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「脱プア」は議会を目指せ [AERA]
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投稿者 white 日時 2007 年 3 月 26 日 16:19:41: QYBiAyr6jr5Ac
 

□「脱プア」は議会を目指せ [AERA]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070326-01-0101.html

2007年3月26日
「脱プア」は議会を目指せ
フリーターから地方議員を目指す動きが出ている。
選挙はフェアな就活、選挙民が面接官だ。
不謹慎か。政治を市民に取り戻す潮流か。
 市販の書道の半紙に自分の名前を大書して、セロテープで棒にくくり付けた。お世辞にも「パリッとした」とは言えないスーツ姿も、一張羅というから仕方がない。
 井芹文義(27)は熊本市内一の繁華街に駆けつけるなり、黒いリュックサックを背負ったまま絶叫調で一席ぶった。
「あたくし、今度、シッ、市政に挑戦いたします。全力を尽くして参ります」
 なれない演説を、女子学生たちが遠巻きに眺める。もらい物のネクタイ10本に、10年近く愛用するスーツ。勝負服からのぞかせるシャツの黄ばみは、消耗戦を物語る。
「まずは議員にでもならないと、生活とボランティアを両立するのははっきり言って無理ですね」
 井芹は、大学受験に失敗した直後、ひとり家計を支えていた母を亡くした。進学をあきらめ、派遣会社から紹介される日雇いの仕事を転々。危険な建築現場など、ガテン系の仕事が多かった。「食うこと」に精いっぱいだったある日、公開討論会の運営ボランティアに出あう。そこへの参加が、彼を政治の世界に誘った。

落選ならハローワーク
 コンビニで一枚一枚コピーしたという、A3判の政策プランの内容は我が道を突っ走る。
〈あなたの身近に、ホッとできる無料カフェを創ります!〉
 供託金以外の選挙資金は限りなくゼロに近い。選挙のために仕事も辞めた。彼の財布にお札が入ることは、ない。
 もともとは県議選に出馬する予定だったが、告示直前に市議選へくら替えした。
「県議選に出る新顔候補とキャラがかぶっちゃったんですよ。なんていうか、若くてさわやか、どちらもスマップ、みたいな感じ」
 もし落選したら、次の日からハローワークに通うという。
 熊本でいま、異変が起きている。地方議員を目指す20〜30代の新顔が10人以上もいる。4月15日告示の同市議選だけで5人(前回は1人)の20代が名乗りをあげる。全員が当選すれば、議会の1割を20代が占め、0・009%という全国水準を大きく上回ることになる。
 立候補予定者はいずれも、議員秘書や松下政経塾などのいわゆる議員予備軍とは無縁の若者。「失われた10年」に青春を迎え、学校から就職氷河期の荒野に弾き出された世代だ。
 所得の不平等さを示す「ジニ係数」で全国ワースト4位の熊本は、格差社会の象徴とも言える。熊本市議選の当落ラインは約4000票、倍率は1・35倍ほどで、議員報酬は月額70万円弱。全国的な大企業や役所に入るより、競争倍率は確かに低い。

