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<市民運動を日本に根付かせた小田実さん>9条の会での澤地久枝さんのお話(風太郎の労働相談奮闘記)
http://www.asyura2.com/07/kenpo2/msg/276.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 5 月 10 日 21:11:18: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/53128248.html

9条の会での澤地久枝さんのお話(風太郎の労働相談奮闘記)

過日、9条の会主催で小田実さんを偲ぶ集会が渋谷でありました。集会には、9条の会の呼びかけ人が多数参加しました。中でも澤地久枝さんの話は、時々笑いを誘いながらの聞かせる話でした。風太郎も、地元の9条の会の通信の記事にしたいと思い、ICレコーダーで録音しました。以下は、澤地さんのお話の一部です。

【市民運動を日本に根付かせた小田実さん】
小田さんのやったことで一つの大きなことは、この日本に市民運動というものを定着させたことですね。今日は、まず、そのことについてお話しますね。

【主権者は天皇だった日本】
昭和3年(1928年)パリでケロッグブリアン条約(不戦条約)が締結されました。第1次世界大戦が終わって、世界中の人々が殺し合いを虚しく思い、二度と戦争を繰り返すまいと誓ったわけですね。

その不戦条約文の中に「戦争を放棄することを、各国人民の名において厳粛に宣言する。」という条文があります。この条文の精神は、今の日本国憲法と繋がりますね。ところが、当時の日本においては、「人民の名において」というのは通らなかったんですね。国会で問題になって、国会で批准するわけですが、その前に日本一国だけが条件を付けたんですね。

それによると「条約第1条中の『各国人民の名において』なる字句は、帝国憲法の条章よりみて、日本国に限り適用無きものと了解するものと宣言す。」というんです。こういう風に宣言することで、日本には人民は居ちゃならなかったんですね。当時の日本では、人民は無視される存在だったんですね。

そして、無視された側の人たちが、自分は一人の人間であるという自覚と誇りを育ててきたかと言うと必ずしもそうではなかったんですね。日本では、個としての意識、或いは市民としての自覚、権利感覚というものは、とても弱いまま来ているということがあるんじゃないかと思いますね。

【市民運動の育たなかった日本】
市民運動と言われるようなものは、なかなか育たなかった。戦前は勿論、戦後も、その前にあったのは労働組合であるとか、もっとイデオロギー中心の組織の運動の方が主流でした。一人ひとりがバラバラで考えや思想信仰も違うけれど、そういうことは問わないで、だけど、何か一つの目的で一致できたら、それで運動しよう、世の中に呼びかけていこうと言うような運動の育ちにくい世の中だったと思いますね。

【ベ平連運動は、市民運動だった】
しかし、「ベトナムに平和を市民連合」は、こんなかたちで始まったんですね。まず最初に高畠通敏さんという既に亡くなられた政治学者が、ベトナムに対するアメリカの介入は酷過ぎるから、これに対する反対の行動を起こそうじゃないかと考えたんですね、これが最初の一人ですね。次に、鶴見俊輔さんに声を掛けたんですね。これで二人目ですね。

鶴見さんは、誰か事務局をやる人が要ると考えて、小田さんに連絡した。これで1が3になった。小田さんは、東京へ出て行こうということになって、作家の開高健さんに電話を掛けて一緒にやろうと言ったから4人ですね。

市民運動というのは、立派な主張というのがあって、そこに人が集まってくるんじゃなくて、どうだどうだと言って、考えを深めながらジワジワじわじわと気がついてみると厚い層のようになっているというのが、市民運動の一つの形だろうと思いますね。

ベ平連運動は、確かに一つの時代を作りました。去年は、インテルピットという艦船から脱走した米兵をかくまい、この米兵たちを非合法に連れ出して亡命を成功させてから40年という記念の年で行事もございました。

軍隊というのは、どこの国でも規律が厳しいですから、そこから戦争は嫌だと言って脱走することは大罪ですね。その、脱走してきた米兵を、あろうことか、アメリカの属国のような日本の人たちが逃がしちゃったんですよ。これは、やはり、すごいと思いますね。

小田さんがやったことで忘れられないことがあるので紹介しますね。エンタプライズというベトナムで爆撃をしている空母が佐世保に入港したとき、この時、小田さんと吉川勇一さんが小さな貧弱なボートを雇って看板を手に持ちながらエンタプライズの周りをグルグル周ったんです。「アメリカはベトナムから手を引け」「インテルピットの仲間に続け」という反戦のアッピールをしたんですね。

感心したのは、この呼びかけを英語でやったんですね。伊達に大学をでてませんでしたね。作家として既に成功している人が、その勇気に、必要なことは、まず自分でやるといことに私はうたれましたね。ベ平連もちゃんと広がっていって、日本の社会の中で一つの形ができたと思います。

【9条の会も市民運動】
この9条の会も、それを受け継いでいますね。ここに集まった人たちも、多分一人ひとりに聞いて見ると思想信仰は違いますね。自民党支持者もいるかも知れないし、共産党支持者もいるかもしれない。それはそれとして、違いは置いといて、9条を守るという一点で今日も集まっているんですよね。

