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厚労省の棄民政策(成果主義)の芽をつみ取ろう :行政事件訴訟法を根拠とし4月1日からの厚労省告示および通知の差し止め要求
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/532.html
投稿者 どっちだ 日時 2008 年 3 月 08 日 18:40:45: Neh0eMBXBwlZk
 

■リハビリへの成果主義導入=棄民政策はナチスドイツの精神病者安楽死やユダヤ人大量虐殺と同質の国家による犯罪ではないか

澤田石 順: 回復期リハビリテーション病棟専従医師(満6年)
E-mailは:澤田石のメールアドレス
★衆議院・参議院議員750名ほどの公開メールアドレス、ホームページのリストを
欲しい方はメールしてください。速やかにお送りします。
GO 最新の情報!(平成20年度診療報酬改定の告示・省令が3月5日に官報に掲載!!)

大事は軽く考えよ、小事は重く考えよ

曲者(くせもの)は頼もしき者、頼もしき者は曲者なり

『葉隠』

* 大事: 日本国のあり方を、道路・橋・ハコモノ建設という失業対策から5兆円程度削り、医療・介護などの社会保障に回す政策。たとえば:
o 建設産業等関係の失業者とフリーターのような方々を最優先で、介護・医療分野で仕事をするための学校に公費負担で通っていただく道をつくる
o タバコと酒の自動販売機を法律で禁止し、タバコと酒の専売免許を建設産業等関係の失業者とフリーターのような方々に学校に通う期間限定で与える
o ワーキングプア化している方々や生活保護の方々の中で、高齢の方や障害を持つ方々には、タバコと酒の専売免許を期間限定なしで与える
o コンビニでの酒・タバコの販売は禁止する
このようなことは持続可能な雇用維持政策であることは自明ではなかろうか。人と人との結びつきが強まる善なる政策だと私は断定する。
炭酸ガスの排出量削減にももちろん有効。
老後・病気の時の安心を確保することにより、社会が明るくなり、経済は活性化(内需拡大による税収増加等)につながる。
医療費の際限ない増大の抑止にも有効と考えられる。米国のように金がある人のみがまともな医療というやり方だと、医療費は途方もなく増大し、しかも医療による成果は低水準になってしまう(WHOによると米国の医療の成績は先進国で最低)。外資系の保険会社のみが反対することであろう。
このような単純明快な解決は、既にヨーロッパの先進国で実証されている。
* 小事: 「後期高齢者医療制度」および「新年度診療報酬改定におけるリハビリを必要とする患者の棄民政策」の中止。このような小事に関しては、真剣に地道に丁寧に活動することが必要。

■最新の情報

年月日 内容

3月7日(13時で早退) 14:40、霞ヶ関の書店で平成20年度の診療報酬改定に関する厚生労働省告知・省令(官報号外43号、3月5日発行)等を購入。(ごく一部だけ印刷・閲覧するなら→http://kanpou.npb.go.jp/20080305/20080305g00043/20080305g000430000f.html

14:50〜15:10、初めて厚生労働省がある合同庁舎に。入り口では身分証明書の提示のみ。警備員に言いました。「こんなに甘いやり方じゃまずいと私は思います。薬害エイズで刑事罰が確定しました。冤罪ですよ間違いなく。でも世間の人々は冤罪とは思ってません。新年度から、厚労省は人間として許される一線を越えた人殺し政策を実行することを、3月5日に官報で告示しました。これから大問題になります。爆弾テロみたいなことが発生しないとは言い切れません。もしもこのビルが無人になったときに爆破したらば厚労省の棄民政策が中断されると100パーセントの確信があれば、この私はやりたいくらいの気持ち。そんなことは違法だし、そもそも無意味なので私はしません。合法で意味があるならしますよ。ともかく、明日からでもいいので、疑わしい人物の手荷物の検査をするべきです。金属探知機の設置はもちろん必須だと思います。」

厚労省のビルに入った第一の目的は朝食の摂取であったが、地下のうどん屋はちょうど閉店の時間。17時に営業再開とのことなのであきらめる他なし。
第二の目的は、何十回と電話で迷惑をかけた保険局医療課の方への挨拶であったが、空腹のため断念。

15:20〜17:50、喫茶店で平成20年度の診療報酬改定に関する厚生労働省告知・省令 http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/tp0305-1.html を熟読。リハビリ関係は2月13日の中医協答申の通りであったが、後期高齢者特定入院基本料の内容を知り、戦慄した。

救急(一般)病院に入院した、後期高齢者(75才以上、および65〜74才の身体障害者)についての病院への診療報酬が入院後91日目からは、一日15,550円から一日9,280円に減額され、薬代と検査代については一円も出ない(7:1の場合)

と。 後期高齢者(75才以上、および65〜74才の身体障害者)の外来に関しての棄民政策は、2月13日の中医協の答申で明らかであったが、入院についてもこのような冷酷な仕打ちとは。ある程度は予想していたが、ここまで酷いとは。中医協の善良な有識者の方々の誰一人として、こんなことが実行されるとは夢にも思ってなかったと確信する。この一点だけでも、行政庁による裁量権の濫用ないし逸脱で、日本政府を行政事件訴訟法で提訴する十分な理由となる。

18:00〜20:30、ある弁護士様と差し止め訴訟(行政事件訴訟法を根拠として4月1日からの厚生労働省告示および通知の差し止め要求)、および不服申立書(行政不服審査法に基づき、厚労省に対して執行停止を要求)を開始するための第一回目の打ち合わせ。

3月6日(準備の一日) 朝六時起床。夕方から当直勤務し、翌日3月7日は朝から通常業務: 平成20年度診療報酬改定に係る通知等についてを印刷して熟読。リハビリ関連は真新しいことはなし。後期高齢者特定入院基本料という不気味な用語の意味するところを薬も、検査も一円も金が出ない制度に違いないと予感

3月5日 平成20年度診療報酬改定に係る通知等についてを発見(14時)
2月13日の中医協答申案から変わったところを見つけることはできなかった。回復期リハビリ病棟に関して、やっと腑に落ちたことがある。厚労省が退院先として、自宅、特養、グルーブホーム..などなど列挙することにより自宅等には何が含まれるかを表現することがなかった理由が判明した。
死亡退院を高く評価したいからなのである。しかし、そのように列挙する方法だと死亡と自宅退院が同列になり、具合が悪いから。
「医師が不在」のところは金の節約になるのでそのようなところに6割以上なら高く評価するということ。
死亡の場合も医師がいないところへの退院なので厚労省にとってはうれしい。 極端な話、回復期リハビリ病棟の患者がたくさん死亡するほど、自宅等退院率が高くなるのである。
破廉恥さもここまでくると、表現のしようもない。
私は、厚労省が医師の病棟専従条件を廃止する理由を、入院基本料削減のための偽装目的と考えていたが、それだけではなくて、医学的管理の質が低下して患者の死亡率が高まることも厚労省の暗黙の狙いだと思われる。

3月5日 0:30a.m. 日経メディカルに投稿 http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/appeals/080305-nikkei.html : 激烈な批判なので、投稿しても採用されないと予想してましたが、有難くも。

3月4日 20〜21:30 後期高齢者医療制度の問題で取材を受け、同制度、回復期リハビリの重症者切捨て、リハビリ期限越えは月に3時間20分のみしか認めない、との三つの問題はつながっていることを訴えました。記者は実によく勉強しており、期待できます。
3月4日 多田 富雄先生の『現代の「姥捨て」を憂える』(落葉隻語)が読売新聞の夕刊に掲載。後期高齢者医療制度、救急病院の重症者切捨て、発症後180日越えのリハビリを必要とする方々切り捨ての根底にある政府の政策を根源から批判しております。是非ともおよみください。

