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原田武夫 「『米国のイラン空爆』を喧伝する元外交官の真意とは?」 他。
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投稿者 新世紀人 日時 2007 年 4 月 05 日 11:18:57: uj2zhYZWUUp16
 

http://blog.goo.ne.jp/shiome/

対外工作の「鉄則」から米英の仕掛けを先読みする(日本・イランの場合)

対米・対露協力者の哀れな末路

前回のこのコラムでは、北朝鮮情勢を中心とした「春の日本封じ込め」を描きつつ、外務省の先輩同僚であった佐藤優氏による情勢分析が、マーケットにおける「常識」から見るといかに見当違いであり、ミスリードするものであるかについて述べた。繰り返し申し上げるが、私は現在、「孤軍奮闘」の感がある佐藤優氏に対し、なんら個人的な感情を抱いているわけではない。それでも前回、同氏の情勢分析が犯している決定的な誤謬について殊更強調したのは、同氏が持っている影響力の大きさに鑑みてである。また、最近の言動を見聞きするにつれ、明らかに「はめられている」感が強い同氏を、老婆心ながら慮ってのものでもある。

こうした私の「心配」はその後、どうやら的中してしまったようだ。先日発売となった雑誌「諸君!」(2007年5月号 文藝春秋)に、16ページにもわたる長編論文「佐藤優―そのロシア人脈とインテリジェンスへの疑問」が掲載されたのである。論文の筆者は「情報史研究家」という、日本では珍しい肩書きを名乗る柏原竜一氏である。

誤解無きようあらかじめ申し上げておくが、私は柏原竜一氏と、とある理由で「論争関係」にある間柄である。しかし、歴史分析を踏まえた今回の論文はあまりにも緻密であり、あまりにも正鵠を射ている。この論文によって、賢明な読者であれば脳裏に浮かんでいたはずの、いくつかの「疑念」が果敢にも決定的な形で評価されたからである。

柏原氏の論文の要点をまとめると次のとおりである:

(1)旧ソ連のKGBは、目標とする人物を協力者に仕立て上げるために、「金銭」「イデオロギー」「脅迫」「自尊心」の4つの側面から効果的に攻め上げた。その手法は、現在のロシアの情報機関にも引き継がれている。

(2)1987年7月からロシアのモスクワ大学に外務省から派遣された佐藤優氏は、曰く「偶然」、哲学部科学的無神論学科のゼミに参加し、そこでマルクス・レーニン主義を公然と批判する美青年の学生の発表に心を打たれる。佐藤氏はこの青年=サーシャと「邂逅」したのだという。しかし、これは同志社大学で徹底して神学を学んだ佐藤氏について、上記(1)の「自尊心」をくすぐる旧ソ連側の工作だったのではないか。

(3)また、佐藤優氏は「本物のインテリジェンス組織の教育というのは、これ全部マンツーマンです」と語っている。しかし、佐藤氏がモスクワ赴任前に日本の外務省でインテリジェンスの訓練を受けたとの記述は一切ない。自他共に認める「佐藤優というインテリジェンスのプロ」は、一体誰から教えを得たというのか。

(4)さらに佐藤優氏は、最近になっていくつかの週刊誌において、かつてモスクワに在勤していた際、ロシアを訪問した国会議員たちの求めに応じ、ロシア人売春婦を斡旋したことが紹介されている。同氏は「国益」を云々し、こうしたふしだらな国会議員たちの行状を告白すると述べているが、「国益を云々する」のであれば、なぜ国会議員たちのこうした愚行を、カウンター・インテリジェンスの観点から現場で差し止めなかったのか。「国策捜査」のは腹いせに逆切れすればするほど、ロシア側の「思う壺」である。

まだまだ論点はあるが、このあたりでやめにしておく。

柏原竜一氏の議論に対する検証というよりも、ここではむしろ、文藝春秋が出版社としてここにきて急激に「舵を切った」ことに、読者の注目をお寄せいただくことを求めておきたい。なぜなら、佐藤優氏は文藝春秋が発行する巨大媒体(月刊誌)である「文藝春秋」の読書覧「BOOK倶楽部」で書評家をつとめているからである。同社との関係では、やや安寧した気持ちであったであろう佐藤氏は、「文書諜報」の観点から、怒り心頭というよりも、驚愕、そして恐怖すら感じているかもしれない。

