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患者プライバシーの保護と医療過誤冤罪の予防との法益のバランスを求める
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/307.html
投稿者 どっちだ 日時 2007 年 5 月 05 日 01:16:12: Neh0eMBXBwlZk
 

家を売らなければ、重病から回復することも、延命を得ることも、死の苦痛を緩和することも出来ない社会は、すぐそこです。


関連投稿

医師をバッシングする一方的な報道に対する反論は許されないのか。
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/170.html
投稿者 どっちだ 日時 2007 年 4 月 30 日 16:20:57: Neh0eMBXBwlZk

報道されている内容とは大幅に食い違う内部情報。大淀病院の院長は産科医を「後ろから撃つ」
http://www.asyura2.com/0601/health12/msg/292.html
投稿者 どっちだ 日時 2006 年 10 月 19 日 20:04:36: Neh0eMBXBwlZk

最終の報告 : この文章の95パーセントはカルテに書いてある : 説明責任は大手報道機関を通すと阻害される。
http://www.asyura2.com/0601/health12/msg/305.html
投稿者 どっちだ 日時 2006 年 10 月 27 日 06:08:52: Neh0eMBXBwlZk

----座位の夢想 から転載--------------------------------------------------------
http://zainomusou.blogspot.com/2007/05/blog-post.html


2007-05-04
診療情報『流出』問題について


モトケンブログより
奈良・妊婦死亡の診療情報がネット流出(2007年4月29日 読売新聞 http://megalodon.jp/?url=http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070429p101.htm&date=20070429093112

死亡妊婦カルテ、医師専用ネットに流出(nikkansports.com http://megalodon.jp/?url=http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070430-191811.html&date=20070430105528

新小児科医のつぶやき - 真実はどこに http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070430

天漢日乗: 「マスコミたらい回し」とは? (その45) ネットにカルテ流出ってホント? http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/04/45_a4c9.html

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座位の現在の結論

 個人情報や守秘義務といったものは、法の趣旨からいって、犯罪予防的な意味合いが強く、平時の義務事項という取り扱いがふさわしいと思います。

 一旦、患者ないし患者家族側から、告訴、告発、訴訟が提起された場合、あるいは、マスメディアに事件性のあるものとして訴えられた場合(インタビュー含む)は、論争部分の守秘義務は解除することが相当でしょう。紛争当事者の一方にのみ事案の一部を選択的に公開でき、あるいは選択的に未公開にできるというのは、アンバランスです。

患者プライバシーの保護と、医療過誤冤罪の予防との法益のバランスを考えるような法環境が、好ましいものと考えます。

 公開されることによって、医療事故の真相追求は深化されますし、事故の防止にも役立つわけですから、医療側患者側共に、公平な処置だと思います。守秘義務に関しての例外である『正当な理由』というのは、このような場合も含むものだという、法判断の確立がほしいものです。

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法曹との対話


座位

 1 遺族側が入手してマスコミに公開したとされる情報が、操作的なものであった時に、診療担当者側及び病院側の反論は、個人情報保護の観点からどのような制限がされるのか?(いわゆる反論権)

 2 この反論を、病院関係者が事実に基づいて第三者に行った時、罰せられるのか?( 加罰的違法性)

 3個人情報保護法によって守られるべき個人のプライバシー(ないしは医師の守秘義務)は、法廷外で、反論を含めた論議をすることによる社会的価値よりも、どの程度まで優先されるのだろうか?( 個別的医療事故の検討の是非)

 医療事故として周知されている件に関して、その事故が医療過誤なのか、偶発症なのか、何かの誤解なのかを、ネット等で論議する時に、論議の前提となる情報が、患者側が公開した資料(とマスコミが取材で公開した資料、捜査当局等資料)に限定され、それ以外は違法ということになれば、医療事故の社会的論議はするなということに等しいです。


PINE さん

 「医療事故として周知」されている状況であれば、病院が事実について説明等を行っても、個人情報の目的外利用には当たらないと思います。医療事故の社会的論議をしなければならないような状況というのは、既に医療事故として周知されている場合が多いんじゃないでしょうか?

