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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071215ddm003010127000c.html
クローズアップ２００７：越年国会 首相と小沢氏、双方に弱み
◇年金問題再燃、解散権に足かせ
臨時国会は１４日、会期が再延長され、１４年ぶりの「越年国会」となることが決まった。福田康夫首相は新テロ対策特別措置法案の衆院再可決に向け大幅延長を断行したが、年金記録の公約破綻（はたん）が発覚し、衆院解散カードが事実上制約される中で乗り切りを迫られる。一方で民主党の小沢一郎代表も、主戦場を来年春とみるだけに、首相問責決議案を提出して再可決に対抗しづらい。双方が弱みを抱える中、焦点の新テロ法案成立が確実な情勢にもかかわらず、攻防の行方は見えない。
「一刻も早くインド洋での給油活動を再開しなければならない」。町村信孝官房長官は１４日の記者会見で、新テロ法案成立の必要性を強調した。
首相は１０月下旬、「所信表明してから１カ月だ。１本も法案が通らないんじゃ、『何やってるんだ』と言われる」とこぼしている。参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」の重圧が首相の肩にのしかかり、新テロ法案が政権の実行力を測る指標となった。
防衛省不祥事を受け、自民党内には再延長への慎重論や衆院解散を警戒する公明党への配慮から、再延長しても小幅にとどめるべきだとの議論もあった。しかし、首相は民主党が参院での採決を最後まで引き延ばす事態も想定。衆院通過後６０日の「みなし否決」による衆院再可決が可能な越年延長を断行した。
だが、首相の強気に、宙に浮いた年金記録問題が影を落とし始めている。首相はもともと早期の衆院解散に慎重。とはいえ、民主党が首相問責決議案を提出した場合、解散に打ってでる可能性があることは、野党にとって無言の圧力だった。
ところが、年金記録問題を受けて与党内からは「まずは申し訳ないという気持ちで努力する以外にない」（太田昭宏公明党代表）など、世論の離反をおそれる声が強まっている。「年金問題で通常国会の冒頭解散はなくなった」と自民党中堅議員は語り、首相の解散権に事実上足かせがはまったと指摘する。
首相は１４日、仮に参院で問責決議案が可決されても解散せず続投することを示唆した。その場合、野党が通常国会で攻勢をさらに強めることは確実だ。与党には政権の求心力回復のため、小幅の内閣改造を求める声も出ている。【鬼木浩文】
◇問責黙殺を懸念−−本音は春勝負
一方、新テロ法案が衆院で再可決された場合、民主党も首相問責決議案を参院に提出するか、難しい立場に立たされる。問責決議に法的拘束力はなく、その威力は時の政治状況に左右されるためだ。小沢氏も問責決議については、明確な言及を控えて静観している。
「年金問題を徹底的に追及する」−−。小沢氏が出席した１４日の代議士会で山岡賢次国対委員長は強調した。再延長後の国会のメーンテーマを、新テロ法案から年金問題にシフトさせる狙いだ。同日、国会内であった役員連絡会では問責決議案について、年末ぎりぎりまで連絡会を開催して党幹部の意思一致を図ることを確認したが、小沢氏は黙って聞いているだけだった。
「解散権は首相にあるのだから、政府が都合のいい時期に解散する」というのが小沢氏の持論だ。だが来年の通常国会では予算関連法案で徹底抵抗すれば、予算の執行ができない状況になり、春ごろに民主党が主導権を取って解散に追い込める可能性がある。しかも来年３月は政府が年金問題で照合完了を公約した期限と重なる。首相問責決議案と厚生労働相問責決議案を同時に提出すれば、小沢氏にとってはもっともいい形で政権交代を懸けた総選挙に臨める。
今国会で問責決議を首相が黙殺した場合は、それ以上追い込むカードがないうえ、３月の「予算決戦」を前に無視の前例だけが残る。参院幹部は「新テロ法案は年内で決着させた方がいいかもしれない」と語り、慎重姿勢をにじませる。
今後の展開次第では３月を待たず新テロ法案の再可決をきっかけに、年金問題とからめて首相問責決議案を提出、小沢氏が短期決戦の勝負をかける可能性もある。【田中成之】
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■当面の政治日程■
＜２００７年＞
１２月１４日 １５日までだった今国会の再延長を議決
２０日 ０８年度予算案の財務省原案を内示
２４日 ０８年度予算案を閣議決定
年末？ 福田首相が訪中
＜２００８年＞
１月１２日 新テロ法案が参院送付から６０日を超え、参院が否決せずとも衆院で再可決可能に
１５日 今国会の会期末
１６日 民主党大会
１７日 自民党大会
１８日 通常国会召集
２３日 ダボス会議（スイス。２７日まで）
３月末？ ０８年度予算成立
５月２８日 アフリカ開発会議（横浜市。３０日まで）
７月 ７日 北海道洞爺湖サミット（９日まで）
毎日新聞 2007年12月15日 東京朝刊
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