しかし、「潮目」は確実に変わりつつあるのである。そのことは国際情勢分析をベースに、ファンドや投資銀行といった越境する投資主体が世界中、そして日本中でやらかしている出来事を丹念に追えば確実に分かるのだ。だが、そうしたマーケットにおける「潮目」を追わない者は、思い込みにとらわれ、出遅れ、そして捨てられていく。
繰り返し申し上げるが、捨てられないためには、現実のマーケットと政治・外交・軍事、そしてメディアの動きが完全に連動していることをベースに日夜分析に励むことだ。そうすれば、「今後はもっともっとマスメディアに登場し、堀江氏が本心で考えていることを誠実に述べれば、控訴審では別の展望が切り開かれると筆者は確信している」(「佐藤優の情報照射 一片一条」(第6回・「エルネオス」2007年4月号)などといっている暇はないはずだ。越境する投資主体たちにもてあそばれ、売り抜けられ、果ては「監理ポスト」に入った企業の株式を高値で買うことほど、愚行はないのであるから。

激しく展開し始めた米国の対日戦略とエージェント勢の入れ替え

このコラムの読者の大半は個人投資家の方々であろうから、ここまで読まれて、「今回のコラムには意味が無い」と思われてしまっているかもしれない。しかし、実は何を隠そう、こうした佐藤優氏という「イコン」を巡るメディアの情勢変化は、私が知る限り、現在、米国が急ピッチで展開しつつある新たな対日戦略と、それに伴う対米協力者(エージェント)勢の入れ替え作業のタイミングと合致しているのである。もちろんその先には、世界的に見て稀有なほど割安な状況に依然としてある日本株マーケットを、どのように料理しようかと思案する米国の思想と行動がある可能性が高く、いかなる予兆、そして「潮目」も見逃せないのである。

事の性質上、詳細を書くことができないのが恐縮であるが、最近あった三つの関連事案だけ、簡単にご紹介しておく:
(1)かつてIT系ベンチャー企業家の草分け、そして表向き「天才企業家」として騒がれたことのある人物(日本人男性)が、検察当局より召喚されたという情報がある。同人は米国でいえば西海岸、すなわち共和党系に近い人脈に整理される動きを示してきたので、「共和党から民主党へ」という米本国での「潮目」に乗り遅れたのであろう。問題は、同人の周囲に創られた人脈が、米国が仕込んできた構造改革という名のいわゆる「破壊ビジネス」の協力者としての日本人有力者につらなるものであり、彼を突破口として、「規制改革」の王者であった財界の大物、ひいては現在の安倍総理大臣にまで至るネットワークが、司直の手によって明るみに出る可能性が出てきた。

(2)米国の軍部情報機関による、日本の大手メディアにおける女性キャリア職員に対する工作が活発化している。日常的な激務の中で、上記の佐藤優氏に関する記述ではないが、「自尊心」と「心の安寧」との間で葛藤する彼女たちに言葉巧みに「イケメン米軍人」が近寄り、ハニートラップよろしく、身柄ごと米国へ呼び寄せる例が出てきている。むろん、恋愛は自由であるが、この職員が総理官邸にまでかつて自由に出入りできる人物であったとするならば、正に「国益」にかかわる事項である。

(3)共和党人脈に属する米国人が続々と日本から「撤退」していくのに伴い、日本人協力者に対し、自らが不在である間に「留守を守る」ための仕掛けを与える例が出始めている。共和党系の有名外交雑誌の「日本版」の創刊が間もないことが、その典型例であろう。出版マーケットではおよそ採算がとれない、そうした「外交雑誌」が突然売れ始めれば、その背後にはかならずや、GHQ以来の米国による対日言論政策の陰を感じるべきである。

以上3つの動きを見る限り、そこで読み取れる米国の対日政策の今は、まず第一に「撤退」である。そして第二に「現地住民による残置諜報者の確保」である。
さらにいうと第三に、「残置諜報者としては不適格な人物に対する処分」である。まさに対外工作を巡るあるフェーズが終わった時に、米国が情け容赦なく世界中で繰り返してきたことと同じである。

