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松岡氏らの自殺を結ぶ「点と線」/「緑資源機構」に巨額汚職疑惑(立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」)
http://www.asyura2.com/07/senkyo35/msg/676.html
投稿者 gataro 日時 2007 年 6 月 02 日 09:31:29: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070531_tentosen/ から転載。

立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」
第110回 松岡氏らの自殺を結ぶ「点と線」
「緑資源機構」に巨額汚職疑惑
 
2007年5月31日

松岡前農水相はなぜ死んだのか。

いまだにその死の真相は十分に明らかにされていない。

さまざまな情報がかけめぐる中で、ようやく大きな背景事情が見えてきたような気がする。

「緑資源機構」関係者の相次ぐ自殺の謎

人間の最大の本能は、自己の生命を維持することにあるから、どんな苦境に追い込まれても人間そう簡単には死なないし、死ねないものである。

ところが、松岡前農水相をめぐっては、わずかの間に、それこそバタバタという感じで、合計3人の人が自殺している。

まず5月18日、地元後援会の元幹部、内野幸博氏が自宅で首吊り自殺。

次いで5月28日、松岡前農水相が自宅(議員宿舎)で、首吊り自殺。

翌5月29日、緑資源機構の前身、森林開発公団の理事をしていた山崎進一氏が、自宅マンションで飛び降り自殺。

この3件の自殺は、当然相互に関係があると考えられてしかるべきである。

謎の連続自殺を結ぶ糸は、緑資源機構の談合事件である。

5月24日、公正取引委員会から、すでに告発を受けていた林道をめぐる入札談合事件で、検察の特捜部が動き、発注側の機構の理事2名と、受注する土建業者側4名が逮捕された。

自殺の背後に隠された大きな事件の本体

松岡議員の自殺後、もっぱら報道の対象になったのは、事務所の光熱水道費問題の不正申告問題(ナントカ還元水問題)だが、私は、前々回、そんな問題で自殺の原因になるはずがないと書いた(第108回「『謎の自殺』遂げた松岡農水相 安倍内閣が抱える『闇』の真相」― http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070528_yami/)。

松岡農水相の国会における弁明は、それこそ噴飯ものとしかいいようがない弁明だったが、形式上はいちおうそれで通っていた。それに加えて安倍総理が繰り返し、松岡前農水相の発言を信じ、そのとった措置を妥当と思うむねの発言をしてきた。

さらに松岡前農水相の更迭を迫る野党に対し、安倍首相は、同相がいかに国家にとって大切な人材であるかを力説し、同相を強く擁護する立場をとっていた。そのため、それ以上野党もこの問題を攻めあぐねていた。

この問題なら、松岡農水相は死ぬほど追い詰められていたわけではない。

それに、林道談合事件も、話が小さすぎるから、それ自体が自殺の理由になるはずはないと書いた。

林道談合事件で松岡前農水相の関与が疑われたのは、談合に参加した企業から松岡前農水相の政治資金団体が不適切な政治献金を受けていたということだが、その額はたかだか数百万円レベルの話である。その程度の金額なら、そもそも特捜部が動くような話にはならないのである。それが立件されても、松岡前農水相を罪に問うような話にならない。

この自殺の背景には、もっともっと大きな事件の本体ともいうべき部分が隠れているはずだと書いた。

その本体部分をかいま見させてくれたのは、「週刊ポスト」6月8日号の

「『松岡農水相の急所』押収資料はこう消えた!」

週刊文春6月7日号の

「松岡農水相自殺『隠された醜聞』」

週刊新潮6月7日号の

「安倍内閣を直撃した『松岡ショック』」

など一連の週刊誌の記事である。

特に「ポスト」の記事は、実は自殺前の記事であるが、自殺にいたる背景の本体部分をいちばんよくうかがわせてくれる。

他の記事もあわせて、今のところこれが事件の本体とみられることをお伝えしよう。

特捜部で焼失した「謎のダンボール」の中身

緑資源機構の官製談合事件は、実は早くから調査が進んでいたもので(公正取引委員会の調査は、昨年秋から)、5月の連休明けにも一挙に強制捜査に着手する段取りになっていた。

ところが、その連休明け早々にとんでもない事件が起きた。

特捜部が公正取引委員会からあずかっていた段ボール箱200箱分の資料のうち、最重要の資料が入った特A級の1箱だけが紛失してしまったのだ。

紛失の理由はよくわからないが、いま表向き伝えられている話では、係員が誤って焼却処分してしまったということになっている。

その箱の中に何が入っていたかというと、九州の中央山地を南北に横断する(えびの高原から、五家荘阿蘇へつづく全長194キロ)「大規模林道菊地・人吉線」の工事発注にかかわる資料だった。

この大規模林道建設工事は、林道といっても、道路だけでなく水源林涵養と田畑などの農地開発を一体として行うという大事業で、熊本県だけで、総工費154億にものぼる大計画だった。

この大事業の主体となっていたのが、緑資源機構なのである。

林道だけでない「154億円の大事業」の入札疑惑

松岡前農水相は、この熊本県に落ちる154億円の大事業の落札を全部自分が仕切り、各工区でそれを落札する業者から経営規模によって2〜3パーセントの上納金をおさめさせた上に、松岡氏の選挙区そのものである第6工区と第7工区では、自分の息のかかった地元業者に、「鞍岳建設」と「ひのくに建設」という架空の建設会社を作らせ、そこに入札を落としてしまうというとんでもないことまで行っていたのである。