 それに、個人情報保護法制というのは、個人情報を管理する者に対して、保有する個人情報の管理を徹底させる点に目的があり、社会に出てしまった個人情報までどうこうできません。(ただ、新たに名誉毀損やプライバシーの侵害の問題が発生する余地はありますが。)

くどいようですが、私が問題だと思うのは、遺族も知らない、病院も公表していない段階で、職員が掲示板等に個人情報を流したことです。

 個人情報保護法の施行により、国や地方公共団体だけでなく、民間の我々も一定の要件に該当すれば、個人情報保護法に定める責務を負うことになりました。個人情報保護法の施行とコンプライアンス意識の高まりにより、民間企業などでの業務が、これまでとがらりと変わりました。

ちなみに、厚生労働省は、医療関係者のためにガイドラインを定めています。http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170805-11a.pdf

 また、多くの病院で個人情報の取扱指針を定めているはずです。「病院 個人情報」で検索をかければ、多くの病院の指針等を見られると思います。


座位
PINE様

>私が問題だと思うのは、遺族も知らない、病院も公表していない段階で、
>職員が掲示板等に個人情報を流したことです。

 御指摘の点は確かに納得出来るものです。アドバイスありがとうございます。「個人情報が、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものである」との趣旨の個人情報保護は、我々医療者が厳格に守らねばならない事柄です。これは、刑法134条の秘密漏洩罪と別個に重要です。

問題にしたいのは、

1 マスコミで非難、あるいは誹謗されている病院や診療担当者自身に、反論権がないのかどうか、

2 個別の医療事案であっても、不当逮捕や不当な起訴、不当な世論形成がされる前に、第三者の同業者が独自の調査で、有効な反論を行うことが許されないのかと言う点です。

 この症例が問題になったのは、『たらい回しされた』だの『CTを先にとっておれば』だのという患者家族やマスコミの主張が、実は誤っており、冤罪作りへの加担に他ならないからです。こうした冤罪事件を防止しなければならない局面では、たとえ個別の事案であっても、治療効果やタイミングに関する論議は、法で守られるべき個人情報とは言えないのではないかと思うわけですね。

 重ねて言いますが、個別の症例の治療選択やタイミングの決断は、確かに症例の病態という一種の個人情報を元にされるわけですが、問題となる医師の側の選択や決断や診断過程という医師の診療行動そのものは、情報保護すべき個人情報には成らないと考えますが、皆さんいかがでしょうか。

個人情報と、情報保護すべき個人情報には、区別があってしかるべきだと言うことなんです。


fuka_fuka さん

 私の理解からの結論は以下のとおりです。

・本人が公開することに同意していない情報であれば、それを「個人が特定可能な形」で公開して議論のネタにすることは、不法行為(プライバシー侵害)に該当するリスクあり。

・したがって、本人が公開済の情報「のみ」に基づいて議論を行うことは、別途名誉毀損の問題にならない限り、原則として不法行為は成立しない。

・今回問題にされている病状や診察・治療経過の情報について、本人が未公開の部分が含まれていた場合、形式的にはプライバシー侵害が成立しうる。

 しかしそれが公正な議論のために不可欠の情報であり、本人が非公開としておくことについて、すでに公開済の情報とのバランスから本人に新たな侵害が生じたとはいえないような場合(本人によって公開された情報と質的に大差ないと評価できる場合)、法的責任(=慰謝料支払義務)は発生しないといえるのでは。

*****

法的な建て付けについての説明は、既にPINEさまがお書きのとおりです。

最後のバランス論のところは、限界がどのあたりに置かれるべきかは見解が分かれると思います。私も思いつきで書いていますのでご批判歓迎です。

> 個人情報と、情報保護すべき個人情報には、区別があってしかる
> べきだと言うことなんです。

 はい、区別はあります。みずから公開した自分の個人情報であっても、個人情報の定義から外れることはありません。が、みずから公開した個人情報については、プライバシー権の保護は及ばなくなる、という図式です。
 本人が公開していない状況下であっても、法令に基づいて公開された情報や、個人の特定に至らない範囲の情報だけを使って、症例検討や議論を行うことは、許容されます。