そうした「対外工作の鉄則」からいえば、さらに4番目の隠されたポイントがある。それは、「撤退」は同時に「新たな仕込みの始まりでもある」ということだ。「拉致問題」を巡って日本の頭越しに北朝鮮とこれ見よがしに交渉し、「慰安婦問題」に関する批判を突然行い始めた米国による「撤退」は、必ずや調子にのった日本人たちの「米国こそ、何者ぞ」といった居丈高な反米論を盛り上げることであろう。その中で、「拉致」と「慰安婦」という絶対に降りることのできない安倍総理は、4月末にワシントンへ旅立つことになる。
だが、そこで盛り上がった「反米的世論」のままでは、ホワイトハウスにすら入れない可能性がある。これでは、これを機に「日米同盟」を高らかに掲げようとする安倍総理にとっては正に「不都合な状況」に他ならない。
そこで、ハッパを上からかけられるであろう外務官僚たちは、日米で必ず合意ができる案件を「再発見」することであろう。−−−それが、米国による日本に対する投資の拡大、さらには金融自由化の一層の促進なのだ。安倍総理はこれに飛びつき、もれなく「経済面での日米同盟の深化」という名の「日本お買い上げ」となる。その様子は、残置諜報者たちによって、時々刻々と米国へと報告されていくというわけである。

率直に言おう。
今の今から「残置諜報者」とされ、いってみれば米国が選んだ「貴族」となるかのように見える日本人たちこそ、米国からみて卑しいと思われている人物はいないのである。米国は、本当に必要であり、また人間として対等にみなす日本人たちを、こうした一連の「潮目」となるはるか前から、米国本国にかくまってきている。これからますます激しくなる「潮目」に翻弄されないようにだ。

それを知らないのは、恋に焦がれ、まもなくペンタゴンへと旅立つ、か弱い日本人女性ジャーナリストだけである。


「米国のイラン空爆」を喧伝する元外交官の真意とは?

さて、目を転じて、マーケットにとって焦眉の課題といえば、イラン情勢がどうなるかであろう。英海軍兵士による「イラン領海侵犯」と、それに伴うイランによる英兵拘束劇によって、NYの原油マーケットでは先物価格が高騰し、「昨年の原油価格高騰の再来か?」という噂すら出始めているほどである。

私自身の「分析と見通しは」はこのコラムの最後に述べることとして、「専門家」の方のご意見をまずは拝聴しておくことにしよう。外務省の大先輩であり、現在、防衛大学校で教授をつとめる孫崎享氏(元駐イラン大使)は、上述の「諸君!」最新号に、論文「秒読み開始? ブッシュはイランを叩く」を寄せられている。

その中で孫崎氏は、「我々は米国がイランを軍事攻撃する可能性を想定しておかなければならない。少なくともブッシュ政権は軍事攻撃を望んでいる。もし今年攻撃が出来なくとも、米国内でイランを攻撃しようとする勢力は、簡単に消え去らない」と断言されている。その根拠として孫崎氏は「冷戦後の軍事をめぐる米国の新戦略」を挙げ、その結論として「冷戦後の米軍の優位性を維持するためには、イラク、イラン、北朝鮮と戦う姿勢を貫くことが不可欠であり、さらにはそれらの国々の体制返還をめざし、時に工作をし、積極的な関与をするのが望ましいこと」を説明している。加えて、朝鮮半島に比べて、イランについて米国国内での関心が高いことから、イランの脅威を中心に戦略を練ることは「極めて自然な流れ」であるとも述べている。

ただしこのように述べた上で、孫崎氏もいくつかの留保を付す。イラクでの大失敗の後、イランについて動きを見せるほどの財政的余裕がブッシュ政権に果たしてあるのか。あるいは、旧ソ連=ロシアの立ち直りが早い中で、その力の不在を前提として「新たな脅威」を求めてきた冷戦後の新戦略の見直しこそ認められているのではないのか。あるいは、イスラム勢力全体としての反発が思いの他強すぎるのではないか、などである。

しかし、それでもなお、孫崎氏はこう結論づける:
「いま、ブッシュ政権はイラン軍事攻撃を真剣に考えている。冒頭に述べたとおり、大統領選のスケジュールを考えれば、6月までにイラン攻撃を開始できなければ、その後は難しい。・・・(中略)・・・次期大統領候補たちはみなイランに対して厳しい態度をみせている。・・・(中略)・・・次期政権においても、イランをめぐる問題は米国にとって、極めて優先順位の高い政策課題になりそうだ」

つまり、言葉を選んではいるものの、孫崎氏は要するに、何が何でも米国はイランに対する空爆を実施するのだと断言しているに等しい。−−−しかし、果たしてそうなのか?

