫が必要だと言っています。IBMは、三日間、全世界の従業員と提案議論というものをパソコンを使ってやるそうです。来年の事業について、いい提案をした人には報奨金を出すということを会社を挙げてやるそうです。これは日本の従業員提案制度とよく似ています。従業員のモチベーションが価値を生み出す源泉であるという考え方に基づいて、そういう活動をやっているのだと思います。それから、会社内での人材育成が大切で、従業員の教育に力を入れています。

 また、育成に失敗した例外的な場合を除き、社長は、生え抜きです。さらには、短期ではなくて、長期の経営方針について経営者が具体的に示すことが重要だと言っています。

 株主が会社を選ぶのと同様に、会社も株主を選ばなければならない。そのためには、経営者がはっきりと会社の経営方針を株主に示すことで、自分たちの会社の方針に共感してくれる方に株を持っていただけるよう努力することが大切なのです。また社外取締役は大きな見地からのマネジメントの責任あるアドバイザーという役割が求められているのであって、社外取締役に日頃の細々した業務執行の監視の役割を期待するのは困難であるとも言っています。日本では、取締役会の付議事項の再検討が必要かもしれません。

 アメリカのエクセレントカンパニーの考え方の典型例が、ご存じの方も多いと思いますが、ジョンソン・アンド・ジョンソンの「我が信条(Our Credo)」です。ジョンソン・アンド・ジョンソンの社是の第一は顧客に対する責任で、いい物をつくって安く提供するのが会社の責任であるということです。二番目は社員に対する責任で、雇用の安定に責任を持ち、賃金で報いるというものです。三番目が地域社会、共同社会に対する責任で、例えばメセナで寄附をすることで報いるということです。地域社会あっての企業だということです。そして四番目に、株主に対する配当が出てくるのですが、ただし、これには前提条件があります。会社は将来の事業のために内部留保を十分に取って研究開発、設備投資をやらなければならない。その布石を打って、なおかつ余りがあるときに株主に配当するという考え方です。これは先ほどの松下幸之助氏の考え方とほとんど同じで、かつ会社の利益を生み出しているのは顧客であり、それから何よりも社員、従業員だとする考え方とも同じです。

これからの取り組み

 では、そういう環境をつくるために何をやるかです。株式会社は多くに分散された多様な株主によって所有されているわけですが、会社の長期的な利益についてあまり関心がない株主もいる。株主と、会社と「同じ船に乗っている株主」、すなわち長期的に会社の利益を最大化することに関心を持った株主を分けて、それぞれの多様なニーズに答える株式発行形態がとれないか、と考えております。議決権を重視する株主もいれば、配当や値上がり益に大きな関心を持つ株主もいます。このような多様な投資家サイドのニーズに応じて、柔軟な株式発行が可能となる制度として海外主要国には「種類株式」があります。日本でも会社法上では種類株式も認められていて、法律上、議決権のない株式や多議決権株式は発行可能なのですが、証券取引所の上場規則が認めていません。したがって、上場会社による発行ができなかったのです。海外では、米国では上場企業の二割強が種類株式を発行しており、フランスでは、多議決権株式だけでも、約六割の企業が導入しているそうです。

 日本でも発行・上場が認められれば、非上場化を選んだ企業やベンチャー企業が株式市場に戻って来て市場が活性化するきっかけになるかもしれません。

 多議決権株式の発行で有名なのはアメリカのグーグルです。あそこもA株、B株がありまして、A株は上場されています。ところが、一株で十倍の議決権があるB株はグーグルの二人の創業者が持っていて、この二人で議決権の五割を有しています。したがって、会社の決定権はこの二人が握っている。そのようなB株があったら、A株は、上場してもいい値がつかないだろうと思ったら、そうではなく、グーグルは、あの二人がいて経営がしっかりし続けるだろうというのが評価されて、A株も、いい値がついているのです。そういう利用の仕方があるのではないかということで、上場会社による多議決権株の発行と無議決権株の発行・上場を可能とするよう、今、東証と議論をしています。今年、何とか実現したいと思います。

 次に従業員の位置づけについてです。アメリカにESOPという制度があります。これは信託が企業拠出金や借り入れを原資として自社株を購入し、従業員の退職後に給付するものです。日本の従業員持株会と異なり、売却が自由でないため、従業員と経営の目的意識を共有化し、従業員に企業価値の向上意識をもってもらうには、いい仕組みではないでしょうか。法律上の問題をクリアして、是非、日本版のESOPを実現したいと思います。

