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【 診療関連死法案 = 医療破壊法案 】  地雷疾患死は、どうなるの? (日々是よろずER診療)
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/277.html
投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 11 日 20:05:15: Neh0eMBXBwlZk
 

-----日々是よろずER診療 から転載-------------------------------------------
http://blog.so-net.ne.jp/case-report-by-ERP/20080111


地雷疾患死は、どうなるの? [医療記事]  

Yosyan先生のブログ 新小児科医のつぶやきでの本日のエントリー 診療関連死の定義 http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080111 での話題に、当ブログもあやかりたいと思います。いつも興味深いエントリーをありがとうございます。その検討と考察につきましては、Yosyan先生とそのコメンテーターたちの発言をみていただくのが一番です。こちらでのポイントは、「診療状況の具体化」ということにしておきます。

元となる資料がこれです ⇒ http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1227-8a.pdf

この資料の中で、診療関連死の定義について、次のような提案がなされています。


===========================================================================
医療安全調査委員会(仮称。以下「委員会」とする。)へ届け出るべき事例は、以下の@又はAのいずれかに該当すると、医療機関において判断した場合としてはどうか。(@及びAに該当しないと医療機関において判断した場合には、届出は要しないとしてはどうか。)

@ 誤った医療を行ったことが明らかであり、その行った医療に起因して、
  患者が死亡した事案。

A 誤った医療を行ったことは明らかではないが、
  行った医療に起因して、患者が死亡した事案。
  (行った医療に起因すると疑われるものを含み、死亡を予期しなかったものに限る。)
=============================================================================


地雷疾患死は、多分に突然死の側面があり、いわゆる予期しない死(=予期不可能な死)の性質があります。

ですので、なんらかの医療行為中の時間軸の中で、同列に地雷疾患が偶然発生してしまった場合、その医療行為と死亡との因果関係を確定することは不可能と私は考えます。しかも、人間は元来、後知恵バイアスという認知の歪をもって物事を考える傾向(=習性)があるわけですから、いったん調査を開始すると、かえって因果関係ありと結論付けてしまう確率が上がると思います。つまり、医療側の責任ありと判定される確率が上がると私は考えるわけです。そう考えると、なんだか冤罪っぽくないですか?所詮、それが人間の認知の性質なのです。あるいは、因果関係がないと100%断定することは論理上不可能ともいえます(悪魔の証明)。私達は、そのようなことを知識として知っておく必要があるのです。

ですので、

私は、この診療関連死法案が今のまま通れば、医療は確実に悪い方向に向かうであろうと予言せざるを得ません。

その第一歩は、最前線の現場の医師が、その現場を撤退することから始まるのではないでしょうか? 
(外科医のあつかふぇ先生のブログをご覧下さい ⇒http://blog.m3.com/Fight/20080107/2 )

皆さん、それで本当にいいですか?

上記のAが、いかに現場ではグレーになるかについては、想定状況を具体的に皆で考えてみるのがいいでしょう。それが、本日のエントリーのお題です。そこで、地雷疾患死を心筋梗塞による突然死と限定して、様々な状況を30ほど即興で作ってみました。 

なお、Aの冒頭の部分 「誤った医療を行ったことは明らかなではないが」については、ここでは、原則考えません。医療当事者がいくら誤った医療行為はしていないと主張しても、紛争が生じれば、家族は必ず疑義の念を持ちます。そうなれば、この枕言葉は全く意味を成さなくなるからです。

さあ、皆で悩みましょう。どの状況が、診療関連死に該当しないといえますか? 

医療関係者もそうでない方もどうぞご自分でお考え下さい。

そうすると、診療関連死法案が、現場の医師の感覚とどれほど程遠いところで作られているのが実感できるのではないでしょうか?

状況1 整形外科で入院中の患者が、リハビリ室で、リハビリ中に心筋梗塞を発症して突然死した。

状況2 内科外来を定期受診した患者が、その受診直後の帰りのタクシーの中で
     心筋梗塞を発症して突然死した。
     なお、本日は、患者が胃腸炎の症状をうったえたため、ブスコパン入りの点滴をしたという。

状況3 泌尿器科外来を腰痛で受診した。診察中に診察室で、心筋梗塞を発症して突然死した。
     循環器の医者とスムーズに連絡が取れず、カテにいくまでに2時間を要したという。

