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白川勝彦:try and error について = 永田町徒然草
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 6 月 29 日 07:04:39: mY9T/8MdR98ug
 

永田町徒然草 No.472


昨日は珍しく朝早く起き、永田町徒然草のupdateをして、私は久々に明治神宮に散歩に向かった。午前6時ころであった。カラリと晴れてはいなかったが、雨は降っていなかった。一昨日は、強い日差しがあった。ものすごく蒸し暑い日であった。朝の明治神宮は、散歩を兼ねた参拝者が多くいた。いつものとおり原宿門から代々木門に向かって歩いているとき、杖状の物をもって歩いてくる年配の人がいた。私は宮沢喜一元首相を思い出したが、やはりその人ではなかった。

私が明治神宮を散歩するようになったのは、数年前からである。それは、本当に思い出したように時々であった。毎日のように散歩したのは、昨年の「健康生活」を実践しているときであった。早朝に散歩するのは、その半分くらいであった。早朝に散歩する際は、ひょっとすると宮沢氏に会えるかなぁと思ったこともあったが、それはなかった。だから、最近は早朝散歩するときでも、そのように思うこともなくなっていた。昨日、たまたまひょっとすると宮沢氏かと思ったのは、杖状の物をもって歩いてきたからである。宮沢氏がゴルフのクラブをもって明治神宮を早歩きをしていることは、総裁選を扱った番組で紹介されてから有名になった。宮沢氏がこの散歩をいつまで続けていたのか、ついぞ訊く機会がなかった。ジョギングはしていたが、私自身に散歩という観念があまりなかったからである。

昨日、散歩から帰ってから直ぐに出かけた。そのまま外で過ごしていた。夕刻、『新潟日報』の記者から電話があった。その記者からの電話は実に久々であった。その記者から宮沢氏が死去されたことを知らされた。宮沢氏が宏池会の会長だったころ、新潟県出身の代議士だった者としてコメントを求められたのだ。私は家に帰り、背広を着て弔問に駆けつけた。宮沢氏の自宅は、昔も今も原宿門から100メートルも離れていないところにある。近親者の話によると、昨朝は自宅で元気に新聞を読んでいたという。私が久々に勇んで早朝の明治神宮の散歩で原宿門をくぐるとき、100メートルも離れていないところでともに息をしていたということになる。人生は、まことに儚(はかな)い

大平正芳総理大臣と国会議員として一緒に過ごした歳月は、わずか半年であった。宮沢氏が総理大臣をしていたとき、残念にも私はちょうど落選中であった。だから宮沢総理大臣と国会議員として過ごしたことはない。しかし、宮沢氏を総理大臣にするためには、ずいぶんと長い歳月を過ごした。宮沢氏は若いときから、「総理大臣にもっとも近い男」といわれてきたが、総理大臣になったのは72歳のときだった。ポスト中曽根を「安竹宮」と呼ばれた3人が争ったとき、結局は竹下登氏が首相となった。そのとき、宮沢氏が首相となることはないのでないかと私は思った。宮沢首相実現のために一緒に行動してきた加藤紘一氏とふたりで夜遅くまで残念会をやった。

宮沢氏とは、後輩の議員やいろいろな選挙の応援に全国各地に行った。中央から駆けつける“宏池会応援団”の前座を務めるというのが、私の役回りだった。宮沢氏と一緒に過ごした時間は、大平総理のそれと比べれば何百倍もある。しかし、いま振り返って懐かしいと思い出される場面は意外と少ない。宮沢氏は、どこまでいっても知性の人であった。それがその理由だと思う。そのことに私は不服はない。宮沢氏から面白い話を聴いたことがある。「白川さん。人間歳をとったからといって別に思考能力がなくなる訳ではないのですね。でも、ちょっとしたことができなくなるのでよ。今日こうして応援にきている若い人の名前が演説の最中になかなか出てこないときがあるのです。まさか後ろを振り返って見ることもできませんしねぇー。こういうときは、本当に困るんです」(私たちが応援演説をするステージには、ふつう「○○君を励ます集い」などといった看板があるのである(笑)。

「ソ連などの社会主義の国では、官僚主義が強くあります。官僚主義が強くなると間違いというものが許されなくなります。try and error といわれますが、try をすれば、 error は避けることはできないのです。error が許されないとするならば、try などはしないことがいちばんです。だから error が許されない社会では、try ということが行なわれなくなります。官僚化したソ連などでは、こうした現象があらゆる分野で起こっています。科学の分野であれ、経済の分野であれ、error が許されなくなると 、try という営みが行われなくなってします。ソ連が経済や科学技術の分野で停滞している原因は、ここにあります。」

私が宮沢氏の演説の中でもっとも印象が深く、自由主義というものを考えるうえで拳拳服膺(けんけんふくよう――心にとどめて忘れないこと『広辞苑』)したものである。宮沢氏が脚光を浴び活躍した時代は、良くても悪くても冷戦の時代であった。リベラルなニューリーダーといわれた宮沢氏も、自由主義陣営の政治家であった。いや、そうであるが故に、強烈な自由主義者であった。そして宮沢氏が指摘したとおり、ソ連は万事が停滞して崩壊した。しかし、官僚主義というのは、社会主義国特有の現象ではない。わが国の国家機構も企業体質も、非常に官僚主義的である。自由主義的な秩序というものが分かっていないのである。宮沢氏の言を私が拳拳服膺した理由はここにある。宮沢喜一元首相のご冥福を心からお祈り申し上げる。              合唱

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