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若い外科医が海外に逃げていく--もう1つの医療崩壊 (NikkeiBP) 必要なのは待遇改善と正当な評価
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投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 09 日 23:50:27: Neh0eMBXBwlZk
 

---東京日和@元勤務医の日々 から転載---------------------------------------
http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/445520/


必読:若い外科医が海外に逃げていく--もう1つの医療崩壊

2008/01/09 21:00

 今回は・・・長いです(引用が・・・こらこら汗)。日経メディカルの編集長さんの記事からです。
 
若い外科医が海外に逃げていく--もう1つの医療崩壊 Nikkei BP 2008年1月9日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080108/144396/


若い外科医が海外に逃げていく--もう1つの医療崩壊
2008年、どうなる日本の医療【第1回】
* 2008年1月9日 水曜日
* 風間 浩

 2004年の医師卒後臨床研修必修化に端を発した、勤務医不足が日本を覆いつくしている。今年あたりから、その水面下で進行する「もう1つの勤務医問題」が表面化してくるかもしれない。それは、若い優秀な外科医の国外流出問題だ。

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080108/144396/px300_01.jpg
米国の病院で手術中の田端実氏(写真右)。29歳で米国の名門病院ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の心臓外科フェローとなった。
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 コロンビア大学メディカルセンターに勤務する心臓外科医の田端実氏は、1999年に東大医学部卒業後、日本で5年間研修を積み、2004年に渡米。29歳のときに、最年少で米国の名門病院ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の心臓外科フェローとなった。

 大学6年からUSMLE(米国医師資格試験)の勉強を始め、卒後3年目には米国で臨床に携われるStep3まで修了した。一昔前まで極めてまれだった、こうしたキャリアパスを選択する若い外科医が目につくようになった。

 2004年の医師卒後臨床研修必修化により、勤務医の就労環境が激変したことは、1年ほど前から一般メディアでも盛んに報じられている。

 それまで医師の人事権は「大学医局」が完全に掌握していたが、臨床研修必修化を契機に、研修医が自由に研修病院を選ぶようになった。その結果、医師が自発的に行きたがらないへき地などで医師不足が生じ、それを調整しようとすると他地域の医師の労働が過重になるという悪循環に陥った。

 加えて、患者の医療に対する要求が強まり、医療訴訟が急増。さらには、手術などの結果が悪いと、検察が介入し刑事訴訟に発展するケースも目立つようになり、勤務医はそうしたストレスにもさらされ、疲労しきっている。いわゆる「医療崩壊」だ。

 そして、この「医療崩壊」の陰で徐々に進行しつつあるのが、優秀な外科医の国外流出だといえる。まだ水面下の小さな動きではあるが、今年辺りから新たな問題として表面化してくる可能性がある。


手術が下手でも外科教授になれる

 「××外科の○○教授のオペって、ひどいもんらしいよ」。医師の間では、しばしばこんな会話が交わされる。外科医のトップである大学教授の手術が下手というのは、一般国民からすれば信じがたいだろうが、日本の医療界では当然に起こり得る話だ。


 大学教授は教授会で選ばれるが、選考の際一番の目安となるは、インパクトファクターだ。インパクトファクターとはその学術雑誌が「どのくらい引用されているか」を示す指標で、その雑誌の「格」を表す。そして、学術雑誌に論文が掲載された回数にインパクトファクターを掛け合わせたものが、いわばその医師の「獲得ポイント」となるのだ。

 この仕組みは、内科系の医師だけでなく、手術のイメージが強い外科医でも基本的に変わらない。

 外科医は一般に、医学部卒業後、いくつかの関連病院を異動しながら、臨床経験を積み、10年ほどで一人前になる。その合間に、大学院に入って研究を行い、論文も書く。論文を書く暇がないほど手術に明け暮れた“根っからの外科医”は、手術はうまくなるかもしれないが、教授になるのは難しい。

 逆にいえば、大学で上に上っていきたければ、外科医であっても手術の腕を磨くよりも論文書きに精を出した方がいい。そもそも、関連病院に出ずに大学に残っていると、若い医師は執刀する機会がなかなか回ってこないという現実もある。