マーケットの原則の一つに、「有事の金(ゴールド)、米ドル、スイス・フラン」という言葉がある。
かつて、ナポレオン戦争でロスチャイルド家が「英国大勝利」の報をいち早く受け、シティのマーケットで英国国債を買いまくり、高値で売り抜けることで巨額の富を得たように、金融マーケットは「有事」の帰趨に敏感だ。ましてや、マーケットで仕掛ける越境する投資主体たちと、米国政府が渾然一体となっている今となっては、「仕掛け」はそのまま金融マーケットに反映されやすい。

しかし、金(ゴールド)価格の推移を見てみると、上昇基調にあるものの、チャートの描き方がイラン情勢とより直結している原油価格に連動しているとはいいがたい(NY市場における金価格と原油価格のチャートはこちら)。
一方、スイス・フランについては、原油を中東に依存しているため、そこでの「有事」により脆弱な対円レートでみると、2月28日に生じた「世界同時株安」からの自律反発から小康状態へと推移しているに過ぎないように見え、必ずしもイラン情勢との連動性は見て取れない(チャートはこちら)。
ましてや、有事に脆弱な日本円と米ドルのレートでいえば、むしろ「円高基調」へ転じたままである(チャートはこちら)。

つまり、「早耳」の越境する投資主体たちの動きを如実に示すはずのマーケットを見る限り、「有事近し」とは見て取れないのである。そうであるにもかかわらず、短期的には(6月までには)空爆はあり、またそれを越え、再来年のポスト・ブッシュ政権でも同様に危険ゾーンと言い切る、孫崎氏は一体、どのような真意でこうした「戦争狂想曲」を奏でられているのだろうか。


今、あらためてリビア・モデルを思い出す

普段は、「情報に疎い」と非難が集まりがちな日本の外務省であるが、実は世界のインテリジェンス・コミュニティーの中で高く評価されている独自情報がいくつかある。その一つがイランである。
というのも、イラン・イスラム革命後、米国のイラン国内での諜報網は徹底的に破壊され、その再興には必ずしも成功していないといわれている。その一方で、戦前より「親日的」として知られるイランとの関係で、日本は悪くない立ち位置をもっている。イランとしても、日米同盟を前提とすれば、無邪気な日本は米国に向け、悪くない拡声器である。そこで、日本の外務省では通常ありえないレベルの興味深い情報が、しばしばテヘランから流されてくる。孫崎大使(とあえて呼びたい)は、その最前線におられたので、その時の情報ネットワークで培った「土地勘」でこの論文を記されたのかもしれない。

しかし、事態は明らかに別の方向へと展開している。確かに、米軍が大規模な増派をペルシア湾に行い、示威行動を見せ続けているとの報道がある(詳細はこちら)。ところが、事態の「主役」はもはや米国ではない。「領海侵犯をした」として自国の海兵をイランに拘束された英国こそ、今や舞台の主役なのである。

ここで私としては、外交官時代に聞き及んだ、対外工作におけるもう一つの「原則」を思い出さざるを得ない。すなわち、「英国が出てくれば事態は収まる」というものだ。しかも、その時の「収まり方」は、米国をも有無を言わさない形になるのである。

日本人にはあまりなじみがないかもしれないが、最近、この典型例となったのが、リビアを巡る動きである。1988年にパンナム機を爆破したとの容疑で、1992年から国連安保理はリビアに対する制裁を行った。その後、90年代後半にロシアがリビアに対する核開発協力に踏み切る中、次第に雪解けモードとなるが、2001年に誕生したブッシュ政権は、リビアを「悪の枢軸」と名指しし、再び緊張が走る。ところが、2003年になってリビアは「突如」、英国に対し、米国への仲介を「依頼」し、英国主導のままリビアによる核開発放棄のための交渉が展開、その後、「大団円」となった。現在では、トリポリ油田の権益を英国が握る中、米国からはリビアへの原子炉供与まで検討されているほどである。

