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ゲートキーパー法が密告社会をつくる [ビデオニュース・ドットコム]
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投稿者 white 日時 2007 年 2 月 01 日 12:27:37: QYBiAyr6jr5Ac
 

□ゲートキーパー法が密告社会をつくる [ビデオニュース・ドットコム]

▽「ゲートキーパー法が密告社会をつくる(1)」

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070201-03-0901.html

2007年2月1日
「ゲートキーパー法が密告社会をつくる(1)」
ゲスト:海渡雄一氏(弁護士)
 今週は、弁護士の海渡雄一氏をゲストに迎え、ゲートキーパー法なる天下の悪法の成立を狙う安倍政権の真意を考えた。
 ゲートキーパー法はマネーロンダリング(犯罪収益の移転)の疑いがある時に、それを警察に報告する義務を金融機関や税理士など50の職種に課すもので、安倍政権は今国会での成立を目指している。しかし、50の職種の中に弁護士が含まれているため、日弁連を中心に反対運動が広がっている。弁護士が依頼者の違法行為を警察に報告する義務を課されてしまっては、守秘義務も何もあったものではない。しかも弁護士は疑いがあるだけで報告が義務づけられ、報告を怠れば弁護士資格を失う可能性もある上、警察に報告した事実を依頼者に漏らしてもいけないという条件までつく。
 この法案が報告を義務づけているのは、マネーロンダリングの疑いがある場合に限定されているかのような表記があるが、実際には対象は犯罪収益全般に及ぶ。つまり、違法な事業を行っているテナント(例えば著作権違反など)に部屋を貸しているアパートの大家や、極論すれば暴力団から出前の注文を受けた寿司屋まで、この法案では報告義務の対象となる。そして警察は報告があれば、その口座を凍結できるのだという。つまり大家や寿司屋の銀行口座をである。
 弁護士の海渡氏は、「この法案が通れば、市民は弁護士に何でも相談ができなくなってしまう。また一方で、この法案が密告を義務づけているために、密告社会化を生めてしまう天下の悪法だ」と斬って捨てる。実際、この法律ができれば、市民社会はもはや弁護士を全面的に味方と考えることができなくなる一方で、法案の提出者である警察庁は、全ての業界を自らの監督下に置くことが可能となる。弁護士が警察の監督下に置かれることになる法律。それがゲートキーパー法の実態だと海渡氏は怒りを露わにする。
 海外ではイギリスを除いて、同様の法案が一度は可決したものの、差し戻されたり、違憲訴訟に敗れて廃止になったりしているというが、遅ればせながら日本は今になってそんな法律を通そうとしているのだ。
 「警察が本気で通したがっている法律に、面と向かって反論することで生じるリスクを負いたい政治家がいない」ことが、このような悪法が国会を通過してしまう最大の理由との海渡氏は言うが、実際にこの法律は政治家自身にも累を及ぼす危険性のある極めて危険な法律にも見える。
 今国会では悪名高き共謀罪も依然としてまだ継続審議となっているが、これは日本がすでに警察の恐怖政治がまかり通る時代に突入しているということなのか。もしそうでないのなら、与党はなぜこのような法律を作ろうとするのか。もともとこの法案はOECDのマネーロンダリング防止のための勧告に基づいたものだが、このような監視社会化を推進する世界の趨勢は一体どこからくるものなのか。海渡氏とともに考えた。
 

「天下の悪法」の中身とは
 
神保:ゲートキーパー法ですが、資料を読んだところ「冗談だろ?」というような法律でした。今日はゲートキーパー法の中身を検証した上で、誰がどのような意図でこのような法律を導入しようとしているのかについて、考えていきたいと思います。
 
