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Re: テスト
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 6 月 30 日 16:38:23: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: Re: テスト 投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 6 月 30 日 16:32:00)


アグリ燃料にまつわる5つの幻想

エリック・ホルト=ギメネス(Eric Holt-Gimenez)
フード・ファースト/食糧・開発政策研究所専務理事、オークランド

訳・岡林祐子





 新たなエネルギー源を探すことが、かつてないほどの切迫感を帯びてきた。石油、石炭、天然ガス、とりわけ前二者は、地球温暖化の大きな原因となっている。化石燃料はあと40年から50年程度しかもたないと考える専門家もいる。その予想が数十年ほど間違っていたとしても、将来のエネルギー問題が解決されるわけではない。そして現在、石油相場は高騰している。だが石油なしで済ますことができるのだろうか。

 ピーナッツ油で動く最初のモーターが発明されたのは1890年のことだが、近年の事例を見ても、バイオ燃料の原料にできることで知られる農産物は枚挙にいとまがない。成長の早い樹木類、サトウキビ、トウモロコシ、ナタネ、大豆、等々。第一次石油ショック直後の1975年から、この分野の先頭を走っているのがブラジルだ。ブラジルは、サトウキビを原料としたエタノールあるいはガソリン、または両方で走る自動車を実用化してきた。これらのエネルギー源は、今や世界的な注目を集めている。

 この分野に関し、米国は最近、国内で販売されるガソリンをエタノール10%混合品に切り替えることにより、今後10年間で石油依存度を10%減らすという決定をした。EUは、2010年までにガソリンとディーゼルの消費量の5.75%、2020年には20%を、バイオ燃料に切り替える予定である。

 だが2007年3月、ブッシュ大統領のブラジル訪問が、アグリ燃料をめぐる論争を引き起こすことになる。この訪問の際、ブッシュ大統領は「バイオ燃料のOPEC」の創設を提案した(両国で世界の生産量の72%を占める)。ブラジルのルーラ大統領も好意的な反応を示し、米国と「戦略的同盟を結ぶことで、エネルギーに関わる慣行は変えられるということを世界に向けて説得できるようになる」と絶賛した。この米国大統領の提案の動機が、環境保護だけでないことは事実である。中東およびベネズエラのような「非友好」国家への米国の石油依存を減らすこと、ルーラとチャベスを対立させること、チャベスが唱道する南米エネルギー統合構想に歯止めをかけること、といった動機も働いている。しかしながら、ブッシュ提案が引き起こした論争は、そうした事柄にとどまるものではない。

 この提案を支持する人々の主張によれば、代替燃料を利用することで、地球上の貴重な天然資源の枯渇を回避できる。生産国はエネルギー自立を高めることができ、農民にも明るい展望が開かれる。とりわけ開発途上国の農民にとってはそうだ。ヨーロッパでも、共通農業政策によって「凍結」された農地(EUは食糧作物以外の農地を休耕地にすることを受け入れている)を活用できるようになる。

 反対派のうち、「栄養不足の南の大衆」の名のもとに、真っ先に異論を唱えた国家首脳がカストロ議長である。彼は3月9日にこう述べた。「二者択一が眼前の事実となっている。土地を食糧の生産に充てるのか、それともバイオ燃料の製造に充てるのか」。先進諸国には、その消費水準からして、バイオ燃料向けに転換するほど農地の余裕がない。そこで、南の国々に安価なエネルギーを供給してもらおうという発想が生まれている。だが、それらの国々はいかなる代償を払うことになるのか。

 5月9日、エネルギー分野を担当する国連の機関とプログラムからなる組織「国連エネルギー」が、「代替可能エネルギー:政策決定者のための枠組み」と題した文書を発表した。この文書では、バイオエネルギーのシステムが、貧困の削減、エネルギーへのアクセス、農村の開発やインフラといった面で、多くの利点をもたらすことが強調されている。しかし、その一方で、「この分野の開発に関する決定を下し、いかなる技術、政策、投資戦略を採用するかを決定する前に、細心の注意を払って、バイオエネルギーの経済的、社会的影響を評価する必要がある」との危惧も示されているのだ。[フランス語版編集部、訳・三浦礼恒]

 バイオ燃料。この単語から思い浮かぶのは、再生可能でクリーンな無尽蔵のエネルギー、技術への信頼感、持続可能な環境保護と両立する力強い進歩、といった実に美しいイメージである。石油生産のピークから、まだ輪郭の見えない再生可能エネルギー経済へと、緩やかに移行するための次のステップは、トウモロコシ、サトウキビ、大豆、その他の作物を原料とする燃料だと、産業界、政治家、世界銀行、国連、さらには気候変動に関する政府間パネル(IPCC)までもが言う。それもひとえに、この単語のおかげである。

 野心的なプログラムが打ち上げられている。ヨーロッパは、2010年には道路輸送の燃料需要の5.75%、2020年には20%をバイオマス燃料に切り替える予定だ。米国は、年間350億ガロン(約1300億リットル) という目標を掲げている。これらの目標は、北半球工業国の農業生産力をはるかに超える。ヨーロッパでは、耕作可能地の70%を用いなければならず、米国では、国内のトウモロコシと大豆の収穫をすべてエタノールとバイオディーゼルへの加工に回す必要がある。農地の用途をそんなふうに転換すれば、北の国々の食糧供給システムはめちゃくちゃになってしまう。そこで、経済協力開発機構(OECD)諸国は自国の需要を満たすために、南半球に目をつけたのだ。

 インドネシアとマレーシアは、アブラヤシのプランテーションを急ピッチで拡大し、ヨーロッパのバイオディーゼル市場で20%のシェア獲得を目指している。ブラジルでは、燃料用作物の耕地面積が、英国、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの4カ国を合わせた規模に達しており、政府はさらにサトウキビの作付を5倍に増やすことを計画している。ブラジルの狙いは、2025年までに世界のガソリン消費の10%をエタノールに切り替えさせることにある。

 アグリ燃料業界では、資本投下と事業集中が驚くべき速さで進んでいる。この3年間で、ベンチャー投資は8倍に伸びた。BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)がカリフォルニア大学に5億ドルの助成金を出した例のように、民間資金が公的研究機関にどっと流れ込んでいる。石油や穀物、自動車や遺伝子工学の大手企業は、強力な提携関係を結びつつある。たとえばアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)とモンサント、シェヴロンとフォルクスワーゲン、BPとデュポン、トヨタなどだ。これらの多国籍企業は、我々の食糧および燃料の供給システムに関連する部門において、研究、生産、加工、流通の事業集中を進めている。

 こうした現状からしても、時流に飛びつく前にしなければならないことがある。アグリ燃料への移行という幻想の解体である。

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