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湯浅誠さんの講演「“溜め”のない若者と貧困」(JANJAN)
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/526.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 5 月 20 日 21:49:25: twUjz/PjYItws
 

http://www.news.janjan.jp/living/0805/0805197370/1.php

ひらのゆきこ2008/05/20

「もやい」の湯浅さんは若い人たちの貧困化はお金や、人間関係、それに自信に繋がる精神的な“溜め”がない状態 であり、この小さくなった“溜め”を周りで大きくするよう温かく見守っていくことが必要と語りました。

 5月17日(土)午後1時より東京しごとセンター(東京・飯田橋)で開催された全進研08年春季集会(テーマ「格差社会」と若者の進路・教育の課題)で、湯浅誠さん(NPO自立生活サポートセンター「もやい」事務局長・反貧困ネットワーク事務局長)が「“溜め”のない若者と貧困」と題し、記念講演を行いました。主催は全国進路指導研究会。

湯浅誠さんのお話 1

多様化する相談事例
 野宿者運動から出発し、現在、NPO自立生活サポートセンター「もやい」の事務局長をしている湯浅さんは、この数年、「もやい」にくる人たちが変化している、と述べ、相談者や相談の内容が多様化してきている、と語りました。

若い人の相談者が増えている
 相談者の多様化については、これまでは中高年の単身の男性が多かったが、最近は若い人の相談者が増えたそうです。3週間前、1日の相談件数の集計をとったところ、相談者の半分が20代、30代の若い人だったと語りました。高齢者や中高年に加え、男性、女性、家族のいる人など、世代構成が多様化してきたのも最近の特徴であると述べました。

 これまでは、失業者や高齢者といった労働市場から排除された人たちが相談にきていたが、いまはすでに働いている人たちが相談にきているそうです。いまのところ、正規社員の相談は1つもないが、正規労働者も一枚板ではなく、労働環境が劣悪な名ばかり管理職や、正規でも収入が生活保護基準以下の人たちもいるので、相談に来はじめてもおかしくない状況であるとの認識を示しました。

 なぜ相談にこないのか。正規で働いている自分が生活できないはずはない、との思いがあるからではないか、と推測しながら、「正規は勝ち組、非正規は負け組みというのが嘘っぱちであることがわかってきた。いずれ相談にくる」と述べ、貧困が拡大している状況に警鐘を鳴らしました。

生活と労働の両方の問題を抱えている
 連合や全労連は非正規の人を仲間にいれるための働きかけをしているが、現在は、働いているのに食べていけない、生活と労働の両方の問題を抱えており、この二つを切り離すと現状に追いついていかない、と述べ、現場で起きていることに目を向け、労働問題だけでなく生活の問題にも対応できるかどうかが問われている、との認識を示しました。

湯浅誠さんのお話 2

 湯浅さんは、若い人たちに貧困が広がっている、と述べ、「もやい」に相談にきた19歳と18歳の男の子の話をしました。

19歳の男の子「高校に行きたい」
 19歳の男の子の場合は、両親が離婚、最初は母親のもとで育ち、中学2年のとき不登校になり、その後、父親に引き取られました。父親は日給月給の警備の仕事をしており、夜勤や休日出勤で頑張って働き、28万円ぐらいの収入を得ていましたが、鬱病になり、生活が困窮し、「死にたい」という電話を「もやい」にかけてきました。

 この家族は、家庭の体を成しておらず、ガスも引いてなかったそうです。布団もなく、2人ともゴロゴロ寝ているような生活をしていたということでした。親子関係は良好とはいえず、父親は生活保護の申請をし、男の子は父親と離れ、半分「もやい」が引き取るような形で新宿区内に住むようになったそうです。

 男の子は、髪は伸ばし放題、なにを聞いても「別に」としか言わなかったそうですが、みんなと一緒にご飯を食べたりしているうちに「もやい」のメンバーと話をするようになり、アルバイトにも行くようになったそうです。今年に入り、高校に行きたいと言い出し、定時制高校を受け、一次、2次は落ち、3回目で定員割れの学校に入ることができたそうです。まだ友だちが一人もできないので、みんなで冗談を言ったりからかったりしながら、「頑張れよ」と励ましているそうです。