2008年3月3日 14時 厚労省の官僚に、後期高齢者医療制度に関する診療報酬について、いろいろと質問したところ、懇切丁寧な回答をいただきました。その内容は近日中に公開します。私が要注意人物としてマークされていることを知り嬉し。厚労省の担当者の口調が明らかに良い感じに変化! 「医療人と厚労省官僚は同志として協業しよう、後期高齢者医療制度もリハビリについての棄民もやめましょう。難しいことは一つもありませんよ」と本気で呼びかけた次第。

2008年3月2日 22:45 首相官邸に、厚労省の棄民政策撤回を求める文書をメール5通にわけて送信(厚労省を提訴することの予告を含む)
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/appeals/080302-kantei.txt

2008年3月2日 16時 ある弁護士事務所にFAX送信:厚労省のリハビリに関する政策を差し止めることを目的に、行政事件訴訟法に基づく提訴を行い、さらに、同省に対して行政不服審査法に依拠して不服申立書を送りたいと正式に申し込みました(直後に、FAXで厚労省に予告と最後の撤回要求)

3月2日 2:45a.m. 行政行為についての解説と行政不服審査法についてのメモを追加: 厚労省への不服申立書提出を推奨します
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/appeals/suits.html#gfs

2月29日 1:20a.m. 行政事件訴訟法を根拠とした提訴手続き開始を決意
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/appeals/suits.html

2月28日 23:19 「リハ医の独白」の先生へのコメント: リハビリ期限を越えたら一ヶ月に3時間20分しか認められないことについて
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/MHLW/080228.html
(http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080215)

2月27日 厚労省保険局医療課との質疑応答: 救急病院の脳卒中重症者割合を把握していないことの確認等
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/MHLW/080227.html

2月26日 1:00a.m. 「リハ医の独白」の先生へのコメント:  しつこく、あきらめないのがリハビリということについて
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/comment080226.html
(http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080225/1203947463)

2月25日 ある全国紙からの取材。私はあえて新聞社とはその一紙のみとしかコンタクトしてません。一つの新聞が報道した問題が重大だと判明したら、他社は競って取り上げることになるからです。新聞に取り上げられることにより、国会議員へのメール・Fax・文書送付の有効性は飛躍的に高まります。

2月19日零時より 国会議員へのメール送信を開始。http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/list_kokuhatsu.html
内容は
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/appeals/ToRepresentatives.txt(version 1.0)
2月13日 中医協が診療報酬改定案を舛添要一厚生労働相に答申しました→読む http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/news.html : 重要な計算結果等加えましたのでごらんください。

なぜ、私は実名を公開して、反対運動をしているのか

* 諸病院は厚労省の行政指導や行政罰を恐れているから声を出す勇気を持たない
* 諸病院も個々の医師らも反対しても無駄だとあきらめている
* 私は、今度のリハビリに関する診療報酬改定は反人間的な悪逆非道な政策であるから、数は問題にならないと判定した
* 被害者がたくさん出てから大騒ぎするよりも、被害者が出ないように厚労省の政策を撤回させる方がすべての関係者にとって良い(厚労省の官僚が後日に報道機関、政治家、市民、患者等から袋叩きとなっても、早期死亡した方々や障害が固定してしまった方々の被害が回復することはない)

私が最も嫌いな言葉は正義です。正義=原理主義。自らを正義とみなす人間は他者との対話をする意志がなく、他者の意見を傾聴する姿勢もありません。なぜならば、自ら信奉する「原理」は「正義」、つまり現実とは無関係に正しいのですから。
歴史を紐解くと明瞭なことは、戦争、大虐殺のごとき巨大な犯罪行為のほとんどすべては正義の名のもとで実行されてきたこと。ヒトラーの人種主義は「ユダヤ人という人類の敵」を滅ぼさないと人類が滅亡するという「正義」でしたし、ロシア共産主義は「金持ちが貧乏人を搾取する体制を変革しなければならない」という「正義」。自爆テロなどの爆弾テロを堂々と正当化するイスラム原理主義もその一例
私は小泉 純一郎さんを尊敬しております。彼は官僚の自由裁量権の危険をよく理解していた点で石橋 湛山元首相に匹敵する珍しい人物であります。しかしながら、小泉氏はどうもお坊ちゃんのため、反官僚主義という当然の施政方針が、歳出削減原理主義になってしまう危険を認識してなかったのです。小泉内閣の閣議決定と「医療改革」の法案は、厚労省官僚に何をもたらしたか。
診療報酬削減原理主義あるいは財政中立原理主義であります。このような原理主義が厚労省官僚に深く根付いております。今回の診療報酬改訂のリハビリ関連分野において、とうとう厚労省は人間として越えてはならない一線を逸脱しました。本ページの内容は、リハビリ医療の現場を知らないかたには、言葉使いが難しいところもありますが、一般市民にも理解できるのではないかと思います。ご意見などありましたら、遠慮なくメールしてください。

▼棄民

棄民(きみん)とは、政治的・経済的な理由から、国家が見捨てた(元)自国民のことです。典型は、サハリン残留日本人。第二次大戦の終結間際のどたばたで帰国しようにもできななかった方々は、日本国家から帰国を拒まれました。その一人の川端 芳子さん(誰も書かなかったサハリン、読売新聞の記事)と、1995年にサハリンの大地震の時に、AMDAの一員として救援活動に参加した時に知り合いました。彼女は60を過ぎたご高齢にもかかわらず、州政府やロシア軍との交渉に奮闘。被災地までまで行くには軍のヘリコプターに乗せてもらわないとどうしようもななく、ロシア軍の将校は当然のことながら「事前の許可がないから駄目」。川端 芳子さんは、断固たる口調で「わざわざ日本から救援にきたのだよ。何言ってるの。乗せてあげなさい。神戸の大地震の時、ロシアは日本を助けたくれた、そのお礼にきたのよ。」と強行に主張し、とうとうヘリに載せてもらうことができました。
彼女は言ってました。

ずっと日本人は差別されてきたの。この度のネフチェゴルスクの大地震に日本から救援が来て本当にうれしい。日本人としてこんなに誇らしいのは初めて。ありがとうね

川端 芳子さんは、長年の厚労省(ずっと拒否してきた)との交渉がやっと実り、帰国できることになりました。しかし、帰国直前にご逝去されました。別の機会に川端 芳子さんのことについて、詳しく書きたいと思います。

棄民のそもそもの意味は、国家が国外に棄てた人々のことでしたが、近年は厚労省による切捨てに棄民という言葉が使用されることが普通になっています。わが国の医療における最初の棄民は、平成16年度の診療報酬改定による発症後180日でリハビリ打ち切りです。多田 富雄先生(免疫学者、東京大学名誉教授)ら全国に被害者が出ました。その棄民政策の目的は医療費削減のみにあり、新年度の棄民も目的は同一です。違いは初回の棄民政策は実施前に全国の現場からの反対行動があまりなかったのですが、今回はそうではないことです。共通しているのは、現場のことを厚労省はまったく実態調査することなく、ごく一部の御用学者や組織の幹部の意見だけを元に棄民を決定したことです。
国外の日本人に対する棄民政策に責任があるのは厚生労働省で、医療に関する棄民もやはり厚労省が決断したことです。困った官庁というほかありません。
棄民と難民の違いや、第二回目の厚労省による医療棄民について述べます。

