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気になる『愛国教育』 (東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2006 年 12 月 24 日 09:37:51: HZN1pv7x5vK0M
 

社説
2006.12.24
週のはじめに考える
気になる『愛国教育』

 「国を愛する態度を養う」ことが教育の目標に加えられました。さまざまな危うさを感じます。「いつか来た道」にならないか。ことし一番心配になったことです。

 「改正教育基本法などは、戦後レジーム(体制)から脱却して、新たな国づくりをする礎です。この国会での成立は大きな第一歩です」

 安倍晋三首相は、臨時国会後の記者会見で満足な表情を見せました。

 長年の念願だった教育基本法が五十九年ぶりに改定され、目標として「我が国と郷土を愛する…態度を養う」(第二条)という文言が盛り込まれたからです。

 しかし、国会審議が順調にいったわけではありません。

■ 戦前の教訓を忘れずに

 「『国を愛する態度』とは、歴史や文化、伝統、自然を愛する気持ちをはぐくむことだ。統治機構としての国が行うことを愛せよということではない」

 安倍首相は、こうした答弁を何回も繰り返しました。「愛国教育」に数多くの懸念や疑問、心配がぶつけられたためです。

 一つは戦前の「愛国教育」の“後遺症”のためです。

 時の軍部独裁政権は「忠君愛国」の名のもとに国論を統一し、「国のために命をささげる」教育を徹底しました。その結果、「一億火の玉」、無謀な戦争に突入して、この国は亡国寸前の憂き目を見ました。

 さらに、時々の政治課題や経済の動き、世の中の風潮と関係ない純粋培養のような愛国心はあり得るのかという疑問もあります。

 新基本法では「教育の中立」を残しながらも、わざわざ「法律の定めるところにより行う」という文言を付け加えました。法律に基づく指導や通達の効力が強化される、教育の現場からの心配です。

 「国を愛する態度」の表し方を文部科学省や教育委員会が決め、学校へ指示、命令することはないのか。

■ 多様な愛し方がある

 「国旗国歌法」制定の際、時の首相が「強制しない」と明言したにもかかわらず、教育委員会の方針に従わない職員を処分した自治体が実際に出てきています。

 統治者が愛すべき「国」と「統治機構としての国」とを区別するのはそう簡単ではありません。

 もう一つ心配なのは、首相の戦後認識です。「地域や国に対する愛情などの価値観をおろそかにした」と言いますが、そうでしょうか。

 先輩や私たちは、敗戦の廃虚の中から立ち上がり、少しでも豊かな国へと勉強し、額に汗して働いてきました。口にしなくともこれは立派な愛国心でしょう。

 首相を取り巻く政治家や学者の中には、戦前への反省を「自虐史観」、戦後の国家運営の理念を示した憲法や旧基本法を「米国の押しつけ」と切り捨てる傾向があります。

 しかし、戦前の失敗から多くを学び、占領下でも英知を駆使して、少しでもいい国へと努力した結果としていまの日本があります。

 過去を都合よく解釈しての現状認識や未来像は独善になります。「戦後体制からの脱却」が「戦後に行った反省の忘却」では困ります。

 また、長く続いた景気低迷で自信を失った反動、それに韓国や中国の反日に対する反発もあって、いまこの国には排他的で偏狭なナショナリズムがはびこっています。

 こんな風潮や戦後認識が国を愛する教育に反映されては大変です。

 偏狭な愛国教育は亡国を招く−これが戦前の教訓の一つです。

 もともと「愛」という「心の問題」を法律の対象にすること自体に違和感があります。まして、時の権力が愛し方を決めるとなれば、多様性を損なう恐れがあります。

 いま戦前を振り返れば、当時の国策に反対するのが最も愛国的だったという理屈も成り立ちます。各個人によるさまざまな国の愛し方を認めることが国を誤らない最良の方法です。

 「学校で歴史的な事実を教えることで、結果的には国を愛する態度が養われてくる」

 歴史教育の必要性を強調した伊吹文明文科相の答弁です。「愛国心は結果」はその通りと思います。

 学校では、各教科で歴史、伝統、文化、風土などをしっかり教えることです。そこまでで十分です。

 こうした学習を通じて、子供たちはこの国がいかなる国か、愛するに足る国であるかは、おのずと分かってくるはずです。

■ 厳しい監視が必要

 改定基本法に基づく、具体的な指導要領や方針はこれからです。再び国を誤らないように、特に基本法改定に反対した国民や政党は厳しく監視する必要があります。危ういとなれば新基本法の改正や廃止も。これも国の愛し方の一つです。

 本来、政治家がやるべき仕事は、国民に国を愛せよと言うことではなく、国民が愛するに値する国づくりに心血を注ぐことでしょう。

 安倍政権はその方向に進んでいるか。来年夏の参院選は国民が初めて審判する機会になります。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20061224/col_____sha_____001.shtml

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