PINE さん

>1 マスコミで非難、あるいは誹謗されている病院や診療担当者
>自身に、反論権がないのかどうか、

 反論「権」と銘打ってしまうと、そこまでのものがあるのかなと思いますが、既にマスコミで報道されている点について反論・釈明・補足等をすることは、当然許されるべきことだと思います。ただ、それも記者会見等で行うとすれば、一般の人に伝わる情報は所詮マスコミの目を通したものになりますし、対応を誤ると紛争を悪化させ却って恐ろしいことになりかねませんね。そうした場合でも、(個人的な企業等のクレーム対応等の経験から)患者さんや遺族の頭ごなしにやらない方が無難だと思います。

>2 個別の医療事案であっても、不当逮捕や不当な起訴、不当な
>世論形成がされる前に、第三者の同業者が独自の調査で、有効
>な反論を行うことが許されないのか

 座位さんが想定する、マスコミや遺族が騒ぎ出す前に、「第三者の同業者」が調査を必要とする事態というのは、実際に起こりうるのでしょうか。通常、マスコミで騒ぎだすから、「えらいこっちゃ」となるわけで。患者さんからクレームが来ただけのような段階だったら、同業者たるお医者さんには、個人を特定しないで、「オレ、今回、こんなことしちゃったんだけど、どう思う?」ってな具合に質問すれば問題ないと思いますし(弁護士同士ではよくやります。)。

 もっとも、(民間病院が対象となる)個人情報保護法16条3項3号は個人情報を目的外に利用できる場合として、また同法23条1項3号は個人情報を第三者に提供できる場合として、いずれも「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」と定めており、その例として厚生労働省のガイドラインでは「医療安全の向上のため、院内で発生した医療事故等に関する国、地方公共団体又は第三者機関への情報提供のうち、氏名等の情報が含まれる場合」としています。

 面倒くさいかもしれませんが、せっかくの機会ですので、上記厚生労働省のガイドラインの16条と23条に関する解説のところだけでも、ご覧になってみてください。

psq さん

>座位さんが想定する、マスコミや遺族が騒ぎ出す前に、
>「第三者の同業者」が調査を必要とする事態というのは、
>実際に起こりうるのでしょうか。

座位さんは、不当逮捕・不当起訴の前に、と言っているので、おそらく
@遺族→Aマスコミ騒ぎ→B捜査機関が動く、という流れを前提にしていると思います(ある意味当たっています)。AとBの間に「くさび」を打ちたいということでしょう。


座位

PINE様、fukafuka様、psq様、アドバイスありがとうございました。
やはり、僕には、相当理解が難しいです。この問題を理解するのは、今の知識では無理なので、しばらく勉強してみます。

PINEさん
医師の守秘義務は、医師としての義務です。

刑法134条1項

医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
さらに医師が公務員であった場合、各公務員法も適用されます。

国家公務員法100条

1項 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。(違反者は1年以下の懲役又は3万円以下の罰金)2項 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。

地方公務員法34条

 1項
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。 (違反者は1年以下の懲役又は3万円以下の罰金)

 2項 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。

 これに対し、民間に適用される「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」は、民間の個人情報取扱事業者の義務として個人情報の第三者提供の制限を定めています。

個人情報保護法23条

1項 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

一  法令に基づく場合

二  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

三  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

四  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 なお、国には「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(行政機関個人情報保護法)」が適用され、独立行政法人には「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(独立行政法人個人情報保護法)」が適用され、地方公共団体は各地方公共団体で定める条例(例えば「○○町個人情報保護条例」)によります。

