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Re: テスト
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 8 月 09 日 20:48:28: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: テスト 投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 8 月 09 日 20:37:08)

 「聖域なき構造改革」を叫んだ小泉純一郎・前首相が不思議なことにメスを入れようとしなかった対象がある。参議院だ。むしろ小泉前首相は政権運営で自民党参院議員に目配りを忘れなかった。それはなぜか。惨敗した安倍晋三政権がこれから直面する難局を読み解けば、小泉シンドロームが支配する時代に残された課題が浮き上がる。

年金、消費税、安保に暗雲


 秋の臨時国会は空転また空転の大波乱模様――。

 まず最大の焦点は、消費税率引き上げ。安倍首相は「参院選後に本格的な増税論議を始める」という姿勢を今のところ保ってはいる。しかし、税率を 5%のまま据え置き、歳出見直しで15兆円をひねり出すという方針を掲げて圧倒的な支持を取りつけた民主党が大勝した以上、新たな国民負担増につながる税率アップを真正面から訴えるのはほぼ不可能に近い。

 「2008年の通常国会で消費税率引き上げ法案を可決、2009年4月に消費税率を引き上げる可能性は大幅に低下した」。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、選挙翌日7月30日のリポートで早速、こう指摘した。

 消費税率引き上げは、公的年金の財源問題とも密接に絡む。基礎年金の財源については、2009年度までに国庫負担を従来の3分の1から2分の1に引き上げることが決まっており、その分を消費増税で賄うなら、年末の2008年度税制改革論議で固めなければならない。安倍内閣の目玉でもある「年金」「税制」という経済政策は、早くも暗雲がたれ込めている。

 消費税率引き上げと並んで、最大の難関と見られているのが、11月1日に期限が切れる、テロ対策特別措置法の再延長を巡る議論だ。同法は、アフガニスタンでのテロ撲滅作戦を支援するためインド洋に展開する米軍艦などに、自衛隊が給油活動を実施する活動の根拠となる。いわば、日米の安全保障関係の根本にかかわってくるテーマ。政府は期限切れの前に必要な手続きを済ませたい考えだが、こちらも民主の反発で審議が難航するのは避けられない。

 与党は過半数割れとなった参院で法案を否決されても、圧倒的多数の議席を持つ衆院で3分の2以上の賛成を得られれば再可決できる。だが1回の国会で提出、審議される法案は多く、この強行手法で法案すべてを可決させることなど、到底無理だ。衆院を通った法案が参院で否決されたのは過去に6回あるが、そのうち4回が1950年代。最近では、選挙区制度を含む政治改革関連法案を可決した1994年と、郵政民営化を巡って衆院を解散、総選挙に打って出た 2005年の2回しかない。使い方を誤れば、解散総選挙という危うさを秘めている。

 自民は参院の第1党の座を初めて民主に奪われ、議長や委員長などの要職も譲り渡す見通し。与野党対決型の法案が出てきた時に、前回の通常国会のように強引な採決を繰り返すことは、もはや不可能だからだ。

 民主は「衆院から送られてきた法案に対し、何でも反対して潰すことはしない」としている。しかし、60日間審議せずにたなざらしにして「みなし否決」に追い込むなどの様々な戦法を取ることもできる。

 現在の憲法は、衆院を第1院、参院を第2院と、明確に衆院の優越を定めている。ただし、2院制が認められている以上、参院は衆院から完全に独立した存在であるとも言える。予算の先議権がないなどいくつかの点で衆院に優越性を譲るが、一方で、衆院で可決した法案を審議しなければならない義務もない。「参院議長が開会のベルを鳴らさない限り、審議は始まらない」(自民の青木幹雄参院議員会長)。このことの重要さを最もよく知っているのは、ほかならぬ自民である。

 「世間は安倍首相に対する問責決議を出すかどうかに目が向いているが、実は国政調査権の本格行使という点にも注目している」

 小川敏夫・民主党参議院幹事長は打ち明ける。問責決議は拘束力はないものの、防衛庁の不祥事が発覚した際、額賀福志郎・防衛庁長官を辞任に追い込んだことがある。野党が多数派になり、証人喚問や資料提出要求など調査権行使がやりやすくなる。赤城徳彦・農林水産相のようなケースは、格好のターゲットになるわけだ。

 瀕死の安倍政権の前に立ちはだかるのは、重要政策ばかりではない。こうした国会運営の戦術の「小技」も、真綿で首を絞めるように安倍政権を追い詰めていく可能性がある。この秋の臨時国会が安倍首相が退陣に追い込まれるかどうかの最初のヤマ場――。永田町ウオッチャーや金融市場では、こうした見方が大勢を占める。

94年、細川政権の悪夢


 衆院で多数であっても参院で過半数を握れていないということが、結果的にどれだけ衆院の政権基盤を揺るがすのか。1994年の細川護煕連立政権が直面した“悪夢”を見れば、安倍内閣の危うさが想像できる。

 連立政権は新生党や日本新党、新党さきがけ、社会党などの寄り合い所帯で始まったから、基盤は決して盤石とは言えなかった。一方の参院自民党も、第1党ではあったが単独過半数を割り込んでいた。

 連立政権の公約は政治改革。選挙制度の見直しなどを含む政治改革関連4法案を提出し、衆院では可決したが、舞台が参院に移ると事態は急展開した。自民が、社会党から造反した議員らと手を組んで、法案を大差で否決したのだ。

