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松岡農水相の自殺と安倍政権の危機 利権・腐敗体質と新自由主義的政策決定の狭間で苦悶する保守政治 = 週刊かけはし
http://www.asyura2.com/07/senkyo36/msg/237.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 6 月 07 日 21:54:22: mY9T/8MdR98ug

http://www.jrcl.net/web/frame070611a.html

窮地に陥った松岡の死


 五月二十八日、松岡農水相が都内の一等地にあり家賃が安過ぎると話題となってきた赤坂の議員宿舎の十一階で自殺をした。
 当初、松岡農水相は五月二十七日の午後は、東京競馬場で開かれる第七十四回日本ダービーに出席するスケジュールになっていた。この日本ダービーには皇太子と安倍首相が出席することになっており、「競馬」を管轄する農水省のトップとして同席するはずであった。しかし松岡は突然このスケジュールのキャンセルを農水省の事務方に伝え、自分の選挙区であり、実家のある熊本県に帰り、後援会の会合に参加し、実家で母親に会い、墓参りをして東京に戻っている。
 松岡のとったこの行動をみれば、明らかに「死」を決意したものであることは歴然としている。多くのマスコミは、アンケート調査で「内閣支持率」が大幅に下がったことが影響していると書いているが、彼を「死」に追い込んだ大きな理由は、一連の「なんとか還元水」を中心とする収支報告書偽装の「政治とカネ」問題であり、新たに緑資源機構をめぐる官製談合が発覚したことである。五月二十四日には機構の理事らが六人も逮捕され、地元の後援会幹部が自殺し、熊本県小国町の機構事務所や宮崎県の松岡に献金し続けてきた建設会社にも家宅捜索が入ったことが直接の契機であろう。
 松岡は機構の受注業者で作る特定森林地域協議会(特森協)から他の国会議員よりもはるかに多い政治献金を受けていただけではなく、熊本で緑資源機構が調査し、さらには水道と林道、田畑などの「開発」が一体で押し進められている「中山間事業」の建設利権にも深く関わっていたと考えるのが自然である。
 松岡の死亡が発表されたあと東京地検の担当検事と安倍首相は声をそろえて「故人の名誉のため」に言うが、「松岡大臣に対する捜査はなかったし予定もしていなかった」と発言した。しかし、すでに捜査は及んでいたのである。松岡自身がそれを最も知っていたのであり、その結果一切の「黒い事実」に「ふた」をするために死を選んだのである。安倍は「戦後レジームからの脱却」を声高に叫ぶが、松岡の「死」こそ戦後自民党が体現した「利権」政治そのものであり、「死」という形でしか「政治とカネ」の問題を解決できないありようがその深さを現している。遠くは中川一郎、近くは新井将敬の自殺と「政治とカネ」の問題を死で解決するありようは戦後延々と続いている。時には「シッポ切り」という形で秘書が死ぬというのは数え切れない程である。

 安倍内閣のアキレス腱
 
 安倍内閣の閣僚には成立直後から政治資金をめぐる疑惑問題が浮上した。住田行革改革担当大臣が収支報告書の不明金を明らかにできず辞任に追い込まれたのを初めとして、久間防衛相、甘利経済産業相、伊吹文科相と次々に名前があがった。また追及する側にいる民主党の角田参議院副議長も辞任を余儀なくされ、「額」の問題を除けば国会議員の多数がこの構造に「毒」されていることが明白になった。
 だが松岡の「政治とカネ」は突出していた。収支報告書に家賃や水道代、電気代がかからない議員会館に自分の資金管理団体の事務所を置きながら、数千万円もの事務所経費や水道代を計上し、三月の予算委員会で二十三回にもわたり「適切に報告している」と繰り返し、「疑惑」をはらすどころか野党の追及に「ナントカ還元水」なる「迷言」をはき「集中砲火」を浴び、柳沢厚労相の「女は子どもを産む機械」発言とともに安部政権のアキレス腱となった。
 松岡は閣僚に就任した日から「カネ」の問題が浮上し、就任当日にさっそくパーティー券百万円の収支報告書の訂正を行っている。そしてそれにからみ福岡市の資産運用会計の関連団体WBEFのNPO法人認証申請問題で秘書の「口利き」が発覚し、同時にWBEFからの「献金不記載」も明らかになった。
 「東の鈴木宗男、西の松岡利勝」の「政治とカネ」の問題は政界筋では「有名」であったという。〇三年と〇五年の二回の選挙では運動員が公職選挙法違反容疑で逮捕されたり、投票直後に行方をくらませたり、BSE問題では族議員を地で行くように畜産業者の在庫牛肉の買い上げを強く農水省にせまり、一方でだまし取った助成金を牛肉の「ハンナン」から政治献金として受け取っている。鈴木宗男の逮捕理由の一つであった製材会社「やまりん」でも同じように暗躍し、名前が出ていた。
 マスコミはかつて同じように自殺した故中川一郎元農相の秘書を「鈴木とともにやり、カネ集めをおぼえた」という。たしかにその側面はあるにしろ、住田、伊吹、甘利という形で閣僚の名前が出てくるのは自民党の「体質」であり構造的な「腐敗」そのものである。作家の猪瀬直樹は「小泉政権以前の自民党が田中角栄、竹下登らに代表される業界ゆ着型の古い自民党だとすれば、その最後の人が逝ったといえる」と発言している。猪瀬は小泉政権で道路公団問題に関わったせいか、小泉以前が古く、それ以後を新しい自民党に分けたいようである。その分類でいくとなぜ安倍政権の閣僚の名前が次々と出てくるのか説明がつかない。ある学者の「圧倒的多数の二世議員が国会の中を『ばっこ』する時、学歴も選挙基盤もない者が『成り上がる』ためにカネ集めも多少『乱暴』にならざるをえないのが現在の政界である」とする説の方が説得力がある。

