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Re: テスト
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 7 月 13 日 19:02:13: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: テスト 投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 7 月 13 日 19:00:38)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070710/277207/?ST=network&P=2

 日本の移動通信産業はここ十年,猛スピードで繁栄と進化を遂げ,世界をリードしてきた。日本では,NTTドコモが1999年に世界最初のモバイル・インターネット・サービスの「iモード」をスタートさせ,さらに2001年には世界で初めて第3世代(3G)携帯電話のW-CDMA方式を採用した「FOMA」のサービスを始めた。世界はまだ2Gや2.5Gが中心の現在でも,日本ではすでに3.5Gに相当するKDDI(au)の「CDMA 1X WIN」(CDMA 2000 1x EV-DO方式)サービスが普及し,他の通信キャリアも高速なHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式によるサービスを開始している。そのうえ,日本の通信キャリアとメーカーはさらに先を行く3.9G方式の実用化に向けた作業にも着手している。

 ところが,世界の通信産業よりも何歩も先を進んでいる日本の通信産業にありながら,その主役の一人であるはずの日本の携帯電話メーカーの顔色はさえない。日本メーカーの国際競争力が非常に低下してしまったからだ。


企業の国際競争力の源泉は“本国市場”にあるはずだが…


 現代企業の競争はグローバリゼーションに突入していることは周知の事実である。一方で企業の立地条件は,依然として企業の国際競争力を左右する重要な要素である。ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は,自身の理論で「企業の“ホームベース”すなわち本国市場から,その企業は国際競争力の多くの源泉を得る」と説明する。つまり,企業が立地している本国市場の競争によって,企業の競争優位の源泉が創出され,優れた製品や製造プロセスの技術が生み出される。これが,その企業の国際競争力の向上につながるというわけである。 

 企業のホームベースが国際競争力に有利に働くための一つの条件は,同一産業に従事する企業の数が多いことである。同一産業の企業数が多い場合,企業間の競争が激しくなり,企業は常にイノベーションに対して積極的でなければならない。これが生き残りの必須条件である。すなわち,いい緊張感が保たれている競争環境がその国の産業全体のイノベーション・レベルを押し上げ,他国に対して比較優位に立つことで企業の国際競争力が高まるという理屈だ。

 さらに,企業間に激しい競争がある市場では,顧客のニーズはより細かいところまで満たされる可能性が高い。その分だけ顧客による選別が厳しくなり,企業はさらに目の肥えている顧客に鍛えらることで,より高いレベルの比較優位を目指すことになる。この論理の当てはまる典型的な事例は,日本の自動車産業である。

 日本の携帯電話市場にも,日本メーカーが国際競争力を高めるためのホームベースになる条件が数多くそろっている。なぜなら,国内市場に携帯電話メーカーだけで10社が存在し,激しい競争が繰り広げられている。さらに,優秀な部品メーカーが数多く存在し産業のイノベーションを支えている。そして,日本の消費者が世界で最も厳しい目を持っていることは言うまでもない。理論的には,これだけ有利な要素がそろった環境にある日本メーカーは,そのホームベースで十二分に国際競争力の源泉を得られると考えられる。しかし,残念ながら現実は違った。その原因はどこにあるのだろうか?


通信キャリアが市場構造を牛耳る



 ここで注目すべきは,日本の携帯電話メーカーは,日本市場の携帯電話の取引形態により大きな制約を受けていることである。

 日本市場の携帯電話の取引形態は海外市場と大きく異なる。一つの大きな違いは,携帯電話メーカー自身が直接消費者に販売を手掛けていないことである。日本メーカーは自社ブランドで消費者に直接販売するのではなく通信キャリアへの端末のOEM提供者になり,販売は通信キャリアが一手に担っている(図1)。

 携帯電話端末の開発においても,通信キャリアは仕様の決定権を持ち,絶対的な主導権を握っている。加えて,通信キャリアがメーカーに対する発注量や価格をコントロールする特殊な市場なのである。

 この仕組みにより,市場から吸い上げた資金は一旦すべて通信キャリアに集中することになり,産業内の資源の配分は通信キャリアの意向で決まる。実際,消費者が支払う通信サービス料金は端末料金の8〜10倍にも上り,サービス市場と端末市場に不均衡が生じている(表1)。サービス料金で資金を回収している通信事業者に,産業の高付加価値化の資源が偏っているのである。海外市場と違い,日本の携帯電話市場はすべてが通信キャリアを中心に回る構造であり,携帯端末メーカーは独立性を失っている。要するに,通信キャリアのビジネス・バリューチェーンから見た一つのパーツになってしまったわけである。


いびつな環境が携帯電話メーカーに市場競争を放棄させた?



