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米朝妥協、日本はバスに乗り遅れる=山崎拓 [中央公論]
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投稿者 white 日時 2007 年 2 月 27 日 17:55:37: QYBiAyr6jr5Ac
 

□米朝妥協、日本はバスに乗り遅れる=山崎拓 [中央公論]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070227-03-0501.html

2007年2月27日
米朝妥協、日本はバスに乗り遅れる=山崎拓
北朝鮮政策で米国が方針転換したことに、安倍政権は気づいていないのか。
「圧力」だけでは拉致問題も解決せず、ひいては国益を損なうことになる

米国は「対話」へ舵を切った
 安倍政権は北朝鮮をめぐる情勢を読み違えているのではないだろうか。本来は外務省が進言すべき立場なのだが、米国が対北朝鮮政策で方向転換を遂げたことは明らかである。
 国連安保理は昨年、二回の北朝鮮制裁決議を採択したが、決議内容を履行する態勢に入ってはいない。二回目は日本も船舶検査をやろうということになったが、その話もいつの間にか立ち消えになってしまった。なぜかと言えば、米国からの要請がないからである。当の米国も本格的にはその態勢に入っていない。制裁決議に賛成した関係国も同様だ。
 これらを見ただけでも十分わかる。官邸も外務省も読み違えている。これは日本の外交力の欠如と言うほかない。議員外交で補完しないからだ。
 ブッシュ政権にとって連邦議会中間選挙の結果が打撃になったのだろう。中間選挙の勝利後、民主党議員が一斉に立ち上がり、イラクからの撤兵や北朝鮮との直接対話をやれと主張し始めたのである。
 核の問題が決着したら、日本政府は平壌宣言に戻り北朝鮮と向き合わねばならない時が来る。
 その後日朝国交正常化に至る道に立ちはだかる問題は、北朝鮮側に言わせれば過去の清算だが、日本に言わせれば拉致問題の解決だ。北朝鮮は現時点では、その話し合いを安倍政権とやるつもりはない。日本が圧力を加え続けるなら、こちらも相手にしないという態度だ。小泉政権への信頼度と比較すると大きな差を感じる。
 安倍総理が施政方針演説で「対話と圧力」を掲げながら対話を持とうとしないのは、圧力をかければ拉致問題は解決すると言い切ってしまったからだろう。ところが、現実にはそうなっていない。
 平壌宣言によって北朝鮮はまず五人の拉致被害者を日本に帰し、のちにはそのご家族を帰した。これらは全て、小泉総理と金正日総書記の対話の結果であって、圧力だけでは問題は解決しない。

圧力をかけつつ対話を持つ
 すでに報道されているとおり、一月九日から十三日まで、私は北朝鮮の平壌を訪問した。
 くり返すが、日本政府は核・ミサイルや拉致の問題を解決する手段として「対話と圧力」を謳っていながら、現実には圧力一辺倒と言っていい。それで成果が出るのなら結構なことだが、拉致問題はその後特に進展がなく、核開発阻止やミサイル凍結についても事態はむしろ悪化の一途をたどっている。
 こうしたなか、圧力をかける一方で対話を持つ努力をすることで、問題解決の糸口を探りたい。それが今回の訪朝の目的であった。
 平壌では政府要人や党幹部たちと面会したが、主な相手は宋日昊・日朝正常化交渉担当大使だった。 
 訪朝の実質四日間、二〇〇五年九月の六者協議で採択された共同声明につき、宋大使との間で逐条審議を行った。彼らが強調したのは「六者は」という表現だ。声明文書には「米国は北朝鮮を侵略する意図はないと確認する」など、六者がそれぞれ履行すべき条項が記されている。なぜ他の国々がそれを履行せず、北朝鮮だけ先に核を放棄しろと迫るのか、と言うのだ。共同声明どおりにしてほしいという先方の言い分には理がないわけではない。
 米朝間で金融制裁問題の協議が再開され、北朝鮮は早晩六者協議に復帰するだろう。今回の訪朝で、核問題はいずれ必ず決着がつくと確信した。

「北」は国交正常化を望んでいる
 六者協議の声明文書には「北朝鮮と日本は、平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、懸案事項を適切に解決することを基礎として、国交正常化のための措置をとることを確約した」とある。
 私は宋大使との間で、平壌宣言がまだ有効であることを改めて確認している。彼らは日本に対し、平壌宣言に戻ることを望んでいるのである。
 六者協議の共同声明を各国が実行に移す段階に移れば、日朝両国は平壌宣言を実行することになる。そうなれば拉致問題も解決に向かうのである。
 北朝鮮も国交正常化を望んでいるという認識が日本には不足している。政治家の間でさえ、拉致被害者が帰ってくれば国交正常化はしなくてよいと思っている人が少なくない。だから「まずは拉致問題」となるが、よく考えれば順番が逆だ。核を片付ければ、必ず拉致も片付く。北朝鮮は国交正常化を求めているのだから。
 そして、北朝鮮側からすれば、核の問題は米国と向き合ったものにほかならない。米国が軍事的圧力を行使せんとするので、対抗上、核を持っているだけだと彼らは主張している。北朝鮮の核開発は、日本・中国・ロシア・韓国に向けた威しではない。対米アピールだ。なぜ核を持つかと言えば、米国の軍事的圧力に屈しないためなのだ。
 だから、日本が何を言おうが、この問題では米国しか相手にしない。米国は六者で決めようと言っている。それはそうしましょうと北朝鮮も応じている。ただし本質は米朝の二国間なのだと思ってよい。

