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安倍総理は平成版・北条高時になるのか？ 2007/06/30
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安倍総理は鎌倉幕府の最後の得宗（最高権力者）・北条高時に似ていると思います。私は、ＮＨＫ大河ドラマでは１９９１年の「太平記」が一番面白かったと思います。片岡鶴太郎さん演じる北条高時ははまり役で、ＴＶの前で腹を抱えて笑った覚えがあります。
両者には共通点が多いです。安倍総理は、岸総理の家に生まれた。将来大物政治家になることを生まれながらにして約束されていた。北条高時も、得宗家（幕府権力を握った北条氏でもそのまた本流）に生まれ、幼くして執権に就任。自殺したときはわずか、３１歳でした。そして失礼ながら両者とも、ピントがずれていることです。
鎌倉時代後期、２度にわたる元寇で、幕府に仕える武士＝御家人は、多額の出費を強いられました。しかし、元寇は防衛戦争ですから、承久の乱（後鳥羽上皇を幕府が討伐した事件。上皇に仕える武士や貴族の領土が大量に取り上げられた）のようにはいきません。御家人は当時日本でも発達してきたある種の市場経済（貨幣は宋銭）にも巻き込まれ、暮らしは厳しくなり没落するものも続出していった。一方、北条氏はまず、実朝暗殺事件後、源氏の将軍を形骸化させ（摂関家か宮様を京都から迎えた）、さらに和田氏、三浦氏、比企氏、安達氏などの有力御家人を陰謀などで滅ぼした。さらに、北条の中でも、得宗（本流）が圧倒的な力を持つようになった。そしてそこに仕える御内人（みうちびと）が栄華を誇った。まさに「格差社会」の出現です。しかし、そのようなとき、高時は、闘犬と田楽に狂っていました。
一方安倍総理はどうか。高時よりはまじめだとは思います。しかし、社会情勢を見ると、やはり、格差社会が広がっている。働いても働いてもまともにメシが食えないひと。ネットカフェを流浪する人々。病院を三ヶ月で追い出される人々。介護施設に入れない高齢者。「難民」だらけではないか？だが「平成版高時」安倍総理は、御内人＝総理直属の「教育再生会議」などの審議会、会議を増殖させる。小泉さんの時代から、その傾向はもちろん強かった。小泉さんの「御内人」＝経済財政諮問会議は民間議員は小泉総理を持ち上げる学者２名と、経団連、同友会の代表で、中小企業や労働者、消費者は蚊帳の外だった。
それを「官邸主導」などといいくるめ、「御家人」＝国会議員を排除し、いかにも
クリーンであるかのように醸し出したが、実態は「御内人」政治です。「族議員」政治を「市民参加」など良いほうに改革するのではなく、小泉さん、安倍さんと親しい人が政策決定を事実上独占し、あまつさえは、宮内義彦・規制改革民間開放会議元議長（オリックス社長）のように、村上ファンド事件で自分で規制緩和して自分で儲けた、と批判される人も出る始末です。安倍さんはそうした中、庶民の苦しみを省みず、「教育改革」や「ごみ拾い」などの「田楽」に興じているともいえます。本人が大真面目なだけに、却って
高時より始末に悪いかもしれません。
また鎌倉幕府は本来源氏が開いたものであり、「御家人の連合政権」だったのが、北条氏の得宗が三浦氏など、他家を粛清し、独裁者になった様は、９．１１総選挙などで
他の派閥を粛清し、町村派支配を強め、衆院での勢力を最大限に拡張した小泉・安倍政権に似ています。そして源氏出身の本来の本流だった新田義貞・足利尊氏が平氏の北条を打ち取ったというのが鎌倉幕府滅亡のもうひとつの構図です。最終的に足利幕府に政権交代するのですが、むしろ「源氏が政権を奪還した」ともいえるのです。
現在、新田・足利に相当する「源氏」は実は、いまや、小沢一郎さんら野党にむしろ多い。小沢一郎さんはかつて幕府＝自民本流でした。「現代版源氏」です。森さんから小泉さん、安倍さんと続いた、森ー町村派政権は、「自民党幕府」でも、いわば「平氏独裁政権」で「例外的」といえます。経済重視の「源氏」＝自民本流に対して、イデオロギー重視の「平氏」＝町村派、という構図です。
御家人が苦しむ中、御内人という北条得宗の家来が威張り、反発を買った、高時時代。森ー町村派もまた、ワーキングプアが広がる中、増税に人々が苦しむ中、ひとり、栄華を極めている。しかし、支持率は大きく低下している。町村派は北条得宗家と同じ末路をたどるのでしょうか？安倍政権も北条高時と似た最期をとげるのでしょうか？答えはいまから一ヵ月後の参院選の投票日に出ます。
(さとうしゅういち)
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