海渡:まず法案の名称を僕らは明記することができません。警察庁が作って国会議員に撒いている説明ペーパーからしかわからないのですが、「犯罪収益の移転防止法案」という名前でしょう。マネーロンダリングを「犯罪収益」と呼び、それを防止する法案ということです。簡単に言うと約40から50の業種、銀行、クレジットカード業者、不動産業、電話取次業、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など経済取引に関わってくる業種に一定の義務を課そうというものです。
 義務は三つあります。一つは本人の確認。簡単に言うと運転免許書を見せてもらいコピーをとっておくこと。そして二つ目は、取引の記録を残しておく。簡単に言うと契約書を保存しておくこと。ここまでは理解できるのですけれど、三つ目が犯罪収益と疑わしいものがその中に混じっている場合、これは「確認した場合」ではなくあくまで「疑わしい場合」ですが、監督官庁を通じて警察に通報しなくてはいけないということです。
 我々は弁護士なので、弁護士が警察に通報させられることを問題にしていますが、実際には40から50の業種についてこのような義務が課されます。例えば、宝くじが当たった場合、それまでお金を持っていなかった人が大金を得て宝石を買いに行ったとします。宝石店では人相風体からみてお金持ちに見えないので、(犯罪収益と疑われ)途端に通報されると思います。
 さらに、疑わしい取引を報告、密告したことを本人に伝えてはいけないといこうことも法案に書かれています。
 
神保:しかも通報は義務ですね。
 
海渡:義務です。この義務は既に銀行には課されています。普通の人は知らないですが、日本の銀行は年間10万件の疑わしい取引を金融庁に報告しているのです。皆さんも報告されているかもしれませんよ。
 取引が頻繁だとか、職業に比べて収入が大きすぎるとか、送金先が遠い国で取引の内容が明らかでないとか、そんなレベルで通報されます。
 
神保:銀行口座が税務監査の時政府にチェックされることはありますが、ゲートキーパー法ができると、警察が個人の銀行口座をチェックできてしまうわけですね。
 
海渡:これまでも銀行は、犯罪の疑いがある時は通報の義務を負っていました。しかし、ゲートキーパー法では銀行以外にも40もの業種が対象となります。そのなかにはクレジットカード会社とか信託会社とか、ありとあらゆる業種が含まれます。そして最後に司法書士、弁護士、公認会計士、税理士まで対象にしてしまおうということです。
 
宮台:銀行に限られていたとしても警察が潜在的、顕在的コネクションを使って、例えば同級生の関係でもよいのですが、銀行に通報させればその口座は捜査対象としてみることができるのですね。
 
海渡:それで、内偵捜査が始まると、検挙する前に口座を凍結することができます。「没収保全措置」と言うのですが、犯罪収益を没収するための保全という名目で口座を凍結できるのです。
 
宮台:事業主ならそれによって息の根を止められてしまうかもしれませんね。
 
海渡:その通りです。僕らは弁護士なので、実際にそういった事例にあたったことがありますが、訳の分からない理由である日、口座が凍結され、それが原因で会社が倒産してしまう。きちんとした理由のある海外送金を疑われて「見込み」で金融機関が通報し、口座が凍結されれば会社は倒産ですよね。こういったことが既に起きているのです。
 今のところ、警察庁の法案では弁護士が懲戒され、資格を奪われます。弁護士にとっては死刑宣告です。しかし、イギリスやこの法律を導入した国ではそれが刑事罰になっているところもあります。
 現実に最近イギリスで明らかになったケースを紹介しますと、不動産の売買で通常の市価に比べて非常に安い取引がありました。実は売り主に問題があったのですが、取引に関わった弁護士がその報告をしませんでした。市価に比べて安いので報告すべきだったのに報告を欠いていたということで、その弁護士は一審判決では懲役15カ月となりました。これは過失ですよね。故意に隠したのではなく過失。過失報告懈怠財と言うのですが。
 
神保:利益を得た訳ではないですよね。
 
海渡:全く利益は得ていません。これはあまりに気の毒なのでイギリス中の弁護士が運動をして、ようやく2審判決では懲役6カ月になりました。それでも実刑判決です。
 
神保:弁護士の資格も失ったのですか。
 
海渡:もちろん。
 
神保:この法案が通れば「通報しなくてはいけない」と思わせる効果はありますね。
 
海渡:イギリスの場合、最初は少なかったのですが、今は年間1万件の通報が弁護士からされています。
 
神保:ところで、今回の法案はマネーロンダリングの疑いがある行為を見つけたら当局へ通報すること、という言い方になっています。マネーロンダリングとは資金洗浄で「国際的なドラッグ・トラフィッキンング」とか「武器密輸」みたいなイメージですが、犯罪収益というと「貸していたアパートで違法な動物を売っていた」場合、そのアパートの家賃収入も犯罪収益となりますよね。ちょっとマネーロンダリングとの間のギャップを感じます。つまりこの法律は国際間のマネーロンダリングだけではなく、何でもかんでも犯罪が絡んだ収益はすべて対象なのですね。
 