個人の開業医が個人情報取扱事業者に該当する場合、個人情報保護法の義務と刑法上の守秘義務の両方を負うことになります。

 警察からの病院等への照会については、個人情報保護法23条1項1号ないし2号により、応じても大丈夫でしょう(下記厚生労働省ガイドライン10頁参照)。

(略) 看護師さんや保健師さんへの講義の際に、最も質問が多かった部分です。最近では、個人情報の過保護が問題となる事例もあり、病院等が個人情報保護法上問題がないにもかかわらず個人情報の提供を拒否した結果、何らかの重大な結果が生じた場合(取り敢えずの具体例は思い浮かびませんが)、新たな責任問題が生じなければいいがと思っています。

お医者さんの皆さん、難解かもしれませんが、是非一度、個人情報保護法についての厚生労働省のガイドラインをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170805-11a.pdf

 蛇足ですが、上記守秘義務との関連で、刑事訴訟法には以下のような規定があります。

刑事訴訟法105条

 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。

刑事訴訟法149条

 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。


座位

 たとえ同業者であっても、代理人でもない第三者の医師が、特定の医療事案に関して、業務上知り得た情報を元に不特定多数で論議することは、刑法134条1項に違反するということになりますね。

 この事は、自称医療被害者による情報操作、誤った世論形成に有効な反論は、第三者はもとより、診療に当たった医師ですら法廷外では出来ないということですね。第三者は、支援が制限されますし、当の医師本人あるいは弁護士ですら、反訴するより有効な手段はないのでしょうか。

 一方、カルテの中の情報は、PINE様紹介のガイドラインに記載されているように
例えば診療録には、患者について客観的な検査をしたデータもあれば、それに対して医師が行った判断や評価も書かれている。これら全体が患者個人に関する情報に当たるものであるが、あわせて、当該診療録を作成した医師の側からみると、自分が行った判断や評価を書いているものであるので、医師個人に関する情報とも言うことができる。したがって、診療録等に記載されている情報の中には、患者と医師等双方の個人情報という二面性を持っている部分もあることに留意が必要である。

 医療事故の全体像の中でみると、開示されたカルテを元に、自称被害者家族が、マスコミに、自分の個人情報をコピー配布などする行為は、見方によっては、医療過誤冤罪被害者である担当医師の個人情報を無断で、マスコミに公開したことにはならないのでしょうか?

 そもそも、カルテなどの開示は、あくまで患者やその代理人への開示であって、第三者であるマスコミへの患者側の宣伝に供与されることを想定してはいないはずである。しかも医師から見ると医師の個人情報を歪んで晒されていることになる。

 自称被害者家族が、真に被害者家族であるか判らない時点で、カルテ記載を覗き見するマスコミは、その中に医師の診療行為という個人情報が入っている限り、医療過誤冤罪に加担し、冤罪被害者である医師の個人情報を無断で違法に公表していることになるのではないでしょうか。


じじいさん
座位先生

> 医療過誤冤罪被害者である担当医師の個人情報を無断で、マスコミに
>公開したことにはならないのでしょうか?

 その件については、公務員(町立病院のドクターは公務員)の職務に関する情報は、同町の「情報公開条例」においても、個人情報としての非開示情報の枠からは外れていますので、そういった観点で違法性が問われることはまずないのではないでしょうか。

 本件カルテはそもそも患者の個人情報ですので、情報公開制度では当然非開示ですが、仮に公務員たる医師が行った職務(診療)に関する情報で患者の個人情報とならないものがあれば、残念ながら公開対象になると思われます。
http://www.town.oyodo.nara.jp/reiki/reiki_honbun/ak43700541.html


座位

>仮に公務員たる医師が行った職務(診療)に関する情報で患者の個人
>情報とならないものがあれば、残念ながら公開対象になると思われます。

 じじいさん様、御教示ありがとうございます。

公務員の一挙手一投足が、公開対象になるとは思えないのですが、診療業務に関しては、ほぼ全て公開対象になるということなんですね。冤罪と言う言葉は、狭義で使えば、刑事有罪の確定判決済みのものを指すのかも知れませんが、たとえ判決前であっても、現に報道被害を受けている事実を考えれば、医療過誤冤罪といっても良いと考えています。

