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厚労省と自民党の暴走を止めろ
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投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 24 日 13:22:36: Neh0eMBXBwlZk
 

---がんになっても、あわてない から転載------------------------------------
http://air.ap.teacup.com/awatenai/547.html

2008/1/23
「厚労省と自民党の暴走を止めろ」

 診療関連死の死因究明等の在り方に関する自民党案、いわゆる「医療事故調の試案」が国会審議の俎上に乗ろうとしている。なぜこんなに急ぐのかわからないほど、落とし穴だらけの試案だ。このまま施行されるようなことがあれば、日本の医療にとどめを刺すことになる。

 医療事故はなくなってほしい。なくしたい。そのために役立つ制度を創るのであれば、反対する理由は何もない。「医療事故調査委員会」を創る方針だという報道を見た時には、そのような制度ができるものだと思っていた。しかし厚生労働省から出された第二次試案や、それをもとにしたと思われる自民党案は、逆に医療を壊す可能性の高い問題を多く含んでいる。

 これまでは、診療関連死について遺族が医療機関の説明で納得がいかなければ、民事や刑事で訴えるしかなかった。また、警察に逮捕されるという事例も発生してきた。これらは「訴訟に巻き込まれるかもしれない医療行為は、したくない」という気持ちを、医療従事者の中に生じさせた。

 新しい医療版「事故調査委員会」は、その間を埋めるものになるのだろうと思っていた。しかし出されてきたものは、以前航空事故調査委員会の議論で問題になった部分などがそのまま問題として残っており、その他にもたくさんの問題を抱えた、とてもそのまま実用にはならないものだ。


 まずは提出されている試案を、要約してみる。

・医療は、良い結果を期待して医療者と患者がおこなう共同作業である。特に医療者には最大限の努力が求められる。しかし最大限の努力をしても患者の死亡など、期待に反する結果となることもある。その際に患者遺族が求めるのは「反省・謝罪、責任の追及、再発防止であると言われる(原文のまま)」。
 その全ての基礎となるのが「原因の究明」であり、これまでそれを目的とした仕組みは存在しなかった。その仕組みを構築し、医療の透明性を高めて国民の信頼を獲得していくことが目的である。

・その調査は、解剖と臨床経過の把握を柱とする。

・診療関連死の届け出を義務化し、違反にはペナルティー。
(しかし「診療関連死」の範囲はまだ明示されていない)

・医療機関が届け出なくても、遺族が疑問を持った時には遺族が届け出られる。

・届け出はまず大臣が受理し、必要な場合は速やかに警察に連絡する。

→委員会の報告書は医療現場や政策立案現場にフィードバックされて再発防止に役立てられることになる。また次のようにも書かれている。

・行政処分、民事紛争及び刑事手続における判断が適切に行われるよう、これらにおいて委員会の調査報告書を活用できることとする。


 厚生労働省案から自民党案に移る時に、表現を和らげるための文言が加えられたが、基本的にはこのような骨格になっている。

 この試案の問題点は、実は山のようにある。しかしここでは、この試案が施行された時にどのような問題が起こるか、2点に絞って批判する。

 第1点は、関連した医療従事者は憲法違反を強制されるのではないかという点。
 第2点は、過失がない、あるいは軽微な過失による診療関連死でも、関連した医療従事者が有罪になり得るという点。
 この2点に限っても、構造的に医療事故を減らす機能が発揮できるとは、とても思えない。また無理矢理このまま使おうとすれば、特に状況が厳しくなっている産科、救急をはじめとした医療現場から、医療従事者が誰もいなくなる引き金になりかねない。

 まずは第1点目の「憲法違反の疑い」から解説してみる。
 憲法第38条第1項は「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」としている。一方今回の試案では、調査報告書を訴訟の資料とすることは妨げていない。この状況で「知っている全てをありのままに報告せよ」というのは自白の強要にあたり、憲法違反である。
 憲法はすべての法律よりも優位なので、憲法を守るならば報告には「もしかしたらこれを話したら自分が罪に問われるかも」という内容は含まれなくなり、事故原因の究明や再発防止に役立つ情報が逆に得られなくなってしまう可能性が高い。
 それでも「真実を話すのが医療者の努めだ」という理屈が優勢であれば、憲法は何のためにあるのかわからなくなる。

 次に第2点目の「過失がない、あるいは軽微な過失による診療関連死」について考える。まずは医療の特質を、簡単にまとめてみる。

 医療というのは不完全なものである。どんな人のどんな状況でも、受診すれば100%の成功を保障できる医療は、まだない。後遺症や死亡というのは、ある一定の確率で発生するし、現在の医療レベルから考えても、おそらく未来永劫にわたっても、それをゼロにすることはできないだろう。
 死亡などの重大な結果が生じた時に、それを解決するとはどういうことかを分析し、解決のための手順を積み重ねることが必要である。死亡に限って考察すると、遺族が求めるのは(1)誠実な謝罪、(2)慰謝料、(3)原因の究明と説明、(4)再発防止への取り組み、などであろうか。
 しかし生命という不確実なものを対象にしているが故に、過失がなくても死亡に至る場合はある。遺族が「過失があったに違いない」と考えていて、実際には過失がなかった場合、医療機関としては(1)や(2)を求められてもそれには応じられない。そこで謝罪で済ませようとするのは、逆に不誠実な対応である。
 さらに医療の場合に難しいのは、死亡に至った経過のほとんどは自然経過であったが、わずかな過失が加わっている場合もあることだ。この場合、その過失がなければ死亡に至らなかった可能性もあるが、死亡したから重大な過失であったとはいえない。