1. 難民は政治的・経済的理由である国家から逃亡したために国籍を失い、国家による保護がなくなった人々。あるいは国外追放とされた人々。
2. 棄民: 国家が明確な政治的・経済的理由で、国に所属する市民から不法に権利を剥奪したことにより発生する
3. 一般に難民は自立歩行できるため、どこか救ってくれる国に定住することができなくはない
4. 歴史上、重度の障害を持つため、つまり金がかかるためという理由で市民を国外追放した国家はこれまでにひとつもない
5. 国外の棄民は自立歩行できても、お金があっても母国に戻りたくても、母国から拒絶されている
6. 国外の棄民は母国に戻ることができないために、直ちに生命の危険に直面するわけではない
7. 厚労省による議会の審査なしの決定により、医療を受ける権利を剥奪された棄民はすべて障害者であり、高齢者、経済的弱者が多いため、他国に亡命してリハビリ医療を受けることができない
8. 厚労省による議会の審査なしの決定により、医療を受ける権利を剥奪された棄民はすべて障害者であるが、その方がいくら経済的に恵まれていてもリハビリ医療を受けるために亡命しようとは考えないであろう
9. 厚労省による国内棄民には文字通り行き場がない
10. 厚労省による国内棄民は、リハビリを受ける権利を否定されることにより直ちに生命の危険や、日常生活の困難増大という危険に直面する。現実に第一回の棄民により死亡した方がいる
11. 厚労省が新年度に実行せんとしている、第二回目の棄民政策は、リハビリを受けていた方々に対してリハビリを打ち切るという第一回目とは異なり、発病後間もない障害者に対してリハビリという挑戦への機会を最初から拒絶するという更に冷酷なものである
12. 厚労省による第二回目の棄民政策は、リハビリの機会を一度も与えられない障害者が救急病院内で、あるいは転院先で早期に死亡することを容認するものである。早期死亡は医療削減につながるからなのか。
13. 厚労省による第二回目の棄民政策によりリハビリの機会を一度も与えられない障害者の中で、特別に裕福な人は、国外に亡命してリハビリを受けようとするだろうか。
14. 厚労省による第二回目の棄民政策によりリハビリの機会を拒否された障害者は、入院のリハビリを必要とする方々なので、どんなにお金があっても自由診療のリハビリを受けることができない。医師、看護師、PT/OT/STなどの専門職をそろえた自由診療のリハビリ医療機関は存在しない。第一回目の棄民政策は外来リハビリの打ち切りであったため、高額な自由診療のリハビリを受けられるという可能性がなくはなかった。

▼回復期リハビリテーション病棟とは

脳卒中などの障害者が入院し、集中的にリハビリテーションを行うところです。もともと軽症の患者さんは2ヶ月程度で歩いて自宅に帰る事ができますが、重症の方々は車椅子生活となり人の手助けを必要とすることが多いです。
重症度と自宅退院率 症状の重さを数字で表わす指標のひとつが「看護必要度」(0〜20点: 低いほど軽症)です。図にあるように軽症群(0〜9点)と重症群(10-20点)では、当然のことながら自宅に戻れる患者さんの比率が異なります。
病院によって回復期リハ病棟に患者さんを受け入れる基本方針が異なります。おおざっぱに二種類に分けてみましょう。

1. 自宅に帰れそうな軽症の患者さん以外の入院は厳しく制限
2. 重症の患者さんであってもよほどのことがない限り断らない

厚労省が中医協(リハビリ医療の専門家は一人もいない)に提出したある病院のデータを見てください。題は「入院時の生活機能」となってますが、これは看護必要度B項目のことです。驚くのは、たったの20.9%しか重症を入院させてないことです。次に私が勤務している病院の重症度分布を示しましょう。「看護必要度の度数分布表」というのがそれです。私が勤務している病院は重症者が圧倒的に多いので、だから自宅等退院率は6割に到達しません。 厚労省が中医協に提出したある病院のデータ 全国の回復期リハビリテーションは4万床あまりで、全体の自宅退院率は6.5割です。このことから、1の方針を採用している病院が過半数を越えることが分かります。
2の方針を採用しているところは、半分以上が重症群になりますから、自宅等退院率は6割に達しません(例外はあるでしょうが)。そのような病院は他の病院から断られた患者さんを受け入れて挑戦する機会を与えるという大切な使命を果たしております。
自宅に戻れるほどまで回復する可能性が小さい患者さんを、たくさん受け入れることはよくないことでしょうか。詳しくは後述しますが、厚労省は新年度からは重症患者をたくさん受け入れているために自宅等退院率6割未満の回復期リハ病棟に懲罰を加えると本気で言っています。
当院の看護必要度の度数分布表 重症の患者さんを少ししか(3割未満)入院させない病院を非難すべきでしょうか。いいえ。重症の患者さんは、痰の吸引など看護師の負担が格段に多く、肺炎などになることも多いので点滴治療の機会が多くなります。ですから、看護師の人手が足りないとか、医師が一人で40人も担当しているような回復期リハ病棟が重症患者の入院を厳しく制限するのはやむを得ないことなのです。
普通の常識的な人なら厚労省は次のような方針をとっていると思うのではないでしょうか。

* 点滴や抗生剤という高額の費用については、病院にそれなりのお金を払う
* 重症者が「3割未満」、「4〜6割」、「7割以上」など段階をつけて、重症の割合が高い病棟にはお金を多く支払い、看護師を少し多く雇用できるようにする

どちらも、医療費増額になるので厚生労働省は検討すらしてません。これは厚労省の政策誘導というべきもので、回復期リハビリ病棟が重症の患者さんをせいぜい2〜3割程度まで制限するように促してきたのです。何故かについて厚労省は決して本当のところを語る事はありません。理由は簡単で、自宅退院が医療費が安いから。つまり、重症者は医療費がかさむ療養病院や老人保健施設に転院することが多いからです。厚労省は、自宅に戻る確率が低い重症者を、高いお金がかかる回復期リハビリにいかせたくないのです。重症者が救急病院から直接に療養病院や老人保健施設に転院すると、かなりの医療費削減になるというそれだけの理由です。
厚労省のこれまでの方針は冷酷ではありましたが、重症者を排除しろと明確に求めていたわけではありません。「医療費は治りそうな患者さん以外にはできるだけ使わないようにしろ」という小泉政権が決めた大原則に厚労省は拘束されてますから。
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▼厚労省の新年度の政策は越えてはならない一線を越えた

厚労省の新政策がなぜ棄民なのか6行で表現してみます。

* 厚労省は、重症の患者さんを沢山受け入れているために自宅等退院率が6割未満の回復期リハビリテーション病棟に懲罰を与える

* 懲罰の内容は、入院料に関して、50床あたり約1551万円の減収(2008年2月13日の答申案) http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/news.html
* 重症の患者さんがたくさんいる病棟は抗生物質などの薬代がたくさんかかったりの理由で赤字ぎりぎり
* 厚労省は重症患者へのリハビリは医療費の無駄だから、棄てなさいと強く促している
* リハビリ一単位あたりの、診療報酬も引き下げなので減収はさらに大幅になる
* 軽症をたったの2〜3割しか入院させてないために、自宅等退院率6割以上の病棟は、入院基本料に関してわずかに増収となる
* 軽症をたったの2〜3割しか入院させてないために、自宅等退院率6割以上の病棟においては、重症者の3割以上が改善したら重症加算が加えられるが、重症の患者さんを沢山受け入れているために自宅等退院率が6割未満の病棟の重症患者がどんなに改善していても重症加算はない

ちなみに私が勤務している病院では、この三年間を集計したところ6割が重症患者さんで、自宅等退院率は6割未満。150床なので、入院料に関して、約4653万円ほどの減収となり、人減らしでもしない限り廃業するほかないでしょう。あちこちから断られた重症の患者さんにとって最後の望みになっている病院の数は多くはありません。そのような病院に対して厚労省は「棄民を実行しなさい、そうしないと倒産だよ」と本気で言っているのです。

このやり方を厚労省は質の評価だと堂々と公言しています。自宅等退院率が6割以上なら入院料の削減は小さくする、重症者の3割に改善があれば少し褒美を与えるということが質の評価だという厚労省の主張は欺瞞です。 厚労省の政策(中医協の答申という形で偽装)を、一般市民の方々がわかるように翻訳してみます。