状況4 陳旧性心筋梗塞をもち心不全で入院中の患者が、その退院予定日に
     心筋梗塞を発症して突然死した。

状況5 自然気胸で、トロッカーの処置をうけた患者が、その5時間後、
     心筋梗塞を発症して突然死した。

状況6 運動負荷心電図を受け、negativeであった患者が、その検査の5時間後、
     心筋梗塞を発症して突然死した。

状況7 外泊中の入院患者が、自宅での昼食中に、心筋梗塞を発症して突然死した。
     その際、定期内服薬を患者に手渡すのをうっかり病院側が忘れていたという。

状況8 時間外外来で、診察待ち中の患者が、心筋梗塞を発症して突然死した。
     待ち時間が長く、40分待たされたという。

状況9 時間外外来で、まさに心電図をとっている最中に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況10 風邪薬を誤って別の患者に誤投薬し、誤投薬をうけた入院中の患者が、
      その5時間後、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況11 時間外外来を受診しにきたが、あいにくその病院が対応不能な状況で、
      他院を受診するように言われた直後に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況12 術後合併症の縫合不全を起こし、敗血症性ショックで集中治療中の患者が、
      ICUで心筋梗塞を発症して突然死した。

状況13 胃痛で来院した患者を、初期研修医が診察し、その診察の5時間後、
      自宅で心筋梗塞を発症して突然死した。

状況14 胃痛で来院した患者を、循環器専門医が診察し、その診察の5時間後、
      自宅で心筋梗塞を発症して突然死した。問診・診察の上、心電図検査は、
      不要とその専門医は判断した上でのことだった。

状況15 胃痛で来院した患者の緊急内視鏡中に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況16 冠動脈のバイパス手術に成功した患者が、離床リハビリ中に、
      心筋梗塞を発症して突然死した。

状況17 冠動脈のバイパス手術に成功した患者が、抜管直後にICUで、
      心筋梗塞を発症して突然死した。

状況18 糖尿病教育入院中の患者が、心エコー検査中に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況19 糖尿病教育入院中の患者が、運動負荷心電図検査の直後に、
      心筋梗塞を発症して突然死した。

状況20 糖尿病教育入院中の患者が、ベッドサイドで採血中に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況21 川崎病のため冠動脈瘤をもつ高校生が、肺炎で入院中のとき、
      レントゲン室に独歩で向かう途中に心筋梗塞を発症し突然死した。

状況22 家族性高chol血症(homo型)をもつ高校生が、
      LDLアフェーレシスを受けている最中に、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況23 ブルガダ症候群が疑われ、薬剤負荷試験検査のため入院中だった患者が
      検査が行われたその日の晩、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況24 大腸ポリープ切除のため、クリティカルパスに乗っかって入院中の患者が、
      心筋梗塞を発症して突然死した。バイアスピリン中止中だったという。

状況25 大腸がん、全身転移で、余命いくばくもない患者が、ホスピス内で、
      モルヒネを投与された直後、心筋梗塞を発症して突然死した。

状況26 末期の肝硬変で余命いくばくもない患者が、レントゲン撮影室で
      心筋梗塞を発症して突然死した。

状況27 肺炎にて、自宅で往診加療をうけていた患者が、抗生物質の点滴直後に、
      心筋梗塞を発症して、自宅で突然死した。

状況28 バイアスピリン内服中であった患者が、胃がん切除の手術をうける準備のため、
      内服中止中の時に、自宅で心筋梗塞を発症して突然死した。

状況29 過去にPCIを受けたことがある患者が、胆石の手術中(ラパ胆)に、
      心筋梗塞を発症して、突然死した。
      術前に、CAGも受けて、冠動脈の状態は安定していたという。

状況30 すでにバイアスピリン中断中であった患者が、外科で胃がん切除手術をうけた。
      術後2日目に心筋梗塞を発症して突然死した。

いかがでしょうか?さあ、どれが診療関連死でないと自信をもっていえますか? 是非、皆様のご意見を伺いたいと思います。私は、よくわかりません・・・・・。防衛医療のために、前例届けるかな?って感じです。罰せられたら、たまりませんからね。 

医療者が何らかの形で医療に介入した後に発症した地雷疾患死は、すべて診療関連死ということになるのでしょうか? 

その覚悟はあるんですよね?厚生労働省のみなさま・・・・・・

自分で対案も出せないまま、文句をいっていることは、自覚しています。その点はご容赦ください。
ただ、政治家達に、拙速な判断をしてほしくない・・・・ もっと時間を!! と言いたいのです。

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