先の林道談合事件で摘発されたのは、この大規模林道事業の本体部分の落札ではなく、そのとばくちの、調査事業と測量事業の部分だけである。それは事業全体が10億円規模だから、動いた金も百万円の単位でしかなかったのである。

しかし、本体部分は、その10倍以上の事業規模だから、松岡氏の懐に入る予定だった金額も、単純にパーセントで見積もって、3億〜4億円にのぼったものと見られる。そうなると、これは、一大あっせん収賄事件で、特捜部が乗り出して当然の事件であり、松岡逮捕も必至だったとみられるのである。

現役大臣の逮捕となれば、もちろん安倍内閣にとって、政権の浮沈にかかわる大事件である。参院選も大敗北必至で、安倍首相の政治生命もそれまでとなっていた可能性大だったといわなければならない。

松岡前農水相としては、自分が死んでもこの事件全体にフタをし、かつ現役大臣の逮捕という最悪の事態だけは避けたいと思った。これが自殺の真相だろう。

特捜部の取調べの日に最初の自殺者

だが、松岡氏の自殺で、この事件の真相解明の動きにストップがかかるのだろうか。

少なくとも、ついこの間までは、その動きにストップがかかることはなかった。

特捜部の資料紛失事件のすぐあと、緑資源機構の九州林道事業の入札を担当していた林道課長が、検察庁から事情を聞きたいと呼び出しを受けた。課長は事情聴取などすぐすむと思って、着がえももたずに上京したが、それから8日間にわたって取調べがつづき、帰宅が許されたのは、5月18日だった。

思い出していただきたいが、最初の自殺者(内野幸博氏)が出たのが、この日である。おそらく、特捜部で8日間もぶっつづけに追及を受けた林道課長は、事件の背景を全部しゃべってしまったにちがいない。

自殺した内野氏は、松岡前大臣の地元有力者として、一連の談合の仕切り役をつとめるとともに、業者から松岡前大臣のもとに政治資金を流し込む集金システムの中心にいたと考えられている。

検察は、このキーマンの自殺で再び大ショックを受けたものの、事件の全貌はすでにつかんでいたので、すぐにそのショックから立ち直り、ベテラン捜査官を九州に送りこんだ。

補強捜査につとめると同時にこれまで大事件を常に担当してきた特捜部最強の特殊直告1班をこの事件解明の担当とし、さらに他の班からも応援検事を集め、また全国の地検からも応援の検事を集め、リクルート事件なみの総力戦体制で本格捜査に踏み切ったところだった。

その捜査が刻一刻、自分の身辺に及びつつあるのを知った松岡前農水相は自殺し、それにつづいて、やはり捜査の最終段階でキーになる情報を握っていた緑資源の前幹部もまた自殺したということらしい。

大規模汚職疑惑の幕引き図る安倍首相

ここまで背後の事情がわかってみると、前回書いた、安倍首相の捜査の進行状況にかかわる指揮権発動まがい発言の重大性がわかるだろう。

そこで書いたことだが、「これまでに松岡前農水省の周辺を捜査したこともないし、これからもそうする予定がなかった」などという検察発言はウソで、検察は着々と松岡前農水相をターゲットに、捜査の環を縮めつつあったのである。

安倍首相がそのような検察のオフレコ・コメントを利用して、「本人の名誉のためにいっておくが」などというマクラ言葉付きで、

「これまで身辺捜査をしたこともないし、これから捜査する予定もなかったと聞いている」

などと、わざわざ発言するのは、要するに松岡自殺を機縁にして、この事件の捜査に幕を引けといっているに等しいトンデモ発言なのである。

検察はとっくに着手していた松岡前農水相事件

今年1月、特捜部長に就任した八木宏幸検事は、就任記者会見で、

「特捜部に期待されているのは、政官財の不正解明に尽きる」

と述べた。こう述べたとき、松岡前農水相の事件は、すでにとっくに着手されていた(先に書いたように公正取引委員会の調べは昨年11月から)info。

八木特捜部長は、02年の鈴木宗男代議士の「やまりん」事件当時、特捜部副部長として、すでに松岡前議員の取調べに直接あたっていたが、そのときは立件にいたらなかったという因縁を持つ。

就任記者会見での発言は、すでにこの事件で期するところがあった上での発言と思われるが、ここで、松岡自殺・安倍指揮権発動まがい発言にだじろぐことなく、ぜひ初志を貫徹して、事件の全容解明にあたってほしい。

ここで、安倍発言にたじろいで、事件の真相解明のホコ先がにぶるようなことがあれば、再び検察庁の看板に黄色いペンキが投げつけられるようなこと(92年に金丸信自民党元幹事長の佐川急便闇献金事件に対する検察の疑惑追及が弱腰で許せないと怒った市民が起こした事件)がもう一度起こりかねないだろう。

■関連記事
・「謎の自殺」遂げた松岡農水相 安倍内閣が抱える「闇」の正体
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・松岡氏の遺書に隠された秘密 消えた「政治とカネ」の真相
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070529_shinsou/

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立花 隆

評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月-2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。2006年10月より東京大学大学院情報学環の特任教授。2007年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。

著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌—香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。

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