海渡:簡単に言うと、共謀罪と同じです。今組織犯罪処罰法で対象になっている犯罪は200です。200でもかなり多いですが、共謀罪の法案が成立してしまうと200が600に増えます。正確には619。窃盗とかだけでなく、公職選挙法とか政治資金規正法とか、著作権法とかなんでも入ってしまう。
 
神保:勝手にウェブサイトをコピーして著作権法を違反しても、ですか。
 
海渡:そういうものを見かけただけでも通報義務が生じます。確かにマネロンとかテロ資金とか言うとすごいことのように思うのですが、政府が言っているのは本当に小さな犯罪でも密告しろということです。
 
神保:ちょっと分からないのはマネロン、テロとか言っているのに、自分の貸しアパートで違法なエロ本を売っていたら通報され、大家の銀行口座まで差し押さえられてしまうということですね。
 しかし、違法なエロ本を売って得る収益が違法収益だとしても、その人に部屋を貸して賃料を受け取っている大家は、どう考えてもマネロンの当事者ではないですよね。
 マネロンという言い方をメディアは安直にするべきではないですね。マネロンと言った瞬間、小さなことでも対象になることが見えなくなりますから。
 
海渡:マネロンという言葉は使わない方が良くて、犯罪収益移転です。犯罪収益移転というとその広さが分かるし、その犯罪収益の対象となっている犯罪が今は200、共謀罪ができると600と覚えていただくと、この制度の恐ろしさが分かると思います。600の犯罪について50の業種に密告義務が課されます。弁護士にも秘密を守ってもらえるか分からない社会になってしまいます。
 
神保:弁護士は、犯罪者の代理人もやってもらわなくてはならない相手です。その人が本人に黙って警察に通報してしまうようでは、誰も信用できないですね。
 
海渡:そこがポイントで、この制度に反対しているのは、世界的にも、弁護士たちなのです。分かりやすい例で言うと、僕たちがこの制度の下で通報し、その通報をもとに刑事捜査が開始されたとします。そうすると、密告した弁護士のもとに刑事弁護の依頼がくる可能性がありますよね。どうやって断るのでしょうか。10年間つきあってきた依頼者に「先生、変な事件に巻き込まれました。お願いします」と相談されたとき「僕が通報したんだよ」とは言えないですし、(法案によると)言ってはいけないんです。弁護士嘘つき法案と言ってもいいくらい。
 
神保:下手すると「なぜバレたのか調査してください」という依頼がくるかもしれませんよね。
 
海渡:恐ろしいのは、イギリスの弁護士と話すと彼らは通報をバンバンしていると言います。それによって、自分の依頼者が経済的に破滅したりします。ここでもし通報したのがその弁護士だとバレても、弁護士は民事責任を負わないのです。これは法律で決められています。自分が頼んでいた弁護士に裏切られて破滅した人は損害賠償の訴えを起こせないんですよ。死ぬほどの恨みが残るだけです。
 僕らがこの制度を、何が何でも阻止したいと思っているのは、弁護士が社会に取って意味のある、依頼者の権利利益を守り、秘密を分かち合える存在であり続けるためです。
 
神保:海渡さんに聞くのも変なのですが、一連の監視強化法案は国際的なテロ撲滅の流れに沿うものだという主張がされることが多いですよね。今回も国際的な動きとの関連性があるのでしょうか。
 
海渡:もちろんそうです。共謀罪の場合は国連の組織犯罪条約でした。今回はOECDの中の金融作業部会(FATF)です。1990年にFATFがマネロン防止のための勧告を40個作ったのが発端で、これをそのまま国連条約に持ってきたのが、組織犯罪条約です。これが第一次のFATF勧告と国連の犯罪防止条約。今回出てきているのは第二次勧告です。第二次勧告は2003年にFATFで出来ました。
 イギリスはFATFの勧告の前から、ゲートキーパー法をやっています。これが真っ先に飛び火したのがヨーロッパ大陸です。ただ、ヨーロッパの場合は、制度はできたけれど、あまりにもひどい制度なので、実際に弁護士の通報は行われていません。そして各国の弁護士は制度の廃止を諦めていなくてベルギーとポーランドでは弁護士会を上げての訴訟をやっていてそれをヨーロッパ中の弁護士会が応援し、制度の廃止をヨーロッパ司法裁判所に訴えています。アメリカは弁護士の力が強いのでアメリカ政府は、法案の提案さえしていません。カナダはイギリス法系の国なので一旦イギリスとほとんど同じ精度が作られましたが、カナダの弁護士会が猛反発して、法律が出来てから施行されるまでにすべての州で訴訟を起こして勝ったため、制度は撤回され、依頼者密告制度は作らないことが確定しました。
 そういう意味では世界はまだら模様になっています。最悪はイギリス。ヨーロッパはまだら模様。カナダもアメリカもやっていない。ましてやOECD諸国以外はどこもやっていません。韓国の弁護士はうち(韓国)はやらないだろうと言っています。(PART2へ続く)


