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若い外科医が海外に逃げていく--もう1つの医療崩壊
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/408.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2008 年 2 月 06 日 03:14:11: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 医療崩壊 外科は崩壊前夜→医療費削減でエリート医師の海外流出はもうすぐ 投稿者 てんさい(い) 日時 2008 年 2 月 06 日 03:12:18)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080108/144396/?P=1

2008年、どうなる日本の医療【第1回】
2008年1月9日 水曜日 風間 浩
医療・バイオ  米国の病院で手術中の田端実氏(写真右)。29歳で米国の名門病院ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の心臓外科フェローとなった。
 2004年の医師卒後臨床研修必修化に端を発した、勤務医不足が日本を覆いつくしている。今年あたりから、その水面下で進行する「もう1つの勤務医問題」が表面化してくるかもしれない。それは、若い優秀な外科医の国外流出問題だ。

 コロンビア大学メディカルセンターに勤務する心臓外科医の田端実氏は、1999年に東大医学部卒業後、日本で5年間研修を積み、2004年に渡米。29歳のときに、最年少で米国の名門病院ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の心臓外科フェローとなった。

 大学6年からUSMLE(米国医師資格試験)の勉強を始め、卒後3年目には米国で臨床に携われるStep3まで修了した。一昔前まで極めてまれだった、こうしたキャリアパスを選択する若い外科医が目につくようになった。

 2004年の医師卒後臨床研修必修化により、勤務医の就労環境が激変したことは、1年ほど前から一般メディアでも盛んに報じられている。

 それまで医師の人事権は「大学医局」が完全に掌握していたが、臨床研修必修化を契機に、研修医が自由に研修病院を選ぶようになった。その結果、医師が自発的に行きたがらないへき地などで医師不足が生じ、それを調整しようとすると他地域の医師の労働が過重になるという悪循環に陥った。

 加えて、患者の医療に対する要求が強まり、医療訴訟が急増。さらには、手術などの結果が悪いと、検察が介入し刑事訴訟に発展するケースも目立つようになり、勤務医はそうしたストレスにもさらされ、疲労しきっている。いわゆる「医療崩壊」だ。

 そして、この「医療崩壊」の陰で徐々に進行しつつあるのが、優秀な外科医の国外流出だといえる。まだ水面下の小さな動きではあるが、今年辺りから新たな問題として表面化してくる可能性がある。


手術が下手でも外科教授になれる

 「××外科の○○教授のオペって、ひどいもんらしいよ」。医師の間では、しばしばこんな会話が交わされる。外科医のトップである大学教授の手術が下手というのは、一般国民からすれば信じがたいだろうが、日本の医療界では当然に起こり得る話だ。

大学教授は教授会で選ばれるが、選考の際一番の目安となるは、インパクトファクターだ。インパクトファクターとはその学術雑誌が「どのくらい引用されているか」を示す指標で、その雑誌の「格」を表す。そして、学術雑誌に論文が掲載された回数にインパクトファクターを掛け合わせたものが、いわばその医師の「獲得ポイント」となるのだ。

 この仕組みは、内科系の医師だけでなく、手術のイメージが強い外科医でも基本的に変わらない。

 外科医は一般に、医学部卒業後、いくつかの関連病院を異動しながら、臨床経験を積み、10年ほどで一人前になる。その合間に、大学院に入って研究を行い、論文も書く。論文を書く暇がないほど手術に明け暮れた“根っからの外科医”は、手術はうまくなるかもしれないが、教授になるのは難しい。

 逆にいえば、大学で上に上っていきたければ、外科医であっても手術の腕を磨くよりも論文書きに精を出した方がいい。そもそも、関連病院に出ずに大学に残っていると、若い医師は執刀する機会がなかなか回ってこないという現実もある。

 一般国民には、外科医の技能を保証するものと思われている「専門医」資格でも事情は同じだ。手術の技術よりも論文が重視されるのだ。


米国の充実度は日本の3〜6倍

 「外科医になりたい」「早く手術がうまくなりたい」。そう思って医学部に進み、卒業後、この現実を知ったら、あなたならどうするだろうか? 医局にとどまってしきたりに従う以外、手術の修練を積むチャンスがないのであれば、我慢するだろう。だが、ほかにもっと魅力的な選択肢が目の前にあるとしたら…。

 今、若い有能な外科医が米国を中心とした海外に目を向けるのは、こうした至極当然な理由からなのだ。


 実際、手術がしたい外科医にとって、米国の環境は恵まれている。能力があれば若いうちから執刀できるのはもちろんだが、それ以上に米国で働く外科医が強調するのは、雑用に煩わされず手術に集中できることだ。

 手術の準備や後片付け、書類書き、その他の雑務は、日本では研修医や下っ端の医師の仕事とされており、ただでさえ医師不足で労働が過密になっている昨今、外科が忌避される原因の1つになっている。対して米国では、医師の業務をサポートするPA(Physician Assistant)という専門職が確立されており、そうした業務を行ってくれる。

 報酬もはるかに高い。米ピッツバーグ大学の心臓外科の津久井宏行氏は、「個人的印象からすると、米国の心臓外科医の労働時間は日本の2分の1から3分の2、年収は2〜3倍といった感じ。単純に数字で評価すると、心臓外科医としての充実度は日本と比較して3〜6倍」としている(日経メディカル オンライン「米国で医者として働く」より)。


必要なのは待遇改善と正当な評価

 医師はそもそも学力優秀な人々である。その中で外科医を志す人はとりわけ活動的で、チャレンジ精神旺盛な人が多い。医局支配が事実上崩壊した今、自分がより活躍できる可能性がある場を海外に求める外科医が増えるのは、必然的な流れともいえる。

 イチローや松井が大リーグに行くのは野球ファンにとっては寂しいが、僕らはその雄姿を衛星放送を通じてリアルタイムで観ることはできる。しかし医療はそうはいかない。

 今、国が歪んだ医療制度を正し勤務医の待遇を改善し、学会が旧弊を改めて外科医の技術も正当に評価しなければ、「外科医療の空洞化」が、日本の医療の根幹を揺るがす大問題になりかねない。

(風間 浩=日経メディカル オンライン編集長)


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