「逃げ」は許されなかった


 松岡の農水大臣就任をマスコミは論功行賞人事と分析した。その根拠になっているのが、昨年まで「族議員」を代表していた松岡は小泉の郵政民営化で突然「賛成・支持派」にまわり亀井派を捨て、次には安倍政権の成立に奔走したという経過がそれである。他方そのマスコミの評価を意識してか、安倍はことあるごとに松岡の「能力」を強弁し続けた。「松岡さんは農林族議員として、日本農業保護の急先鋒だった。ところが、時代の変化を感じ取って、国際派にがらりと変ったんですよ。農民に力を持つ松岡さんだから国際化への動きを説得できる」。そして死後マスコミを通して聞こえてくるのは、安倍のこの発言は松岡が「やめたい」というのを封じるための官邸と国対が一体となった「芝居」説である。
 安倍は松岡の「政治とカネ」問題を「かばう」形を取りながら他の閣僚への波及を防ぎ、政権の延命と求心力の維持のために松岡をやめさせなかったのである。住田に続き、松岡、伊吹、甘利、久間と波及すれば政権は持たないと考え、松岡だけでなく柳沢厚労相の辞任を受けつけなかったのである。「外」では「かばい」、「内」では「受けつけない」、これはメダルの裏表である。
 安倍はこの内と外を使い分ける手法で「政治とカネ」にはふたをし、一方では教育基本法の改悪、改憲手続き法を遮二無二成立させるという形で右にかじを取り、他方で自民・公明の多数派体制を利用し、あらゆる法案の強行採決を行い「存在」をアピールしようとしたのである。政権の動揺と綻びがあらわになればなる程「右」と「強権」を安倍カラーとして使い政権を浮揚させる武器としたのである。これによって一時下がっていた支持率は上昇し始めた。
 だが、安倍が考えていた以上に松岡にとって「政治とカネ」の追及は重く、緑資源をめぐる官製談合問題は深く、その重さと深さが松岡を「死」へと追いつめたのである。松岡を「死」に追いやったことで、「かばう」という形を取りながら政権維持のために利用し、「逃げ道」を塞いだ安倍政権の本質が明らかとなった。さらに「五千万件にものぼる不明な年金記録問題」が発覚し、それに対するいい加減な対応が重なり一挙に安倍政権の支持率低下につながり、屋台骨をゆさぶり始めたのである。

 今こそ追撃を組織しよう

 松岡の「死」の直接的要因と思われる林野行政の管制談合の舞台である緑資源機構は、前にも述べたように水道、林道、田畑などの「開発」のための調査・測量を行う林野庁の外郭団体である。林道などの調査・測量事業は年間約十億円の財政規模で他の公共事業と比較すると一見あまり大きくない。だがこの事業はその後の道路建設などの入り口に位置しているため、国交省・道路公団、さらにはゼネコンと密接に結びついている。「測量」の結果としてトンネル・橋梁の位置を変えるだけで千億円の単位が動くと言われる。松岡が関与したと言われている熊本県の「中山間事業」だけでも百五十四億円であり、阿蘇山に通じるスーパー林道になると工事費はゆうに一千億円を超える。つまり緑資源機構は「入り口は入り口」でも談合と汚職の「入り口」でもあり、緑資源機構をめぐる管制談合には戦後日本と「新自由主義時代」への転換期の政策決定の仕組み・システムの歪みが典型的に現れている。
 戦後の日本では、政治家・官僚・業界が「鉄の三角形」という形で利益を分け合う構造が成立していた。官僚が企業や外郭団体に天下り、族議員と手を結び、省の縦割り行政を利用し「利益」を受けるのである。決定権を持たない地方自治体はこれにぶら下がる。
 ここでの「戦後レジームからの脱却」は、「政策決定から族議員と官僚を排除する改革」となっているのだが、政策立案の中心がかつて「天下りの外郭団体」であったものが民間シンクタンクになるだけであり、「天下り」は省庁の縦割り組織から政府が今国会に提出している「公務員制度改革」によってできる「人材バンク」が一元的に管理するようになるに過ぎない。先日政府は成田国際空港会社の次期社長に現社長の黒田匡彦・元運輸事務次官の再任を拒否し、新たに住友商事出身者を起用することを決めたことをみると官邸のヘゲモニーを強化し、よりストレートに大資本と結びつこうとするものに他ならない。それは郵政民営化と同様、国が公共の資産を政策として資本に供する方式に他ならない。検察が緑資源問題を始めとして「談合・天下り・族議員」を必死になって摘発しようとしているのは、新自由主義的な市場競争の中に「公共」を投げ出すための場慣らしに他ならない。経団連が自民党への「政治献金」を復活させた理由もここにある。
 松岡の「死」が体現しているのは、自民党の「腐敗」した体質を一方で温存しながら、他方では「政策決定システム」だけを変更しようとする矛盾がつくり出した結果である。
 先日の安倍と小沢の党首討論で民主党の小沢は「死者にムチ打つわけにはいかない」と言い「政治とカネ」の問題には一切触れず、「年金問題」に切り縮めた。あまつさえ改憲、米軍再編という安倍政権が押し進める本質に対しては何ひとつも発言をしない。民主党にとってあくまでも「政治とカネ」は参院選のための道具でしかないのであり、自分に火の粉が降りかからない「年金問題」はさらに利用し易い道具なのである。
 こうして今国会の中から政治資金規正法も公務員制度改革法案も消えてしまったのである。民主党の議会主義的な馴れ合い政治をはねのけ、支持率が低下した今こそ安倍政権を追いつめ、改憲を阻止する大きな流れをつくり出そう。
(松原雄二)

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