核問題を優先すべき理由
 朝鮮半島の非核化について、六者協議の参加国はみなステークホルダーだ。一致団結して臨まなければならない。
 日本が拉致問題優先と言ってみても、「拉致問題は二国間の問題ではありませんか?」と必ず言われる。二国間の問題なのに対話を全くしないこと自体がおかしいと言うのだ。「他国に頼らず、自ら努力したらどうですか?」となる。他の国々は核の問題で頭が一杯なのだ。拉致を優先させて核の話がストップしたら困ると思っている。
 逆に「核の問題が解決すれば、必ず拉致の問題も解決するはずですよ」とよく言われる。時系列的には、核・ミサイル↓拉致↓経済協力↓国交正常化と進むだろうと言う。ところが日本が核と拉致の順序を入れ換えようとするので、他の国は足をひっぱられたと感じるのだ。
 核に関しては多国間の問題だ。日本単独で解決などできない。しかも、地理的に見て最大の被害者となりうるのは日本である。米国が直接の被害を受けることなどまずありえない。だからこそ日本は、朝鮮半島の非核化を最優先に考えるべきなのだ。

バスに乗り遅れてはいけない
 今のような対応では、核の問題が片付けば他の国々は知らんふりを決め込むという事態になりかねない。バスに乗り遅れてしまうのだ。どの国も相手にしてくれないから拉致問題も一向に片付かない、という状況に陥るだろう。
 核・ミサイル↓拉致↓経済協力の順番に問題を解決し、国交正常化しなければ、たとえ核の脅威が去っても、通常兵器による脅威にはさらされ続ける。北朝鮮は敵対国のままだからだ。
 しかも、朝鮮半島が統一される可能性を見据えておかなければならない。統一朝鮮と日本の対立問題が出てくるからだ。韓国とは国交があっても、北朝鮮との間には国交がない。統一されたとき、いったいどうなるか。自動的に「国交がある」という状態にはならないのではないか。
 朝鮮半島全体が敵対状態になったとしたら、日本の安全保障にとって由々しきことだ。国連安保理の常任理事国入りどころの話ではない。そんなものはどこかに吹き飛んでしまうだろう。

半島非核化は必ず実現させる
 私には政治家としての原点とも呼ぶべき経験がある。ボン・サミット(一九八五年)の際に開かれた、中曽根総理とレーガン大統領の日米首脳会談である。陪席していたのは安倍晋太郎外務大臣と当時官房副長官だった私だ。
 そのとき中曽根総理は南北朝鮮に関する東西たすき掛け国交樹立なるものを提案した。つまり、韓国と東側の中ソが国交を結び、北朝鮮と西側の日米が国交を結ぶ。これを五年以内に達成するというものであった。レーガン大統領は提案を受け入れるとその場で答えた。あれこそが、現在の六者協議の原型と言えるのではないだろうか。
 韓国はその後、一九九〇年にソ連と、一九九二年には中国と国交を正常化した。だが、北朝鮮と日米の間はいまだに国交がない。中曽根・レーガン会談の申し合わせがいまだに実現していないのである。 
 およそ二〇年前に、歴史の歯車は回り始めたのだ。自分はその歴史的場面に立ち会ったのだという意識がある。また、最初に六者協議を提案したのは私だという気持ちもある。六者協議が日本の発案だったことは、今も各国が認めるところである。
 日本の外交原則は国連中心主義、日米同盟堅持、アジア重視の三つだ。いずれの原則に照らしても、北朝鮮と対話しないままでは済まされない。ならず者国家とは国交を結ばないという態度をとり続ければ、拉致問題も永遠に解決しない。現政権は倒れかねない。それどころか、北東アジアは永遠に不安定なままだ。
 現状では、日朝の間のパイプは閉ざされている。私はなんとかパイプを通したいと思い、議員外交を敢行した。
 今回北朝鮮では、「あなたより若い日本の政治家には会ったことがない」と言われた(現実には安倍総理も官房副長官時代に訪朝しているわけだが)。私はもう七十歳であって、そんなことでは困る。若い政治家たちには、もっと国益を考えて行動してほしいのだ。
 朝鮮半島の「検証可能な非核化」は私の宿願だ。政治家として健在なうちに必ず実現させ、日本の平和と安全を確かなものとしなければならない。
 
(やまさきたく/自由民主党安全保障調査会長)

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