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[原理主義の罠]「サブプライムローン」と「美しい国の格差」に共通する“タコの自食行動(Autophagy)” のイメージ
http://www.asyura2.com/07/senkyo41/msg/862.html
投稿者 鷹眼乃見物 日時 2007 年 9 月 09 日 23:47:10: YqqS.BdzuYk56

[原理主義の罠]「サブプライムローン」と「美しい国の格差」に共通する“タコの自食行動(Autophagy)”のイメージ


<注>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070909


【画像】f:id:toxandoria:20070909231631g:image
・・・この【画像】は、http://www2.plala.or.jp/kamkamkam/gimon2/no93/tako.htmより転載


いささか古い話ですが、2006年3月11日の読売新聞によると自民党の久間総務会長(当時)は、同年3月11日に東京都立川市内で講演した時に、次のようなことを話しています。

・・・『“官民格差をなくせ!”と言って官を叩いて一番困るのは国民自身ではないか。公務員は中間よりも上等な人材を使わなければならないから、官民格差はあって当然ではないか。自衛隊や警察官などが危険な仕事をして、ほとんど官民格差がなければ、彼らは民間に行ってしまう。』

これは聞き様によっては、権力者たる与党政治家から一般国民に対する傲慢な“恫喝”です。それは、基本的な立場の違いから見れば、政治権力者たる国会議員・官憲(およびマスメディア)は一般国民に対し「情報力」(情報収集力・保持力)で有利な立場に立つのは当然だからです。このことを意識的に無視して、最高政治権力者の周囲に屯する与党国会議員らが、一般社会における格差論まで肯定するかのごとき言説を意識的に発するのは、増長した久間総務会長(当時)による「国民に対する恫喝」以外の何物でもありません。

そして、明らかにこれは“もともと公正な情報の収集・評価に消極的で、しかもその適切な術(すべ)も知らずに右往左往するばかりの<ヘタレB層>(B層は小泉政権時の竹中大臣らによる郵政選挙にかかわる戦略的命名 ⇒ 更に、宮台真司がヘタレを付けてヘタレB層と呼んだ)らを始めとする多くの気弱な国民層を標的にした、きわめて傲慢な<悪代官感覚の発言>です。従って、後になってから「久間・防衛大臣」がくだんの“原爆投下はショウガナイ”発現で退陣する羽目になったのは至極当然のことであったと思われます。

このように異常な<悪代官感覚>の拡散の果てに、渦中の「社会保険庁の担当官僚や各自治体の窓口担当らによる年金資金の横領とネコババ」のような忌まわしい事件が次々と起こっている訳です。そして、最も注視すべきは<小泉→安倍・偽装右派ヘタレ内閣>の“取り巻き”らが嵌っている「米国型市場原理主義」の根本にも同様の<悪代官感覚>(理論的に説明するなら、その源流は(アイン)ランディアン一派の異様な思想/参照、下記記事★)が巣食っているということです。

★2007-08-24付toxandoriaの日記/国民を米国型『患者の権利宣言』へ誘導する内閣府「規制改革推進会議」の欺瞞性、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070824

今、アメリカではサブプライムローン(格付けが低いB層米国民向けの住宅ローン/総残高約150兆円(1兆3千億ドル)の約1割が焦げ付いたと看做されている)の余波で疑心暗鬼の不安心理が際限なく増殖しており、愈々、その中から深刻な雇用ショックの波動が湧出し始めています。このため、2007.9.9付・朝日新聞は、堅調だった非農業部門の就業者数が一気に減少に転じて7日には株価も大幅に下げた(DJIA、-249.97ドル/前日比-1.87%)と報じています。つまり、サブプライムローン問題は、8月上旬の表面化から、いよいよ実体経済への波及が本格化する段階へ入ったと看做すべきでしょう。

一方、2007.9.7付・日本経済新聞は、ポールソン米財務長官とクロズナー米連邦準備理事会(FRB)理事が、9月6日にサブプライム問題に端を発した金融不安が米経済全体に打撃を与える恐れがあるとの懸念を表明したと報じています。それによると、ポールソン長官は米テレビのインタビューに応じて金融市場の正常化には“数週間から数カ月の期間がかかる”と述べており、クロズナー理事も講演でサブプライム問題に触れて“今の状態が続けば、住宅の需要がさらに落ち込み、やがて米経済全体に影響を与える可能性がある”と強調しています。

