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やらせタウンミーティング 城山三郎さん/門野晴子さん/大塚英志さん―毎日新聞
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 12 月 19 日 18:04:43: 2nLReFHhGZ7P6
 

特集ワイド:やらせタウンミーティング 城山三郎さん/門野晴子さん/大塚英志さん

 最後になって、政府主催のタウンミーティング(TM)についての調査結果が発表され、やらせ質問やケタ外れな運営費が問題化した今国会。なのに小坂憲次前文部科学相が「TMで国民的な理解を深めてきた」と説明した教育基本法改正案はあっさり可決され、事実上閉会。この国の民主主義はどこかおかしくなっていないか。【太田阿利佐、坂巻士朗】

 ◇もっと怒らなければダメ−−作家・城山三郎さん

 あまりにもずるい。ずるいというか、せこいと思います。国民の声を聴くために始めたTMでやらせ質問をさせたり、参加者を抽選で選ぶふりをして反対意見と思われる人を排除していたのがまず、ずるい。さらにTMの調査結果を、安倍晋三首相が出席した衆院教育基本法特別委員会の集中審議終了後に発表したのも、せこいとしか言いようがない。政治家が小さくなりましたねえ。こんな国に住んでいたくないですね。

 調査結果の発表の翌々日に、参院で教育基本法改正案を賛成多数で可決でしょう。びっくりしました。教育基本法改正については、当時の小坂憲次文科相が「タウンミーティングで国民的な理解を深めてきた」と説明して、改正を進めてきたんでしょう。国の教育の方向を決める大事な法律を、こんなふうに扱っていいのか。こんなことを許してはいけないと思う。大体、改正法には“愛国心”が盛り込まれていますが、“愛国心”ほどいいかげんなものはないんです。

 私は小泉純一郎前首相と何度かお会いしたことがありますけれど、ぜひもう一度お会いして「やらせはあなたが知っていたことなのか、それとも周りが勝手にやったのか」とお聞きしたいですね。嫌かもしれませんが、民主主義の国のトップだった者として大事なことですよ。

 安倍首相は当時、官房長官でTMを仕切る立場だったそうですが、なぜ堂々と国民と議論しようとしなかったのか。官僚にも一人ぐらい、国民を欺いてはならないと異を唱えた者はいなかったのか。国民をばかにしていると同時に、自分も政策・法案も大したものだと思っていないんでしょう。国民にうそをつく、国民に害を及ぼすような官房はいらない。「心ならずもやってしまった」で、後から「ごめんなさい」では済まない。

 やらせの議論にはインテリやマスコミももっと怒らなければダメです。国民が、民主主義はこんなもんだと思ったら、民主主義のレベルがどんどん下がっていく。その先にあるのは戦争だと私は思います。

 ◇金で解決は美しくない−−ノンフィクション作家・門野晴子さん

 安倍晋三首相は、TM問題の責任を取って給与100万円を返納するとか。何でもお金で済ませようという一番安易な考えにしか見えません。それこそ美しくない。1回平均2200万円もかけていたんでしょう。税金ですよ。中途半端なお金は返すな、と言いたい。本当に罪滅ぼしの思いがあるなら、すべて返してほしい。安倍さんが仕切って、小泉純一郎前首相時代にやったのだから、小泉さんだって弁償すべきです。

 でも私は、一銭も取らずにきちんと責任を取って白紙に戻せと言いたい。中途半端なお金を返すことで、与党・保守を信じたい、たくさんの人たちをなだめて責任をあいまいにするつもりなんでしょう。免罪符を買うみたいですね。

 TMや今国会でやったことは、要するに民主主義のやらせなんですよ。あらかじめ結論は決まっていて、議論の中身が何もない。日本は、国や地方の役所も企業もとにかく「満場一致」が好きでしょう。なぜかといえば「和」が大事だから。「美しい国」の美徳が「和」なんです。美しい「和」を演出し、なおかつ議論をしたという既成事実を作るためにはどうしても根回しが必要になる。やらせ質問者を用意したり、反対意見の人を抽選を装って排除したり。日本ではこれまでPTA総会から、介護保険に関する自治体主催のシンポジウムまで、ありとあらゆるところでやらせ議論がされてきた。TMは、国家レベルでやった世論形成のやらせ。独裁政権の北朝鮮とどこが違うのか分からない。そしてやらせが通らなくなると、今度は多数決の「暴力」で解決する。

 現行教育基本法と改正法を読み比べるとほとんど同じことが書いてある。変える必要はないんです。結局、“愛国心”を書き込むためだけの今回の茶番劇。これを露払いにして、いよいよ憲法9条に手をつけようとしているんでしょう。

 民主主義を実現するために作られた教育基本法が、やらせ民主主義と多数決の暴力で変えられたことに絶望を感じます。

 ◇次の選挙で「民意」示せ−−漫画原作者・大塚英志さん

 やらせ問題を国会でただされた伊吹文明文科相が「民意を集約するのは選挙だ」という“正論”で居直りましたよね。教育基本法改正を求める民意は、TMではなく、選挙で確認済みだというわけです。去年秋の郵政選挙で与党が大勝したんだから、民意は示されていると。

 小泉純一郎(前首相)の仕掛けた「郵政民営化」是か非かという単純な構図に有権者もメディアも乗ってしまいましたが、自民党のマニフェストに、教育基本法の改正は入っていた。与党が勝ったんだから、「民意」はマニフェストの内容すべてに対してイエスだったということです。ルール上はそれが正しいのであって、これは民主主義の悪用と言える。けれど同時に、その仕掛けに乗せられた有権者にも責任はある。

 小泉路線の延長線で誕生した安倍晋三政権は、郵政造反組が復党し、まさに翼賛体制になった。内閣の支持率が下がったといっても、それだけで衆院を解散する理由にはならない。安倍政権は任期満了までやるつもりでしょう。次は憲法改正です。教育基本法改正案を強引に成立させるやり方を見ると、憲法も危ない。でも、それも与党は「民意だ」と居直ることができる。

 国会の終盤になって、教育基本法の改正は問題だという声が大きくなった。法案は通ってしまったが、今感じている困惑や違和感、いら立ちといった感情をどう持続させられるか。まず、郵政選挙で小泉政権を支持した結果が現状につながった、という責任を自覚することです。争点を郵政民営化だけに見せてしまったマスコミも同様です。

 そのうえで、次の選挙に臨むべきです。与党に対して、「民意」を示すのが選挙だという当たり前のことを次の選挙できっちりやる必要がある。アメリカ国民が、中間選挙でブッシュ政権にノーを突きつけたように。民主主義という制度を使うのです。野党だって、教育基本法の再改正をマニフェストに掲げるべきです。有権者が、郵政選挙で民主主義を誤用したツケは自分たちで払うべきです。

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 1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として、特攻準備をしながら終戦を迎える。著書は「総会屋錦城」「落日燃ゆ」「官僚たちの夏」など多数。

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 ◇かどの・はるこ

 1937年、東京生まれ。教育、介護に詳しく、著書に「寝たきり婆あ猛語録」「星の国から孫ふたり バークレーで育つ『自閉症』児」など。

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 ◇おおつか・えいじ

 1958年、東京生まれ。神戸芸術工科大教授。サブカルチャーにも詳しい。著書に「憲法力−いかに政治のことばを取り戻すか」など。

毎日新聞 2006年12月19日 東京夕刊
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