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中国の温家宝首相の国会での演説は二流を褒めて一流を褒めなかった
http://www.asyura2.com/07/senkyo41/msg/517.html
投稿者 フランクリン 日時 2007 年 9 月 01 日 16:03:53: YsxokeAxLx13M
 

世界から日本を眺めて、日本の異常性を指摘している藤原記者は、ベストセラーの「小泉純一郎と日本の病理」を書いたことで知られている。この人が日本の雑誌に連載している記事は、日本人離れしているので読者が多いらしくて、いろんなブロッグに引用されて紹介されている。中国の温家宝首相の国会での演説は、日本では評価されて、友好的だという喜びの意見が多かった。だが、二流を褒めて一流を褒めなかったのに気づき、それを指摘した藤原記者の視線は、とても鋭いという感じがしたので紹介する。

<貼り付け>

http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/article/abe09.htm

『財界にっぽん』2007年8月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第9回


温家宝首相の訪日と国会で行った演説を読む

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米


温家宝首相の国会演説の草稿

 国際感覚と理性的な判断力に欠けた小泉首相は、個人感情のおもむくまま靖国神社の参拝を繰り返し、近隣諸国を刺激する頑迷な姿勢を取った。そのために長期間にわたり中国と険悪な外交関係が続いたが、小泉首相の退場を機会に日中が歩み寄り、2007年4月に中国の首相が六年半ぶりに訪日した。

 しかも、慰安婦問題で安倍首相が軽率な発言をして、国際世論から手厳しい批判を受けていたので、出来るだけ穏便に計らう意図に基づき、日本政府は中国の首相を国会演説の主賓として遇した。温家宝の演説日程は4月12日だったので、外務省は中国側に「草稿を訪日前に見たい」と申し入れたが、「首脳会見の結果次第で内容を改める可能性がある」と言って、事前に草稿を見せるのを中国側は拒絶している。

 だが、11日にあった日中首脳会談において、安倍首相の口から「日本は台湾の独立を支持しない」という発言を得たので、会談後に中国側は佐々江アジア太平洋局長に演説草稿を渡した。やっと草を手に入れた外務省は草稿を検討して、「拉致問題について触れて欲しい」と申し入れたが、「日本側の希望は受け入れられなかったし、靖国神社問題に触れていないのに満足した」と外電は報じている。

 時事通信が配信した「検証・温家宝訪日」という記事は、「演説は温首相自らが執筆した。温首相は一文字も欠かさず、精魂を傾けて書き、日本国民に伝えたいメッセージだと語った」と見え透いた嘘を並べている。だが、外交官なら誰でも知っていることだが、首相や閣僚が外国に行って行う挨拶文を始め、演説の原稿は何人もの役人が草稿をまとめるし、欧米諸国ではスピーチライターが担当して書くものだ。

 時事の記事は伝聞調で信用度は低いが、演説草稿を首相が精魂を傾けて書いたと信じ、記者がそれに感激したのならお粗末の極みで、政治の実態についての認識が甘すぎる。補佐官や秘書が準備した草稿に手を入れて、講演者が自分の言葉にして喋るのがトップのやり方なのに、この新聞記者はそんなことも知らないのだろうか。


文献判断と解析作業の必要性

 日本人はインテリジェンスの訓練が不足していて、大部分の場合は文字面を読んで納得してしまう。だが、書かれたものの意味を読みぬくだけでなく、行間を読み取る能力が更に問われているヒに、何が書いてないかを判読する洞察力が必要だ。各国の外交機関やシンクタンクなどにおいては、その解析作業が行われているのであり、最も優れた人材がその仕事を担当しているが、日本の政治機構にはそれが欠落している。

 こうした作業プロセスを文献批判と呼んでおり、江戸時代までは仏教原典や本草学などで、厳しい訓練をする伝統が日本にもあった。だが、最近の外交官や幹部官僚には鍛えられた者が少ないし、ジャーナリストや政治家もその訓練が不足している。

 日本のこうした特殊事情を承知した上だろうが、温家宝は役人が書いた演説草稿を読み上げ、阿倍仲麻呂や鑑真の名前を列挙して、日本人の自尊心をくすぐったのである。だが、少し歴史の裏面に詳しい人なら気づくが、阿倍仲麻呂は日本から頭脳流出した人材だし、鑑真はミッションの使命を帯びて訪日した唐の僧であり、ベクトルの流れの方向に真意が秘められているのだ。