 一般国民には、外科医の技能を保証するものと思われている「専門医」資格でも事情は同じだ。手術の技術よりも論文が重視されるのだ。


米国の充実度は日本の3〜6倍

 「外科医になりたい」「早く手術がうまくなりたい」。そう思って医学部に進み、卒業後、この現実を知ったら、あなたならどうするだろうか? 医局にとどまってしきたりに従う以外、手術の修練を積むチャンスがないのであれば、我慢するだろう。だが、ほかにもっと魅力的な選択肢が目の前にあるとしたら…。

 今、若い有能な外科医が米国を中心とした海外に目を向けるのは、こうした至極当然な理由からなのだ。

実際、手術がしたい外科医にとって、米国の環境は恵まれている。能力があれば若いうちから執刀できるのはもちろんだが、それ以上に米国で働く外科医が強調するのは、雑用に煩わされず手術に集中できることだ。

 手術の準備や後片付け、書類書き、その他の雑務は、日本では研修医や下っ端の医師の仕事とされており、ただでさえ医師不足で労働が過密になっている昨今、外科が忌避される原因の1つになっている。対して米国では、医師の業務をサポートするPA(Physician Assistant)という専門職が確立されており、そうした業務を行ってくれる。

 報酬もはるかに高い。米ピッツバーグ大学の心臓外科の津久井宏行氏は、「個人的印象からすると、米国の心臓外科医の労働時間は日本の2分の1から3分の 2、年収は2〜3倍といった感じ。単純に数字で評価すると、心臓外科医としての充実度は日本と比較して3〜6倍」としている
(日経メディカル オンライン「米国で医者として働く」 http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/kikou/200712/505014.html より)。


必要なのは待遇改善と正当な評価

 医師はそもそも学力優秀な人々である。その中で外科医を志す人はとりわけ活動的で、チャレンジ精神旺盛な人が多い。医局支配が事実上崩壊した今、自分がより活躍できる可能性がある場を海外に求める外科医が増えるのは、必然的な流れともいえる。

 イチローや松井が大リーグに行くのは野球ファンにとっては寂しいが、僕らはその雄姿を衛星放送を通じてリアルタイムで観ることはできる。しかし医療はそうはいかない。

 今、国が歪んだ医療制度を正し勤務医の待遇を改善し、学会が旧弊を改めて外科医の技術も正当に評価しなければ、「外科医療の空洞化」が、日本の医療の根幹を揺るがす大問題になりかねない。

(風間 浩=日経メディカル オンライン編集長)

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 こちらのお話の前に、北欧に留学中の「欧州の消化器科」先生のブログを年末に拝見して、紹介しようと思いつつ、遅れてしまいました。自分が読む限り、少なくとも、北欧は日本よりも「医師を優遇」しています。そして救急患者さんで救急病院などパンクしないようです。

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スウェーデンでの8ヶ月、この一年を振り返って、日本を見つめて~vol. 1

 スウェーデンの医療事情は患者にとっては,間違いなく日本より不便である。決められた家庭医もしくは救急当番医を受診しなくては病院にかかれない。その紹介状を持って私が勤めているカロリンスカへ来ることになる。しかし、大病院どうしといえども,診療予約が混んでいれば,あふれた人たちを別な大病院に回す。つまり、カロリンスカ近くにすんでいる患者が、車で1時間も離れたフッジンゲへ行か無くてはならない,あるいはその逆があるのだ。
(略)

 『土曜,日曜日は完全にお休み。国の10日ほどある祝日のほかに、長期休暇が義務づけられている。これは全職種、企業が職員に与えなくてはならない。医者も当然、もらえる。若い医者は4週間が認められている。それより長く欲しければ当直の代休をつけ加えることがきる。40歳以上の医者は6週間が与えられる。
 
