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墓標  日本型医療破壊はデスマーチへと行進
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/109.html
投稿者 どっちだ 日時 2007 年 11 月 24 日 18:17:46: Neh0eMBXBwlZk
 

いよいよ医療崩壊も最終局面に入った感があります。

医師は自死を含む過労死に追い込まれない限り、何とか生き延びます。

国民医療は一旦完全に崩壊すると、再建に努めても10年以上復活は不可能でしょう。

この期に及んでも再建の声がまだ極めて弱いのが残念です。


----新小児科医のつぶやき から転載-----------------------------------
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071124


2007-11-24 墓標StarV301SHV301SHBelHiyoko-maruyusosikitchen-norinorihokuto-heiHappy-B

ネット医師の間で深刻に受け止められているのが、ななのつぶやきの「犠牲」です。身近な上司の医師と友人の医師が過労による突然死で失った経験です。この話に医師が強い共感を持つのは、同じように身近な医師を失った経験をもつ者が多く、自分自身がニアミス経験を持つものが殆んどだからです。私もその例に漏れません。言ってしまえば明日は我が身であっても何の不思議も無い環境が広く蔓延しているからです。

なな先生のエントリーが静かな衝撃をもって受け止められた時にニュースが飛び込みました。11/21付神戸新聞から、

筋弛緩剤で医師自殺 神戸中央市民病院

 神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)に勤務する三十代の女性医師が、毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤を使って自殺していたことが二十日、分かった。院内の保管場所から無断で持ち出して使用したとみられる。

 市などによると、十八日午後一時十分ごろ、同病院内の手術室で点滴をしたまま倒れている女性医師を職員が発見し、神戸水上署に届け出た。既に死亡しており、麻酔薬を服用し筋弛緩剤を投与した形跡があった。同署は自殺の可能性が高いとみている。

 使われた筋弛緩剤は粉末のバイアル一本(十ミリグラム)で大人一-二人分の致死量にあたるという。同病院では施錠された室内に保管されており、担当する医師のみが鍵を所持していた。

 関係者によると、女性医師は情緒不安定な状態が続いていたといい、病院側もそのことを把握していたが、勤務の変更などはなく、筋弛緩剤がある部屋の鍵もそのまま所持させていた。

 同市保健福祉局経営管理課は「こんなことになるとは思わなかった。だが、薬の管理上に問題はないと考えている」としている。

この記事の組み立て方でそのまま理解すると、

* 30代の女性医師が筋弛緩剤を使って自殺した
* 問題は病院側の薬品管理にあるかもしれない

文脈的にそう受け取ってしまいそうになっています。記事中には

女性医師は情緒不安定な状態が続いていたといい

こうとも書かれ、さらに、

病院側もそのことを把握していた

ここまで情報を集めているのに、記事が導く方向は、

勤務の変更などはなく、筋弛緩剤がある部屋の鍵もそのまま所持させていた

「情緒不安定な女性医師」に、勤務の変更を配慮しなかった病院側の問題と「筋弛緩剤がある部屋の鍵」を所持させていた問題を同等に扱っています。その上で記事の結論とした問題点は同市保健福祉局経営管理課の話として、

こんなことになるとは思わなかった。だが、薬の管理上に問題はないと考えている

私はちょっと待てと言いたい、薬品管理しか女性医師の自殺には問題が無かったと言いたいのかと。それでは、この女性医師が筋弛緩剤ではなく、首を縊るなり、屋上から飛び降りたのなら無問題であると言う事でしょうか。情緒不安定な医師の状態を把握しながら、なんの手も打たなかった病院側の健康管理問題はどこに行ってしまったのでしょう。病院側は女性医師から鍵を取り上げ、筋弛緩剤以外の手段で自殺したのなら責任は無いとでも言いたいかと感じますし、マスコミ記事もそこしか問題点が無かったと言いたいかと怒りを感じます。

これを読んで中原先生の自殺問題を思い出しました。中原先生は過酷な勤務状況の中で心身ともに疲弊しつくし悲しい事に自殺の選択をなされました。これに対し、労災認定がなされなかったために民事訴訟を起さざるを得なくなり、遺族は法廷闘争の末に労災認定を勝ち取りました。この訴訟では事実認定として、

3月の勤務状況は、当直8回、休日出勤6回、24時間以上の連続勤務が7回。休みは2日だけだった。

裁判所の判断は、

小児科の当直では睡眠が深くなる深夜に子どもを診察することが多く、十分な睡眠は困難だと指摘。「社会通念に照らし、心身に対する負荷となる危険性のある業務と評価せざるを得ない」

