★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK43 > 620.html
 ★阿修羅♪
『アリ』2001年米国製作/マイケル・マン監督 = マガ9レビュー
http://www.asyura2.com/07/senkyo43/msg/620.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 10 月 26 日 22:12:45: mY9T/8MdR98ug
 


http://www.magazine9.jp/rev/071024/071024.php

 1974年10月、ザイール(現コンゴ民主共和国)の首都キンシャサでのジョージ・フォアマン対モハメド・アリのヘビー級タイトルマッチは、体力、若さともに優るチャンピオン、フォアマンが圧倒的に有利という戦前予想だった。アリの毒舌は強がりにしか聞こえず、試合が始まると、ハンマーのようなフォアマンのパンチに、アリはロープを背にして防戦一方。ラウンドが重ねられた。

 しかし、結果は8ラウンド、アリの逆転KO勝ち。「あしたのジョー」みたいな派手な打ち合いを期待していた、当時小学生だったぼくには、消化不良の感が残るタイトル戦だった。

 そのせいか、いまもあの試合が「キンシャサの奇跡」と名づけられ、アリのボクシングが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」芸術品のようにたたえられても、いまいち、ぴんとこない。

 この映画を見たのは、アリ賞賛の一端を知ることができるかもしれないと思ったからだ。しかし、そんな期待は裏切られた。

 『アリ』は、彼がプロボクサーになってから「キンシャサの奇蹟」までを描いているものの、物語の重心は、本名の「カシアス・クレイ」から「モハメド・アリ」に改名した理由とその時代背景に置かれている。

 カシアス・クレイを捨てたのは、それがアフリカ系アメリカ人の「奴隷の名前」であり、「モハメド」としたのは、マルコムXの影響からである。マルコムXは、アリが入信したネイション・オブ・イスラム教団のスポークスマンで、急進的な黒人解放運動家だった(映画では黒人公民権運動家、マルチン・ルーサー・キング牧師も登場するが、二人とも暗殺される)。

 1964年にソニー・リストンをTKOで倒してチャンピオンになったアリは、その3年後、ベトナム戦争の兵役を拒否したため、それまで守り続けていたヘビー級タイトルとボクサーライセンスを剥奪される。

 アリは兵役拒否の理由をこう表現した。

 「ベトナム人は俺のことを“ニガー”と呼ばない」

 当時のアメリカ政府は、ベトナムへの軍事介入を「南ベトナムが共産化すると、ドミノ崩しのように東南アジア諸国で次々と革命が起こり、自由主義陣営にとっての脅威となる」というドミノ理論で正当化したが、アリに言わせれば、

 「アメリカが俺たち(黒人)に正当な権利と自由を保障したことがあったのか?」

 裁判闘争によってアリがボクサーライセンスを取り戻すまで3年の月日を要した。「キンシャサの奇蹟」は復帰後4年目の出来事である。

 試合前に対戦相手をこき下ろすアリの“ビッグマウス”の根底には、“自由な国アメリカの人種差別”に対する強い反発があったと思う。メディアに乗っただけの“おおぼら”であったら、その気まぐれなメディアによって、容易に萎まされていただろう。

 アリがその後、3度も王座に返り咲いたのは、その派手な言動にもかかわらず、メディアとは一線を画していたからではないか――一連の亀田騒動を連想しながら、そんなことも考えさせられた。

(芳地隆之)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK43掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。