1. 自宅、グループホーム、有料老人ホームなど(以下自宅等)の医療費が安いところへの退院率を高く評価する
2. 自宅等に退院できる確率が低い重症群(以下重症者)に対するリハビリはお金の無駄である
3. 世間の批判をかわすために、回復期リハ病棟に重症者を1.5割だけ入院させなさい
4. 重症者を4割〜8割も受け入れているために自宅等退院率が6割未満の回復期リハ病棟に対して、医療費の無駄使いを理由に厳しく罰を与える
5. 自宅等退院率が6割未満の回復期リハ病棟は、社会的使命などどうでもいいから重症者の入院を1.5割程度まで制限しなさい
6. 自宅等退院率が6割未満の回復期リハ病棟がそれまで通りに、どこからも断られた重症者を受け入れるならどうぞ御自由に。念のために言っておきますが、自宅等退院率6割未満の病棟には重症加算は与えませんよ。
7. 重症者の入院制限をするのは現場の医師の責任ですよ。切り捨てられて救急病院で患者さんが死亡したり、障害が固定してチャンスを奪われてもそれは、入院を断った医師の責任です。厚労省は関係ありません。

重症者を4割〜8割も受け入れて社会的使命を果たしてきた回復期リハビリテーション病棟を持つ病院は、倒産を回避したり、人員削減による医療の質低下を抑止するためは、重症者の入院を制限することにならざるを得ません。誰を受け入れて誰を拒否するかの判定をする者は医師です。 ナチスドイツにおけるユダヤ人の選別をした医師と、重症者をたくさん受け入れてきた回復期リハ病棟の入院審査担当医は同じ立場にたたされます。違いはあります。すなわち:

前者の医師はナチスの思想に共鳴したそもそもの犯罪者(人でなし)。この現代日本国の回復期リハビリテーション病棟の入院審査担当医の誰一人として「医療費が余計にかかる患者は早く死んだ方が良い」などという思想を持ってない

ユダヤ人集団はジョセフ・メンゲレ(人体実験で悪名が高い)のごとき人殺しをなんとも思わない医師らの前に順番にならばされました。メンゲレのごとき医師は、死ぬまで兵器工場などで奴隷労働可能な体力がありそうな者は右、老人、子供、体力がない男女は左と振り分けました。左に分けられた人々はアウシュビッツ、ダッハウなどの絶滅収容所に送られてガス室(チクロンB)で大量虐殺されました。戦後、ニュルンベルグ国際軍事法廷においてナチスの犯罪の詳細までが明らかになり、確かに多くのナチスとその協力者は裁かれましたが、虐殺された人々が生き返ったわけでありません。絶滅収容所や労働収容所を生き延びた人々の多くは深刻な心の傷を負いました。

21世紀の日本において、言葉の真の意味で善良なる医師らが事実上厚労省に強いられてジョセフ・メンゲレのごとき選別をさせられることになります。メンゲレらは生身の人間を目前にしてでしたが、回復期リハ病棟の入院審査担当医は書類だけで選別することになりますから、直接犯罪行為をしている意識は薄いことがしょうが、良心が痛まないことはないと思います。

私は明確に規定します。厚労省が「試行」(公開文書に文字通り試行とある!)する「質の評価」という成果主義による診療報酬制度は、「行政的安楽死・大量殺人・障害固定計画」であると。

厚労省の新政策は、人道に対する罪(これは国際法廷でも適用可能)であり、刑法で規定される故意の殺人・傷害という純粋な犯罪であり、明白な憲法違反(25条の生存権)であり、公的保健医療に関する市民・政府・保険者の間の暗黙の契約に違反する債務不履行でもあります。被害者が発生した後で、どの罪で裁くかを考えらればよいのであり、現時点では犯罪の防止に全力をつくしましょう。

▼道徳的立場からの反対は極めて強力である

これまでも毎年の診療報酬改定という国会の審査なしで厚労省が実施する行政行為の中身については、あちこちからいろいろな反対がありました。例えば、外来の初診料引下げに反対するなどですが、そのような反対は道徳的見地からのものではありません。金が少なくなるので経営がますます苦しくなるという理由の反対なので、医療の現場をしらない一般市民の方々がそのような反対運動に共感することはまずありません。
厚労省の棄民政策はこれで二回目ですが、棄民に対する反対は道徳的立場からなので、極めて強力で社会のいろいろな人々の共感をえることができます。したがって、私は厚労省が白紙撤回するようになることを毛ほども疑ってません。

▼リハビリ医療の現場を知らない方々に: おかしいと感じたら行動して下さい

今度の厚労省の方針は、あちこちの回復期リハ病棟から入院を断られた重症の患者さんをたくさん受け入れて、社会的使命を果たしてきた回復期リハ病棟に対して、重症者を切り棄てなさいというものです。 一般市民、報道関係者、法律家、政治家、リハビリ医療をしらない医療人などに尋ねます。

* 重症者をたくさん受け入れる回復期リハビリ病棟は、1つもいらないでしょうか
* 重症者に対するリハビリは医療費の無駄なので、その1.5割だけリハビリをしてあげて、8.5割は棄民にすべきでしょうか
* あなた自身やご家族が不幸にも脳卒中で重い障害を負った時に、これからは棄民にされる確率が高くなりますが、それでよいでしょうか
* 厚労省という行政機関が国会の審査なしで実施する政策が、重症者は棄てなさいである時に、黙っていていいものでしょうか

重症であるという理由でどこの回復期リハ病棟からも見放された方々は、早期に肺炎で死亡したり、生き延びても障害からの回復はまずみこめません。そのような方々やその家族が、厚労省の新政策が原因で棄民になったと知ればどうするでしょうか。

* メール、FAX、電話、郵送などはここから:政府機関、報道機関、政党・議員などのリスト http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/list_kokuhatsu.html

▼厚労省は実験し、観察するであろう

厚労省が言う「試行」は国家規模の医療制度における危険な実験であり、実験の対象となるのは脳卒中等により重症の障害をもつに至った方々、病院、医師らです。厚労省は実験の成り行きをじっくりと観察して、その後の行動のために更に知恵をつけることでしょう。実験が明らかにしそうなことで官僚が注目しそうなことを列挙します。

1. 棄民政策に協力しないと大幅に収入が減じる病院(重症者比率が高いため自宅等退院6割未満)
* 「素直」に患者選別をしない病院は何割くらいか
* 「素直」に患者選別をする諸病院は平均で重症者を何割に制限するか
* そのような病院のうち、政策に反対する病院は何割程度か
* 総じてそのような病院全体で新たに排除した重症者は何人か。そのことによる医療費削減効果は何円になるか
2. 何もしなくても褒美がもらえる病院(もともと重症者がすくないが1.5割はいて、自宅等に6割以上)
* そのような病院ですら減収であるが、どの程度の割合で反対するのか
* そのような病院は、絶対反対の運動をしっても無視すると思われるが、一つでも連帯して厚労省に反抗する病院はあるのだろうか
3. 重症者をほんの少し増やすと褒美がもらえる病院
* そのような病院ですら減収であるが、どの程度の割合で反対するのか
* そのような病院は、絶対反対の運動をしっても無視すると思われるが、一つでも連帯して厚労省に反抗する病院はあるのだろうか
4. 全国回復期リハ病棟連絡協議会はこれまで厚労省の施策を全国に浸透させるための道具であったが今後もそうでありそうか?
1. 会員病院そのもの、あるいは個人から幹部に対して批判があった時に、果たして幹部は強硬姿勢を貫いてくれるか? 厚労省を悪者にしないだろうな?
2. 幹部の中にまさか、反対運動に同調する者が発生しないだろうな?
3. 幹部連中には「棄民」政策に協力しないと、入院基本料の削減だけが実行されることになると警告してあるが、反対運動の圧力に負けて内密の話をまさかばらすまいな? (一部は私の想像で事実そのような会話があった証拠なし)

