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農家切り捨て論のウソ 小手先の保護政策が日本の農業を“自壊”に導く
http://www.asyura2.com/07/senkyo42/msg/1089.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2007 年 10 月 11 日 18:10:30: KqrEdYmDwf7cM
 

親戚に農家がいるが、農家最前線の戦力はじじばばだ。
子どもは都市にでてサラリーマンをするのが普通。
農家やっていると、嫁はなかなか来ないし、
サラリーマンの子どもに嫁が来ても、農作業はしない。

10年前も同じような感じだったが、更に高齢化は加速している。

これからどうなるのかは、農家自身も全くわからないままだ。
まぁ、農家をやめる、というだけなんだろうけど。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070919/135317/

2007年9月21日 金曜日 谷川 博
論点  政治・経済  農業 

農業政策は次期政権の重要課題の1つだ。格差論議が高まる中、農家戸別所得補償を打ち出して参議院選挙で大勝した民主党に対抗して、このところ自民党内でも公共事業拡大を求める声が強まっている。しかし、農業問題に詳しい神門善久・明治学院大学教授は「農家保護策では根本的な問題は解決しない」と指摘する。(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者=谷川 博)


明治学院大学経済学部の神門善久教授

NBO 農業政策は次期政権の重要課題です。参院選ではマスコミや野党が格差問題に絡めて「零細農家、切り捨て」と政府を批判し、民主党は農家戸別所得補償を打ち出しました。選挙で民主党が大勝したことで、自民党内でも同様の農家保護策を求める機運が高まっています。一連の動きをどう見ますか。

神門 まず、「零細農家、切り捨て」などという論議は、農業問題に長年取り組んできた私のような立場からすれば、ちゃんちゃらおかしい話です。第一、あれは大衆迎合的なマスコミが作り上げた“お涙頂戴”のストーリーでしょう。そんなマスコミのストーリーに政党が便乗しているだけです。零細農家が切り捨てられるなんてことはあり得ません。

 マスコミは「零細農家イコール弱者」のような形で描きたがりますが、現実には彼らほど恵まれた人たちはいない。農地の固定資産税が軽減されているうえに、相続税もほとんどかかりません。たとえ“耕作放棄”をしていてもですよ。
 そのうえ、農地を売却すれば大金を手にできる。「田んぼ1枚売って何千万円も儲けた」なんていう話はザラにある。しかも、そうした農地の多くは敗戦後の米国主導の“農地解放”を通じて国からもらったようなものです。濡れ手で粟なんですよ。

 最近、「仕事がなくて生活に行き詰まり、一家心中した」という悲惨なニュースを耳にしますが、あれは都市部の話です。「農業に行き詰まり、生活苦のために零細農家が一家心中した」などという話は聞いたことがありません。零細農家には切迫感がないのです。


農家は戸別所得補償に期待していない

NBO しかし、参院選では小沢(一郎)さんが打ち出した戸別所得補償政策が零細農家の圧倒的支持を集め、その結果、民主党が地方で圧勝したと言われています。やはり零細農家の生活には苦しいところもあるのではないですか。

神門 だから、そういうマスコミの見方が間違っているんです。

 いいですか、日本の零細農家の大半が兼業農家なんですよ。兼業農家の全所得に占める農業所得がどのぐらいか知っていますか。たった15%程度ですよ。兼業農家の家計収入の大半は、世帯主らが役所や企業などで働いて得る、いわゆる“サラリーマン収入”なんです。だから、本当は彼らのことを兼業農家ではなく、“農地持ちサラリーマン”と呼んだ方がよいのかもしれません。

 繰り返しますが、彼らは農家と称しながら、実は農業所得に依存していない。ハナから農業所得なんか家計の当てにしていませんよ。なのに、そこに国が所得補償するのはおかしい。それに、民主党のマニフェストを読んでも、小規模農家が受け取る補助金がどれだけ増えるのかは、はっきりとしない。


農家が本当に求めているのは公共事業だ

NBO では、なぜ農家は参院選で民主党を支持したのでしょうか。

神門 農家は自民党を試しているのだと思います。あるいは、自民党にプレッシャーをかけていると言ってもよいかもしれません。

 農家が望んでいるのは、小沢さんの所得補償政策のようなチッポケなお金ではありません。彼らが本当に求めているのは公共事業なんです。公共事業で道路などを作ってもらえれば、自分たちの田んぼや畑が高く売れるでしょう。


ところが、小泉(純一郎)さん以降の自民党政権は公共事業を大幅に削減してきた。農家にとっては、公共事業を通じて農地を高く売る機会がグンと減ってしまったわけです。この状況に農家は不満を持っている。だから、今回の選挙で民主党を勝たせることで自民党に揺さぶりをかけたのです。「自民党さん、このまま公共事業を減らし続けるなら、民主党に付いちゃいますよ」と。

 さすがに、小沢さんはウマイですよ。地元が岩手県ということもあって、その辺の機微をよくわきまえている。自民党から離れる“口実”さえ与えてやれば、農家は確実に動くと踏んだのでしょう。ただ、あからさまに公共事業拡大とは言えないので、格差問題に絡めて戸別所得補償を打ち出したんだと思います。実は、小沢さんにとっては、政策の実現性なんかどうでもいいのではないですか。とにかくブラフでも何でもいいから、自民党と違うことを言えば、それが農家の口実になると考えた。


宅地転用で高く売るための基盤整備事業?