▽「ゲートキーパー法が密告社会をつくる(2)」

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070201-04-0901.html

2007年2月1日
「ゲートキーパー法が密告社会をつくる(2)」
ゲスト:海渡雄一氏(弁護士)
誰のための法案か
神保:日本政府はなぜそんなにこの法律を通したいのでしょうか。
 
海渡:今まさに生々しくやり合っている最中なのであまり具体的には言えませんが、差し支えの無い範囲で言いますと、やはりこれは法務省ではなく警察だと思います。
 法案提出は警察庁です。法務省は何が何でもやりたいとう姿勢ではありません。彼らは法律家だから、法律家が依頼者を密告せざるをえなくなる制度には「座りが悪い」のです。共謀罪を進めていた杉浦法務大臣も「この制度(ゲートキーパー法)はよくないのでは」と言っていました。
 警察はこの制度が出来れば、すべての情報を吸い上げる訳ですから、様々な業種の所管官庁の上にそびえ立つことになります。弁護士会は日弁連を経由したことになっていますが、日弁連の上に警察庁が君臨することになるんですね。そうすると、あらゆる業種から上がってくる疑わしい取引の情報をすべて集めてコンピューターに蓄積し、天下無敵に情報機関になっていきます。
 
神保:警察国家になってしまうじゃないですか。そもそも弁護士会が警察庁の監督官庁になるなんて、めちゃくちゃな話ですよね。
 
海渡:この問題の本質は、あらゆる取引の所管官庁の上に警察を作り、弁護士会は今のところ所管官庁がないのですか、(警察が)弁護士会の事実上の所管官庁にもなることです。弁護士かがきちんと通報しているか、警察が監督できるようになるのです。
 
神保:いくつか問題がありますよね。まず密告で弁護士が信じられなくなる。市民社会と弁護士の間に溝ができて、弁護士が市民ではなく統治権力側の存在になる。そして警察がすべての情報を握ることで、警察の力がものすごく強くなる。
 
海渡:そういう体制の元でもあくまで依頼者に寄り添い、通報をしない弁護士がいたら、その弁護士の地位、資格を奪うことが出来るんですね。
 
宮台:密告奨励による市民的倫理、人倫の荒廃もありますし弁護士の地位の不安定化の問題もあります。例えば首相官邸と警察がつるんでしまえば自分に都合の悪い奴の息の根を止めるのは簡単ですよね。口座凍結で事業が回らなくすることも出来るし、ある人間に協力している人間の息の根を止めるのも簡単。さらに言えば、弁護士と同等の機能を果たす闇弁護士みたいな存在が要求されますから。
 
海渡:人を陥れることがかなり簡単に出来るようになるんです。気に入らない人を、その人が関係した何らかの取引機関から通報させることによって、破滅させることが出来ます。間違っていても責任を問われないのですから「疑わしいと思っただけです」と言えば免責されてしまいます。
 
宮台:政治家が陥れられる可能性はいくらでもあるのに、何故政治家たちはこんなに鈍感なのでしょうか。
 
海渡:警察がこの件を仕切るというのは、金融庁や経済産業省が仕切るのとは違います。そこで得た情報でお前の息の根を止められるんだぞという力をバックにしているんです。
 
神保:既に警察には脅す力があり、さらにそれが強くなると。もうだれも警察に太刀打ちできなくなりますね。
 
宮台:今、警察がこの法案を巡ってロビイングしている背景になる力は、警察でなければ持っていない力です。この法案がなくても警察は色々なことを操作する力を持っているので、ビビりますよね。警察を敵に回したくないと思っている議員さんはいるでしょう。いろんな理由でね。
 