▼東京地方検察庁に助言を依頼

私は東京地検の被害者ホットライン(03-3592-7611)に2008年2月8日の午前10時に電話して訪ねました。詳しい自己紹介のあと次のように説明しアドバイスを求めました。

1. 厚労省が新年度から「試行」しようとあらゆる反対を押し切って実施しようとする政策による帰結は、現場の医師らからすると予見可能であり、危険性を全国の医師らが警告している
2. 厚労省の官僚には予見する能力がないかもしれないが、全国の医師らのような予見能力を有する人々は厚労省に白紙撤回を求める意見を既に多数送っている
3. 現時点で厚労省官僚は全国の医師らかの白紙撤回要求の理由をしっている、つまり厚労省は患者の被害を予見可能となった
4. 重症の患者がリハビリに挑戦する機会を奪われて死亡したり廃人みたいになったままになる事態を回避する義務が厚労省にないとは決していえない
5. 厚労省は患者を選別した医師個人の責任だと言い逃れることが予見される。ほぼ100パーセントの確度で現場の医師は厚労省の姿勢を予見している。
6. ある行為に犯罪性を法廷で考案する際には、被害の予見可能性、有害結果回避可能性、有害結果回避能力、有害結果回避義務などある。
7. 新年度からの患者被害に関して、現場の医師には結果回避義務がある。だから私は連日三時間睡眠で有害結果を回避するために個人的にできることをしている。
8. 現場の医師には結果回避能力がないというのが真実である。確かに、自分が所属する病院だけはこれまで通りに重症者を8割受け入れて、大赤字になってもよいと私は思う。自分の病院が大赤字になれば、給料が高い医者が何人か解雇されたり、レクリエーションという診療報酬が一円もでない貴重なサービス部門の方々が半分失業したりすることになるだろう。患者さんが死ぬよりも私はそのほうがマシだと思う。私はそれでいいし、私が所属する病院もそのようにするかもしれないが、問題は全国規模であるから、自分のところだけ反人間的なことをしないのでは問題の解決ではまったくない
9. 結果回避能力は厚労省にのみある。
10. 中医協の民間メンバーは現場の医療のことには関心もなく知識もない人々であり、最初から最後まで官僚のあやつり人形のお人好しであるから、中医協には結果回避能力はない。
11. 今度の事態は全国規模の医師ら現場の医療人に対して棄民政策に荷担することを強制するものであり、本質は行政的「安楽死・殺人・障害固定」であり、ナチスによる精神障害者や重病人の「安楽死」と性質が同一の犯罪行為である。病院に入院している患者さん一人あたりの入院料を一律に削減することを同時に実行するということの意味は、犯罪への荷担をしないと病院がつぶれるかもしれないということである。
12. ナチスドイツにおいて、ナチス協力者とされた者の中には「協力」しないと殺される危険が本当にあった人々もいた、協力しないと失業したり、会社が倒産したりする危険がある場合もあった。現代日本の医師らと病院も同様の立場にたたされている。良心の命じるところに従い、重症患者を排除しない方針を遂行したら病院が倒産したり、赤字が大きくなり長年一緒にがんばってきた仲間が解雇されたり...
13. 厚労省は今の時点で予見可能であり予見しているが強行しようとの姿勢を崩してない。
14. 被害者が発生し、裁判となれば、厚労省に予見可能性があり、結果回避義務も結果回避能力も明確にあったことが明々白々なので、厚労省の原氏ら個人に関しては犯罪構成要件が満たされるから少なくとも彼は刑事罰を受けることになると思われる
15. 後日の法廷では、厚労省官僚側の弁護士はこう弁護することであろう。
* 官僚が犯罪をした動機は金の節約だけにあり、人を殺したいと思ったのでない
* 金がかかる重症患者を切り捨てる政策をとるようになった根本原因は歳出削減圧力であった
* 官僚は医療費削減の官庁としての方針に従わないと昇進できなかった
* 小泉内閣で成立した医療改革法案が諸悪を生み出した根源である
* したがって官僚個人には罪がない
16. このような弁護はニュルンベルグ国際軍事法廷においてナチスの大量虐殺に直接荷担した人々に対する弁護と驚くほど似た理屈の弁護になる
17. 私は被害者が発生するのを未然に防ぎたいその一心であちこちに問い合わせている

国会の通過を必要としない厚労省の行政行為という形態の全国規模の犯罪を未然に防ぐ方法についてアドバイスくださいとお願いしたのでした。電話担当者の方は優秀な方のようで問題の本質とその真実性を明確に理解できました。東京地検は実際に犯罪による被害者が発生してから動く組織なので、防止のための有効な行動をする能力が東京地検にはないとのこと。犯罪の防止については警察庁の任務なのでそちらに問い合わせるのが良いでしょうとのこと。

私は明日から名古屋で回復期リハの全国大会。ポスター発表の準備を一つもしてなく、そもそも仕事が山積み(今、2月8日午後1:45)。どうか時間のある方は、警察庁に問い合わせてください。
もうひとつ、日弁連の人権擁護委員会(中央や地方支部の)にも連絡して良い方法がないか、訪ねてみてください。

■リハビリへ成果主義導入=棄民政策阻止のための文書や資料

2008年2月6日の厚労省から、退院先の「保険医療機関」に老健施設が含まれると明確な回答が得られたので、 PDF 文書の内容を変更しました。

内容 説明 ファイル 更新(変更)日

回復期リハ病棟への成果主義導入反対を呼び掛ける文書 全国の医療関係者、患者・家族(団体)、報道機関、国会・地方議員などに配布を開始しています。全国の関係者に広めたいので、賛同される方は宜しく御願いします。 印刷用: anti-seikashugi.pdf(59ページ) 2008/2/6

回復期リハ病棟への成果主義導入反対を呼び掛ける文書 同上 画面閲覧用: anti-seikashugi-slides.pdf(46ページ) 2008/2/6

中医協および厚労省の担当者に届けた文書 2月7日に、anti-seikashugi.pdf(12部)とこの文書を30部印刷して、厚生労働省保険局医療課企画法令第1係に提出 意見書(平文) 2008/2/7

成果主義導入反対のスライド 2008年2月10日の名古屋でおこなわれる回復期リハビリの研究大会で発表予定 20080210-sawataishi.ppt 2008/1/29

FIMを用いた成果測定やその応用 これは私が勤務する病院での教育用 FIM_application.ppt 2008/1/29

成果は重症度毎に測定すべきということ 回復期リハ病棟の成果を評価する方法について FIM-analysis-sawataishi.ppt 2008/1/29

階層毎評価 病気の種類や病変部位について FIM-analysis-type-sawataishi.ppt 2008/2/1

階層毎評価 病棟間の比較 FIM-analysis-ward-sawataishi.ppt 2008/2/1

階層毎評価 回復期リハビリを発症後30日以内に開始したか否かでの比較 FIM-analysis-days-sawataishi.ppt

報道の一例 回復期リハ、成果主義導入へ/厚労省・原課長 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=13093 2008/2/1

あるリハ医の独白(ブログ) リハビリテーション医学の専門医の方が公的精神で市民のためのよりよき医療実現のために奮闘されてます http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/ 2008/2/1

■厚労省保険局医療課規格法令第1係への質問と回答

日時 質問 回答 コメント

2月6日10:45a.m. 1/30(2/1)の中医協総会の回復期リハに関係する部分の『保険医療施設』に老健施設は含まれるのでしょうか。 含まれます。 いろいろな言い方で訪ねたが、回答者は明確に含まれると回答。多くの回復期リハ関係者は、『医療保険』でなく『保険医療』施設と表現され、しかも「転院」という表現であったため、「病院以外が6割ならOK」ということだと解釈していたと思われる。