以上のリビアを巡る急展開を復習すると、イランを巡る今後のあり得べきシナリオが見えてくる。
(1)英国は、「拘束された海兵の解放を求める」という名義で、イランとの交渉権限を独占していく。事態が「人道」にかかわる問題であるだけに、他国は一切これに口を挟むことができない。
(2)英国はこうした煙幕の中で行う極秘交渉の中で、まずは自分の「取り分」を確保する。この場合、もっとも念頭に置かれるのはリビアにおいてと同様、石油権益であろう。その後、同国における原子力開発利権を狙う米国以下、諸国に対する「分け前」をイランと協議する。特に米国については、極秘交渉を隠す「煙幕」としての増派について協力関係にあるので、まずはこれを確保するよう英国は努力する。
(3)イランはもちろんこうした英国との演劇について「共同演出者」であり、時折「緊張」を演じては、交渉を必要なだけ継続させる手助けをする。もちろん、米国による武力攻撃という短期的かつ過剰な「演出」に対しては、相応な「演出」で対応するが、最後の大団円を目指して、英国の顔を立て続ける。
(4)最終的に、英国が代弁する形でイランの「国際社会への復帰」の道が開かれ、紛争は終結する。それまで仕掛けられていた原油価格も下落する。

ちなみに、英国からはすでに外務大臣名の書簡がイランに発出されているものの、その内容は明らかにされていない。また、一体、どのような形で誰が届け、その際に交渉が行われたのかも明らかではない。しかも、事情をよく知るはずの欧州勢は、一斉に英国の「肩を持つ」ことを明らかにし、スイスの有力紙ノイエ・チューリッヒャー・ツァィトゥング(3月31日付)には、「ロンドンとテヘランからの落ち着いた声」(詳細はこちら)といった、何とも牧歌的な記事が掲載されるくらいである。
また、モスクワの駐イラン大使が、「拘束されている英兵たちは、イランで裁判にかけられる」と発言したことが緊張を一気に高めたものの、直ちに「通訳の間違いであった」と訂正するほどの巧みさである。

この騒ぎですっかり陰に隠れてしまったが、前回のこのコラムで詳細に説明したとおり、北朝鮮情勢を巡っても、米朝の交渉より、欧州の北朝鮮へのにじり寄り方の方がはるかに迫力と威力を持っているのが現状だ。そこでの「印象」をそのままイランに当てはめると、米国は実は英国に反対こそしないものの、押し切られたのではないかという疑いすら出てくる。

また、同じくメディアは一切報じなくなったが、昨年よりブレア英国首相は、労働党の不正融資疑惑でかなり追い詰められてきており、今年退任することが既に決まっている(参考報道はこちら)。サシで交渉するにしても、英国から少しでも多くを獲得したいイランとしては、格好のタイミングだというべきだろう。ブレア首相にしても、内政での失点を、「自国の海兵を助け、悪しき方向からイランを救った」という外交上の英雄としての勲章によってカバーすることができるから御の字だ。

事の真相は、まもなく明らかになることであろう。
そして、比較的短期間に生ずるであろう、そうした「陽転」の中、原油価格は再び急落し、マーケットには本格的な春が訪れるのかもしれない。
いずれにせよ、米国の対日政策であれ、英国の「定石」であれ、対外工作の「原則」はいつも同じであり、越境する投資主体の動きは正にそれに則ったものなのだ。ーーーそれを語るのが、外交官だったものの務めだろう。

原田武夫記す


[新世紀人コメント]
イランは実は英国などヨーロッパと深い関係を持っている事を垣間見る事が出来た訳である。
「ホメイニによるイラン革命」はヨーロッパ・米国の援助の上に行われた筈だ。
レーニンがドイツ帝国外務省によって亡命先のスイスから封印列車に乗せられて帝政ロシアに送り込まれた事と同じであろう。その結果「社会主義国家ソ連」が誕生したのである。
イラン革命の時にパーレビ国王は"使い捨て"にされて亡命させられてしまった。パーレビ国王自身がコサック出身であるとも言われていた。
イランを巡ってはロシア、チャイナも利害関係が深いので、その意味では北朝鮮に似ているのである。
イランの核を巡っては、パキスタンやインドの様に米国やEUは認めることもあり得ると考えなければならない。
しかし、中東秩序の改編即ちイスラエル・パレスチナ問題の解決が難しくなった時の手段としてイラン核施設爆撃の選択肢も留保されているのではないのか。しかし他にも破壊的手段はあり得るのでこの方法にどうしても拘る必要はないだろう。
米国はイラク問題解決の協力者としてイランとサウジそしてトルコを考えている筈でその線でイラク撤兵を考えているだろう。
今回のイランにおける英兵釈放については(実現した訳ではないが)、今後のイラン問題を示唆するところが大きいだろう。


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