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参院選と政局の行方 = 山口二郎
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 7 月 24 日 19:25:56: mY9T/8MdR98ug
 

 参院選の選挙戦が本格的に始まるにつれて、争点は年金問題もさることながら、政権のあり方、首相の適格性に移っている。それも当然の話である。安倍政権はあくまで自民党の中で選ばれたに過ぎず、国政選挙の洗礼を今回初めて浴びる。安倍自民党が好むと好まざるとにかかわらず、この参院選は、国民がこの政権に対して最初の評価を下す場となる。また、選挙戦の劣勢を覆すためには、自民党もこの選挙の争点を安倍対小沢の党首対決に持ち込もうとしている観がある。民主党も、この選挙を政権交代への足がかりにしたい以上、党首対決を避けることはできない。

 しかし、民主党が世評どおり選挙で勝利を収めても、政権交代への道は簡単には開けない。1989年以来、92年と01年を除いて、自民党は参院選で敗北してきた。特に、89年の社会党(当時)、95年の新進党(当時)、98年の民主党は衝撃的な勝利を収めた。しかし、自民党は首相退陣につながる敗北にもかかわらず、しぶとく政権を維持してきた。

 もちろん、今回の自民党にはこれまでにない不利がある。今までの大敗の際には、野党を切り崩し、公式、非公式の連立を組むことによって参議院の多数を確保して来た。民主党の小沢代表も、自民党の幹事長時代には当時の公明、民社両党を事実上味方につけることで、社会党の攻勢をかわした。今回は、既に公明党と連立を組んでおり、保守系の小政党を引き込んでも過半数に達しない所まで落ち込めば、政権の危機は深刻となる。いささか気が早いが、野党の勝利を前提として、これからの政治の展開を占ってみたい。

 上に述べたように自民党は今までにない逆境にあるとはいえ、民主党は気を緩めてはならない。衆参両院がガチンコの対決をするときに、参議院の側が政府与党を追い込むことは、それほど容易なことではない。確かに、参議院で否決された法案を衆議院で3分の2以上の賛成によって成立させるという憲法上の規定を発動するにも限度はある。しかし、参議院で多数を占める野党が、衆議院から送付される法案をすべて否決することも実は政治的にそれほど簡単なことではない。

 この点は、小沢代表自身が熟知しているはずである。小沢氏は89年の参院選の直後、自民党幹事長として、与野党逆転参議院の扱いに苦労した。予算については憲法上の衆議院優越の規定があるので参議院の賛成は不必要であるが、予算を執行するための根拠法(予算関連法案)については参議院の賛成が不可欠である。当時の小沢幹事長は野党への根回しもないまま法案を参議院に送りつけ、社会党に否決するならどうぞと開き直った。予算が成立してもそれを執行できないという事態の責任を野党に負わせることで、正面突破を図ったのである。重要法案を否決することには大義名分が必要である。否決する野党はその正当性を国民世論に納得してもらう説明責任を負う。小沢幹事長は当時の社会党のその備えが十分でなかったことを見抜いて、強硬策を取ったのである。
では、今の民主党やその他の野党にその点の正当性や説明責任が備わっているだろうか。選挙直後に、単なる員数合わせのために野党側から自民党へ鞍替えするというのは実にみっともない話である。そんな恥知らずなことをするのは、よほど愚かな政治家であろう。今回新党日本を離党した議員など、物笑いの種でしかない。

 しかし、秋の臨時国会が始まり、法案審議をめぐる与野党の攻防が緊迫化すると、与党側から野党に対する揺さぶりも激しくなるに違いない。その時には、国民生活のために法案成立に協力するという大義名分が、与党への寝返りを正当化してくれる。そのような状況で小沢民主党は野党陣営の結束を持続できるであろうか。

 この問題を考えると、今回の参院選の勝ち方がきわめて重要な意味を持っていることが分る。89年の社会党は、消費税反対を一枚看板にして大勝した。単一争点で勝った場合、それについての主張は民意の支持という正当性を持つが、他の争点については野党の主張が国民の選択だとは必ずしも言えない。野党がこの選挙を通して政権交代に挑むというのなら、政権構想の要点をなるべく具体的に打ち出し、これに対する包括的な国民の支持を獲得するという戦い方をすべきである。もちろん、年金問題も重要である。しかし、国民の既得権意識をくすぐるだけではなく、持続可能な年金制度と国民負担のあり方について広がりのある政策を示し、国民からの負託を勝ち取る必要がある。

 政策よりもさらに重要なのは、首相候補の明確化である。小沢代表は民主党の危機を救うための緊急避難として代表に選ばれた。偽メール事件で前原体制が崩壊した後、これほど早く自民党を追い詰め、政権交代の入り口に近づけるとは、民主党の政治家もほとんど予想していなかったであろう。ここに来て、小沢代表の位置づけの曖昧さが、最大の好機をつめきれない民主党の弱さの原因となっている。小沢はもはや過去の人というイメージがある。党内にも小沢に反発する議員がかなりいると伝えられている。自民党の挽回策もそこを突くしかない状況である。

 しかし、小沢代表のもとで、構造改革の負の側面を批判し、生活優先路線を取って、ここまで自民党を追い詰めたことは、正しい選択であった。かくなる上は、小沢を首相候補に押し立て、党が一致結束して政権交代まで突っ走るしか、道はないのではないか。

 権力欲は政治家にとって決して悪徳ではない。むしろ、小沢は今こそ権力への意志を明確に示し、自らが政権の最高指導者としてどのような日本を作っていくのか、はっきりと言葉を出すべきである。参議院選挙が、与党に対するお灸や国民の欲求不満の発散の場にならないようにするためには、野党の側の覚悟と構想が不可欠なのである。(週刊東洋経済7月28日号)

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