NBO なるほど、農家が本当に望んでいるのは公共事業なのですね。

神門 ええ。でも、彼らは決して「公共事業がほしい」とは言いません。ただ、私などが彼らと話をしていると、その本音が透けて見えるのです。

 実際、こんなことがありました。ある地方に行った時のことです。農地以外の土地利用を法令で厳しく制限している地域の一部が宅地になっていたので、その農家に「何でこんなところを宅地にするのか」と尋ねてみました。そしたら、何と彼は「ここは基盤整備が入ったので、もう転用しても構わないんだ」と胸を張ってうれしそうに答えたんです。唖然としました。

 基盤整備というのは、一言で言えば、農業の生産効率を上げるために農地を整備する公共事業のことです。農家にとっては、農地をきれいな状態にした方が宅地として高く売れるので、非常にありがたい事業なんです。

 基盤整備は本来、農業を良くするための公共事業です。ところが現実には、この例に限らず、事業の趣旨を履き違えている農家が多いのです。そもそも、公費で私有地を整備してもらった揚げ句、それを売って個人が儲けるというのは普通許されないでしょう。ところが、農業の世界ではそれが堂々とまかり通っているのです。これはほんの一例ですが、農家が公共事業を求める理由が分かるでしょう。

 こんなこともありました。松岡(利勝・元農林水産相)さんが亡くなった直後に、地元の熊本県内の農家と話す機会があったのですが、彼らはよく知っていましたよ。松岡さんが怪しいお金を(地元に)引っ張ってきていたことを。でも、彼らはそんな松岡さんを支持したんです。実は松岡さんも初めは「しがらみのないクリーンな政治家」を売りにしていたんです。ところが、農家はそんな政治家を必要としなかった。彼らが求めていたのは、汚くてもいいから、とにかくお金を持ってきてくれる政治家だったんです。この国には“おねだり農民”がたくさんいるのです。


農業の国際化に6兆100億円? 大半が無駄遣い

NBO 神門さんは、民主党が主張する農家戸別所得補償にも、自民党内で要望が高まっている公共事業拡大にも反対なのですね。

神門 もちろんです。日本のコメ輸入自由化を国際的に議論したウルグアイ・ラウンド農業交渉(1986〜94年)のことを思い出してください。

ウルグアイ・ラウンドの大詰めの94年に、国は「国際化のための農業構造改善策」と称して最終合意関連の国内対策費として6兆100億円もの特別農業予算を組みました。ところが、その大半が公共事業や農業共同施設整備に使われてしまった。当時は「田んぼの真ん中に公衆便所まで作った」といった笑い話まで広まっていたぐらいです。現状を見れば明らかなように、何ら農業の構造改善や競争力強化にはつながっていない。

 だから、戸別所得補償したり公共事業を拡大したりしても、同じ無駄を繰り返すだけです。抜本的な農業の強化にはつながらない。おねだり農民をまた甘やかすだけで、結局は税金の無駄遣いに終わってしまうのがオチです。


先進的な農家の関心は“外国人就農問題”にある

 現在、日本政府はオーストラリアやアジア諸国などとEPA(経済連携協定)やFTA(貿易自由化協定)の締結に向けた協議をしています。そして、またもや農林水産省やJA(農協)、“農林族”と呼ばれる政治家らが農産物輸入拡大に反対を唱えています。下手をすると、ウルグアイ・ラウンドの時の二の舞になるのではないかとヒヤヒヤして見ています。

 第一、肝心の農家がこの問題に関心を示していません。“アンチFTA”の旗を振る日本農業新聞が今年の統一地方選挙を前に行った農民アンケート(複数回答方式)の結果を見ると、関心事項として農産物輸入問題を挙げた回答は全体の2〜3割程度しかありませんでした。

 先進的な農家はこんな問題にかかずらっていません。彼らには輸入農産物に勝てる自信がありますから。今、彼らが切実に求めていることは何だか分かりますか。実は“外国人就農問題”なんです。

 既に、政府の外国人研修制度を通じて中国などから多くの外国人が地方の農村部に入り込み、実質的な農業労働力の一翼を担っています。先進的な農家は、そうした外国人を“研修生”としてではなく、正規の労働力として認めてもらいたいと考えているのです。そうしなければ、いずれ日本の農業は立ち行かなくなるといった危機感がある。今の日本人は辛くて厳しい“本当の農業”の担い手にはなれないと、見切りをつけているからです。


壊されるのではなく、自ら壊れゆく日本の農業

 ところが、私が属している農業経済学会では外国人就農問題がタブー視されています。私が「外国人就農問題を取り上げる」と言ったら、学会関係者から「それだけは言うな」とクギを刺されてしまいました。それぐらい学会はこの問題に過敏になっているのです。政府にも外国人就農問題を熱心に議論している様子はありません。マスコミもあまり取り上げません。しかし、日本の農業を本当に真剣に考えるなら、この問題は避けては通れないのです。

 日本の農業が抱える本質的な問題から目をそらし、このまま小手先の農家保護策にばかり終始していれば、いずれ日本の農業は本当に潰れてしまいます。外圧で潰れるのではありませんよ。農水省とJAと族議員、そして何よりも農家自身が自らの手で潰してしまうのです。

 今、日本の農業は確実に“自壊”の道をたどっていると思います。

神門 善久(ごうど・よしひさ)氏
農業経済学者、明治学院大学経済学部教授
1962年生まれ、京都大学農学部農林経済学科卒、94京都大学農学博士取得、96年明治学院大学助教授、2006年4月明治学院大学教授に就任、現在に至る。東京大学大学院農学研究科や早稲田大学社会科学科の非常勤講師など教職活動の傍ら、政府の総合規制改革会議(首相の諮問機関)の農林業担当専門委員も務めた。近著の『日本の食と農 危機の本質』(NTT出版)では学芸賞の最高峰と評される「サントリー学芸賞(政治・経済部門)」を受賞した。


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