父親が選対スタッフ
「大学を出ても就職が難しく、熊本にも仕事がありません。若い人がもっと発言できる場に出て行かないと」
 街頭で同世代にそう訴えていたのは野崎祐子(26)。市議選に合わせて大阪の広告会社を退社。貯めてきた軍資金で古着ショップ跡に構えた6畳の事務所を「アジト」と称する。事務所の看板は発泡スチロール製。迎えてくれたのは、野崎の父親佐登志(52)だった。
「待て。あと4年は勉強せい」
 娘の出馬宣言を聞いて、最初、佐登志はこう諭した。気がつけば、地元企業を離れて無給の選対スタッフになっていた。
 親子二人三脚で当選を目指す候補はもう一人いる。
「真剣に勝利だけ考えてます」
 そう語るのは西井洋一(52)。やはり新顔で立候補する辰朗(26)の父親だ。「選挙長」の名刺を持ち歩き、同地区に住む8期32年の自民党市議のドン、嶋田幾雄(66)の自宅にも、息子を連れて出馬の挨拶に出向いた。
 辰朗は地元で街作りのNPOを「起業」。稼ぎは月8万円ほどだ。
 早朝。商店街では、辰朗が辻立ちを続けている。元日から欠かさず毎日。必ず半ズボンを着用する。
 熊本が突出しているが、今、全国の自治体でフリーターから議員へ転身しようという潮流がある。「ドットジェイピー」は、学生に議員や首長のインターンの口を紹介し、若者の政治参加を呼びかけるNPO。ここでインターンを経験した学生から、多くの20代政治家が輩出している。
 理事長の佐藤大吾(33)は「コミックバンチ」で連載中の漫画『タネダミキオでございます。』の監修もつとめる。主人公は高卒、牛丼店のアルバイト。地盤・看板・鞄なし、政治未経験の25歳が、ノリで挑戦する市議選を描く。ボンボン、元ホスト、セクシー美女など、個性豊かな若手候補が地方選に乱立。団塊世代の弘兼憲史が描いた、エリート商社マンが総理を目指す漫画『加治隆介の議』の時代とは、隔世の感がある。
 熊本の3人は真剣だが、佐藤はこうも言う。
「今や選挙とは、やりがいある職業を勝ち得るための学歴不問でフェアな就職活動なんです」

「変わり者」への期待
 フリーター世代にとって、4年で改選、休日不定、落ちればタダの人という議員への挑戦は、「特別なリスク」とは感じない。
 怖いもんなし、若手の捨て身の挑戦は既得権者の脅威にもなるはずだが、現職若手は「新規参入」に歓迎だ。超党派の「全国若手市議会議員の会」(会員300人)会長を務める千葉県市川市の市議高橋亮平(30)は、「『普通の感覚』を持った議員を増やすことで、議会を健全化させることの意味は大きい」と話す。新顔を独自に発掘し、政策や議会質問の見本を与えて即戦力に仕立て上げる。2011年の次回統一選では、若手首長候補100人擁立を目指す。
『はじめてのデモクラシー講義』を書いた岡田憲治専修大助教授(44)も、今の学生に「議会に就職」を勧める。
 1、人の役に立つという充実感がある。2、志をきちんと示せば誰かは手を差し伸べてくれる。3、人並みの暮らしは出来る。4、短期的な結果を迫られない。5、一議員がバカでも地域は潰れない。6、ポストが自分を成長させてくれる、からだ。
「昼間に開かれる地方議会に出席できる人は限られる。アパート5棟ぐらい所有している資産家だったり、会社経営は人に任せて名誉だけ欲しい2代目の自営業だったり。ならば、本気度が高ければ優れたフリーターの方が住民にとってもいい」(岡田助教授)
 もっとも、当選後に議会の因習に縛られるようなら、「脱プア」議員などいらないのだが、公約の実現にはそれなりの処世術は求められるようだ。
 高卒・フリーター出身の土井裕之(35)が、風呂なし家賃2万7000円のアパートから、全財産40万円ほどで10日だけの選挙戦をへて、27歳にしてつかんだ仕事は旧浦和市議会だった。野菜の仕分け作業、警備員、コンビニ店員、神棚の搬入、喫茶店の厨房――。バイト先を漂流してきた土井の、人生8番目の「職場」。
 浦和市と大宮市、与野市との合併に異議を唱えていた土井は、任期中、合併が決まるとけじめをつけて辞職した。深夜のコンビニ店員に逆戻りした。
 2003年、最年少・トップ当選でさいたま市議に返り咲いた土井は言う。
「既得権から離れた変わり者が何かやってくれるのでは。そういう期待がフリーターにも向けられる。しかし、全会一致を好む地方議会で何かやろうと思えば、正反対の考えをのみ込むこともときに迫られる。議会を変えたいと思う人ほど、議会の世界にどっぷりつかって、染まりやすいんです」
 この春、土井も3期目に挑む。
 出願期限は4月上旬。「面接官」は市民だ。
(文中敬称略)
編集部 常井健一

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