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温暖化が招いた大絶滅 = 日経サイエンス
http://www.asyura2.com/07/nature2/msg/510.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 1 月 03 日 19:03:46: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0701/extinction.html

地球上の生命の半分以上が姿を消す「大量絶滅」が過去5億年間に繰り返し起こってきた。恐竜を滅ぼした白亜紀末の大量絶滅については小惑星衝突が原因と考えられているが,他の絶滅事象の原因には十分な説明がついていない。新たな化石と地球化学的な痕跡を解析した結果,ショッキングな環境メカニズムが浮かび上がった。地球温暖化の結果,海洋が酸欠状態になり,有毒ガスを吐き出したらしい。
 
太古の試料について炭素同位体比(炭素12に対する炭素13Cの比)を調べると,当時の陸と海にいた植物体の総量を示す指標が得られる。白亜紀末についての測定値は,植物が突如として激減した後に急回復したことを示しており,小惑星衝突説と矛盾しない。しかしぺルム紀や三畳紀の大量絶滅の前では,5万〜10万年の期間中に同位体比の変化が何回も生じている。植物は急死と復活を繰り返し,単一の天体衝突による異変とは考えられない。
 
また,バイオマーカー(通常は化石に残らない小さな生命体が遺した化学的残留物)を調べた結果,白亜紀末を除く大量絶滅期には世界の海が非常な低酸素状態に逆戻りしていたことがわかった。無酸素状態でのみ生息する光合成硫黄細菌などが,当時の海面表層で大繁殖していたのだ。
 
考えられるシナリオは以下のようなものだ。まず,大規模な火山活動によって膨大な二酸化炭素とメタンが放出され,急激な地球温暖化を引き起こす。海水温が上がって,大気から海に溶け込む酸素の量が減る。これに伴い,深海の硫酸塩還元細菌が作り出した硫化水素に満ちた水が表層に湧き上がり,硫黄細菌が繁殖するとともに,酸素呼吸をする海生生物が窒息死する。硫化水素は大気にも拡散し,陸上の動植物の命を奪うほか,上空のオゾン層を破壊する。オゾン層の保護が失われ,太陽の紫外線によって残りの生命も死に絶えたのだろう。


著者
Peter D. Ward
ワシントン大学(シアトル)で生物学科と地球・宇宙科学部門の教授を務めている。彼の地球に関する研究の中心は太古の大量絶滅事象,アンモナイトの進化と絶滅で,後者に関しては本誌に執筆した記事もある(「アンモナイトの絶滅」サイエンス1983年12月号)。また,地球上に出現した最初期の生命体に関する研究から得た原理を,米航空宇宙局(NASA)宇宙生物学研究所の研究に適用し,宇宙で生命が存在しうる場所を探っている。このテーマについては,本誌にゴンザレス(Guillermo Gonzalez),ブラウンリー(Donald Brownlee)と「過酷な宇宙で生き残れる場所は」(日経サイエンス2002年3月号)を執筆したほか,ブラウンリーとの共著による一般向け解説書『Rare Earth: Why Complex Life Is So Uncommon in the Universe』(Springer, 2003)がある。

原題名
Impact from the Deep(SCIENTIFIC AMERICAN October 2006)
 

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