★阿修羅♪ > 社会問題5 > 214.html
 ★阿修羅♪
 斎藤俊さんの解剖 (外野さん、“深い闇”の説明、ありがとうございました。 - 千早@オーストラリア)のレスです
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/214.html
投稿者 外野 日時 2007 年 10 月 11 日 21:39:01: XZP4hFjFHTtWY
 

 次のような記事を読むと、メディアや角界の眼中には既に死んだ人間はいないというような感じがします。ふと新自由主義での弱者の扱い方に似ているなと思いました。

 「部屋を盛り上げたい」新時津風親方、逆境からの再起誓う(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20071009i513.htm


 法律的には、「死因が不明とされる全ての死体は、国庫で解剖をし死因を究明できる」のだそうで、この場合の「解剖」とは司法解剖です。
 しかし、司法解剖は法律上は刑事訴訟法で警察・検察が嘱託するもので、警察・検察の一存でやったりやらなかったりできます。
 警察・検察というのは刑事事件(犯罪)を扱うところから、<犯罪性がない場合、または犯罪の可能性がない場合は「司法解剖」はおこなわれない>という通念にもなるようですが、本来は犯罪性云々の前に、死因が不明な死体は全て司法解剖に処すというのが正しいようです。なぜならば、死因がわからない以上、犯罪性の有無も判断できない、ということになるからです。

 斎藤俊さんの遺体の承諾解剖はどうも新潟県警が新潟大に要請した形になっているようです。費用は行政解剖と同等、自治体の負担であると思われます。
 斎藤俊さんの遺族のかたが新潟県警と新潟大と、どちらを先に訪れたのかわかりませんが、新潟大のほうに先に行ってお願いをした場合でも、手続き上、「まず警察に行かれて…」という話になるのかもしれません。
 ともあれ、いずれにしろ司法解剖ではなく「行政解剖に順ずる承諾解剖」になっているのは何故なのか、僕には不明です。
(解剖の手続き上の名目が、「急性心不全」の原因究明となっているのかもしれませんね。実は「急性心不全」というのは診断名とはならないのです。死ぬときは誰しも「心不全」になる──心臓が止まる──からです。「死んだ原因は心臓が止まったこと」というのはおかしいでしょう。だから厚生省(厚労省)でも死亡診断書の死因に「心不全」とだけ記すのはやめるようにと指導をしているようです。「心不全」ならその心不全に至った傷病名を書くように、というふうにです。
 しかし、今回の斎藤俊さんの死亡診断書には「心不全」としかなかったようで、それならその「心不全」に至らせたものを究明するための解剖を、という名目が成り立つわけでが…。)


 事件当初、愛知県警は医者から連絡を受けていなかったのではないか、という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、次の報道は愛知県警が医者からはちゃんと連絡を受け、自ら判断していることを示しています。

───────────────────────────

時津風部屋の力士急死、死因は外傷性ショックと発表
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071005i115.htm?from=main1

 愛知県犬山市の大相撲の時津風部屋宿舎で今年6月、序ノ口力士の斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山=がけいこ中に急死した問題で、同県警は5日夜、遺体の臓器などを組織検査した結果、斉藤さんの死因は多発外傷による外傷性ショックだったと発表した。

 斉藤さんは今年6月26日、兄弟子らによる激しいぶつかりけいこの直後に土俵で倒れて亡くなり、県警は当初、斉藤さんの死因を虚血性心疾患としていた。

(2007年10月5日22時43分 読売新聞)
───────────────────────────


 愛知県警の「解剖年間二人」の記事は、監察医制度での行政解剖のほうです。
 その行政解剖が「二人」の年に愛知県警は司法解剖のほうは何人おこなったのかは不明です。
 ただ、司法解剖といっても、その目的は様々で、はっきり犯罪とわかる場合の、致命傷となったのは数ある傷のうちどれかとか、死亡推定時刻の算出とか、身元の究明とか、凶器は何か、とかその解剖の数でその警察のまっとうさをはかる物差しとはなりえないようです。

 一つだけ『フラッシュ』の記事で愛知県警の変死体の解剖数が書かれているものが手元にあります。
 以下に記事の中の何項目かを紹介します。項目ごとによく吟味してみてください。

───────────────────────────
『フラッシュ』 2007年2月6日号

本当に安心な地域はどこ?
47都道府県警察力 [ベスト&ワースト]ランキング

【検挙率】
          検挙率
ベスト
1位 福井県警  52.7%
2位 山口県警  49.9%
3位 山形県警  49.0%
4位 秋田県警  48.4%
5位 島根県警  48.1%

ワースト
1位 大阪府警  16.5%
2位 埼玉県警  19.8%
3位 愛知県警  21.3%
4位 兵庫県警  23.7%
5位 和歌山県警 24.8%

 <凶悪犯の検挙率> (殺人、強盗、放火、強姦等)
          検挙率     認知件数
ベスト
1位 大分県警  100%      56件
2位 山口県警  97.5%     79件
3位 山形県警  97.1%     34件