18歳の男の子「つらいときだれも助けてくれなかった」
 18歳の男の子の場合は、里親に育てられ、17歳のとき施設に預けられたそうです。アルバイトでお金を貯め、アパートに入ったそうですが、肉親がいないため、友人同士でつるむようになりました。施設を抜けた若い人は群れている人が多いそうですが、仲間とトラブルになり、男の子はアパートを出てホームレスになりました。湯浅さんのお話によると、野宿は最初がとくにつらいそうです。どこで寝ていいかわからないからです。

 18歳で、法廷代理人もいないため、どこからも締め出され、最後に「もやい」に辿り着いたそうです。男の子はだいぶ落ち着いてきたが、世の中を恨む気持ちがまだあるといいます。つらい時、だれも助けてくれなかったからです。公園で寝ている時だれ一人声をかけてくれず、生活保護を受けられることをだれも教えてくれなかった。(カツ上げなど)悪いことをしないと生きられない社会を恨む気持ちは、理解できるような気がします。

湯浅誠さんのお話 3

 湯浅さんは、こうした事例は極限事例だと言われるが、食べられない若い人が増えているのは間違いない、と断言しました。

33歳の男性の事例
 この男性の場合は、中卒で働き始め、10年間派遣を転々としていたそうです。前の仕事が切れたあとも次の仕事が決まらず、野宿をするようになったそうですが、野宿をしてから4日後に「耐えられない」と電話をしてきたそうです。前述したように、野宿したてのころが一番つらく、どこに寝たらいいのかわからず、段ボールもなく、最初の1週間は水だけで過ごす人が多いそうです。この男性は高崎の人だったので、湯浅さんは高崎まで出かけ、一緒に生活保護の申請をしてきたそうです。

3つのセーフティネットがなくなっている
 このような人たちがどうして生まれてきたのか。その理由について湯浅さんは、3つのセーフティネット(1.労働のセーフティネット 2.社会保険のセーフティネット 3.公的扶助のセーフティネット)がないからだと指摘しました。

 いまや、非正規雇用は雇用の3分の1に達しており、女性の場合は50%、15歳〜24歳は48%が非正規雇用です。働いても食べていけない人が増え、フリーターの平均は年収140万。非正規雇用の人は失業しても失業保険をもらえません。フルタイムで働いても雇用保険に入っていないと、雇用のネットからはじかれる。国民の25%が貯蓄ゼロ。収入が途絶えたとたんにスッカラカン。生活保護しかないが、若い人は申請しても99%追い返される。重い病など重篤な状態にでもなっていない限り、追い返される。

生活保護の窓口は開いていてない
 高崎の相談者の場合も、住所がないということで福祉事務所に追い返されたそうですが、こっちが、だれでも申請できると法律に書いていると主張すると、納得はするものの、そういうことをやったことがないのでやり方がわからず、「どうやったらいいの?」と逆に聞いてきたので、やり方を教えてあげたそうです。こういう自治体がほとんどで、「生活保護の窓口は開いていない」と湯浅さんは語りました。

若い人たちの貧困化は構造的な問題
 湯浅さんは、若い人たちが貧困化した理由について、「若い人たちはセーフティネットから落ちて行く構造になっている。そこで貧困が生産された」との考えを示しました。去年、テレビで報道された「ネットカフェ難民」や「ワーキングプア」に言及しながら、若い人たちの貧困化は構造的な問題であり、「なるべくしてなった」と述べ、非正規で働いている人が全員そうなるのではなく、(貧困化しているのは)セーフティネットがきいていない人たちであると語りました。

 月収10万でも親と同居している人は貧困状況にあるという自覚はないが、頼れる人がいない人が10万の場合は最低生活で、アパートを出てネットカフェで暮らす人が生まれます。家族が社会的セーフティネットの肩代わりをしているため、家族に異常な負担がかかる。鬱病や引きこもりの場合、親子関係が険悪な場合が多く、家にいると余計悪くなるが、(生活ができないので)出られない。家族の負担も増える。児童虐待が問題になっているが、児童虐待の問題と結びついているのは貧困であり、家族が全部抱え込む。

湯浅誠さんのお話 4

自立とは介護保険を使わずできるだけ家族で介護をすることなのか
 福田首相が総理大臣になったとき、「自立と共生」についてコメントを求められ、「自立」について「(介護保険を使わないで)できるだけ家族内で介護をすること」と答えたことに対し、湯浅さんは、「介護保険はなんのためにつくられたのか」と疑問を呈しながら、総理大臣自ら露呈したように、老老介護の問題など、セーフティネットの脆弱さのしわ寄せを家族が受ける社会になっていることに警鐘を鳴らしました。

