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厚生年金を払っても貧困層になる可能性 = 森永 卓郎
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/865.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 12 月 03 日 22:52:01: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/110/index.html

 今、年金問題といえば、宙に浮いた5000万件の年金の処理はどうなるか、そして基礎年金の国庫負担引き上げの財源として消費税率を上げるかどうかの2点に集中していると言っていいだろう。

 ところが、年金にはそれに勝るとも劣らない大問題があるにもかかわらず、なぜかあまり取り上げられていないのは不思議である。その問題とは、きちんと厚生年金の保険料を支払ってきた人が、貧困生活に陥ってしまう可能性があるという話だ。

 今年4月26日に厚生労働省は、厚生年金の標準モデル世帯において、将来の年金受け取り額の推計結果を発表した。それによると、現役世代の手取り収入に対する比率を示す「所得代替率」は、次のようになった。

 例えば、現在65歳の人は59.7%であり、現役世代のほぼ6割の年金をもらっていることが分かる。ところが、10年後にその人が75歳になったときには48.1%に低下。さらに85歳のときには41.3%まで下がってしまう。その後の世代についても、やはり年とともに緩やかに低下して、どの世代でも最終的には41.3%に収束していくというのだ。

 これまで政府は、年金の受け取り額について、現役世代の手取りの50%以上を確保すると明言してきたはずである。その約束は、いつのまにか反故にされてしまったわけだ。

 だが、これは単に約束を守らなかったかどうかという話ではない。その裏に非常に深刻な問題を抱えているのである。

高齢者が貧困層になってしまう

 深刻な問題というのは、まさに冒頭に触れた貧困の問題である。

 OECD(経済協力開発機構)による「貧困」の定義をご存じだろうか。それによると、貧困層に当たるのは、国民全体の年収の中央値の半分以下しか年収のない人を指すのである。理由は明快だ。世間の人びとの半分以下の年収ではまともな生活ができないからである。

 年金を払わなかったために貧困層が増えるのも問題であるが、年金をきちんと払っていたのに貧困生活に陥ってしまうというのは、さらに大きな問題である。だが、このまま対策を打たなければ、そうした高齢者の貧困層が増加していくことは、火を見るより明らかだ。

 ではどうすればよいか。現役世代の保険料を上げればいいと言う人もいるだろうが、それは難しい。というのも、現在の18.3%という保険料率は、どう考えてみても限界に近いからだ。保険料だけで収入の2割を持っていかれるのだから、これ以上になったら手取りがなくなってしまう。これを3割に引き上げるなどと言ったら、現役世代から反乱が起きかねない。

 あるいは、このコラムの「第90回 公的年金が『ハゲタカ』に変身したら」でわたしが提案したように、ハゲタカファンドで運用する手もあるが、実現は難しいだろう。

 となると、残りの手は限られてくる。

年金の給付開始が70歳まで延びる?

 それでは、どうしたらよいのか。

 じつは、秘かに政府部内で検討されている案があるという。それは、現在65歳となっている年金支給年齢を70歳に引き上げようというものだ。もちろん、これは公的文書にはどこにも出てこない。現在の状況を考えると、そんなことを言い出したら袋叩きにあうことは間違いない。

 とはいえ、ほかに方法はないのだから、遅かれ早かれこれが議論の対象になることだろう。

 現在、年金の支給開始年齢は、段階的に繰り延べられている最中であり、今から18年後の2025年に完全に65歳になる。つまり、昭和30年代後半以降に生まれた人は、年金がもらえるのは65歳ということになる。

 わたしが思うに、2025年以降もそのままのペースで、するずると繰り延べを続けていって最終的に支給開始年齢を70歳まで延ばすのではないか。おそらく、それが政府の本当の戦略だろう。わたしがそう確信するのは、妙な数字の一致があるからだ。

 その数字の一方は、国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口によるものである。65歳以上の人口のうち70歳以上の人口がどれだけを占めるかを計算すると、2025年で80.6%、2045年で80.5%となる。つまり、65歳支給を70歳支給に引き上げることで、年金を給付する人口がおよそ2割減少するというわけだ。

 ここで、冒頭で紹介した厚生労働省の年金給付の将来推計を思い出してほしい。所得代替率は、どの世代でも41.3%に収束するという予測だった。これは、従来政府が保証してきた所得代替率50%を、2割ほど割り込むということである。

 この二つの数字を突き合わせてみると分かるだろう。おおざっぱな計算ではあるが、支給対象を70歳以上にすることで人数が2割減らすことができ、それによって所得代替率はほぼ50%を維持できることになるわけだ。いやに一致した数字で気味が悪いくらいである。

 早い話が、65歳支給開始を70歳支給開始に繰り延べれば、今の財源のままで、本来の水準の年金が支給できるということなのだ。

40代以下は年金をあてにしない人生設計を

 もちろん、年金支給開始年齢を70歳にするということは、わたしたちの人生設計に大きな影響を与える。もし、定年の年齢が従来通り60歳だとしたら、支給開始の70歳まで10年間の生活を自力で支えなければならない。

 もちろん、そうなったら政府は70歳までの継続雇用を推進していくだろう。しかし、70歳まで働くことが本当に幸せなのか。自分の天職を見つけた人にとっては、いくつになっても働くことはいいことだろうが、大多数の人にとって70歳まで仕事を続けるというのは厳しいことだと思う。

 そもそも、仮に雇用が継続できても、60代の給与は50代の時の給与を大幅に下回ることは間違いない。

 確かに、政府はこれまで公式にこうした考えを発表してはいない。しかし、だからといって、政府を信用していたらとんでもないことになるのは、これまで経験で分かっただろう。

 少なくとも現在40代以下の人は、年金給付年齢が70歳となることを前提として、今から対策を打っておく必要があると思う。それまでは年金があてにならないことを前提として、老後の資金をしっかりとため、人生設計をすることをお勧めしたい。
 

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