つまり過労による鬱病による自殺とし、労災認定をしています。

これを受けて過労による鬱病による自殺を引き起こすような労務管理を行なった病院に対し、損害賠償訴訟を遺族は起しています。私の感覚では、過労による鬱病を察知できず、自殺に追い込むほどの漫然たる労務管理は十分に賠償責任はあると考えます。ところがこの訴訟では、

「急患はそれほど多くなく、仮眠する時間はあった」として、心理的負荷は強くなかったと判断した

なんと損害賠償請求は棄却されています。労務管理は適切であったという事です。つまり過労による鬱病になるほどであると労災認定されるような勤務管理でも、管理者側は問題ないとの判決です。

今回の神戸の女性医師の問題でも、病院側は「情緒不安定」である事を把握しながらも、それに対する対策を怠った事について殆んど問題視されていません。問題視されているのは「薬品管理」です。少なくともマスコミ記事はそろってそういう論調で結論付けています。薬品管理さえしっかりしていれば、筋弛緩剤で自殺などされず、飛び降りなり、首を縊るなりの病院側に無問題の方法で女性医師がたんに自殺した事件と読めます。

あとどれだけの墓標が立てられれば医師の労務管理は改善されるのでしょうか。暗澹たる思いで記事を読みました。

コメント

Hajimaru 2007/11/24 09:52

何とも痛ましい話で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

ところで、同じ病院というパッケージで予定外の死が起こった場合に、

イ)患者さんであれば、エライサンが頭を下げる記者会見をして、根本的かどうか別にしても原因究明や対策を考える。

ロ)医療従事者の’自死’については、「病院は関係ないんだよ」という態度で、より早く幕引きしようとする。

そこには「情け」が感じられません。

誰かメスや注射器だけでそういう行為を起こしたらと考えると、物品管理だけでない事がよくわかります。

今回の事件で一番驚き、心傷めるのは現場が日中のオペ室だった事です。
自分の最後の場所として、どうしてそこを選んだのか・・・


Bugsy 2007/11/24 10:03

たしかに AMIで死んだ先輩後輩は多かったですね。夕食は深夜にならないと取れず、逃げ出さないように監視する意味なのか、先輩に連れて行かれたのは焼き肉屋しかなかったので皆デブになったわなあ。死んでも「自己管理」が甘いとされました。疲れて瘠せちゃった医師には気を使ってましたが 日に日に太るデブは嘲笑の的です。さすがに派遣先の病院で先輩が過労のあまりTbになったときには ふーんと言って胸部レントゲンを皆で見て感心したそうな。それで それっきり。

オイラも胸がおかしいなと思ったら不整脈だったので内科に通院せよと云われましたが、ホルター心電図をとる前に医局から派遣に出されてウヤムヤでした。

このように病院そのものは医師の労務管理という頭がありません。おそらく神戸のこの病院も中原医師が自殺した立正佼成病院も幾つかの大学医局から医師を派遣してもらっていたはずです。であれば 勤務している医師が調子が悪ければ「おかわり!」と各部長が出身医局におねだりして医師を交代させるのが関の山、事務長や院長が臨床科の医師の人事配置、労務まで口を出す習慣がないんです。部長とはそれぞれがお山の大将ですからね。従って そろそろ自前で勤務医が育ち始めた病院でこそ 研修医から運良く病院に残れた医師こそが疲弊したとしても医局からの派遣交代にあずかれず こういった労務管理のエアーポケットに陥るのですよ。


moto-tclinic 2007/11/24 10:47

わたしは、この麻酔科医の先生の自殺のシチュエーションにすごく関心があって、日曜の午後一時の手術室ですから、まったく誰も人が来ないとは限らないわけです。

筋弛緩剤の点滴とありますが、プロボフォールなんか鎮静剤は使ったのだろうか?もし、筋弛緩剤だけなら、呼吸停止ですが意識はあるわけで、自分が死ぬ最期までを自分で確認できます。

誰かに発見されて、救命してもらうこと、それによって自分の辛さを理解してもらえることに賭けたんじゃないだろうか・・それを最期まで確認したくて、あえて意識を落とさない方法を選んだんじゃないだろうか?