ワースト
1位 愛知県警  48.4%    910件
2位 大阪府警  49.3%  1、520件
3位 兵庫県警  55.5%    546件


【犯罪発生率】
*人口10万人当たりの件数
         発生件数
ベスト
1位 秋田県警  744.1件
2位 岩手県警  813.2件
3位 鹿児島県警 848.7件
4位 山形県警  854.0件
5位 長崎県警  858.5件

ワースト
1位 大阪県警  2、880.0件
2位 愛知県警  2、799.3件
3位 京都県警  2、243.8件
4位 埼玉県警  2、237.2件
5位 兵庫県警  2、179.4件


【解剖率】
          解剖率
ベスト
1位 神奈川県警 29.3%
2位 兵庫県警  18.3%
3位 警視庁   16.9%
4位 大阪県警  16.9%
5位 沖縄県警  12.9%

ワースト
1位 鹿児島県警  1.0%
2位 埼玉県警   1.8%
3位 千葉県警   2.2%
4位 山梨県警   2.2%
5位 愛知県警   2.4%

 変死体のうち司法解剖、行政解剖にまわされた割合(’05年)。なぜ解剖率が指標になるかといえば捜査の客観的なデータが得られるため。最下位が鹿児島県警なのは、お国柄。「事件か事故死かは警察が決める。医師は口をはさむなという文化」(寺澤氏)。1位は神奈川県警だが額面どおりには受け取れない。「神奈川県警では解剖していないのに解剖したと報告した事件があった。この数字には@カラ解剖”も含まれているのかもしれません」(寺澤氏)。
───────────────────────────


 最後に、『週刊現代』の記事から。

───────────────────────────

『週刊現代』 2006.11.11

 週刊誌の現場から
 警察の捜査能力はなぜ落ちたのか─[1]

 原田宏二元北海道警釧路方面本部長の告発

 (略)
 悲しい現実ですが、今の警察には日々起こる事件を解決できる能力はほとんどありません。犯罪検挙率は'64年には63・9%だったのが、昨年は半分以下の28・6%にまで低下しているといいます。昔はあった捜査能力がガクンと落ちているのは間違いありません。
 今年8月、畠山鈴香被告(33歳)が起訴された秋田連続児童殺害事件でもそれが顕著に表れました。
 私はメディアで報じられた範囲の知識しかありませんが、被告の長女・彩香ちゃんが4月10日に遺体で発見されると、秋田県警はすぐ「事故による溺死」と発表しています。このときは「特異な外傷はなかった」とされていました。
 しかし後に、彩香ちゃんの頭蓋骨が陥没していたことが明らかにされました。頭蓋骨が折れているか否かをその道のプロが検視で見逃すなんてことは普通あるはずがない。あのとき県警は、彩香ちゃんの遺体を解剖したと言っていますが、「本当は解剖しなかったのでは?」という疑念の声が上がったのも無理からぬところです。
 キチンと捜査していれば米山豪憲君の事件は起きなかった可能性が高いのに、秋田県警はなぜ「事故死」という結論を出すのを急いだのでしょうか。同じく小学生の女の子が行方不明となり、いまだ解決していない栃木や茨城の事件もあります。小さな女の子が行方不明になった場合、最悪の事態を考え徹底した捜査をするのは捜査幹部の基本中の基本です。にもかかわらず、「面倒な事件になりそうだから事故ということにしたい」という考えが働いて安易な結論を出したとすれば、それこそ怠慢です。
 他にも、警察の捜査能力低下を示す事件が明らかになりました。北海道で起きたパロマガスの事件です。同じ部屋で5ヵ月の間に二人が亡くなっている。とんでもない怪事件と判断しなければならないのに、当初警察は何の不審感も持たず、遺族の再捜査要請も無視しました。

 (略)
 ここ10年来、17の都道府県警察で裏ガネ作りが発覚しました。10月21日にも、栃木県警の元警部補・阿久津武尚さん(60歳)が、在職中、上司の指示で捜査協力者に払う「捜査用報償費」の領収書を偽造し、裏ガネ作りに加担させられたことを明かしたばかりです。
 冒頭で述べた秋田県警の事件で「解剖が行われなかったのでは?」と疑われたのは、実はこの裏ガネ問題にも関連しています。警察が大学の法医学解剖医に解剖を依頼すると、遺体1体につき7万円の「謝金」が国費から支出されます。捜査の現場を持たず、捜査費で裏ガネ作りのできない鑑識課では、この謝金を裏ガネの原資にするといいます。つまり実際には解剖をしていなのに、行ったことにして謝金を裏ガネに回す手口です。私が北海道警鑑識OBから聞いた話では、道警では年間3000体分の検視・解剖の予算があり、大部分が裏ガネに化けていたそうです。
 こうした警察の体質がなぜ改まらないのか。なぜ現場の捜査官は声を上げられないのか。次回は、組織の不正に立ち向かった警察官がどんな「報復」を受けたか、私が見た実例をお話ししましょう。
───────────────────────────



  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 社会問題5掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。