 この医療過誤冤罪の状態にある医師をどうやって支援するかが、僕ら同業者の関心事なのですが、マスメディアなどの報道側が、自称被害者に肩入れすることで、自社の利害を追求する意図的な行動に出ている事への対抗行動を、ネット上で合法的にかつ有効に行いたいという願いがあります。

 医療事案以外の紛争とは異なり、患者側の個人情報を盾にした情報宣伝戦は、技術的にではなく、原理的に、医師側にハンディをかぶされた格好となります。

 マスメディアに対抗する医師達のネット支援活動の可能性、有効性には大きな制約があるということなのでしょうか。リアルな組織による支援行動も、あるいは代理人を立てた抗議行動もどのくらいの可能性と有効性があるのか確信がもてず、他の可能性を模索しなければなりません。


じじいさん

 医療過誤の存否をネットで論ずることは最近の問題ですが、患者の個人情報の保護と医学研究の両立の問題は、以前からの論点であったと思います。「がん登録」という事業がありますが、がんの研究・対策の向上を目的とする当該事業でも、がん対策基本法施行前は、個人情報保護の観点から種々議論されていたようです。学会での症例発表でも、トラブルがあったという話も昔聞いたことがあります。個人情報と切っても切れない関係がある医学の進歩と個人情報保護の両立は、悩ましい問題であることは確かだと思います。

 仮に何らかの医療ミスがあった場合でも、再発防止策の検討や情報の共有でさえも個人情報保護が障壁になるかもしれません。

 とりわけ、マスコミとリンクした医療トラブル事案の場合、名前等を隠しても患者が特定されてしまうので、自身で割り切ってしまえば、個人情報を自由に使える患者側に対して、持っている情報を自由に使えない医師側が、マスコミの不公平な報道姿勢とあいまって圧倒的に不利であることは事実でしょう。

名誉毀損や信用毀損・業務妨害などで訴えることも可能でしょうが、手間も相当かかる上に、その間に傷つけられた信用を取り返すことは非常な困難を伴います。また、折角訴えても、ことが医療に関する内容だけに、虚偽であることが明白なケース(受けてもいない治療を受けたとか、後遺症を偽るとか)を除けば、裁判で勝てるとも限りません。

 さらには、患者側はともかく、マスコミ自身はこういうときの防御だけには長けていますので、戦術を心得た専門の顧問弁護士団を投入してくるでしょうから、個人又は一病院が勝つのは至難の業かと思います。(訂正記事など、それを命じる判決でも出ない限りは絶対出さないですし)

患者の氏名・住所等個人を特定できる情報を秘匿することを条件に、守秘義務を負った医師だけが参加できる、医学の進歩を目的とする症例検討システムってできないものかと思います。


座位(再掲部分)

 個人情報や守秘義務といったものは、法の趣旨からいって、犯罪予防的な意味合いが強く、平時の義務事項という取り扱いがふさわしいと思うわけです。

 一旦、患者ないし患者家族側から、告訴、告発、訴訟が提起された場合、あるいは、マスメディアに事件性のあるものとして訴えられた場合(インタビュー含む)は、論争部分の守秘義務は解除することが相当ではありませんか?紛争当事者の一方にのみ事案の一部を選択的に公開でき、あるいは選択的に未公開にできるというのは、アンバランスです。 患者プライバシーの保護と、医療過誤冤罪の予防との法益のバランスを考えるような法環境が、好ましいものと考えます。

公開されることによって、医療過誤の真相追求は深化されますし、医療事故の防止にも役立つわけですから、医療側患者側共に、公平な処置だと思います。守秘義務に関しての例外である『正当な理由』というのは、このような場合も含むものだという、判例がほしいものです。

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元内科医さんの意見(Yosyanさんブログから引用)


元内科医

 プロ市民団体側からのネット医師への牽制と考えられる動きがありますが、これに関連した報道をみますと、本当にひどいことが行われたかのような印象操作があります。まるで個人情報を無断でネットに流され、かつその内容についていたぶられた(一般企業の顧客情報流出事件のような状況に加えて、その情報を元に多数の医師が関わった名誉毀損があった)かのような、本当に非道なことが行われたかのように報道されています。何も知らない一般の方は心を痛めることでしょう。