 湯浅さんは、貧困の背景として「五重の排除」があると述べ、こういう視点をもつことが必要であると主張しました。公的扶助のネットから落ちて行く人は、穴をまっさかさまに落ちて行く。貧困の問題は、「落ちて行く人の身になって考えることが必要」と述べ、そのためには、マクロだけでなくミクロの視点が必要であると強調しました。

自己責任論は本質を見誤る
 テレビで貧困の問題が報じられていると、頑張って働いているのに生活ができない人を見て、可哀相だと同情しながら、隣で一緒にテレビを見ているフリーターの息子に対しては、「お前は自己責任」と切り捨てる父親がいるが、そのようなとらえ方は本質を見誤る、と湯浅さんは指摘しました。組合はあるが脆弱であり、相談にくる人はテレビに出ているような立派な人ばかりではないので、相談員のシニアのおじさんが、本人の精神状態や現れ方を理解しないと、上記の父親のように「自己責任」と切ってしまうことになりかねないと述べ、危惧していることを明らかにしました。

五重の排除
 「五重の排除」というのは、「教育課程」「企業福祉」「家族福祉」「公的福祉」「自分自身」の排除であると述べ、この中でとくに問題なのは「自分自身」の排除であると語りました。

 生活保護の申請をすると追い返される。わらにもすがる思いで相談に行くと、けんもほろろに追い返される。そのような体験をした人たちの話を聞くと、だれもが「尊厳を踏みにじられた」「人間扱いされなかった」と語るそうです。正社員の採用試験に何度も落ちた男性は、落ちるたびに社会から要らないと言われているような気になると語っていたそうです。

 最近はベンチに横になっているだけで、警備の人がやってくる。隅田川では24時間ガードマンが巡回しているので、横になることもできない。追い込まれていくと、最後は「自分自身」の排除。生きていてもしょうがない、どうでもいいという気持ちになる。弱いとかガッツがないとかそういう問題ではなく、人間、だれでも4つの排除を受けると、最後はそういう気持ちになる、と湯浅さんは訴えました。

弱者を追い詰め、死に追いやる社会
 自殺者3万人(年間)のうち、1万人は経済的理由による自殺だそうですが、湯浅さんは、「生活が逼迫すると、生きていてもしょうがないという気持ちになって自殺をする」と自殺に追い込まれる人たちの心情を代弁しました。

 去年、北九州市で「おにぎりが食べたい」と言い残して餓死した52歳の男性は、「生活困窮者は早く死ねということか」とノートに書き残していました。現在の「姥捨て山制度」と言われている「後期高齢者医療制度」について、自民党の堀内光男議員は「高齢者は死ねということか」と言っています。生活困窮者や高齢者など弱い立場の人たちを追い詰め、自ら死に追いやるような現在の日本の政治と、それを許している社会に対し、湯浅さんは次のように述べました。

 「だれかが、お前なんか死ね、と言ったのではない。本人の受け止め方がそうなっている。働いても暮らせない。死ねと思うように、社会が仕向けている。それが、自分自身の排除になる」

34歳の男性「このままでいいんスよ」
 湯浅さんは、7年間ネットカフェで暮らしていたという、34歳の男性の話をしました。男性は、「もやい」に相談にきたとき、最初の30分間、ずっと「(自分は)このままでいいんスよ」と言っていたそうです。月収8万円。34歳。身体はどこも悪くない。7年間ネットカフェで暮らしている。もうちょっとどうにかなるんじゃないの、というと、「このままでいいんスよ」としか言わない。

 男性は母子家庭で育ち、高校1年のときお母さんが帰ってこなくなり、高校を中退して働き始めました。スキルがないので、日雇い派遣。大宮の大手スーパーのイベント設営の仕事が定期的に入り、月収も12万円ぐらいもらっていたが、派遣会社がイベント専門の会社をつくったため、彼もその会社に移ったそうです。固定の仕事は大手スーパーの仕事だけとなり、収入が8万円。

