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憲法第9条の趣旨についての政府見解【防衛白書2006】
http://www.asyura2.com/07/kenpo1/msg/625.html
投稿者 たけ(tk) 日時 2007 年 8 月 07 日 00:29:27: SjhUwzSd1dsNg
 

http://jda-clearing.jda.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i2122000.html

第2章 わが国の防衛政策の基本 

2 憲法第9条の趣旨についての政府見解


(1)保持し得る自衛力
 わが国が憲法上保持し得る自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならないと考えている。
 その具体的な限度は、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面を有し、毎年度の予算などの審議を通じて国民の代表者である国会において判断される。憲法第9条第2項で保持が禁止されている「戦力」にあたるか否かは、わが国が保持する全体の実力についての問題であって、自衛隊の個々の兵器の保有の可否は、それを保有することで、わが国の保持する実力の全体がこの限度を超えることとなるか否かにより決められる。
 しかし、個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されない。たとえば、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないと考えている。

(2)自衛権発動の要件
 憲法第9条の下で認められる自衛権の発動としての武力の行使について、政府は、従来から、
1) わが国に対する急迫不正の侵害があること
2) この場合にこれを排除するためにほかの適当な手段がないこと
3) 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
という三要件に該当する場合に限られると解している。

(3)自衛権を行使できる地理的範囲
 わが国が自衛権の行使としてわが国を防衛するため必要最小限度の実力を行使できる地理的範囲は、必ずしもわが国の領土、領海、領空に限られないが、それが具体的にどこまで及ぶかは、個々の状況に応じて異なるので、一概には言えない。
 しかし、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されないと考えている。

(4)集団的自衛権
 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有するとされている。わが国は、主権国家である以上、国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、わが国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第9条の下で許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されないと考えている。
参照> 資料9


(5)交戦権
 憲法第9条第2項では、「国の交戦権は、これを認めない。」と規定しているが、ここでいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷と破壊、相手国の領土の占領などの権能を含むものである。
 他方、自衛権の行使にあたっては、わが国を防衛するための必要最小限度の実力を行使することは当然のこととして認められており、たとえば、わが国が自衛権の行使として相手国兵力の殺傷と破壊を行う場合、外見上は同じ殺傷と破壊であっても、それは交戦権の行使とは別の観念のものである。ただし、相手国の領土の占領などは、自衛のための必要最小限度を超えるものと考えられるので、認められない。
 
http://jda-clearing.jda.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i2132000.html

第2章 わが国の防衛政策の基本 

2 その他の基本政策


 「国防の基本方針」を受けて、これまでわが国は、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきている。

(1)専守防衛
 専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう。

(2)軍事大国とならないこと
 軍事大国という概念の明確な定義はないが、わが国が他国に脅威を与えるような軍事大国とならないということは、わが国は自衛のための必要最小限を超えて、他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持しないということである。

(3)非核三原則
 非核三原則とは、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという原則を指し、わが国は国是としてこれを堅持している。
 なお、核兵器の製造や保有は、原子力基本法の規定でも禁止されている2。さらに、核兵器不拡散条約(NPT:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)により、わが国は非核兵器国として、核兵器の製造や取得をしないなどの義務を負っている3。

(4)文民統制の確保
 文民統制は、シビリアン・コントロールともいい、民主主義国家における軍事に対する政治優先又は軍事力に対する民主主義的な政治統制を指す。
 わが国の場合、終戦までの経緯に対する反省もあり、自衛隊が国民の意思によって整備・運用されることを確保するため、旧憲法下の体制4とは全く異なり、次のような厳格なシビリアン・コントロールの諸制度を採用している。
 国民を代表する国会が、自衛官の定数、主要組織などを法律・予算の形で議決し、また、防衛出動などの承認を行う。
 国の防衛に関する事務は、一般行政事務として、内閣の行政権に完全に属しており、内閣を構成する内閣総理大臣その他の国務大臣は、憲法上文民でなければならないこととされている。内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高の指揮監督権を有しており、自衛隊の隊務を統括する防衛庁長官は、国務大臣をもって充てられる。また、内閣には、国防に関する重要事項などを審議する機関として安全保障会議5が置かれている。
参照> 資料68・資料71
 防衛庁では、防衛庁長官が自衛隊を管理し、運営している。その際、副長官と2人の長官政務官が政策と企画について長官を助けることとされている6。
 以上のように、シビリアン・コントロールの制度は整備されているが、それが実をあげるためには、国民が防衛に対する深い関心を持つとともに、政治・行政両面における運営上の努力が引き続き必要である。
 
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2)原子力基本法第2条「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運用の下に、自主的にこれを行うものとし……」

 
3)NPT第2条「締約国である各非核兵器国は、……核兵器その他の核爆発装置を製造せず又はその他の方法によって取得しないこと……を約束する」

 
4)軍に関する事項について、内閣の統制の及び得ない範囲が広かった。

 
5)議員は、内閣総理大臣(議長)、内閣法第9条指定大臣(内閣総理大臣に事故のあるとき、欠けたときなどに臨時に内閣総理大臣の職務を行う予め指定された国務大臣)、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、内閣官房長官、国家公安委員会委員長、防衛庁長官。本章3節1参照

 
6)この他にも防衛庁長官による自衛隊の管理・運営を確実なものとするため、防衛庁長官を補佐する体制が整えられており、これらを含む自衛隊の組織については、 6章2節1参照


 

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