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裏金告発【原田宏二】―東京新聞 特報(1/9)
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投稿者 天木ファン 日時 2007 年 1 月 10 日 13:38:51: 2nLReFHhGZ7P6
 

私たちの「美しい国へ」 <6>

裏金告発

 二〇〇四年二月十日午後二時、札幌市の弁護士会館。テレビカメラと照明機器の並ぶ記者会見場に足を踏み入れると、五十人以上の報道陣が、原田を振り向いた。

 原田宏二。北海道警の元釧路方面本部長である。道警採用のノンキャリア出身ながら最終の階級は警視長。警視総監、警視監に次ぐこの階級は、警察社会で雲上人にも等しい。そんな最高幹部OBが、報道陣の前で警察の裏金問題を告白したのだ。

 原田の告白は衝撃的だった。国費である旅費や捜査費、道費である捜査用報償費、参考人旅費などを使って裏金をつくり、副署長らが裏帳簿で管理。警察署の署長交際費、懇親会費、道警本部では警察庁接待などに使った。そして、ニセ会計書類や二重出勤簿を作り、「架空の事件」をでっち上げて国の検査を逃れたこともあったというのである。

 原田証言を機に、警察の裏金問題は拡大してゆく。道警は捜査費など約十一億円の裏金化を認め、〇五年十一月までに国と道に計九億六千万円を返還するはめに陥った。

 警察庁は捜査費支出の際の偽名領収書を廃止するよう通達するなど、火消しに躍起となったが、静岡県警、福岡県警、京都府警など日本列島各地で裏金が発覚。

 高知県警は昨年十二月、警部以上だった幹部百十三人の処分に追い込まれた。警察の「裏金ドミノ」はとどまるところを知らない。

 間違いなく、ドミノのキーパーソンといえる原田の自宅へは、激励のみならず恫喝(どうかつ)の手紙が舞い込む。「偽善者め! 裏切り者の報いは、お前が死しても残る!」。心の通じている現職警察官やOBから「身辺に注意した方がいいです。警察は何をするか分からない」との忠告も寄せられる。

 その原田は、情報公開などに詳しい弁護士・清水勉とともに「明るい警察を実現する全国ネットワーク(警察ネット)」を運営し、講演活動などで全国を駆け回るかたわら、長年、裏金づくりを拒否し続ける警察官らと連携、もしくは支援している。

 原田が「愛媛の厳窟(がんくつ)王」と名付けた仙波敏郎巡査部長も、その一人。愛媛県警鉄道警察隊に勤務当時の〇五年一月、仙波は松山市の弁護士会館で記者会見。裏金システムの実態を告発したが、一週間後に通信指令室へ配置転換された。〇六年六月、県人事委員会は「人事権の乱用」を認定し「異動は妥当性を欠く不利益処分」と断じた。しかし、不服とする県警が十二月七日、人事委に再審請求した。「厳窟王」の闘いは続く。

 原田は言う。「現場で一生懸命やっている連中が、最後は組織につぶされてゆく」。仙波は、その典型だという。

 「仙波のほかにも、裏金システムにクレームをつけた警察官は、たくさんいる。仕事熱心な警察官たちが警察に絶望して職を辞したり、要注意人物のレッテルをはられ飼い殺しにされている」

 原田は「裏金システムは、現場の捜査費不足を生む。それでも捜査員は、猟犬のように拳銃を追う。ノルマに追われながら」と話す。そんな事情が、無理な捜査手法の蔓延(まんえん)につながったという。例えば「首なし拳銃」捜査のような。

 長年、拳銃摘発に携わった関西の元警察幹部は「警察官が外部の協力者に、拳銃をコインロッカーなどに隠すよう頼み、タレコミで分かったふりをして拳銃を押収する捜査手法がある。拳銃の持ち主(首)は分からなかったこととし、協力者は検挙しない。これが首なし拳銃だ」と解説する。「だから、首なし拳銃捜査は立派な犯人隠避罪なんだ」とは原田。

 前出の警察幹部は「拳銃一丁入ると(摘発すると)警察庁から百万円(の捜査費)が出るといわれていたが、途中、さまざまな幹部に半分ずつ抜かれてしまい、手柄を立てた所轄署に届くのは、八分の一の十二万五千円だった。それも署長の自由裁量になるため、捜査員は自腹を切るほかなかった」と明かす。捜査費の大半が裏金に回り、飲み食いに費消されていたのか。

■自腹しかないエース捜査員

 原田は、拳銃摘発に剛腕を発揮した刑事を思い出す。危険な協力者を使って首なし拳銃捜査に全力投入した彼は、警察部内でエースともてはやされたが、家族の身を守るため自宅以外のマンションを転々とせざるを得なかった。ところが、捜査費が与えられないため、こういう刑事は自腹で協力者に金を提供するうち資金ショートに陥り、交換条件として薬物取引を目こぼしし始めるケースもあるのだという。

 そこまで現場に無理をさせる背景に、原田はキャリア組の警察官僚が描いた「机上の空論」をみる。

 「旧来、各都道府県警が刑事部の暴力団捜査の中で行ってきた拳銃摘発を生活安全部に移管し、銃器対策課という専門部門までつくったのは警察官僚だ。どんな捜査も狭い範囲に特化すると成果を上げにくくなり、無理をする。新組織をつくった以上、実績を上げねばならないのが警察でもある。『とにかく拳銃を挙げろ』の大合唱が現場を圧迫したことは否めない」と原田。「警察ほど現場性の強い官庁はないのに、現場を知らないキャリア官僚が間違いを犯している。その典型が“平成の刀狩り(拳銃摘発)”だ」

 たしかに、暴力団組員の妻の釈放を条件に、警察が組員に拳銃を要求する事件、警察官が拳銃四丁を二百万円で購入する事件などが続発した。警察の内情に詳しいジャーナリスト・大谷昭宏も「キャリア警察官が全国の警察に銃器対策課をつくった結果、銃器発見の“やらせ”が多発した」と断言する。

 新聞記者時代、警察取材に明け暮れた大谷は、上の圧力が現場をやらせ捜査に走らせたあげく、現場だけがトカゲのしっぽ切りに遭うと感じている。「官僚の失政はいつも責を問われない。民間と大違いだ」。警察官僚批判を口にしてはばからない。ずいぶんと警察内部のシンパを失ったかと思いきや、そうではないという。「現場にもキャリアにも、良識派っているものなんだ」

 トカゲのしっぽが反論しなければ、警察は蘇生(そせい)しない。原田たちの思いを煎(せん)じ詰めれば、こういうことだろう。

 友人の忠告通り、原田の身辺には“監視の目”がつきまとう。きょうは? 積雪に足を取られながら聞く記者に「いないみたいだね」。最近の警察は尾行がへただから、いれば、すぐ分かるという。偶然すれ違った元部下が笑顔をよこした。後悔していませんか? 記者のこんな愚問には「上を向いて歩くよ。胸を張ってね」。まるで、趣味か星座でも聞かれたような調子で答えた。「日本ではね、内部告発者は、まだ密告者扱いなんだ」。ほほ笑みを残して、原田は、札幌の夜景に溶け込んでいった。 (敬称略、市川隆太)

<デスクメモ> 十年以上前、夜回り取材で刑事から「警察の経理はでたらめだ」という話を聞いた。当時は記事化する頭も腕もなかった。いま警察の裏金の記事が出るたびに、古傷がうずく。あの刑事も悩む一人だった。組織をとことん守ろうとする「警察一家」。閉鎖社会ともいえる中で、異端者となる勇気は想像を絶する。(里)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070109/mng_____tokuho__000.shtml

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