 最後は税制です。簡単に言いますと、海外では、長期保有の株主は短期保有に比べ、株式譲渡益の課税面で優遇されています。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどいろいろな国にある制度です。フランスでは、五年以上株を保有しないと議決権が発生しないという制度があるそうです。日本でも、じっくりと株を持っている方を税制面で優遇することは、検討できると思います。今後の検討課題でしょう。

結論

 会社法では、会社は株主のものです。会社法の大枠は、国際スタンダードで出来上がっていて、これを変更することはできません。グローバル経済のもとで、企業が国際的な活動をしているのですから、適当とも思いません。しかし、会社は株主だけのものではなく、社長以下の従業員、あるいは取引先、地域住民を含めた全体の利害関係人のものであるという実態があります。そういう議論をしてくれたのがブルドックソース事件での東京高裁です。東京高裁判決では、「株式会社は理念的には企業価値を可能な限り最大化して、株主に分配するための営利組織であるが、同時に、そのような株式会社も単独で営利追求活動ができるわけではなく、一個の社会的存在であり、対内的には従業員を抱え、対外的には取引先、消費者等との経済的な活動を通じて利益を獲得している存在であることは明らかであるから、従業員、取引先など多種多様な利害関係人(ステークホルダー)との不可分な関係を視野に入れた上で企業価値を高めていくべきものであり、企業価値について、専ら株主利益のみを考慮する考え方には限界がある」といっています。これが日本の企業の実態に近いので、このような考え方に基づいて運用面で工夫していくべきではないかと思っています。

 最後に、日本では、会社の労働者のことを「社員」と言います。ただし、商法で「社員」とは出資者のことだと書いてあります。留学した後輩に、この辺の事情を話して、では、英語で「社員」はどう言うのかといったら、「やはりそれは株主になってしまいますね」と言うのです。

 要するに今のステークホルダー論が登場する前から、日本では労働者を「社員」と言い、その中から上がってきた人を「社長」と呼んで、会社は、そういう人たちのものだと考えていたのだと思います。したがって、会社はだれのものかといったら、二重の意味で「社員」のものです。つまり出資者のものであると同時に、会社を構成している社長以下の働いている人のものだというのが実体的には正しいのではないかと思います。

(経済産業省ウェブサイトより)

 下らない嘘を吐いても仕方がないので、正直に言っておきますが、この北畑事務次官の意見、主張に100%賛成という訳ではありません。

 色々と意見の相違はありますが、それでも、この彼の講演会のテクストを読んではっきりとした事は、彼の事を必死に味噌糞に言っていた某Iセンセーを始めとするホシュ派の論客などよりもずっと、この北畑次官の方が、日本をよく理解し、日本の事を考え、日本人としての立場で日本人の意見を述べている、という事です。

 要するに、だからこそ、糞マスゴミの連中は彼に目を付け、普段なら取り上げもしない官僚の講演会での発言内容などを急に取り上げ、言葉尻を捕まえて彼を時代後れのバカ官僚というイメージの中に沈めようとしたんだろう、と。

 天下りだけが生き甲斐の腐れ官僚が跋扈している事自体は事実であり、その事を否定するつもりなどはありませんが、それと同等数、或いはそれ以上に、まともな官僚だって沢山いる事を認識せねばなりません。

 そもそも、アベ・フクダのような無能を絵に描いたようなカスが総理総裁になれる程に政府与党に人材が枯渇しているにも関らず、何故に一応は日本国が滞り無く回っているのかと言えば、そんな官僚がいるからです。

 マスゴミのプロパガンダに乗せられて、味噌まで糞扱いして罵倒して駆逐しようとするのは、あまりにも愚かな行動であるとしか言えません。

 この講演会のテクストは、最初のアカピーの記事のものと同日のもので、アカピーが絡んでいる文言が無い事から、同日の別の講演ではあるようですが、内容的にはほぼ一緒の事を言っていた筈と考えられます。

 こういう内容から、敢えてそういう部分だけをアカピーが切り取って騒いでいる時点で、説明無しでも胡散臭い事は十分に伝わるかと思います。

 日本には未だ、人材はいます。

 マスゴミに踊らされて、そういう人物を潰してしまうような愚を犯すのは、絶体に避けましょう。

 以上です。


02/14/01:37 政治 CM:(1) TB:(0)
コメント
重要な視点
このエントリは極めて重要な視点ですね。よい情報を掘り起こしていただき大変勉強になりました。ある情報が表にでるときはその情報で得をするものが流した可能性が高い、というのは情報の裏読みの基本ですが、その典型のような話ですね。アサヒは反自民のふりをしてますが同じ穴のむじなということもよくわかりました。
2008/02/14(木) 02:53:39 | URL | open #-[ 編集]

或る浪人の手記
http://restororation.blog37.fc2.com/blog-entry-1111.html

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