★阿修羅♪ > 社会問題5 > 153.html
 ★阿修羅♪
【夜回り先生のエッセー】少女からのネクタイ 瞳のように明るい色(中日新聞)
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/153.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 9 月 15 日 10:41:18: 2nLReFHhGZ7P6

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2007090302046073.html

2007年9月3日

 子どもたち、このところ水谷は、ずっと同じネクタイをしています。奇麗な水色にピンクのストライプのネクタイです。ちょっと私の年には派手で、恥ずかしいのですが、いつもつけています。そして、時々それを触ってはにやにやしています。

 今から三年前です。私は、東京の風俗街で十八歳の一人の少女と出会いました。朝四時ごろ、疲れた顔で風俗店から出てきました。彼女の顔にはくっきりと覚せい剤乱用の跡がありました。私は、彼女を呼び止めそして近くのファミリーレストランで話しました。彼女は私のことを、「夜回り先生」だと知っていました。私にメールで相談に乗っていた少女でした。彼女は、小学校時代から親からの虐待、学校でのいじめ、中学から夜の街に入った子でした。中学二年で暴力団関係者と同棲(どうせい)、売春をさせられ、そして覚せい剤も覚えました。十六歳からは、風俗街に売られ、稼いだお金をすべて覚せい剤代として彼に奪われ、生きてきました。

 彼女は、自暴自棄になっていました。「先生、もう私のからだは汚れてる。明日なんかこない。どうなってもいいんだ」そういいました。私は言いました。「でも君は、メールで私に助けを求めたね。明日、来るよ。作ろう。ついてるよ。君の目、とってもきれいだよ。きっとこころも。ついておいで」。私は、そのまま、彼女を、私の関係する施設に預けました。彼女の親に対しては、私は何もできませんでしたが、彼女を利用した男と、そして風俗店は、警察の力を借りて摘発しました。

 彼女は、長年の覚せい剤乱用から来る、さまざまな離脱症状や再使用への渇望、フラッシュバックに苦しみながらも、施設で必死に生きました。「先生、今日は麻婆豆腐作ったよ。みんなおいしいって食べてくれた。明日は、カレー作るんだ。先生、いつ食べに来てくれる」。うれしい電話やメールがいっぱい届きました。そして、ついに今年の四月から、彼女は、老人施設の調理補助員として就職しました。いつかは、本当の調理師になるんだと、通信制の高校にも入学しました。私が、このところ使っているネクタイは、彼女が初めてもらった二万円のボーナスで、プレゼントしてくれたものです。彼女の瞳のように明るいネクタイです。

 子どもたち、過去や今を変えることはできません。いくら苦しんでも無駄です。過ぎ去ったものは取り戻せません。でも、これから来る明日は、いくらでも作れます。今を、明日のために、生きてみませんか。必ず明日は来ます。

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 社会問題5掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。