 さらに、スウェーデンに医療訴訟は無い。通常医療でなされた過失で、患者側が納得できない場合は社会福祉省に苦情が申告される。そこで専門家により精査され、過失が明らかな場合は当事者に注意が及ぶとともに、国から一定額の賠償がされる。その額はまだ調べ中だが、重症合併症であっても,日本に比べてかなり少額のようだ。このような仕組みがあるから、こちらの医者は安心して仕事に集中できる。いろんな医者に日本の事情を話すと、悪夢だな,と一笑に付されてしまう。ちなみに、スウェーデンでは医療費が保障されているので,重症後遺症をについても、その後の医療費、社会保障費は保障され続けることになるわけだ。
(中略)
 この国は医者が不足している、という。日本よりもはるかに分業が進み、仕事も早く終わるのに、まだ医者が足りないという。つまり、医者が十分に人間らしい生活をしつつ、高度医療を維持するためには医者が足りない,ということなのだろう。また、ストックホルム、ヨーテボリ、マルメなどの都会(都会と言っても札幌、旭川、帯広規模の人口だが)を除くと、十分に医師が行きわたっていない,ということなのだろう。そんな中で、税で育てた医療従事者や海外から就職に来た医者を訴訟沙汰でつぶしてしまっては、国家の損失であることは元より、医療行政があっという間に崩壊するという認識もあるのだろう。スウェーデンの医師免許があればEU内のどこでも、医者ができるのである。たかだか人口1000万人のこの国で、日本のような馬鹿げた状況ならば瞬時に医療崩壊である。』
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 やっぱり北欧型の高福祉医療は・・・医師にとっても、患者さんにとっても?いいかも?(医療訴訟しなくてもいいんですよ!)と思いました。

 この先生のブログは「日本とヨーロッパ」の医療について比較があったりして、消化器内科の事情(ファイバー上手なら留学したい!?)など、本当に参考になります。

 ちなみに、自分も有給休暇6週間!?せめて4週間!下さい。そのためなら、もう英語漬けでガンバリマス?。いやその前に医者として臨床能力をリハビリしないとなあ(最近、頭の中がスースーするのです汗)。

 あったりまえのことだけど、自分は海外への「人材流出」は続くとみている。医療費の抑制・・・つまりは人件費やコストを抑えることになります。 ちなみに、大工さんでも同じなようですね。
ぽち→

なかのひと

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住宅建設「お金の失敗」(3)
「労賃」を切り下げたら経験不足の職人ばかりに…
nikkei BP 2008/01/08

 コストダウンで特に気をつけなければならないのが、安易に「労賃」に手をつけること。岐阜県の工務店社長のAさんは、これで手痛い目に遭った。

施工業者の労賃を切り下げたら親方は来ず、現場は若手ばかりに。現場管理が大変になってしまった(イラスト:勝田登司夫)

 岐阜県の工務店社長のAさんは、ここ数年、施主の年齢層が下がってきているのを実感している。「みなさん情報はずいぶんと集めていて、それなりに要望は高い。けれどもまだ若いものだから予算は厳しい。こちらも努力はしているつもりなのだが…」と話すAさんは、建材や設備のメーカーを固定して掛け率を融通してもらうなど、コストダウンの方策に苦慮しているという。

 そして昨年、主だった協力業者を個々に呼んで一律に施工費の引き下げを申し入れた。「納め方の共通仕様を相談したり、発注件数の確保を約束したりと、交換条件は出した」(Aさん)が、付き合いの長い業者ほど反対されたという。

 その翌月から現場の様子は一変した。基礎、左官、建具、内装、どの工程でも親方クラスの職人は現れず、まだ段取りがよくわかっていない若手ばかりに。図面が読めないし、納まりは理解していないので、いちいち細かいところまで指示を出して教えなくてはならなくなった。片づけや掃除の習慣も身に付いていない、工事車両の駐車もいい加減とあって、現場監督は朝から晩まで付きっきりになった。本来の現場管理が行き届かなくなり、工程はあっと言う間に滞った。

 下地の施工がいい加減だから、仕上がりもうまくいくはずがない。手直しが頻発し、1カ月でAさんは降参し、施工費値下げも撤回せざるえをえなかった−−。

 見積もりのちょっとした調整などの際、協力業者に"泣いてもらう"経験をした人もいることだろう。次回の発注時に優先的に仕事を回すなどの「持ちつ持たれつ」で済む話ならいいが、コストダウンの手段として恒常的に労賃の引き下げを求める場合には、当然それなりの交換条件が必要だ。

 アンケート結果でも、回答者の42.3%が「コストダウンの取り組みで失敗した経験がある」と答えている。Aさんも、施工手間を削減するための共通仕様や業者の収入を維持するための発注件数の確保などを提案しているが、気持ちよく納得してもらうまでには至らなかった。