 このような場合、刑事では「業務上過失致死」容疑がかけられることがある。そこで、同じく業務上過失致死に問われることがある「車による死亡事故」と「医療関連死」とを対比して考えてみることにする。

1)現在の車は、無謀な運転をすれば人の命を奪う道具である。

2)しかし車が進化し、全ての車を誰が運転しても絶対に事故を起こさないようにできれば、死亡事故は減少する。道路を含めた完璧なシステムが構築できれば、死亡事故ゼロも夢ではない。

3)最大限の注意を払って運転していても、人の飛び出しなど危険な状況が降りかかってきた場合には、ミスがなくても人の命を奪うことがある。運転をするためのトレーニング(教習所など)をし、試験をした上で、「この人は運転してもいいでしょう」という人に免許を与えているが、免許があることと死亡事故を起こさないことの間には、絶対的な関係はない。

4)車で死亡事故を起こした場合、明らかな故意犯であれば犯罪者となる。「殺すつもりで轢いた」場合などである。このような人にそのまま運転させるのは危険なので、処罰は必要である。

5)過失の結果で死亡事故に至った場合は、場合により処罰の対象になったりならなかったりする。一方的不注意によって生じた過失であれば、刑事処分の対象となることもある。その場合には、事故に至った経過と、死亡などの結果の重大性を合わせて罪状が決められる。一方的不注意でなく双方に原因があった場合、刑事処分の対象になることはほとんどないといわれている(起訴猶予どまり)。

 これと対比して医療が関連した死亡についても考えてみる。

1)診療現場で医療従事者が好んで暴走する場面は多くないが、暴走があれば事故が起きやすい。しかし急がなければ命が終わってしまうなどの、判断をする十分な時間がない場合も多く、急いだことと結果が思わしくなかったことの因果関係は、車の事故のように直接的なものではない。

2)診療関連死が起きた場合、そこに関わっていた医療従事者を、標準的な能力を持つ同じ職種の別の人に置き換えても同じ結果が起きていた可能性があれば、それはその医療従事者に責を負わせるべきものではなく、システムの問題である。そのようなことが起こらないシステムが構築できれば、同じ事象が起きるのを防ぐことができる。

3)医療の場合も、安全運転をしているはずが、突然予期せぬことが起きる確率は車の運転以上に大きい。場合によっては、走っている車の目の前1メートルに突然人が現れるような、事故を避け得ない状況が生じることもある。また、看護師も医師も免許を受けているが、すべての場合に完璧な対応ができるという免許ではないし、そのような教育をするのは無理である。

4)医療の場合も「殺してやろうと思った」などの故意犯の場合は、逮捕・起訴され有罪になるのは当然である。

5)過失があり死亡した場合には、その過失が死亡とどれくらいの関連があったか、過失の程度が重大であったか、別の人が同じ状況にいたとしても起きた現象ではないかなど、判断が難しいさまざまな要素が存在する。
 交通事故における「双方の過失」にあたるのは、この場合は医療従事者の過失と、患者本来の容態の悪さに置き換えることができる。結果と遺族感情に基づいて判断を下してしまうと、死亡という重大な結果だけに公平で冷静な判断ができにくい。正確な情報収集と正しい判断による報告書作成、再発防止には、当事者である医療従事者が、事実を隠すことなく話すことができる状況が不可欠である。

 
 この5)の状況(当事者である医療従事者が事実を話せる状況)が保障されないと、医療関連死を防ぐシステム改善は進まない。日本の医療現場は大変に忙しい。それに加えて、人間はミスをする生き物である。航空機の設計思想は1960年代から「ミスをしたり不具合があっても重大事故につながらないシステム」を目指して改良が進められている。医療も基本的にはそこを目指していくべきだと思う。

 その状況を作り出すためには、事故調査委員会に当事者である医療従事者が話したことは、それによって処罰されないような仕組みにすることが望ましいと考える。「ミスをしておいて虫のいいことを言うな」と思われるかもしれないが、そうしないと「ミスと受け取られかねないことは防衛のために一切話さない」ようになり、医療システムの改善には一切役立たないどころか、事故報告書も誰の納得も得られないものになるだろう。

 その意味から考えて、話が元に戻るが「行政処分、民事紛争及び刑事手続における判断が適切に行われるよう、これらにおいて委員会の調査報告書を活用できることとする。」ことが明文化されているような事故調査委員会を作ろうというのは、事故調査委員会というものの本質を何もわかっていないのではないかと思う。

 私が医療従事者だから医療従事者に有利な仕組みにしようと言っているのではない。世界各国の航空事故調査委員会では、同様の仕組みになっている。医療事故調も同様の仕組みの国が多い。ところが日本の航空事故調査委員会の報告書は、それがそのまま刑事処分の証拠になってしまっていたりする。このように司法も行政も未成熟な国で、性急に遺族を満足させるような仕組みを作ろうとしてはいけない。

 このまま施行されれば、産科や救急など殺人的な忙しさでギリギリの命を救おうと頑張っている現場から、一斉に医療従事者が退職するだろう。それ以外の医療現場でも、医療を提供して自分がいつ自白を強要される身になるかと思えば、生きた心地はしない。

 この問題に対しては、さまざまなところで対案が練られており、自民党案より絶対に良い案が近日中に出てくる見込みだ。どうか自民党と厚生労働省は、こんな稚拙な案で暴走することなく、それらの案を真摯に検討して欲しい。
投稿者: hirakata

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