「その時点でカルテのコピーがかなり広い範囲で出回っていたらしいこと(遺族側弁護士は公開したのは看護記録のみであると主張されていますが)」「その時点での毎日新聞の『6時間放置』などをはじめとする記事と経過の記載について医学的な考察が乏しく感情に流されただけの報道がなされていたこと」は隠されています。

 ただ。プロ市民団体と医師との争いは、基本的には医師が圧倒的に弱い立場にあります。プロはプロであるだけに感情に訴え、あえて低いレベルに話を限定し、今までの経験と数とDQNの感情に訴える力にものを言わせてマイノリティーである医師をねじ伏せることでしょう。実際に今回のことが刑事訴訟として起訴されるかどうかは疑問がありますが、フカシとしては効果的でしょう。物言えば唇寒しという雰囲気が流れると思います。毎日新聞をはじめとするマスコミもプロ市民と同じと考えてよいと思います。

私は新聞も購入せずテレビも極力見ないよう心がけていますが、そういった人は実際増えてきていると思います。テレビも新聞もあまりにレベルが低く、時間を費やすに値しません。ある一定の層にしか支持されない媒体に転落しつつあります。その結果、感情をただ垂れ流す文章が溢れるようになり、プロ市民の憩いの場と化しております。

 今回の牽制は、マスコミからの牽制という面もあると感じています。かくして医師はとりあえずどこまでも叩かれ続けるでしょう。ネットでの反論もある程度はままならなくなると思われます。今後長い目で見るとマスコミは完全に力を削がれるでしょうし、またプロ市民も実際医療崩壊の現実化を受けて焦りが出てきている印象もありますが、まだまだ医師側が極限まで叩かれる事態は続きそうです。


元内科医

 ところで、4月に入って、開業医を奴隷化する方向の検討が報道されはじめました。私もラジオでさえも「かかりつけ医と携帯電話で連絡がとれる」時代がすぐそこに来るかのような口吻でのニュースを実際に聞き、驚いたものです。このような斬新かつ残酷なアイデア、私にも全く思いもしなかったことであり、つい先日までは妄想扱いされそうな(日医が開業医主体の団体のはずでしたから)ものでしたが、大々的に発表されており私も困惑しています。

 「総合科」の新設など、ジョークにしては風呂敷が大きく、「何が何でもやるぞ」という気迫を感じます。膨大な無駄だと思いますが、矢継ぎ早に今まで冗談でしかありえなかったようなアイデアが参院選前ということもあるのか連打されています。

医療崩壊と焼野原については昨年から予想はされていましたが、ここのところの急激な開業医締め上げ情報+僻地義務化構想などを見聞きするに、「もう、国策には逆らえない…」と本当に実感するようになりました。「人民は弱し 官吏は強し」なのです。国の方針は決まっているわけです。もうじたばたしても仕方ない気がします。

今まで出された提案の全てが実現する訳ではないとは思いますが、基本方針が変わることはないでしょう。官僚としては自分が関わる期間に「やり逃げ」すればいいのですから、おそらく方針の転換はどんなことがあってもありません。

ニュージーランドやイギリスのことを知らないわけはないのですが、壮大な実験をまたやるのか。でも誰も止められないのでしょう。医師がネットを通じて言っていること、それはすべて正論だと思います。ただ、ここまで強引な方針を見るにつけ、何を言っても叶うことはないのだという確信を強くするのみなのです。

「家で死にましょう」「かかりつけ医を張りつかせます」「医療訴訟と医師の労働条件については現状維持のまま特に何もせず」医療費削減に邁進するのだというのが政府の方針なのだと思います。

 保険診療が崩壊すれば厚生労働省の影響力が及ぶ範囲がきわめて縮小すると思われますが、厚生労働省は本音では実際どうしたいのかがよくつかみきれません。今までの「米国追従のみ」という国是は変わりつつ(変えさせられつつ)あります。よく「多極化が世界を支配する」と言われますが、その一環としてか日本は米国から切り離されようとしています。医療保険市場を外資に参入させるとして、それが間接的には国益になるから今の状況になっているのだと考えています。