 ほかの派遣会社に登録して、かけもちをすればいいじゃないかというが、固定の仕事は手放せないので、大手スーパーの仕事を優先する。ほかの仕事がきても、日程があわないと断らなければならず、向こうは人手が欲しいだけなので、断っていると後回しになり、次の仕事がこなくなる。8万円の仕事にしがみつかないと、8万円を失ってしまう。

 彼は、週の半分をネットカフェで過ごし、あとの半分は夜中に歩き回って始発電車で仮眠を取る、という生活をしているそうです。始発電車にはそういう人が多いそうですが、そのような状態の彼に、なんとかならないのかと言っても、なんとかならない世の中で34年生きてきた。自殺もせず、ホームレスにならず、なんとかやってきた。(たったいま会ったばかりで、なんとかならないのかと言う)お前はなんだ。そういう気持ちに追い込まれる、と湯浅さんは男性の心情を代弁しました。

 湯浅さんは男性を説得し、大宮で待ち合わせをして福祉事務所に行き、生活保護の申請をしたそうです。彼は2ヵ月後に警備の仕事を見つけ、生活保護から抜けて働いているそうです。状況が変わればそういう動きができる、としながらも、普通は社会復帰にはもっと時間がかかるということでした。湯浅さんは、「人間、頑張るためには条件がいる。条件を整えないで頑張れといってもできない」と述べ、ただ頑張れというのではなく、頑張るための条件を整えることの必要性を強く訴えました。

 社会的コストとしても、この状態を放置するのは問題であると指摘しました。30代後半で正社員でない人は70万〜120万人。将来、この人たちが生活保護を受けた場合、20兆円かかると言われており、お金がないないといいながら、結局、将来にツケを回していることになり、将来的な経済負担をどんどん増やしていることに警鐘を鳴らしました。

湯浅誠さんのお話 5

貧困は“溜め”がない状態
 湯浅さんは、貧困問題について考えるとき、“溜め”がない状態として考える必要があるのではないか、との見解を示しました。

 人間は“溜め”に包まれており、大きい人も小さい人もいるが、お金の“溜め”、親や親戚など人間関係の“溜め”、自分に自信がある精神的な“溜め”。全体としてそういうものが失われるのが貧困であるとの考えを示しました。「貧乏と貧困は違う」としたうえで、“溜め”が小さくなった状態から“溜め”を大きくしていくことが必要であるとして、次のように述べました。

“溜め”を増やしていく社会をつくる
 「“溜め”は目に見えない。一人ひとり“溜め”の大きさは違うが目に見えない。成功している人は自覚がない。頑張ればなんとかなると平気で言っちゃう。子どもを大学まで行かせた場合、だいたい2000〜2500万円かかるといわれている。私立はもっとかかる。日本の公的教育費は29位で先進国のなかでは最低。親が出さないと出てこない。貧困が世代間で受け継がれていく。

 条件のない人に言っても暴力になる。その人にはその条件がない。本人が自分の“溜め”を自覚してから、お前も頑張れと言ってほしい。団塊の世代の人は、昔はみんな貧乏だったと言う人が多いが、昔はお金がなくても人間関係が現在のように脆弱ではなかった。大企業は住宅や福利厚生が充実していたし、中小企業や零細企業なども、たとえば、住み込みの従業員などに対しては、結婚の相手を世話するといった、煩わしい面もあったが、周囲の支えがあった。

 昔は貧乏でも家族や地域があった。いまは経済的に頼れる人間関係や精神的な“溜め”のレベルが違う。昔はみんな貧乏だったとか、頑張ればできる、という話で終わる。そういう話で終わらせると社会的サポートをする必要がないということになる。“溜め”を大きくしていかないし、自己責任も問えない。選択肢のない人に対し、あたかも等しく選んだかのように言うのが自己責任論の嘘である。

 “溜め”を増やす長いプロセスをどうやって増やすか。生活保護、信頼できる友人、空間、温かく見守っていくことが必要。一般論でただケツを叩くだけでは、自立から結果的に遠ざける。“溜め”のない人に“溜め”を増やしていく社会を作っていくことが大事。

 イギリスで始まったニートの問題は、この人たちは社会のセーフティネットがないという反省から始まったもの。それが日本に輸入される過程で、自己責任論に引っくり返った。条件を社会的にどうつくるのか。学校やNPOなどで取り組みを始めないといけない。「お前、なにやってんだ」、ということでは、切り捨てられる状態をとめることはできない。


 


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