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JR民営化攻撃
と同一の手法
参院選で「与野党逆転」の窮地に立たされている安倍首相は、年金問題の責任を「親方日の丸」の官庁の体質、そして社会保険庁の労組を主犯にした「悪しき労働慣行」に押し付け、彼のキャッチフレーズである「戦後レジームの脱却」とは、こうした官僚機構と公務員労組の癒着を「ぶっこわす」ことだと語っている。今年二月に民主党の議員が「消えた年金」問題を追及した時には、「年金制度への不安を国民にあおるもの」と居直りの答弁をしたことなど忘れてしまったかのようだ。
国会終了後、TV番組に出ずっぱりの安倍は、社会保険庁問題をJRの分割・民営化と重ね合わせ、「JRの民営化は成功し、サービスも大いに向上した。国鉄時代の、労組の言うことを聞かなければ何も出来ない悪しき労働慣行はなくなり、ヤル気のある人びとだけが残ったからだ」とデマゴギッシュに叫んでいる。しかしニュースキャスターも野党も、この安倍による「JR民営化賛美・公務員労組が悪の元凶」という主張に反論しようとはしていない。「JR民営化の成功」という神話に異議を唱えることは不利だと考えているのだろう。しかし今こそ安倍らが振り回す「JR民営化成功=国労への差別と排除・解雇は当然」論に正面から反撃すべきなのだ。それをすりぬけて、安倍や財界のねらいと対決することはできない。
なぜ野党は反
論しないのか
「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」の機関紙「がんばれ闘争団 ともにGO!News」77号(07年7月号)で、評論家の立山学は、「またも国鉄方式による国民資産詐欺」として、この問題をつく鋭い批判を提起している。
立山によれば、安倍の「社保庁労使国賊論」の先触れをつとめたのは、かつて「国鉄労使国賊論」(『文芸春秋』82年4月号)を書いて国労攻撃・総評解体キャンペーンの旗ふり役をつとめた屋山太郎である。安倍の政策ブレーンの一人でもある屋山は極右派月刊誌の中でも最もえげつない『WILL』07年8月号に以下のように書いている。
「国鉄が見事に蘇生したのは民営化で市場原理にさらされたからたが、その前段階で、不良職員の排除という荒業をやっている。/国鉄は民営化にあたって、国鉄法改正を行った。……戦闘的な国労組合員は、民営化には体を張っても反対という手合いだ。国鉄はこういう連中を推薦名簿に載せなかった。推薦名簿を作った国鉄は、解体してすでに存在しない。実にうまいことを考えたものである。『新しい保険機構には良質の人材を投入する』と安倍首相は語っているが、当然、国鉄改革を思いうかべているだろう」。
立山が指摘するように、屋山の主張と安倍がTVで視聴者の前で語る内容は確実に重なり合っている。立山は述べる。「改憲・民営化推進陣営は、民営化路線で権力中枢を奪取したのであるから、その民営化路線の破綻表面化(例えば、格差拡大、年金不祥事、福知山線事故をはじめとする事故の多発)と民営化批判の世論の広がりは、彼らの権力基盤の危機につながる。それ故に、彼らは、国民の支持を失い、ゆらぎはじめた権力の延命工作として、手垢のついた『民営化成功論』と『公務労働者悪玉論』を無理を承知で、再び押し出してきているのである」。
この立山の主張は正しい(より詳しくは「労働情報」7月1日号の立山学「破綻し、開き直った第2の国鉄民営化攻撃」参照)。問題は、野党をふくめて、虚偽に満ちた安倍の「民営化万々歳」のデマに、一言たりとも反論していないことである。
時給800円の
社保庁非正規職
公務員労組へのバッシングがさらに吹き荒れる中で、「週刊東洋経済」7月14日号は「ニッポンの公共サービス全調査と公務員」を特集している。その中で、国家公務員、地方公務員、郵政、保育園などの現場で、労働者がどれほど過酷な長時間労働を強制され、精神疾患にかかる人びとが後を絶たないかの現状が報じられている。同記事の中で紹介されている京都府南山城村役場の労組委員長は、相次ぐ職員減で過重な仕事を強制され、残業代ゼロの中で年間千五百時間の時間外労働をしており、一日の平均的睡眠時間はなんと三時間だという。
いま問題の社会保険庁はどうか。国会会期を延長して、六月三十日に社会保険庁改革関連法と年金時効特例法が成立した。社会保険庁は二〇一〇年に廃止され、非公務員型の新組織「日本年金機構」が創設される。この民営化によって、現行約二万八千八百二十六人(正規職員一万七千三百六十五人、非正規一万一千四百六十一人)の社会保険庁労働者は、少なくとも一万人以上削減されるという大リストラが行われる。今回の法律では、学識経験者による「第三者機関」が「日本年金機構」自らが行う業務と民間委託する業務を振り分け、採用する職員数などの「基本計画」を策定する。そして設立委員が学識経験者の意見を基に職員の採否を決定する、というのだ。
自民党はホームページで社保庁職員を「わたしたちの敵」と断じ、安倍首相は「ゴミを一掃しなければならない」との暴言を吐いた。石田厚生副大臣は「年金機構に採用されない職員には分限免職を行う」と明言した。まさに国鉄民営化の際に国労に対して行ったのと同様の対応である。
「週刊東洋経済」の記事は、年金電話相談や社会保険事務所窓口で非難にさらされている職員の多くが「謝金職員」と呼ばれる非正規職員であることも明らかにしている。五千人以上に上る彼らの時給は八百円台で、月額でも十五万円に満たず、契約期間は一年から半年に短縮された。昇給もなく、二十年以上も働いているベテランでもこのレベルである。バッシングは彼らにも及んでおり、解雇・リストラの嵐が彼らを直撃しようとしている。
「高級官僚の天下り規制」という大義名分を口実にした「公務員制度改革」は、「消えた年金」という政府の責任を「公務員天国をなくす」というキャンペーンで官公労への攻撃にすりかえられようとしている。われわれはこのサギ的手法を許してはならない!(純)
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