医者の場合、リストカットなんてしても笑われるだけですからね。「本当は死ぬ気なんか無かったんだろう」って。

自分も欝で希死念慮強かった時期があって、どうしても自分の個人的な体験と重ねちゃうんですが、希死念慮って言ったって、うっとりと楽園への入口に誘われるように、自死に向かうわけじゃないです。すごく怖い。死ぬのは嫌だ。だけど、その気分に囚われて、まるで泣き叫んで救いを求めながらも死神に足を引っ張られ引きずられていく気分です。だから、医学的には確実に死に至る方法を選びながら、どこかで、救いが現れる道を残していたっていうのは、決して矛盾した心理ではない。

本当に救いを求めなかったのなら、薬と点滴セットを持って、家で静かに死んだと思うんですよ。

すごく可哀そうな死に方だったと思います。。


Bugsy 2007/11/24 10:52

そもそも当直表一つとっても全て医師が自主的に決定したことだからとして 病院の院長や事務は医師の労務管理には一切関与ぜずとの姿勢はくずしません。

かといって 診療部長が同じ科の医師が体調を崩して休ませようとしても医師の必要数が足りないとなるから 診療報酬に響くからといって病院側が即座に文句をつけてくるものの 他所から医師を連れて来てくれるわけでもありません。結局そこの部長が自分で声をかけても簡単には応援は来ず、次の医師が来るまでナアナアで放置して病院側は見てみぬ振りをして 今回のような悲劇が起こってしまうわけです。こういう悲しい事例は水面下で随分増えているように感じます。


moto-tclinic 2007/11/24 12:09

昔よく一緒にお茶をした人がいて、そのうち私が忙しくなって相手できなくなったあとも、医局の冷蔵庫にはヨーグルトが一つだけ残っていた。

その人はいつも売店でヨーグルトを二つ買って、私とのお茶のために用意してくれていたので。

私が忙しくてお茶に来なくなった後も、私の分もヨーグルトを買ってくれていたのだろう。

こういう感傷は男性特有のもので、女性というのはその場悲しくても立ち直りも早い。
そのくらいのことは私にも解っている。しかし、だからこそ、男性は持って行き場の無くなった記憶とともに取り残される。あの「忙しさ」は何だった?ああ、いろいろ、感謝もされただろうさ。だけど、今の私は、あのときの一杯の紅茶となら何を引き換えにしてもいい。

私がクリニックを作ることにしたとき、私にはイメージが何もなかった。
ただ、あのときの彼女とゆっくりお茶が飲めるような空間にしたいと思った。
白く、エレガントにまとめて、風に揺れるカーテンの陰から、あのときの彼女が透明な妖精のように現れては消える、そんなクリニック。

楽しかった思い出というのは、記憶に残りにくい。
花を見ていると、たぶん、この花の数くらいは、自分では忘れてしまった楽しいことがあるんだろうな。
そんなことも思う。

-----

わたしのクリニック、生花を欠かしません。
造花は飾らない。
花は、生きているから、美しい。
欝で病休、退職を経て、半年間の静養ののち開業。
クリニックは、自分で自分を癒すための空間でありました。


Bugsy 2007/11/24 12:19

AMI1や脳出血などの過労による死亡と自殺は背景が異なるかも知れません、とつい思いがちです。今回の自殺は抗議の意味も含めているのだろうと考えます。

しかし この過労による自殺については社会全体が冷たいようです。

例えば就業場所以外の自宅での自殺などであれば 個人的な人間関係、あるいは本人の精神的な変調といった問題に矮小化して問題を封印してしまう例がほとんどですが、疲れ果てて自殺に追い込まれる背景というのがやはり理解されないようです。医業以外の業種でも多いと仄聞します。だからといって今回の痛ましい事件を平然と受け流すことは間違っています。

ところでこういった大規模な市民病院や国立病院の院長や副院長クラスが臨床研修財団の指導医の研修にタスクフォースとして御来臨あそばされ 医師の労務管理を得々と講義されます。とりわけ臨床研修医を夜遅くまでこき使ってはならぬと御高説を気かされてるんですが 不思議ですねえ。ご自分の病院の勤務実態を把握されてるんでしょうか?

