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「女性は子供を産む機械」発言で湧き出る安倍「大政奉還」論(立花隆のメディア ソシオ-ポリティクス)
http://www.asyura2.com/07/senkyo30/msg/533.html
投稿者 gataro 日時 2007 年 2 月 02 日 21:24:49: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070131_umukikai/index.html から転載。

第96回 「女性は子供を産む機械」発言で湧き出る安倍「大政奉還」論
2007年1月31日

柳沢伯夫厚生労働相の「女性は子供を産む機械」発言は、安倍内閣に取り返しのつかないダメージを与えることになると思う。

このところ、どの世論調査を見ても、安倍内閣の支持率は落ちる一方で、支持と不支持がほとんどならぶところまできていた。

それでもかろうじて不支持を支持が上まわっていたのは、もっぱら女性層の支持によるものだった。男性層だけをとれば、とっくに不支持が支持を上まわっていた。まだ柳沢発言を反映した世論調査の数字は出ていないが、まちがいなく、不支持の数字がはね上がるだろう。

安倍首相が落ちた逃げ場のないトラップ

柳沢発言を批判する声が、自民党内はもとより、内閣の内部からすら聞こえているくらいだから、柳沢厚労相の辞任を求める野党の攻勢が強まるのは必至である。

こうなると、この問題が起きてすぐ、安倍首相が柳沢発言に対して不快感を表明したものの、柳沢厚労相の辞任を求める考えはない(それだけの重大問題とは考えていなかったということ)ことを表明してしまった政治的判断ミスが、どんどん安倍内閣の傷を深くしていくだろう。

なにしろ、柳沢厚労相が辞めないかぎり、この問題がTVで取りあげられるたびに、安倍首相のそのときの支持発言が繰り返しTVで流されることになるからである。

安倍首相は、この問題で逃げ場のないトラップに落ちこんでしまったのだと思う。

いまさら柳沢厚労相に辞任を求める方向に方針転換をするわけにはいかない。

もしそんなことをしたら、政治家としての定見のなさ、政治的判断力の欠如が責められるだろうし、安倍首相の任命責任まで問われることになるだろう。

かといって、前言を翻さず、柳沢厚労相を公然と支持しつつけることもマイナス効果が大きくてできない。結局いちばんうまい解決策は、裏から働きかけて柳沢厚労相が自ら辞任するように仕向けることだろうが、いまの安倍首相の周辺には、それだけの裏工作をひそかに素早く展開できる人物が見当たらない。

それに、そういう裏工作で首を切ったりすると、昨年12月の本間正明・政府税調会長の公務員官舎での愛人同棲問題の処理と同じということになる。

あのときもはじめはやめる必要はないといっていたのに、世論の激しい反発に、ついに詰め腹を切らせることになった。あのときと同じように、遅ればせながら、今から柳沢厚労相の首を切っても、安倍首相の識見のなさ、指導力のなさ、世論に押されるとすぐそれに押されてしまう定見のなさ、腰の座らなさが批判されて、結局はマイナス効果だけを残してしまうということになるだろう。

元無党派層の若者たちにも影響

この問題が本当に深刻なのは、女性票の動向に対してきいてくることより、新規自民党支持層の中核をなしている20代、30代の元無党派層の若者たちに影響するところが大きいと思われることである。

私はここ数年、東大駒場でゼミをやってきた関係上、若い世代のものの考え方をよく知っているつもりだが、我々の世代(中高年齢層)と若い人たちの間のものの考え方でいちばんちがうのは、女性に対するものの見方である。

我々の世代の人間(中高年齢層)は、多かれ少なかれ、女性差別主義者的な部分がある。あらゆる側面での男女無差別論を強くとなえる人は、フェミニスト視して、そちらのほうが特殊の見解の持主だと思ってしまう。

しかし、今の若い世代においては、かつてのフェミニストの見解が、むしろ一般的な標準的な見解である。かつての標準的な見解はいまやアナクロの女性蔑視論者の見解とされてしまうのである。