 日中関係で日本が誇る歴史的な人物を扱う時には、当時の世界の中心だった唐で密教の神髄をマスターして、法灯を日本に伝えた真言開祖の弘法大師とか、シナ学の巨人としてアジアの至宝の内藤虎次郎が聳え立つ。空海や湖南を引用したのなら胸を張ってもいいが、阿倍仲麻呂や鑑真の名前に感激してしまい、「歴史人物を列挙して友好を強調した」と喜ぶのでは、余りにも単純でお人よしだと笑われてしまう。

 現に温家宝の演説の全文を読んで感じるのは、中国が侵略された歴史をソフトに表現しており、残留孤児や日本人の引き上げの美談物語に続いて、「中国は昔から徳を重んじ武力を重んぜず、信を講じ、睦を修めるという優れた伝統がある」という、文飾の国にふさわしい自己宣伝までやっている。しかも、草稿にあった「中国人民は日本人民が平和発展の道を歩いていくことを支持する」という部分を省き、事前の打診を抜いて天皇に北京五輪の訪中を招請したことで、安倍内閣を軽視した記録まで残ったのである。


軍国主義と反動路線で萎縮する未来の日本

 こんな指摘をしても私は反中国の人間ではなく、世界で仕事をして身につけたノウハウの中に、無言の発言に重要な意味を潜ませる技法があるので、相手の意図としてそれを読み取っただけのことだ。したたかな中国外交を構造主義の立場から、その伝統的な政治感覚を分析したのであり、外交辞令の裏の意味を読み取ったに過ぎない。

 議会政治の基本と伝統に無知な安倍首相は、国会での慎重な議論の手続きを省いて強行突破する、独裁者が好む「始めに結論あり」のやり方で、「教育基本法抹殺」、「防衛省への昇格」、「国民投票法のごり押し」という具合に、問答無用の強行採決の手法を繰り返して来た。強行した安倍内閣は世襲議員集団で、日本の「七光り族」は中国の特権族の「太子党」に等しいが、北京の政権中枢には太子党などいないのだ。

 戦略なしで執念だけで盲進する安倍政治は、自滅に向かう「義和団」の日本版であり、幼稚なトップに率いられた日本の進路決定が、時間の関数であることは温家宝首相に丸見えだ。温家宝流の長期的な国家戦略に基づけば、日本は孫子が『軍争篇』で論じた「逸を以って労を持つ」の対象で、彼の訪日は日本の運命の転換点に重なった。

 戦前レジームに回帰して軍国主義化する日本は、消耗して疲労する路線を遭進することで、美辞で粉飾した虚妄の国家はファシズム体制になり、その運命は没落への一方通行へ突入して行くだけである。それに対して、ブリックス(Brazil, Russia, India, China)に属す中国の未来にはより希望が持ち得て、独裁的な共産党支配が破綻してもその後には内乱を経て、民主的な社会の登場を期待できる。だから、日中の独裁政権が共に行き詰まりに直面するに際して、似たように破綻しても受ける打撃が異なることは、歴史の教訓が示唆する通りなのである。

 ブリックスという言葉を最初に提示したのは、ゴールドマン・サックスが出した『ブリックスと見る夢2050年への道、Dreaming with BRICs: Path to 2050)』と題した2003年秋のレポートである。この報告書にある具体的な内容としては、2050年におけるGDPは1位の中国が44・5兆ドルであり、2位の米国の35・2兆ドルにインドが27.8兆ドルで続き、日本は6・6兆ドルで6兆ドルのブラジルに肉薄され、追い抜かれるという構図として予想されている。

 安倍が美しいと妄想している日本の未来は、軍国主義と反動路線に熱を上げた愚行により、中国や米国の二割の経済力に萎縮してしまい、国民は軍国憲法と教育勅語で威圧され、「自由」という言葉に憧れる奴隷国家になる。それがどんな意味を持っているかについては、歴史意識に乏しい安倍晋三に分からなくても、地質学を専攻し時間と空間の問題に詳しい温家宝にとって、「自明の理」だと類推せざるを得ないのである

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