未だ、この問題の先行きはハッキリ見えていませんが、ここに来て一気に米国景気の後退観測が広がりつつあるので、サブプライムローン分野に止まらない米住宅ローン業界のリストラから始まる個人消費意欲の減退と、更なる他産業部門でのリストラ拡大の恐れが懸念されます。このため、同紙は、FRB(米連邦制度準備理事会)が9月18日に開く予定のFOMC(連邦公開市場委員会)で、フェデラル・ファンド金利の誘導目標(現在、年5.25%)を引き下げることが確実視されているようです。

<注>フェデラル・ファンド(FF=Federal Fund):フェデラル・ファンドは、米国の市中銀行がFRB(Federal Reserve Bank/連邦準備銀行)に預けている無利息の準備預金。フェデラル・ファンド金利は、フェデラル・ファンドを市中銀行同士で貸し借りする時の利率、つまり、これは金融政策の誘導目標金利である。

また、サブプライムローン問題が8月上旬に表面化してから暫くの間は、この余りにも深刻な問題の二次・三次的な犯人探しの方へ疑心暗鬼になった市場関係者らの関心が傾いたため、RMBS(住宅ローン担保証券)の劣後部分だけを取り出した不動産債権にかかわる複雑な証券化商品(例えばCDO(トリプルB格の証券だけを集めた債務担保証券)など)のファンド分野全体への浸透、空売り・スワップ・オプション等のヘッジ技術、あるいはディリバティブ等の高度な金融工学関連技術への過剰なのめりこみ、あるいは格付け会社そのものについての悪玉論が噴出するなど、果てしなく混迷の度合いが深まる一方となってきました。

しかしながら、いずれにしても、このサブプライムローン問題の本質は、本来であれば絶対に貸すべきでない“既に破綻した低格付け層の人々へ超高金利で住宅ローンを貸し付けた挙句に他方で不動産バブルを煽る(=地上げ行為の公認)”という、米国流市場原理主義の<余りにも特異でさもしい精神>の中にこそ見るべきだと思われます。喩えるなら、それには『人間の基礎体力を維持するのに必要な最低限度の水と食糧(栄養)が不足して衰弱し切った漕ぎ手の奴隷(決定的な弱者)たちを、更なる“ムチとアメ”で脅し、なだめ、すかし、誑かして漕ぎ続けさせるという非人道的な命令を下すガレー船(Galley)の冷血な船長』のようにオゾましいイメージが付き纏っています。

しかし、この大海原にある同じ船の上で諸共(もろとも)に漂わざるを得ぬ宿命であるかぎり、この船長は、いずれ漕ぎ手の奴隷たち(≒B層へ落ちぶれた低格付けの国民たち)が全滅すれば自らの命も保証されていないことに気付かぬと言う意味で、大いなるバカ者であることが明らかです。そして、我われが特に留意すべきは“ヘタレB層”からも見放されてしまった<安倍・偽装右派ヘタレ内閣>の取り巻き連中(国会議員、官僚、財界人)と無責任な御用学者らが嵌っているのが、この同じ米国流市場原理主義の<病的なまでに自己中心的な精神>(アインランドの客観主義哲学を源流とする超利己主義哲学/参照、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070824)だということです(この論点の詳細については下記記事(▲)を参照乞う)。

▲2007-09-02付toxandoriaの日記/サブプライムローンが炙り出した「美しい国」の悪魔の正体、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070902

ともかくも、このような意味で“アメリカ流の過剰な市場原理主義”がもたらしたものが、医療にかかわる『国民皆保険の原則』を放棄して『上位1割の富裕層が国中の富の70%を握るというアメリカの超格差社会(出典:2007.8.18付・日本経済新聞)』(=ノーマルな再分配ルートが“動脈硬化”する一方で、約1割の富裕層の富が過剰に肥大化するという意味で、まるでメタボリック・シドローム化したような病んだ資本主義社会)であるという事実から目を逸らすべきではありません。

更に、俯瞰的な角度へ視点を転ずると見えてくるのが、この“アメリカ流の過酷なガレー船の船長”に最も相応しいのは<自食行動(オートファジー/Autophagy)するタコ>のイメージだということです。この<タコの自食行動(オートファジー/Autophagy)>の理由については空腹説・ストレス説などがありますが、その確かな理由は未だ解明されていないようです。しかし、“自分の脚を喰らうタコの行動”は、しばしば実際に観察されているようです(参照、https://res.mbl.co.jp/catalog/protein/autophagy/index.html)。