 参院自民は、細川政権を揺さぶりながら、衆参の両院協議会に持ち込む戦法を取った。自民が示したのは、小選挙区274、比例代表226という区割り案から、小選挙区300、比例200への修正案。小選挙区と比例代表250ずつという当初の与党案からは大きく様変わりしたものだったが、政権浮揚へ一刻も早く政治改革法案を成立させたいと焦る連立与党に、丸のみさせた。

 この修正案こそ小選挙区制に強い自民に有利な選挙制度改革。自民は、政権返り咲きの足がかりを獲得し、この一件を機に、参院自民は一気に発言力を増したのだった。逆に与党の細川内閣は、参院での対応を誤ったことが政権から転落する致命傷となった。

 同じことが、今度は参院で大きく過半数を割り込んだ自民にも言える。つまり参院をがっちりコントロールできない限り、衆院で3分の2を超える圧倒的多数の議席を持っていても政権基盤は盤石とは言えない。参院は政界再編につながる大政局の震源ともなりかねない。

 参院の議員は、いったん選ばれれば6年間は地位が保証される。内閣不信任案を決議する権限はない代わりに、首相の解散権も及ばない。時に不要論さえささやかれる参院の思わぬ強さはこんなところから来ている。

 参院を掌握することが、政界再編や政権維持のパワーの源泉になってきたのは、こうした参院の特性があってこそ。自民の青木参院議員会長が2006 年の自民総裁選の際、「2007年の参院選で与党が過半数を割るようなことがあれば、内閣は死に体となり、新総裁の寿命もそこまで」などと語ったり、片山虎之助参議院幹事長が組閣の人選について堂々と口出しできるのも、参院での過半数割れを続けながら党内での存在感を高めてきたという、特殊な力学があるからだ。

 発端は、リクルート事件と消費税導入を巡って自民批判が広がり、野党から大量の女性候補が次々と当選を果たして、「マドンナブーム」「山が動いた」が流行語になった1989年の参院選だった。絶対的な強さを誇ってきた1人区で総崩れを起こした自民は初めて単独で参院の過半を維持できなくなる。今回の参院選に匹敵する歴史的な惨敗で、当時の宇野宗佑首相は退任した。

 国会運営を円滑に進めようとする中で、最も必要とされたのが野党を引っ張り込んで、連立で過半を維持するための調整力だった。

 「見た目は過半数割れの少数勢力であっても、その調整能力をことさらアピールし、自民党全体に恩を売る構図を自然と作り上げた」。ある自民党ウオッチャーは、自民内における参院自民党議員の存在を「弱者の恫喝」と言い表した。

 数が足りない弱みを逆手に取り、あたかもキャスチングボートを握っているかのように振る舞う。村山富市元首相の自社さ連立や、自民と連立政権を組んでいる現在の公明党にも通じる、したたかな戦術だ。かつて自民で豪腕幹事長として腕を振るった民主の小沢一郎代表は、参院を握れば国会の制空権を握れることを熟知していた。

憲法改正で最大のタブー


 議院内閣制から、あたかも大統領制のような政治の転換とスピードアップを目指した小泉前首相。郵政解散で、「参院を否定した」(有力OB)とまで言われる小泉前首相でさえ、参院の“ドン”だった青木参院議員会長と手を組み、必要以上に神経を使いながら参院特有の課題を突破しようと試みたことは印象的だ。

 それは、6年間の任期や強制解散させられないなどの独特の地位を持つ参院の歴史からも読み取れる。

 河野謙三元参院議長の私的諮問機関(71年)を皮切りに様々な改革案が打ち出されてきたが、実現したのは電子式投票装置の導入や、議長と副議長の党籍離脱、決算審査の充実など一部にとどまる。抜本的な改革は難しいという事実が横たわる

 小泉政権時代の2004年。参院自民の力を誇示する出来事があった。自民党憲法調査会(保岡興治会長)がまとめた憲法改正の原案に盛り込まれていた参院改革の部分が、参院議員の反対で白紙撤回されてしまったのだ。

 調査会の当初の私案では、参院に「決算先議権」を与えるなどの一方、参院で否決された法案を衆院が再議決して法律として成立させる際の要件を、現憲法の「衆院の3分の2以上の賛成」から「衆院の過半数」へ緩和。参院は首相指名に関与せず、閣僚になれないという規定も盛り込んでいた。

 過去の改革案で指摘された内容に沿って、衆院との機能分担を明確にしようという狙いだったが、私案が明らかになると「権限の縮小はまかりならん」と、身内が猛反発。私案公表2日後に、片山氏が「正しいと思わない。読んで、全部反論する」などと激怒し、その3日後に調査会は、原案を一部見直す方針を決めた。そればかりか、自民党の草案策定の時期も大幅に先送りする事態となった。

 2005年10月にようやくお目見えした自民党の正式な草案からは、当初の改革の文言は跡形もなく消えていた。自らの力の源泉にメスを入れる改革案など認めない。参院自民の意に沿わないものは容赦なく骨抜きにする。

 憲法改正の最大のタブー――。参院改革を巡る一連の問題の本質は、実はこう言い表せるかもしれない。

 民主圧勝で、「青木、片山氏を頂点とした参院自民の神通力は消滅する」(慶応義塾大学大学院の曽根泰教教授)だろう。衆院と参院は「ねじれ」の関係に戻り、改めて参院の強さと効率性の問題がクローズアップされる。

 参院が、政治の全体を振り回す構図は、小泉シンドロームが支配する今後も議論のポイントであり続ける。それは政界再編が起き、自民以外が政権を握っても解消しがたい政治の大きな課題だ。

日経ビジネス 2007年8月6日・13日号14ページより

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