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格差社会の出現と財界人、労組幹部の責任 【天木直人のブログ】6/2
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投稿者 天木ファン 日時 2007 年 6 月 02 日 10:14:29: 2nLReFHhGZ7P6
 

2007年06月02日
格差社会の出現と財界人、労組幹部の責任

 格差社会の出現と財界人、労働組合の責任

 日本経営の三種の神器と言われる@終身雇用A年功序列B企業内組合。この「会社運命共同体」が崩れようとしている。いつのまにか日本経済は株主重視経営、成果主義賃金、雇用の流動化という米国型経営に変わってしまった。もちろん日本型経営には問題もある。しかし格差社会をここまで急速に進めてしまった責任者は確かに存在する。誰かが責任を負わなければならない。
 この日本経済の変化について、朝日新聞が「証言でたどる同時代史」という特集記事で検証している。それを読むと、今日の格差社会の出現の責任は、一人日本政府の責任にとどまらず、財界人、労働組合幹部が等しく負わなければならない責任であると思えてくる。
 5月19日の「証言でたどる同時代史」は財界人の責任について書いていた。その記事によれば日本型経営の転機は、94年2月25日の千葉県浦安市舞浜の高級ホテル「ヒルトン東京ベイ」から始まったという。いわゆる舞浜会議である。そこで大手企業のトップ14名が泊り込み、次のような激しい議論を繰り広げたという。
 
・・・論争の中心になったのが「雇用重視」を掲げる新日鉄社長の今井敬と「株主重視」への転換を唱えるオリックス社長の宮内義彦だった。後に経済界で「今井・宮内論争」と言われるものだ・・・対外発表はされず、世間から注目もされなかったが、経済界にとってはここが大きな節目だった。日本型経営の維持か、株主利益重視の米国型に変えるのか、経営者たちが必死で探っていた時期だ・・・「終身雇用を改めるなら経営者が責任をとって辞めた後だ」。企業共同体論に立って主張する今井に、日産副社長の塙義一らが同調した・・・これに対し「これまで企業が社会に責任を負い過ぎた。我々は効率よく富をつくることに徹すればいい」と宮内が反論。それをウシオ電機会長の牛尾治朗が援護した。「・・・終身雇用・年功序列はもたない」・・・
  そして朝日新聞は、財界人の言葉を引用してこう締めくくっている。・・・経済のグローバリゼーションは日本の経営者たちの予想を超える速さで進んだ。市場重視に変わらなければと思っていたより先に、市場自体がマネーゲームのるつぼになってしまった。結局舞浜が企業も国も漂流を始めた起点であった・・・と。
  本当にそうだったのか。日本の財界人が議論を尽くして日本経済や日本国民の利益を真剣に考えた最善策を講じようと本気で努力したのか。それでもグローバル経済化の速度についていけずに米国資本の犠牲になる事は不可避だったのか。
 政府側に立ったメディアや経済評論家は決して認めようとしないが、世間では日本の政官財が米国の要求に迎合する形で日本経済を米国資本に売り渡したのではないかと指摘する向きがある。その真偽はどうであれ、95年、経済同友会代表幹事になった牛尾は「市場主義宣言」を掲げ、政府の経済財政諮問委員会議の議員となって新自由主義政策を進める小泉内閣の参謀役を務めた。竹中平蔵、宮内義彦、奥田硯といった一握りの財界人が、大きな影響力を行使し、小泉政権の最高政策決定機関である「経済財政諮問会議」に入り込んで日本経済の方針をどんどんと決めて言った。彼らは小泉前首相と同様に強烈な米国礼賛主義者だ。米国の企図する日本経済の解体に、彼らが意図的に積極的に加担していった事はないのか。それが言いすぎであれば、少なくとも彼らは米国の圧力に体を張って日本の大衆労働者の利益を守ろうしなかったのではないか。自己の利益を優先させたのではないのか。
 その一方で6月2日の「証言でたどる同時代史」では、労働組合幹部の証言を引用し、その責任を問うている。鷲尾悦也元連合会長は言う、「・・・企業別組合は自分たちの権益を守るため、会社が(非正規の)安い労働力を入れるのを許してきた。連合がいくら『非正規労働者の組織化』を訴えても、労組役員になると『そうですね』で終わってしまう・・・正直に白状すると、僕らは八幡製鉄所の労働者の苦しさはわかるが、パートや派遣労働者の苦しみは実感としてわからない・・・」。 そして笹森清前連合会長は言う。彼は02年の春闘で「雇用を守るために一定期間はベア自粛だ」という奥田日経連会長(トヨタ自動車会長)に押し切られた時の連合会長だ。「・・・トヨタ自動車会長の奥田さんが日経連会長でいたことが大きかったですね。日経連会長の立場でトヨタの交渉に介入したというならゆゆしき事だと思う。当時、経営者たちは労組側の統一ベア要求に対して『横並びの時代じゃない』と言って攻撃してきた。トヨタのベアゼロを受けて、どこの企業も自社の賃金抑制に悪用したんです・・・日本の労働運動の特徴は実働部隊が『企業別組合』だということ。その上に(連合という)ナショナルセンターを乗せたが、連合そのものには団体交渉権はない。これでも成長している時代は企業別協議で答えを出せた。それにあぐらをかいた。居心地がよすぎたんだろうな・・・」。労働者が組合から離れていくのは当然であるような気がする。
  日本経済をここまで崩壊させたのはグローバリゼーションという名の日本の米国経済化であり、その要求にやすやすと迎合した日本政府の責任である。しかしその日本政府に協力したのは財界幹部であり、それとなれあったのが労組幹部ではなかったか。今日の格差社会の責任は、この国の指導者のすべてにある。


http://www.amakiblog.com/archives/2007/06/02/#000406

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