海渡:僕は最後まで秘密を守らなくてはならない商売は三つあると思います。一つは宗教。懺悔をばらしてはいけない。それとジャーナリストと弁護士だと思います。今回その一角を崩そうとしてきているのです。次はマスコミにいくんじゃないですか。「マスコミは犯罪を知っていたのになぜ警察に通報しない」といえる世の中になります。
 
海渡:とにかく一人でも多くの自民公明の議員から声を上げてほしいです。もしそこを突破されて国会に提出された場合、問題になるのは警察庁がこの法案を「日切扱い」にしろと言っていること。日限扱いの意味は、「3月末日、年度末までに法案を通してくれ。そうしないと国の予算執行上支障を生じる」という意味なんです。どうして支障を生ずるかというと、もともと金融庁がやっていた銀行の通報制度が4月1日以降は警察庁へ業務移管されます。それが行政内部では決まっているので法律で通さなくてはいけないのです。このことが今回の法案に含まれているんです。
 
神保:一緒になっているんだ。
 
海渡:これはすごく卑怯なやり方です。いま金融庁がやっている部分を移管するという法律を別法で出してくれればそれに反対する人はいないと思うんです。それを問題法案と合体させて短期間で決戦させて反対運動が盛り上がるのを阻止するということで、警察庁の役人が知恵を絞ったことだと思います。やり方がきたないし、国会が法案を審議する審議権を無視、軽視しています。
 
宮台:警察庁官僚も劣化していますね。警察庁がいかに駄目な官庁かということがこれで分かってしまいますよね。
 
海渡:彼らは名案を思い付いたと思っているはずです。弁護士会がいくら騒いでも3月末で終わりだ、と。
 
神保:政府の国際組織犯罪等国際テロ対策推進本部は、この制度の効用を「安全安心な社会、健全な経済システムの維持」と謳っています。
もしかしたら犯罪がらみかもと感じた業者が次々と顧客情報を政府に流す。膨大な事件情報、厳密には事件かもしれないと思える事案情報が政府に蓄積されるのだから犯罪組織も壊滅するに違いない、というのが政府側の主張です。
 
海渡:盗聴法のとき反対派が言っていたのは、善良な市民の会話が盗聴され、犯罪組織は別の手段で連絡を取るに違いないということ。今回の法案も、(マネロンやテロ防止には)ほとんど役に立たないと思う。私は一万件も情報が集まるイギリスの弁護士に、すごい事例が摘発されたことがあるのですかと尋ねたら「そんなことは聞かない」と言うんです。弁護士が社会的評価を下げ、信頼を失ったという効果はあったけれど、マネロンやテロ防止の実績はありません。得られる利益に比べて失うものが大きすぎる。バランスが崩れた制度です。
アメリカ・カナダはバランスがとれています。日本もそちらに立つべきでしょう。
 
宮台:そのためには情報化しなくては駄目で、何をしたらどうなるのかというシミュレーションを多くの人が見ることが出来るような環境になる必要があります。あるエージェントから一方的な因果性ばかり聞かされたのでは、副作用のことなど分からないですよ。
 
神保:さて共謀罪ですが、最新情報をお願いします。
 
海渡:去年の秋の臨時国会は国体レベルでは死んだフリでしたが、委員会では共謀罪をやってくれという攻防が続き不思議な状況が続きました。今国会が始まる直前の段階では国体筋からは「今国会ではやらない」と情報が流れ油断を誘うような状態でした。
 そしたら、首相が法務大臣と外務事務次官を官邸に呼んで共謀罪を最優先でやれと指令したんです。驚天動地の出来事だったのですが、最近ちょっとトーンが下がってきています。今は、自民党内にPJチームを作って法案の見直しをしろと。何をするのか僕らには見えませんが、いままで言っていた修正案の形を変えて出してくる可能性はあります。今国会、共謀罪は継続審議なので、火種としては残ると思います。
 共謀罪とゲートキーパー法は社会的な影響度や国際的な流れとしても共通したところにあるし、人間と社会に対する歪んだ見方「人を見たら悪人と思え。疑ってかかって密告しろ」という人間感でも共通していると思います。人と人が信頼し合えなくなっている心の闇に忍び込んできている法律なんです。

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