 現場のコストダウンを成功させるには、施工者のモチベーションを刺激して労賃以上の働きを引き出す基本姿勢が欠かせない。また、仕様や職人を変更するときは積極的に現場をフォローしてミスを防ぐ必要がある。

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2008/01/09 22:23

Commented by rym64281 さん

欧州の消化器科医先生、カロリンスカ医大に留学されていらっしゃるんですね。
前にも書きましたが、欧州ではEU加盟国、EEA加盟国、スイスの間で医師免許と専門医資格が相互承認されているので医師の移動の自由がある。
また、医学部進学においてもEU域内出身の医学生は、どの国でも自国出身学生と同じ授業料体系で医学部入学可能(EUの多くが国公立大学なら、大学授業料無料か、学費徴収しても極めて低額)。

<加盟国間の医師免許・専門医資格承認のEU法令>
Medicine: mutual recognition of qualifications
http://europa.eu/scadplus/leg/en/lvb/l23021.htm

アメリカとカナダの間でも医師資格の相互承認制度あり、イギリス連邦各国(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、南アフリカ)でも医師資格・専門医資格の相互承認制度あり。
インドやパキスタン、エジプトやアラビア諸国では英連邦諸国共通認定のイギリスの専門医資格試験(Royal College Examination)が医学卒業時または卒業後に自国で受けられるから、英国やカナダ、オーストラリアへの医師の移動が多い。

日本が北米やヨーロッパ連合やイギリス連邦諸国と医師免許・専門医資格の相互承認制度になったら、日本に嫌気が差して流出する医師続出かも。

2008/01/09 22:33

Commented by skyteam さん

rym64281先生>
 いつもコメントありがとうございます。たしか、一足お先に韓国とアメリカが相互承認しているはずです。日本もいずれ他国と提携を結ばざるを得ないとみています(何せ人口減少ですが、高齢化で一気に医者が必要に?なるし、国際都市なのに外国人医師が少ないのはやはり困るでしょうし)。
 いずれにせよ、英語の壁をクリアできるようにがんばりたいと(三十路の坂をのぼりつめつつ感じる今日この頃でした汗)

2008/01/09 22:44

Commented by rym64281 さん

スウェーデンに医療訴訟がないのは、いわゆる無過失補償制度があって、患者家族や患者が医者を裁判所・警察に訴えることが法律で禁止されているからです。デンマークなどの北欧各国も同じ制度だったと思います。
ニュージーランドも同じです。
したがって、これらの国々では医者が通常の診療をしている限りは民事訴訟や刑事裁判の不安を抱く必要性がありません(故意に殺意をもって診療した場合は別です)。
いわゆる高度社会福祉国家に共通した制度です。
ただし、無過失保障制度と言っても、これらの高度福祉国家では国民皆保険で医療費がほぼ無料か低額のシステムなので、かかる医療費は少なくて済みますから国から出される補償費は低額に抑えられています。

高福祉の為の財源は税金ですから、国民が支払う付加価値税(消費税)や所得税なども、日本よりずっと高額です。

日本の国民は公共サービスの財源として余分な税金を払うのはイヤ、だけど医療サービスは濃厚にを望みますから、国民の医療サイドへの注文は半永久的に実現不可能だと思います。

2008/01/09 22:57

Commented by rym64281 さん

skyteam先生、ことしも宜しくお願い致します。

>三十路の坂をのぼりつめつつ感じる今日この頃でした汗

大丈夫、30代なら。
私なんて、40過ぎで欧州に臨床留学しましたよ。
病院勤務の傍ら1年間ほど英会話学校の夜間クラスに通って、英語力つけました(と思いたいです)。でも、未だに英語力が今ひとつって感じです。

欧州の非英語圏の国でしたが、大学病院での臨床医の専門トレーニングは英語で行われていました(そうしないと、海外から優秀な医者が集まらないからだそうです)。その国では医者全員が英語堪能で、大卒か高等専門学校卒程度の一般国民も英語が比較的堪能だったんです。
おかげで、その国の母国語は全然離せなくても大丈夫でした。

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