★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK35 > 237.html
 ★阿修羅♪
「対人地雷の代わりにクラスター爆弾を使いたい」という事の意味(週刊オブイェクト)
http://www.asyura2.com/07/senkyo35/msg/237.html
投稿者 gataro 日時 2007 年 5 月 26 日 09:51:40: KbIx4LOvH6Ccw
 

(回答先: 社説:クラスター爆弾―禁止・廃棄の先頭に立て(朝日新聞) 投稿者 gataro 日時 2007 年 5 月 26 日 09:41:40)

http://obiekt.seesaa.net/article/41790737.html から転載。

「対人地雷の代わりにクラスター爆弾を使いたい」という事の意味

2月の終わり頃、クラスター爆弾の使用禁止を謳った『オスロ宣言』が採択されました。その時にこの件について記事を書こうと思っていたのですが、ちょうど林信吾さんの件(http://obiekt.seesaa.net/article/34667203.html)が始まった頃で、取り合えず後回しにしておこうと延期し、そのまま忘れていました。しかし今日、朝日新聞に「クラスター爆弾―禁止・廃棄の先頭に立て」という社説(http://www.asahi.com/paper/editorial20070514.html#syasetu2)が載り、これを見て思い出したので、良い機会ですので記事を書いておこうと思います。


関連記事:「反クラスター爆弾キャンペーン」
http://obiekt.seesaa.net/article/28128429.html


まず、このクラスター爆弾禁止への道程は、対人地雷禁止のオタワ条約と同じ様な例には成り得ないだろうと予測しておきます。アメリカ、ロシア、中国が反対しているのは地雷禁止条約と同じですが、イギリス、フランスなどは基本的にクラスター爆弾の問題を認めつつも、「拡散子弾に自爆装置(不発の際に安全化できるよう、時限式で起爆するもの)を付ければよい」と、単純な禁止に反対しています。

地雷ならば、アメリカが禁止に賛同してくれる余地があります。それは地雷とは防御兵器であり、侵攻型の軍隊であるアメリカ軍には本来必要が無い物だからです。アメリカが地雷禁止に反対している理由は38度線の防御に必要だから、つまり韓国を守る為です。つまり将来、朝鮮半島が統一されれば、アメリカは地雷禁止条約に調印するでしょう。

ですがクラスター爆弾は攻撃用の兵器です。もちろん、侵攻してくる敵に使用すれば防御的と言えますが、こちらが攻撃する際にも使えます。(当たり前の話ですがこれはクラスター爆弾に限った話ではなく、通常爆弾でも同じ事が言えます)つまり、敵が攻めて来ない限り使えない地雷という防御兵器とは異なり、アメリカは強行に使用禁止に反対します。また近年、ロシアや中国はクラスター爆弾のような拡散子弾(submunition)タイプの兵器の開発に熱心で、航空機用爆弾やロケット弾、野砲や艦載砲など各種兵器で使用すべくバリエーションを増やしています。これはアメリカも同様で、世界的に見てもこの種の兵器は一般化してきました。今やヒズボラですらイラン経由で中国製の拡散子弾タイプの野戦ロケットを入手、使用する時代となっています。

恐らくこの世からこの種の兵器はなくならないでしょう。残された現実的な解決手段は、不発率を可能な限り低くする事です。それが駄目なら、クラスター爆弾を使用した区域に向けて後から同じ広域制圧兵器である燃料気化爆弾(FAE)を叩き込み、不発弾を処理するという自嘲気味な方策もありますが・・・しかしそれは、余計に悲惨な戦場を生み出す事でしょう。ロシアはFAE弾頭の開発にも熱心ですから、クラスター弾頭のロケット弾を叩き込んだ後にすぐFAE弾頭を叩き込む事も可能ではありますが。(構造上、FAEは不発弾問題がありません。ただし対装甲打撃力が殆ど無いので、敵装甲部隊には効果が薄い)

また、自衛隊もクラスター爆弾を保有しています。その理由は、対人地雷が禁止されたのでその代替として、というものです。そしてこの事を勘違いした反戦平和団体の人の中には「クラスター爆弾とは不発弾を地雷として使う兵器なのだ!」と主張している人が居ます。しかしそれは誤りです。そもそも軍隊の進撃は不発弾では止められません。不発弾は爆発するかどうか不安定ですし、地面に埋めらているわけではないので排除が容易です。またHEATコーン(成型炸薬弾の金属カップ)が目標の方向へ向いていなければ、対装甲打撃力は無くなります。そして不発弾は大抵、横を向いています。つまりクラスター爆弾の不発弾は軍隊同士の戦闘では何の意味もありません。


クラスター爆弾規制に反対してる国:Kojii.net ココログ別館[2/24]
http://kojii.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_ae2d.html
--------------------------------------------------------------------------------
つまり、対人地雷の代わりにクラスター爆弾を使いたい。ただし人道的見地から自爆機能付きのものだけを調達する。全面的な即時規制には反対。というわけです。フィンランドでも、クラスター爆弾で対人地雷の代わりになるのか ? と疑義を呈している人はいますが、その人ですら「即時規制はしてもらいたくない」といっている由。

フィンランドに関する話は、日本のメディアでは取り上げられていないようなので、書いてみました。
--------------------------------------------------------------------------------

Kojii.netで紹介されているように、フィンランド軍も自衛隊と同様に、「対人地雷の代わりとして」クラスター爆弾を採用する気でいます。しかし同時に自爆機能を付けて不発弾の問題を小さくしたい、と主張しています。つまりクラスター爆弾の不発弾を地雷として使う気がありません。

「地雷の代替としてクラスター爆弾を使いたい」という意味は、多数の敵の進撃速度を遅くする為、クラスター爆弾で広域に渡って直接打撃を与えたい、というものなのです。日本の自衛隊の場合は、海岸線で密集している敵上陸部隊の橋頭堡を叩く際に使用されます。フィンランド軍の場合は敵(ロシア軍)は大軍であり、地雷が使えないとなれば遅滞戦闘は大きな制約を受けます。しかし彼我の戦力差から必然的に多勢に無勢という状況であり、これを解決する為には1発で多くの敵を攻撃できる広域面制圧兵器が必要とされます。

それは核兵器か、クラスター爆弾か、燃料気化爆弾しか選択肢がありません。そして敵は装甲部隊である以上、燃料気化爆弾は意味がありません。そして核兵器は問題外であり、残るはクラスター爆弾だけになります。つまりこの意味でクラスター爆弾とは、戦術核兵器の代替であると言えます。(これも誤解されそうな表現ではありますが)


日本自衛隊はクラスター爆弾の問題について、英仏やフィンランドと同様の解決策を採用すべきと思います。拡散子弾に自爆装置付きのものを採用し、古い弾は廃棄する。対人地雷を取上げられ、今またクラスター爆弾を取り合げられたら、国防が成り立ちません。日本がオスロ宣言に加わらなかったのはこれが理由です。なにもアメリカの顔を立てたわけではありません。自衛隊にはクラスター爆弾が必要だからです。


【追記】
自衛隊がクラスター爆弾の調達を開始したのが1987年からですから、対人地雷禁止条約に批准した1998年の後に代替兵器として選択したわけではありません。クラスター爆弾を保有し続ける理由として「対人地雷が禁止されたのでその代替として」フィンランドが示したように、クラスター爆弾を使いたいという意味です。ただしフィンランドでも議論になっている通り、両者は使用方法の異なる兵器なので代替になるのかどうか懸念もされています。

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK35掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。