そういう大きな流れがあるとした場合、医療崩壊とは何とも止めようがないと思われます。ただ、日本の医療崩壊は他国と違い「プロ市民による自己破壊運動」が崩壊を促進している点が特異ではあると重います。国策で医療を絞り上げる点は他国でもみられますが、こんなに(国際的に見て)アクセス・コスト・クオリティで極限まで恵まれており恩恵を受けているはずの「市民」の一部の方が内部融解を促進しすすんで自己崩壊しているところが特異です。

 これはおそらく日本が長い間平和すぎたことと、他者を甘やかすことのみでコミュニケーションを維持するということが主流になったことが関係しているのだと思います。

1. おそらく今後も暫くはプロ市民の方の活動に医師は押され気味になるでしょう。
2.  医師の労働条件問題とか医師が不足している問題とか医療訴訟における医学的公平性の確保とかそういった問題は後回ししておいといて、行政としては現在の「勤務医が限界なら開業医を奴隷化」政策をとりあえず何としてでもすすめてみることでしょう。

その結果公的病院は減少し、強引な誘導により療養型病床も減少し、在宅への移行は進まず、新規の病者はどこにも入院できなくなる(退院が出ないから)でしょう。
そこまでは予想されます。


元内科医

 それでは今後医師である私は何をするべきなのかと考えました。医師は何を目標とすればよいのでしょうか。医療崩壊後再生がおきるとして、医師は何を拠り所として団結するもしくは訴えることになるのでしょうか。これについては座位先生がご自身のブログで「旗幟鮮明」という項目で既に考察されているのですが、私の考えを述べておきたいと思います。

 医師が自分の意見を通そうとするとき、医師がもしギルド的に団結したとして、その団体が持つ力の源泉は、ついこの間までは「リスクを犯してでも医業を行い、患者を救命しうること」であったと思います。それがpowerの源泉だったと思います。かつてはその力が圧倒的に強いため、あえて団結せずとも臨床能力の高い者は個人個人で強い力(単に権力だけではなく、畏敬の念を払われる総合的な力)を発揮しており、それが医師以外の集団にとってもメリットが高く、お互いのバランスがとれていたと考えます。

 しかし、この1年で状況はすっかり変わり、リスクを犯す人間は居なくなりつつあります。これは医師という職業集団にとっては大きな痛手だと考えます。もちろん適切な司法のしくみと労働環境が整備されるまで遵法闘争をすることは当然だと思います。しかし、「かならずリスクを犯してでも医業をしますよ」ということが、特にプロ市民による地雷への恐怖が主たる原因で断言できず、力にならないということはある意味職業集団にとっては不幸なことです。医師集団の力を結果的に削ぐことになります。かといって、もはや数年前の状態に戻ることは出来ません。

 私は医師が今後拠り所とすることは「今まで培った知識と、技術と、経験」であるのではないかと考えます。医師は今まで自己研鑽を続けてきた場合は高い知性と技術と経験を持っているはずです。実際に医業を行うかどうかはおいといて、また技術は使わないと古びていくことはもちろんですがおいておいて、現実に様々な足かせがあって医業を自由には行えない場合でも、高い知識と技術を維持し、質を保ち、それで他の職業集団や圧力団体を圧倒することが拠り所になると考えます。

例を挙げますと、現在「陣痛促進剤によるナントかの会」という会が活躍しています。彼の団体の主張は端的に言えば「医師が全て悪い。お産は助産師に任せて自然なお産を実現し、医師は助産師の後方支援(尻拭い)だけしていればよい。」ということだと考えます。今の勢いが続き、最悪の場合彼の団体の主張がほとんど通る恐れもあります。衆愚政治とはそういうものかもしれません。ただ、彼らに周産期医療の大部分を任せた場合(人数からして実現は非現実的ですが)、度重なる出産事故・医療行為の無断遂行・ハイリスク分娩も自己の過信のために受けてしまうという悲劇が明らかになるのではないでしょうか。