マスコミも無責任ですが 遠い昔しか病棟で働いた経験しか無いエライ医師も昔の苦労を忘れています。


moto-tclinic 2007/11/24 12:22

追伸)「墓標」ですから、詩やお花が捧げられ、飾られたほうがいいんだろうな、と思いましたので。

一開業医 2007/11/24 12:54

もう10年近く前のことですが、卒後20周年ということで同期生が温泉に集まり泊まり込みで宴会をしました。お互いの近況報告などをしたのですが、驚いたことに一学年80人中4人が自殺していました。さらに小児科に進んだ3名がいずれも臨床を離れていたのも印象的でした(それぞれ保健所、身障児施設、企業で働いていました)。

医療崩壊を先取りしていたのか、すでにその頃には始まっていたのか・・


一開業医2007/11/24 12:57

> 小児科に進んだ3名がいずれも臨床を離れていた

臨床を離れた理由は3人とも仕事がきつくて、これ以上やってると体を壊すと思ったからだそうです。


雪の夜道 2007/11/24 13:14

私もmotoさんの意見と同じで、これはダイイングメッセージであったろうと思っています。この自死が、いろいろ言うことだけは言っている神戸市立中央市民病院であったことは偶然ではないでしょう。


Yosyan 2007/11/24 15:07

今朝の段階で亡くなられた女性医師が麻酔科医かどうかの確認が取れなかったのですが、やっと確認が取れました。鬱状態とは言え、女性が(男性でも!)が自殺場所を手術室にしたのはやはりメッセージを感じずにはおれません。自殺方法が筋弛緩剤だけなのか、他の薬剤も併用していたのかは、情報不足ですが、麻酔科医が本当に筋弛緩剤だけで自殺を図ったのなら相当なメッセージと考えられます。

しかしそんなメッセージも読む人がいなければ意味を成しません。少なくともマスコミはそこまで事実を報道しながら、メッセージを読む気は無く、病院は薬品管理以外に関心が無いようにしか思えません。

Bugsy 2007/11/24 16:25

自分は以前このブログで取り上げられた「デスマーチ」という言葉を思い出します。
勤務医の逃散という言葉も取り上げられて久しいのですが 逃げようと気持ちがあるうちはまだましです。勿論逃げ去るときに涙を流しています。

しかし 長い間他動的に勤務に拘束されると(これって拘禁症状といっていいんでしょうか?)いつしか正常な判断力が損なわれてきます。幻覚やうつ状態となって 自分や他人が疲弊しても 正常な判断力を失われていくことがお互いに理解できません。

いつしか他人を傷つけるか最後に自傷行為に及ぶのです。当人が脱落すれば自分の負担が増すので 辞めていこうとする人間を虐めることも見受けられました。疲れ果てた人間に「それでも医者か!」と多くの医師の気持ちを折る現場に出くわしましたし、自分もそう怒鳴られました。

こういう事例があるといつも出てくる意見として「自分や周囲が気づいたのなら早く回避できたはず」というものがあります。しかし全くナンセンスな無責任な意見で デスマーチへと行進している集団にそんな余裕はないのです。勿論抗不整脈剤や抗欝剤を服用させつつ、仕事をさせたらという馬鹿げた意見もまかりとおっています。

自分が今生きているのも偶然であって 幻覚やうつ状態に陥ったことは何度かあります。さすがに「あいつおかしいぜ。」と気づかれたから たまたま引き換えして来れたのでしょう。

薬剤管理の問題?

死のうと思ってるプロの医者ですぞ。経管栄養剤だってKClだって空気だって静脈から大量に注入すれば死にますよ。空気や経管栄養剤を金庫にしまっておきますか?
上っ面な取材しかしてないのが よーくわかります。


ER 2007/11/24 16:45

私が以前勤務していた病院でも同様の自殺がありました。
その時はプロポフォールを併用されていたようです。
新聞やニュースになることはありませんでした。

公にはされていない医師の自殺はもっともっとあるのでしょうね。
ご冥福をお祈り致します。


Yosyan 2007/11/24 16:56

記事を読み返せば読み返すほど腹が立つのですが、この事件に価値がついて報道されたのは女性医師が自殺した事ではなく、女性医師が不正な手段で薬品を入手した事です。お座なりに女性医師の自殺の背景を書いていますが、そちらにははっきり言って無関心です。

マスコミ記事なんてしょせんその程度の見地からしか事件性を評価しませんが、とどのツマリは病院側の薬品管理の不手際を叩きたいだけです。それなりに医師の労働環境の厳しさが周知されてきたというのに、「なぜ医師が手術室で」に極端ほど無関心です。この距離を埋めるために、あと何本の墓標が必要か、考えただけでも脳天に血が昇ります。

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