 通信事業はもともと新規参入が難しく,ある意味では周波数資源を握る通信事業者による寡占状態にある(図2)。日本では,携帯電話メーカーが10社も乱立しているのに対し,通信キャリアの市場シェアは大手3社がほとんどを占めている。この構造により,携帯電話メーカーは通信キャリアに対して元々大きな交渉力を持っていなかった。

 さらに,日本の携帯電話メーカーは市場との唯一の接点である「携帯電話の販売」という権利さえ手中にできなかった。この結果,メーカーは通信キャリアに対して本来持つべき交渉力をほとんど失った。日本市場の特殊な取引形態により,携帯電話メーカーは通信キャリアに支配され,通信キャリアに従う以外の選択肢がなくなった。

 多数のメーカーは3社が寡占する通信キャリアの発注を取り合うために,激しい価格競争を強いられている。すなわち,通信キャリアとの携帯電話の取引価格は,メーカーの損益分岐点当たりに止まることが容易に想像できる。日本市場が飽和してきた現在は,市場の要求に応えるために端末は多品種少量の生産になった。メーカーは新規機種を開発しても,販売量が通信キャリアの初期ロットを上回ることすら難しくなり,開発コストを回収するのがやっとである。

 通信キャリアがメーカーに提示する発注量は,初期ロットからスタートする。通信キャリアは初期ロットを絶妙な数字に設定し,それはメーカーから見ると採算ぎりぎりなラインになっている。市場での販売量が初期ロットを上回らなければ,通信キャリアの発注はそれで打ち切りとなってしまう。メーカーが利益を上げたければ,製品が初期ロットを上回って市場で販売される必要がある。つまり,キャリアの初期発注による売り上げはメーカーが開発コストを回収するにとどまり,キャリアからの追加発注だけがメーカーに利益をもたらすというわけだ。しかし多品種少量化により,一部のヒット商品を除いて,メーカーにとって初期ロットを上回る販売を達成することは非常に難しいというのが現実である。

 一方,日本の通信キャリアは高付加価値商品の開発をひたすら追求してきた。そのおかげで携帯電話の利用は急成長し,世界で最も高いARPU(利用者一人当たりの一カ月間の通話料収入)を誇る。他の先進諸国の約2倍の水準である(図3)。

 メーカーは,通信キャリアの目指す方向に追随する以外の選択肢を持たなかった。キャリアの要求を納期内に達成するために,携帯電話メーカーは全力疾走して,多くの経営資源を費やしてきた。結果として,利益の出ない携帯電話の開発にメーカー一社の経営資源では対応できなくなり,2社による共同開発など窮余(きゅうよ)の策を講じるケースも出てきた。


失速の原因はキャリアが作り出した“ぬるま湯”市場



 産業の高付加価値化がいくら進んでも,携帯電話メーカーの利益向上にはつながらず,メーカーは多くの経営資源を投入しても相応する利益が得られない。こんな市場で,どうしてこれまで日本では携帯電話メーカーが10社も生き残ってきたのか? 原因は,通信キャリアがどの携帯電話メーカーにも「開発コストの回収を保証する」という取引形態にある。つまり,通信キャリアが携帯電話メーカーに発注する初期ロットの売り上げで,メーカーは開発コストをおおよそ回収できるのだ。これはローリスクだがローリターンの“ぬるま湯”的な市場環境である。メーカーにとって,製品開発のリスクは非常に少ない。そのため,日本市場は,メーカーの実力や規模に関わらず,全員が生き残る「百花斉放」の様相となった。

 一般には世界の携帯電話市場の競争に見られるように,市場は激しい戦いの後に退場者が現れ,寡占化に収束する。しかし,日本市場の競争は収束するどころか,多元化に進んでいるようにも見える。2005年以後,新たな外資系メーカーの参入が続き,市場のプレーヤー数はさらに増えた。日本の携帯電話市場では,通信キャリアの意向により,多くの携帯電話メーカーが存続させられてきたと言ってもよい。なぜならば,通信キャリアにとって,メーカーの数はある程度そろっているほうが都合が良いからだ。

 その一番大きなメリットは,通信キャリアがメーカーに対して強い交渉力を維持できること。「少数の通信キャリア vs. 多数のメーカー」という構図ならば,通信キャリアは強い交渉力を持ち,メーカーを支配し続け,仕入れ価格も下げられる。もう一つのメリットは,市場のニーズを満たせることにある。通信キャリアはユーザーの年齢,性別を問わず,市場のニーズをフルスケールで満たそうとしている。個性的な製品を数多くラインアップするためには,多数の携帯電話メーカーが作り出す豊富な端末バリエーションで市場を細分化することが欠かせない。

 しかし,これらのメリットは通信キャリアにとってのものである。携帯電話メーカーには何の恩恵もないのだ。

 日本の携帯電話市場は,通信キャリアが支配することで,通信キャリアに都合のよい競争環境が出来上がった。いびつな競争環境の中で,日本の携帯電話メーカーは市場への直接参入を諦め,通信キャリアの言うままに細々と経営してきたのだ。もちろんこれでは,携帯電話産業全体の経営資源の合理的な分配も望めないだろう。すなわち,日本の携帯電話メーカーは,通信キャリアに骨抜きにされたといっても過言ではないようだ。

◇     ◇     ◇

 次回は,歪んだ競争環境を強いられている日本の携帯電話メーカーが,国際競争力の源泉を失っている状況を具体例を引きながら詳しく解説する。

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