2月6日0:30p.m. 重症者を6割以上も受け入れているところは死亡や急病による精査・治療転院が多いです。それらが分母から除外されるのですよね。 決まってません この回答も明確であった。そこまでは本当に検討していないのであろう

2月6日0:32p.m. 私は成果主義そのものに私は断固反対なので改めて意見を中医協のメンバーに意見を届けたいです。また、実施された場合の被害を最小にするために死亡と精査・治療転院のケースを分母から除外するべきということも強く主張します。意見をどこにとどければいいのでしょう。中医協のメンバーの連絡先が公開されていたら教えてください。知りたいのは意見の届け先です。 保険局医療課に送ってくだされば、宛名の通りに各委員にとどけます。 本当に各委員に手渡しするのか、そのまま死蔵ないしはゴミ箱行きではないのかと、念を押したところ、確実に委員に渡すとのことであった。

●自己紹介

澤田石 順と申します。2002年2月より回復期リハビリテーション病棟の専従医師として、主に脳卒中により障害を有するに到った患者さんの挑戦を手助けする仕事をしています。医療に成果主義を持ち込むという厚労省の棄民・難民政策を撤回するために大急ぎで活動を開始しました。
このホームページにある、anti-seikashugi.pdf(anti-seikashugi-slides.pdf)というPDF文書が私の主張です。関心があるかたは、どうかご覧になり、脳卒中やリハビリ医療に関係する方々に知り合いがおりましたら、メール等で知らせていただきますれば幸いに存じます。
パソコンの画面で閲覧するときは、色付きのとろをクリックするとページを飛んだり、インターネット上の文書などに移動します。メールアドレスはPDF文書に記載してますので、ご遠慮なく。

このページに書いていることはanti-seikashugi.pdfないし anti-seikashugi-slides.pdfから少しだけ引用したものですから、是非ともそれらの文書をお読み下さい。 回復期リハビリテーション病棟は脳卒中や骨折による障害者を受け入れて、日常生活機能の改善を手助けするための病棟です。軽症の方々のほとんどは自宅に退院できますが、極めて重症の患者さんの多くは自宅に戻る事が出来ずに、施設等に退院していきます。
厚生労働省は平成20年度の診療報酬改定において、回復期リハビリテーション病棟の入院料を一律に削減し、同時に数値目標で示す成果主義を導入することを意図してます。

■厚労省/中医協の2008年1月30日の提案に関連して

* 2月6日:厚労省の担当課は意見を遅れは中医協の委員に渡すと明言したので、どんどん意見を送付しよう!!
* 2月6日:厚労省の担当課に質問したところ保険医療機関には老健施設が含まれると明確な回答
* 1月30日の所見を、anti-seikashugi.pdfやanti-seikashugi-slides.pdfに追加したので、このページをお読みするよりは、PDF 文書を閲覧されることをすすめます。

実は下記のところにある文書をダウンロードしたのは深夜で、読んだのは1/31の午前。

* 中央社会保険医療協議会 総会 (第122回) : 議事次第
* 資料(総−8−2)

1. 医師の専従条件見直し: 医師の専従を「専任」(定義不明)としてます --a)
2. 【回復期リハビリテーション病棟入院料1】○○○点 --b)
1 当該病棟において新規入院患者のうち1割5分以上が重症の患者であること
2 当該病棟において退院患者のうち、他の保険医療機関への転院した者等を除く者の割合が6割以上であること
3. 【回復期リハビリテーション病棟入院料2】○○○点 --c)
回復期リハビリテーション病棟入院料1の基準を満たさないもの
4. 重症加算 ---d)
【重症者回復加算】 ○○○点(1日につき)
[算定要件]重症の患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善していること
[施設基準]回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出を行っている病棟であること

ここから下は、既に PDF 文書に含まれている内容からの一部抜粋です。

■厚労省がたくらんでいる診療報酬の一律削減の内容

患者さん一日当たりの診療報酬を

* 1000円から2000円??(うわさ)

削減することです。
1000円の減額ですと、患者さんが50人の病棟だと、年間で1825万円の減収。タクシー会社がガソリン高騰のために苦しくなるようなことは経済情勢の変化なので、ある意味ではいかんともしがたいところがあり、ガソリン値上げは『不当』と言えることではありません。ガソリンが値上がりしたら、タクシー料金の値上げで対応したらそれでいいことです。
ところが、病院は薬の値段が上がろうが、大豆などの食料品の値段が上がろうが、『販売価格』の値上げは一円もできないという特殊なところです。収入はすべて厚労省が決めた診療報酬で決ります。
厚労省は正当な理由なく、いきなり報酬を下げると昨年の11月に堂々と公言しました。一応の理由は「病棟に医者が専従しなくてもよくするから」ということですが、そんなことは理由にはなり得ません。回復期リハビリ病棟の医者があっちこっちとかけもちだとチームとしての医療ができないから、最初から回復期リハビリ病棟は医師は病棟で専従するという条件であり、医師専従という条件により医師が一日中病棟で仕事をしているために、素晴らしいチーム医療が実現してきました。
厚労省が入院料を下げる理由は単純に医療費を抑制することにあります。それ以外の理由はありません。
このページを読んでいる常識ある一般の方々には信じ難いことだと思いますが、本当に厚労省はとんでもない報酬削減をしようと公言しているのです。回復期リハビリ病棟に専従する医者を少なくしたり、看護師や理学療法士を何人か解雇したり、つまり人手を減らすほかなくなります。そんなことをしたら患者さんの回復が悪くなります。
厚労省は診療報酬削減だけでは大反対運動が起こるのは必至とみて、自宅退院率7割ならば報酬を少し補うよとの信じ難い暴挙の実行を同時に打ち出しました。この厚労省の暴挙を全力で阻止することが私の目的です。
いつものことですが、入院患者の一日当たりの診療報酬を何円下げるかはまったく明らかになってません。厚労省はいつもいつも実に悪辣で、数値を発表するのは新年度直前の3月末です。早期に発表すると反対運動が盛上がるために、反対運動が手遅れになる時期に発表します。小泉政権が決定した「医療費適正化」方針以来、厚労省の新政策は常に医療費抑制・削減が目標で、口先の目的は美しくごまかしてますが、ほとんど例外なく、現場の専門家である医師らの要求を無視した「患者さん切り捨て」政策です。
厚労省の新方針はどんなに悪辣であっても、有効な反対がないと、新年度は確実に実行されてしまい、よほどの被害がでない限りは、そのまま実行され続けます。厚労省の医療費抑制・削減のみを目的とした政策変更により、医療から見捨てられて早期に死亡する患者さんの数を正確に数えることは私にはできておりませんが、この度の回復期リハビリに関する政策変更は、重症の患者さんの多くが棄民化する恐るべきものです。難民という言葉より棄民がふさわしいのです。
このホームページは本日1月29日(2008年)に創設しました。まだまだ完成には程遠いのですが、残された時間が少ないので公開することにしました。日々更新していきますので、日本が世界に誇るリハビリテーション体制を守るために、皆様の行動開始を願ってやみません。