 私は出元氏に深く関与したところから腐って行くことと考えます。黒魔術は医師の知識と技術には本質的には勝てないのです。今まで助産院を盲信していた信者も度重なる黒魔術の破綻を目にして「これはやっぱりおかしいのではないか」と考え、反乱が起きることでしょう。論理の破綻が永続するほど世の中は甘くありません。知と論理が復活する時代が必ず来ます。その時のために、今まで培ってきたものを大切に扱うこと、できれば後輩に渡していくことが大事になると思います。


元内科医

 ここでよくある話ですが、「医師は本当に科学的なのか?」よく研究を主にする人から聞かれます。若干馬鹿にしたニュアンスもあります。「実地医療なんて行き当たりばったりで、論理的とか科学的とかいうものとは程遠くないかい?」ということです。

私は近年研究を主にするようにshiftしていますが、私はそれは臨床をbottomまで理解してないからそういう意見が言えるのだと考えます。詳細は省きますが、臨床の知識はけして卑下するものでもなく、また実地医療での「真理」というものは必ずあると思います。私は何度もそういう経験をし、また優れた先輩の判断をみて、新たな視界を得た経験は何度もあります。臨床医学も深く知れば科学的であると思います。実験ばかりする生活になってもその考えは変わりません。

労働条件は焼野原後に搾取されないためには改善するしかなく、そのためには判例を積み重ねなければなりません。奈良の産婦人科の先生の訴訟を応援(わずかながらアクセスできれば寄付を)したいと私は考えています。また、自分の労働時間の記録を付けたいと思います。「医師が足りている」前提を否定するためのデータを取っておく意味があります。

医療過誤冤罪を許してはなりません。医師集団の知識の質を保つためには、めちゃくちゃな事を述べて医師を後ろから撃つ人間に対する報復は行わないといけないでしょう。現在は単なる目立ちたがりもすべて野放しです。JBMがこれに相当するでしょうか。

ただ、「今すぐ医師が団結しないと大変なことに!」とは私は思っていません。そこまで焦る必要はないと思います。とりあえず、医師が何をわめこうが「大変なことになる」ことは規定路線なので、焦っても仕方がないのです。

ゆっくり知を高め、連帯を徐々に強めていくだけでよいのではないでしょうか。

もちろん最終的には大きな団結が必要ですが、焦ることはないと思います。それはそれとして、今は自分の医師免許を守る以上に大切なことはないと思います。法規に違反してまで労働したところで、既に今まで自分の身を削って献身して来ました結果がこの仕打ちですから、もう耐えることはありません。順法闘争です。

 日本は平和すぎました。そして、理性や理論よりも感情論がすべてを支配するようになりました。しばらく愚かな時代が続くでしょう。警告を発し続けた人々にとっては耐え難いほどの状況が続くと思います。

しかし、全てが焼き尽くされた後、復興するとき、自分の技術と自分の免許は保持し磨いておかないと非常に勿体ないと思います。そのためには遵法を通し、崩壊後のために重要と思われる判例を作るためには労を惜しまず(奈良の訴訟と福島の訴訟の結審を医師側に利する当然の結審に導くことが現段階では必要でしょうか)、免許を守り、技術は密かに維持し続けることが必要だと考えます。

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引用終わり(引用文中の太文字、赤字修飾は、座位による)

投稿者 座位 ラベル: 法曹との対話

2 コメント:

元内科医 さんのコメント...

座位 先生

はじめまして。
元内科医と申します。

先生のブログは勉強になります。ただ、まだまだ自分の知識が不足しており、自分の法律的な読解に難がある段階を脱しておりません。

来るべき未来を信じ、精進していきたいと思います。
またよろしくお願いします。
5月 04, 2007

座位 さんのコメント...

元内科医様 今晩は。
先生の共感を呼ぶ考えを共有したいと思い、勝手ながら引用させて頂きました。ありがとうございました。先生達の発信を今後とも注目してまいります。では、また。
5月 04, 2007

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