つまり、我われは、市場原理主義の病的なまでに愚かな経済価値を信奉する今のアメリカ社会が、この<自食行動(オートファジー/Autophagy)するタコ>の姿に余りにもよく似通っていることに驚かされるはずです。更に、敢えて言うならば、この<自食するタコ>のようなイメージに通ずる「トリクルダウン(富の雫がポタポタ滴り堕ちる)理論」(米国流市場原理主義の根拠となる理論/参照、下記記事◆)の信奉者の異様な経済観は、恰も“あげまん”(参照、http://zokugo-dict.com/01a/ageman.htm)なる“業界用語”を組織維持のための縁起担ぎに好んで使う“ヤクザ稼業”の輩の特異な心理に通ずるものがあるようです。

◆2006-01-22付toxandoriaの日記/「神憑る小泉劇場」と「ホリエモン」が煽ったトリクルダウン幻想、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060122

【画像】ヒエロニムス・ボッス『いかさま師』
f:id:toxandoria:20070812105118j:image
Hieronymus Bosch(ca1460-1516)「The Conjurer」Oil on panel 53 x 65 cm Musee Municipal Saint-Germain-en-Laye
・・・この画像についての説明は下記記事■(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070812)を参照乞う。

そこでは「人間の基本権」(人間の尊厳、生命に対する権利、労働基本権、身体の自由など)についての理解が豪も見られないことは“まさに宣(むべ)なるかな”であり、やはり、これらの業界隠語的なヤクザ用語は“外道稼業”連中の心性に似通う“いかさま師”の真骨頂(参照、下記記事■)を飽きるほど見せつけてくれた人物にこそ相応しいと思われます。その人物とは、わが国における「米国流市場原理主義政策=トリクルダウン政策」の創始者たる小泉純一郎・前首相のことです。

ともかくも、我われ一般国民は、小泉政治の<偽装右翼的な精神>を引き継ぐ<安倍・偽装右派ヘタレ内閣>の矛盾に満ちた格差主義政策の中にも、このような米国発のオゾマシクも陰鬱な気配(=“タコの自食行動(Autophagy)” のイメージ)が色濃く漂うことを見逃すべきではないようです。

■2007-08-12付toxandoriaの日記/厄病神に懲りず「いかさま師・小泉の再来」を期待する日本国民、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070812

ところで、今や、このようにオゾマシクも陰鬱な気配(=タコの自食行動(Autophagy)のイメージ)が色濃く漂うアメリカの経済・金融政策に対して欧州(EU=欧州連合、政治拠点都市はブラッセル)発の“新たな制御的空気”が送られつつあるようです。例えば、2007.9.6付・日本経済新聞は、『サブプライムローン問題を発端とする世界の金融市場の混乱を受けて、欧州連合(EU)がアメリカ政府に対し金融規制対話の強化を求める申し入れをした』と報じています。これは、より厳格なEU型を基準とする金融市場規制への収斂をアメリカへ促すことを狙いとする新しい動きです。

【画像】ユーロタワー(Eurotower/欧州中央銀行)
f:id:toxandoria:20070817075146j:image
f:id:toxandoria:20070817075258j:image
f:id:toxandoria:20070817075328j:image
三枚目は「ECB Hp.」(http://www.ecb.int/ecb/visits/how/html/index.en.html)より
・・・これらの画像の初出は下記記事▼(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070817)です。

この新たな動向の意義を理解するためにはジャーマン・フランコ型とアングロ・サクソン型の二つの「金融・ビジネス史」の流れを概観する必要があり、その拠点として押さえるべき都市にはアントワープ(ベルギー)、アムステルダム(オランダ)、フィレンツェ(イタリア)、フランクフルト(ドイツ)、ロンドン(イギリス)、シカゴ(アメリカ)などがあります。特に、これらの都市の中でも、欧州で最も活発な銀行発展の歴史を誇るフランクフルトの近代史から学ぶべきものが多いようです(この二つの「金融・ビジネス史」の流れについては、機会があれば別途に取り上げる予定)。

そして、現在のフランクフルトの金融事情を概観すると、約400の金融機関で8万人の人々が働いており、その金融機関の半数以上は外国企業です。世界の20大銀行のうち16のドイツ支店がフランクフルトに立地しており、ヨーロッパの一流銀行の大半がそのドイツ本社をフランクフルトに置いており、ドイツの5大銀行のうちの4社も同様に本社がフランクフルトにあります。 また、ここは欧州中央銀行(ECB/European Central Bank)とドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank/ドイツの中央銀行)の所在地であり、フランクフルトは欧州通貨同盟とヨーロッパの金融政策の中心地となっています(この論の詳細は下記記事▼を参照乞う)。

▼2007-08-17付toxandoriaの日記/2007年春、ドイツ旅行の印象・最終回[フランクフルト・アム・マイン編/フランクフルトの近代史に学ぶ=“資本主義の暴走”(市場原理主義)を制御する視点の再発見、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070817

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