■回復期リハビリ病棟の収入源と「まるめ」ということ

全国には4万床余りの回復期リハビリ病棟がありますが、診療報酬といわれる病院の収入は一人一日いくら(入院基本料:一日16800円)、リハビリをしていくらと決ってます。回復期リハビリ病棟に入院する障害者の半数以上は脳卒中後遺症の方々なので、嚥下性肺疾患(肺炎、細気管支炎、肺炎)、尿路感染症などを繰り返す事が多く、点滴をしたり抗生物質を与えたりしますが、点滴や抗生剤をいくら使用してもその分のお金は一円も支払われません。内服薬も何種類飲んでもそのお金は払われません。入院料にすべて含まれてるいるとみなされているからです。このことを「丸め」と表現してます。
重症の方々ほど抗生剤を使用することが多くなりますから、費用がかかります。ですから、人手が足りない病院は、重症者の入院を制限することが多いです。このことは理解できなくはありません。
問題は、人手がたくさんある病院であっても、『自宅退院率78%』など自宅退院率が高くなることを目標としている場合が少なくないことです。重症の患者さんはリハビリをしても自宅に帰れる可能性は小さくなりますが、重症の患者さんこそ、リハビリを最も必要としておるのに...。

■回復期リハビリ病棟は人手をふやしても一円ももらえないこと

厚労省が決めている回復期リハビリ病棟の人手の数は驚くほど少ないです。回復期リハビリ病棟を作りやすくするためということが大きな理由ですが、例えば理学療法士はたった二人、作業療法士はたった一人が病棟専従とされてます。看護師にしても非常に少ない基準です。厚労省の定めた人手の数しか確保してなくても、患者さん一人あたり一日で16800円はもらえるので、回復期リハビリ病棟はずっと増加してきました。
患者さんの回復をしっかりと良くしてあげるためには、看護師も理学療法士なども厚労省が定めた基準よりもたくさんかかえる必要があります。ですから、多くの回復期リハビリ病棟は、例えば理学療法士を病棟(50人)に八人などと頑張ってます。
全国回復期リハビリ病棟連絡協議会という全国組織があり、いろいろな病院のデータを集めたところ、当然のことながら人手が多いところは患者さんの回復が良いという結果でした。したがって、全国回復期リハビリ病棟連絡協議会は厚労省に求めてきました。

* 人手が多いところにはもっと高い報酬を出しなさい

当然のことですね。何年もこのことを訴えてきましたが、厚労省は「結果」だけを求める「数値目標主義」を新年度から実施しようととんどもないことをしようとしているのです。

■厚労省が提案している診療報酬への成果主義導入

* 重症の定義: 看護必要度Bという看護師の仕事の大変さを示す指標(0〜20点)で10点以上
* 重症者を1.5割以上入院させること
* 重症者のうち3割に改善がみられる
* 患者の6割以上が保険医療機関(療養病棟、老健施設など)以外に退院
* 以上の条件を満たした病棟のみにお金を大目に与える

▼リハビリ医療の常識では評価されても、厚労省の「看護必要度B」が評価しないこと

* 口から食べることができない人が食べるようになること
* 気管切開という手術を受けたための言葉を使えない人が、気管の穴が塞がれることにより、話せるようになること
* 急性期病院で入れっぱなしだった尿路カテーテルがはずされて、トイレでおしっこをするようになること

リハビリをしたら自宅に退院できそうな患者を主として受け入れている病院が少なくありません。そのような病院は重症者がたった二割程度しかいないため、確実に自宅等退院率6割を超えてますから、厚労省の成果主義導入により、一律に削減された報酬を自宅等退院率6割という成果のおかげである程度は補うことができます。
逆に重症の方々を差別することなく受け入れてきた病院は、入院時の重症割合が5〜8割にもなりますから、自宅等退院率は絶対に6割には到達しません。ちなみに私が勤務している病院は3つの病棟があり、現時点で重症者が7〜8割ですから、自宅等退院率は5割そこそこ。それでも自分の病院は50人に対して医者二人、理学療法士8〜9人などと全国の回復期リハビリ病棟の中でもトップクラスの人手を確保しているので、重症の方々であってもかなりの改善が得られています。
地域の障害者の方々のために、救急病院から棄てられる患者さんが一人でもすくなくなるためにと、重症を断らないで頑張ってきた病院は厚労省の一律報酬削減により大変な事態におちいります。真面目な病院が真面目でありつづけると『成果』など絶対に達成できませんから、ただただ収入が大幅に減じます。私の病院は150床なので、『成果』が達成できないと、一日千円の減収だと五千四百万程度の収入源となります。私は重症の患者さんを切り捨てない方針は継続するべきだと唱えてはおります。
赤字どうこうよりももっと重大なことは、診療報酬の一律削減と『数値目標』による『成果主義』の同時実行が実現されると、急性期病院に入院した最も重症の方々の行き場がなくなり、棄民化することです。自宅に戻れる見込みが最もない方々が、無理矢理に自宅に戻されることにより家族が失業してワーキングプア化 (税金も年金も保険料も払えなくなく)することが社会問題となることでしょう。
最も重症の方々は、歩いて自宅に帰れることはすくないのですが、実はもっとも回復期リハビリ病棟に入院すべき人々なのです。急性期病院では口をきれいにしたり、口から食べるためのリハビリがほとんど行われません。単純に忙しいし、口をきれいにしたり、口から食べるためのリハビリをする人が不在だからです。口をきれいにできないとすぐに肺炎になり、少なからずの重症者はなくなってしまいます。回復期リハビリ病棟では口をきれいにすることが看護師の仕事の中で基本中の基本ですから、めったなことで肺炎などおきません。食べる為のリハビリは回復期病棟のSTという専門職が中心となり毎日おこないます。

▼厚労省の政策がもたらす直接的効果

1. 最もリハビリを必要とする、最も重症の障害者の方々が回復期リハビリ病棟にほとんどいけなくなる
2. 最も重症の障害者は、回復期リハビリ病棟"以外"の療養病棟からみると、一番受け入困難(受け入れたくない)方々であるが、そのような方々を急性期病院は一日も早く療養型病院に転院させるためのがんばらざるを得なくなく
3. 最も重症の方々は回復期リハビリ病棟に入院できたら、2〜3割は驚くほどの回復をして自宅に戻るのに、そのような方々は回復しないために寝たきりになる
4. 最も重症の方々は回復期リハビリ病棟に入院できたら、大多数の方は少なくとも食事をすべて口から食べることができるようになるのに、一生涯食事できなくなる
5. 最も重症の中で気管切開手術を受けている患者さんは、回復期リハビリ病棟に入院できたら、大多数の方は気管に明けられた穴がふさがれて、話しができるようになるのに、一生涯話すことができないままとなる
6. 急性期病院は例えば平均在院日数が20日を越えると診療報酬が減額されるため、最も重症の方々をなんとかして、自宅退院させたり、療養病院に移す様に家族に圧力をかける
7. 療養病院は「胃瘻」という手術しないと受け入れないので、必要のない胃瘻手術がたくさん実行される(医療費の無駄: 胃瘻手術は食べるためのリハビリを何ヶ月かやって、口からすべての栄養を摂取できないという結果が出てからするべきもの)
8. 最も重症の障害者の方々が急性期病院でどこか別の病院への転院を待っている間に肺炎で死亡する数が増加する
9. 最も重症の障害者の方々という、自宅でみるのに最もふさわしくない方々が無理矢理自宅に戻されることが多くなる(家族は見捨てられた思いにならないはずなし)
10. これまでは急性期の脳卒中関係の診療科と回復期リハビリ病院とは仲良くやってきたが、回復期リハ病院が重症者の中でも比較的軽い人だけを1.5割だけ入れる方針をとるために、互いの軋轢が増す
11. 自宅等退院率6割を達成できない病棟はごまかしをする
* 急性期病院からまっすぐ自宅に戻れる極めて軽症の人を、無理矢理に回復期リハ病棟に入院させるようにして、自宅等退院6割を達成しようとする
* 回復期リハビリ病棟に入院する必要がない人がベッドを常にある程度うめるために本当にリハビリを必要とする人が排除される
* 厚労省等に提出するデータそのものをごまかす
* 回復期リハビリ病院から他の病院や施設に行く患者さんを、一日とか二日だけ自宅経由としてもらう
* 人手をたくさん確保して赤字ぎりぎりで頑張ってきた回復期リハビリ病院が人手を減らすことにより、リハビリの『成果』(自宅退院率では表現できない本当の成果)が小さくなる
* これから人手をたくさん確保しようと本気で決意していた回復期リハビリ病院は、人手を増やす「前に」、自宅等退院率6割を最優先せざるを得なくなる。
* 無理矢理に「自宅等退院率6割」を達成できても、患者さん一人当たりの診療報酬のい一律削減をおぎなうほどでない場合は、人手を増やすことができない