つまり、柳沢厚労相の見解は、中高年層の男性の見解の本音の部分とそれほどずれていないが、若い層の人々一般(男も女も)の見解からは全くズレているということである。

そういう人間を大臣に任命し、ああいう発言を公然としてもそれを許してしまう安倍首相もまた、いくら事後的に口頭で批判しても、腹の中はアナクロな差別論者に近い人と思われてしまうのである。

2月4日には、愛知県知事選と北九州市長選がある。

宮崎県知事選での大敗(そのまんま東氏の大勝)につづいて、この2つの選挙を失うようなことになったら、すでに失速がはじまっている安倍自民党の勢いは、ハッキリいって止まってしまうどころか、死に体に近いことになってしまうだろう。4月の統一地方選、7月の参院選に赤信号がともる。

もともと安倍が首相になれた最大の理由は、次の参院選で自民党の顔になれるのは安倍しかいないということだった。選挙の顔になれない安倍首相に何の価値があるのかという声が出てくること必定だろう。

安倍人気はなぜここまで落ちるのか

首相になったばかりのころは、まれに見るほど高い人気をほこっていた安倍首相の人気がなぜかくほどまでに落ちるばかりなのか。

第一にあげられるのは、人間として面白くないということだと思う。小泉時代と同じように、毎日のテレビのぶら下がり会見で、記者に問われるといろいろしゃべるにはしゃべるのだが、その言葉が上すべりするだけで、人をひきつける要素がさっぱりない。国会の演説、あるいは答弁で語るときも同じである。とにかく何を聞いても、つまらないの一語につきる。

私の家には91歳になる母親がいて、ときどきいっしょにテレビのニュースをみるのだが、ついこの間も、安倍首相が語るのを聞いていて、「この人は何もない人だねえ」とつくづくいっていた。

安倍人気が落ちるばかりの第二の理由は、安倍首相が選んだ党と内閣の要人たちの多くがダメ人間で、めざましい業績をあげられないだけでなく、失言、不適切行動の連続というところにある。

安倍首相の人を見る目の無さが露呈するばかりなのだ。柳沢厚労相、本間税調会長だけでなく、つい先だっては佐多行革担当相を辞任のやむなきにいたらしめた政治資金の処理問題もある。同じ問題で、松岡農相、伊吹文科相、久間防衛相らも、次々と国会で追及を受け、陳謝することの連続である。

大きな組織で人の上に立つ立場の人間にとって、何よりも重要な能力は、人を使う能力である。人を使う能力の前の問題として、人を見る目を持つということである。

人の上に立つ能力の根本的欠如

最近「文藝春秋」が「文藝春秋の85年」というなかなか面白い私家版(売ってはいない)の社史を刊行した。パラパラめくっていたら、戦後最大のジャーナリストといわれた、二代目の社長の池島信平氏が書いたこんな文章に出会った。

「自分の知恵には限りがあるが、人の知恵を使う限りにおいて、これは無限である。人使いのうまい人が、天下無敵なのは、この故にである。いかにして人の知恵をうまく統合して使うか、上に立つ者の要訣は、これに尽きるようである」

この通りだろう。安倍首相は、この上に立つ者として最も大切な能力、「人の知恵をうまく統合して使う能力」が欠如しているといわざるをえない。

「人の知恵を使う」以前の問題として、「どの人の知恵を使うかを判断する能力」、すなわち「人を見る目」がないのである。人を見る目というのは、そう簡単には身につかない。やはりそれなりの人生経験というものが必要なのである。そういう意味で、前にも述べたことだが、安倍は少し早く総理大臣になりすぎたのだと思う。あと10年くらい平の大臣として経験を積んでからのほうがよかったのではないか。

最近、政界の一部からは、安倍首相の「大政奉還」論が出ていると聞く。

安倍首相に政権をゆずり渡して引退した小泉前首相に、「私は未熟でした」といって、政権を返還し、再起を期すべしというのである。

しかし、政治には時の勢いというものがある。

大政奉還でいこうとしてもウロウロモタモタしているうちに返還すべき大政が手の中から消えてしまうということだってある。

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立花 隆

評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月-2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。

著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌—香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。

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