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【ドラマ・企業攻防】日本メーカーの“甘さ”露呈したスピード水着問題     「MSN産経ニュース」
http://www.asyura2.com/07/news6/msg/476.html
投稿者 mei 日時 2008 年 6 月 25 日 00:21:33: NXmHNZ/QqaRFE
 

2008.6.21 15:16

このニュースのトピックス:ウイークエンド「MSN産経ニュース」

競泳ジャパンオープン2008の女子200メートル自由形・決勝。スピード社の水着がずらり=6月6日(奈須稔撮影) 世界記録を連発し、「競泳の歴史」というよりも、「競泳水着の歴史」を塗り替えた英スピード社製レーザー・レーサー(LR)問題。日本水泳連盟が、ミズノ、アシックス、デサントの国内3社との契約を覆して日本代表選手もLRを着られるようにしたことで、日本中が注目した騒動は一応決着した。だが、ハイテクを誇ったニッポン製造業の惨めな“敗北”に、後味の悪さは否めない。極薄水着のLR騒動から透けて見えたのは、技術偏重・情報軽視という日本企業特有の弱さや、競泳界と国内メーカーという狭いムラ社会にみえる甘えの構造だった。


ミズノの動揺

 今回とりわけ苦い思いをしたのが、日本のエース・北島康介選手と契約するミズノだろう。ミズノの受けたショックは、他の2社とは比較にならない。それは、「誤算」が重なる悲劇のドラマでもあった。

 スピード社との42年に及ぶ共同開発契約を打ち切り、自社ブランドで世界に打って出た矢先のLR騒動。「スピード社の歴史的水着と評される『シャークスキン』は、ミズノの技術というのがもっぱらの見方」(大手スポーツメーカー)。スポーツ用品業界でも、ミズノのつまずきは想定外だったようだ。

 北島選手との契約金額は明らかでないが、年間5000万〜6000万円とも言われ、競泳に関する用具はすべて無料で提供。前回五輪直後から4年の歳月をかけ、ミズノは水着の開発に専念した。すべては世界200カ国で放映される北京五輪で、「MIZUNO」のロゴを付けた選手が登場する日のためだった。

 スターである北島選手とのスポンサー契約を結ぶミズノは、6月10日の日本水連による解禁直前まで、契約選手のLR着用に否定的だった。解禁前に水野明人社長が報道陣に囲まれた話がもとで「ミズノ、契約選手のLR着用容認へ」と報じられても、現場の担当者は「社長はサービス精神が旺盛だから。言葉尻を捉えられただけ」と真に受けず、火消しに走ったほど。


誤算の起点

 ミズノの誤算は、どこから始まったのか。

 昨年6月1日、ミズノは自社ブランドの競泳用水着「アクセルスーツ」を発表した。陸上選手用スーツなどで実績を積む三次元仕立て技術を初めて水着に採用、動きやすさとフィット感を両立した技術を水着に応用したものだ。北島康介選手は発表会の舞台で、「着心地は最高。世界一の水着だと、僕からも発信できるようがんばりたい」と話し、報道陣の求めるまま愛きょうを振りまいた。

 ミズノは1920年代から水着を生産しているが、65年からはライセンス契約を結んだスピードのブランドで、同社と共同開発した水着を国内販売してきた。日本の競泳選手が、ミズノのロゴ入り水着で五輪に挑んだのは72年のメキシコ五輪が最後となる。

 ミズノは近年、自社ブランドによる世界事業展開に方針を転換。他の製品と同様、水泳関連商品でもライセンス契約を切った。発表会見の後で水野社長は「やっとスピードとの契約を打ち切ることができた」と、満面の笑みを浮かべた。それは「スピード何するものぞ」と、勝算を胸に秘めた余裕の表情ともいえた。

 技術力をバックに世界で躍進を期したミズノだが、長年のパートナーの力を甘く見たのか、情報戦で重大な遅れを取った。

 すでにスピード社は3年前から、国際水泳連盟(FINA)の規定に抵触しかねない次世代水着・LRの開発を極秘裏に進めていたからだ。

契約の意味

 「代表選手に着用を認めてあげて」「利権で選手を縛るのか」ー。

 LR問題の過熱で、契約選手や社員選手のいるミズノなど3社にはメールや電話で要望や抗議の声が殺到した。3社の売上高に占める水着の割合は、ミズノが3%、伊「アリーナ」ブランドを展開するデサントが4・5%、アシックスは1%未満と低い。だが、「国内メーカー完敗」のイメージは消費者にすり込まれ、他のスポーツ用品分野への悪影響も懸念される。

 LR解禁時は「違約金を求めない」「水着の選択は選手の判断」と、3社はスポーツの世界らしくさわやかな態度を示した。契約を盾に取れば「正義」は明らかにメーカーにあるが、世論の「圧力」に屈したというのが実情だろう。

 「LRを認めることは、自社製品を否定すること。株主を考えればあり得ないが、LR反対を貫けば国民から反発をくらうのは明白」。某メーカー幹部は、苦しい胸の内を語った。


水連の判断

 一方、LR着用選手による世界新記録が30以上となった時点で、日本水連の「LR解禁」は既定路線だったはず。5月7日に「改善案提出要請」を出したのも、スポンサー契約を結ぶ3社の顔を立てたうえで、LR解禁にこぎ着ける段取りとの見方が強かった。

 5月30日の改善案提出の会見で日本水連からは佐野和夫専務理事ら複数幹部が登壇。再提出された水着とLRを比較し、「選手の意見を聞いて結論を出す」と強調した。LR解禁の見通しを問われて、「何度も言っている。決めるのは選手であって、日本水連ではない」と声を荒げた。そこには責任回避とメーカーへの甘えの姿勢がみえた。

 すべてが決着した6月10日夜、東京都渋谷区の岸記念体育会館で開かれた会見で日本水連が出したLR解禁の見解は、「北京五輪以降も、3社との契約はこれまで通り」。他社製品着用はあくまで「北京五輪に限る」という奇妙なもの。契約が何ら効力を持たないという悪しき前例が残った。ムラ社会の甘えの構造は、今後も続きそうだ。

 スピードの「独り勝ち」は、FINAのスポンサーでもある同社の政治力と無縁ではない。表面加工で国際ルールに抵触するとみられたLRの認可には、世界の水着メーカーが一様に驚いた。つまり、「技術力で完敗した」とコメントした国内メーカーは1社もなく、「してやられた」との思いが噴出した。遅きに失したが、すでに国際的な“スピード包囲網”が形成され、ルール見直しの動きが水面下で始まってもいる。

 「試合結果を見てのことだが、契約のあり方を見直さざるを得ない」。メーカー幹部はこう話す。スポンサーは道楽ではない。日本水連と国内メーカーのなれ合い体質は、国際スポーツビジネスの冷徹な現実を前に、再考を迫られている。
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080621/oth0806211532009-n1.htm

 


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