厚労省の政策による帰結として予想されることは、すべて悪い効果です。

▼厚労省の政策が全国の病院にもたらす効果

1. 全国の回復期リハビリテーション病棟において、総じて人減らしが進行
2. 全国の回復期リハビリテーション病棟において、総じて診療の質が低下
3. 全国の救急病院における脳神経外科や神経内科病棟において、行き場がない重度障害者のベッド占有の長期化
4. 急性期病院の脳神経外科や神経内科と回復期リハビリ病棟医師らとの協業を阻害(離反を促進)
5. 全国の救急病院における脳神経外科や神経内科病棟において、満床状態が多くなることにより、脳卒中患者の救急車受け入れが更に困難に(満床のためにお断り増加)
6. 全国の救急病院において、自宅退院の可能性が小さい脳卒中患者(特に75才以上の後期高齢者等)の受け入れお断りが増加 (それまでは自宅で元気な方々のこと)
7. 療養病院、介護施設、特別養護老人ホームに入院・入所中でもともと生活機能が低下している方が脳卒中になった場合に、救急車を呼んでもあちこちから断られることが増加(行き先が見つからなくて、交渉している間に亡くなってしまうことが多くなる)

▼厚労省の政策の本質

1. 現場を全く知らないこと、および短絡的な医療費削減のみを追求することによる棄民政策
2. 間接的な殺人!!: 最も重症の方々が回復期リハビリから排除されるために早期に死亡する

■そもそもの回復期リハビリ病棟の役割

1. 容易に改善する軽症の方々に集中的なリハビリをおこない、自宅退院の手助けをする
2. 重症の方々を回復困難という理由で差別することなく受け入れて、挑戦の機会を与える
3. あまりにも重症のためリハビリによって少ししか回復できなかった障害者とその家族が「やるだけのことはやった」と満足していただく
4. 生活する能力の回復が少ししか得られなくても、人としての誇りを取り戻すための支援をする
5. 自宅に戻れるほどの回復が得られなかった方々の適切な療養先探しを支援する

■回復期リハビリ病棟が目標としてはならないこと

* 自宅退院率という数値目標を設定すること

■回復期リハビリ病棟の仕事をする医療者の公的役割

1. 患者・家族・市民のためにリハビリテーションという人と人とを結び付ける助け合いの制度を維持するために最善の努力をする
2. 医療費削減・抑制以外に関心がない厚労省の政策を常に監視していく
3. 厚労省が重症の患者を切り捨てる政策を打ち出す事を予防する
4. 厚労省が重症の患者を切り捨てる政策を打ち出したら、全国的な反対運動を展開して、撤回させる

■棄民政策を考える
多田 富雄先生の『わたしのリハビリ闘争』


我が国の公的医療保険において、厚労省が初めて棄民政策を断行したのは、平成16年度の診療報酬改訂における『発症後 180日でリハビリ打ち切り』という大事件でした。多田先生らを中心とする市民が運動を展開し、短期間に44万もの署名が集めまり、厚労省に提出したのでした。しかし、厚労省はのらりくらりと欺瞞・偽装を続けてます。
今度の新たな棄民政策は、前回のそれと同様に人を死においやったり、人から改善するチャンスを奪うものです。違いは、今回は、重症の患者(もっとリハビリを必要とする人々)に一度もリハビリのチャンスを与えないということ。厚労省の官僚が口で何を言おうが、内心ではどう感じてようが、厚労省の棄民政策の、動機と目的は客観的に次のように規定されます。その手段の内容が規定するのです。

今回の棄民政策における厚労省の客観的な動機と目的:

* 自宅退院は安上がりである
* 自宅退院の確率が高い人々にのみリハビリのチャンスを与えるのが良い
* 自宅退院の確率が低い重症者にリハビリをするのは金の無駄
* 自宅退院の確率が低い重症者はじっぱひとからげにリハビリの資格なしとしたいが、さすがにそれは世間の目があるのでできない
* 重症者を1.5割だけ入院させるようにしむけよう
* 重症者の3割だけ改善があれば褒美を与えよう
* 全患者の6割以上が自宅等の安上がり場所に退院したらエサを与えよう
* 政策の具体的目標はただただ安上がりにすることである
* できれば重症者はすべてよくなる可能性が高いひともふくめて、すべて切り捨てたい
* 棄てられた患者が死のうが、廃人みたいになろうが知ったことではない
* 棄てられた患者がいたとしたら、その責任は現場の医者にある

平成16年の棄民政策における厚労省の客観的な動機と目的:

* 長期の外来リハビリテーションは効果が疑問だと指摘する者がいる
* 確かに長期のリハビリテーションはそれ事態が金の無駄であろう
* 回復期リハビリテーションにたくさん金がかかるから長期の外来リハビリは切り捨てることに決定した
* 長期の外来リハビリテーションを中止したらどうなるかの研究をすると、継続することに意味があるという結果になるかもしれないから、そのような研究はしない
* 長期の外来リハビリを発症後180日で切り捨てることはできるだけ知られないようにする。早くから知られると騒がれることになりかねないから
* 切り捨て政策の条件はいつものごとく一部を曖昧にする。世間の風向きをみながら、解釈で調整できるからだ。あいまいな規定の利点は、現場の医師が勝手に間違った解釈をしたと責任をおしつけることができることにもある。
* 棄てられた患者が死のうが、廃人みたいになろうが知ったことではない
* 棄てられた患者がいたとしたら、その責任は現場の医者にある

前回も今回も根底にあるのは、厚労省官僚の人非人性です。病気や障害を有する人間そのものを邪魔者扱いしているごとくです。医療費削減以外に何も考えられなくなったかのようです。金のかかる患者を毛嫌いし、できればすべての患者を切り捨てたいようにも見えます。しかし、すべての患者を切り捨てることはできないので、もっとも声を上げにくい障害者の方々から順番に棄てていこうということなのです。厚労省官僚が私のこのような文章にいかに抗議しても無駄です。厚労省の政策による実際に結果を観察しての所見であり、官僚の頭の中にある感情や、官僚が口にする空虚な言葉に私は何の関心もありません。私の関心はただただ政策という手段の中身とそれによる結果だけ。厚労省によるリハビリ180日切り捨てという棄民政策の効果は既に明らかで、今度の棄民政策が実施されることによる効果も自明です。 成果主義は公的医療を崩壊させる癌でりますから、たとえ自宅等退院3割というすべての回復期リハビリ病棟が達成できそうな条件であっても、導入してはなりません。

▼リンク集

* 全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会: http://www.rehabili.jp/index2.html
* 厚労省のパブリックコメント募集:http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/index.html
* 中央社会保険医療協議会(中医協):http://www.mhlw.go.jp/shingi/index.html#chuo
* 厚生労働省関係審議会議事録等 中央社会保険医療協議会:http://www.mhlw.go.jp/shingi/chuo.html#kihonこのページの「診療報酬基本問題小委員会」に回復期リハビリ病棟に関する悪辣な診療報酬改定に関しての議事録などがあります
* 「リハ医の独白」(ブログ) / リハビリテーション医学の専門医の方が公的精神で市民のためのよりよき医療実現のために奮闘されてます: http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/

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