今、日本の政治は、物凄く悪いところへ来ている。9条は、あるけれど形骸化してきている。だから、9条を守ることで、日本の政治をこれ以上悪くならないように押し留め、できればもっとよい方向へ憲法の原点の方向へ押し戻して行きたいですね。その方が、皆にとっても他国の人たちにとっても多分幸せなんですよね。

【実力以上に評価されている9条の会】
そのことで一致できる人が集まって、吹けば飛ぶような、ささやかな組織だけれど、9条の会の組織の数は7千を越えていますね。3月4日に新憲法制定議員同盟新役員改正体制というのが発足したんです。その総会で愛知和男という国会議員で同盟の幹事長がこんなことを言っているんです。「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織作りができておりまして、それに対抗していくにはよほどこちらも地方に拠点を作っていかねばなりません。そこが今後の活動の大きな焦点となる。」

これ、馬鹿じゃないかと思いますね。9条の会なんてささやかなもんですよね。可愛いもんですよ。みんな試行錯誤しながら、もっと効果的に一矢報いる方法は無いかと、みんな手弁当で一生懸命やっている。でもね、私たちが思っているよりも評価してくれているみたいですね。「こんなに弱い私達がそんなに脅威なの?」と言ってやりたいですね。

【憲法違反の改憲運動】
だいたい国会議員は、我々の払った税金で歳費を貰っているんです。国会議員や国家公務員は憲法を守る義務がある(脚注参照)ことは、憲法できちっと決めているんです。だから、憲法を変えようという運動をやっていくんなら議員を辞めたらいいですよね。議員を辞めて運動をおやりになったら、それが9条の会と向き合う対等な関係じゃありませんか。

国会議員で改憲運動をやるということは、とても卑怯ですね。男たちばかりかと思っていたら女も入っていますね。自民党だけかと思っていたら民主党の議員も入っていますね。みんな狂っています。「皆さんは間違っています。」と言ってやりたいですね。

【小田さんの遺した言葉】
小田さんは、いろんな言葉を残しています。その中で忘れることのできないのは「一人でも始め、一人でも止める。」と言う言葉です。これはね、いろんなことをやるときに、勇気を試されるときに、とても勇気付けられるいい言葉ですね。

【実際に戦争に行くのは市民であって政治家では無い】
それから「一人から始める。」という言葉があります。もう一つ「小さな人間には小さな力がある。大きな人間は、大きな力を持っている。大きな力は、経済とか政治とか文化とか外交とかを動かしている。しかし、大きな人間がやろうとすること、例えば戦争、しかし、それを実際にやらされるのは小さな人間です。そうなると、小さな人間が皆で“嫌だ!”と言ったら、大きな人間は何もできない。力は無いんだ。」

これは、小田さんが繰り返し言ったことです。ですから、皆さんも私も小さな人間であることに誇りを持ちましょう。

ただ、風に流されている小さな人間ではなくて、一生懸命勉強して、考えて、何が必要かを判断して、更に自分の知恵を深めていって、一人で囲い込んでいるんじゃなくて、身近な誰かに話しかけて、相手も勉強していることをこちらに伝えてくれて、こういう人間交流をしていくことが大切ですね。
(中略)
【集団的自衛権は必要ない】
私は、自衛隊は小さくしていかなければいけないと思いますが、いきなりはできないでしょうから、まず、最初にやりたいことは、外国に出て行かないということですね。集団的自衛権などというものは、一切認めないということです。

「市民運動は、いくら盛り上がっても直ぐに明日から良くなるわけではありません。」と小田さんは言いました。それはそうですね。62,3年かけて、ここまで酷い国になったのよね。憲法はあるけれどお供えものみたいですね。9条は、本当に馬鹿にされていると思いませんか。だって、5兆円を超える軍事費を使う国と9条は一致しますか?(中略)

憲法が形骸化していても、この憲法9条がある限り、もっと軍事費を大きくしてアメリカが望むような形で外へ行って戦争をすることはできないと言うことを彼らは知っている。だから、3年後と言いながら国民投票法案を通しました。

そうだとしたら、私たちは、憲法をこれ以上侵されないように、しっかり守りましょう。9条の会をどうやるかと言うことを、皆で知恵を出し合いましょう。誰か一人が完全な答えなんか持っていないんです。皆で試行錯誤しながら、いろんなことをしながら、人間的にも大きくなっていって見えてくると思います。「政治とは、理想を追うものです。」とは小田さんの言葉です。

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以上が、澤地さんのお話の主要部分です。最初の部分と最後の部分は大幅にカットしました。途中でも大きくカットした部分には(中略)と表示しました。表示無しにカットした細かい部分は、沢山あります。また、録音が聞き取れない部分は、話しが繋がるように若干表現を変えています。ご容赦ください。

●脚注:憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」

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