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Re: テスト
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投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 2 月 07 日 21:35:12: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: Re: テスト 投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 2 月 07 日 21:34:01)

http://www.jrcl.net/web/frame080211f.html

中東情勢 ジルベール・アシュカルとのインタビュー(上)


泥沼にはまり込んだアメリカ「戦場」の拡大と絶対的兵員不足


解説 中東全体の枠組みの中で問題をとらえる



 ブッシュ米大統領は恒例の「年頭教書」で、イラクへの米軍の「増派」と首都バグダッドを中心にした「武装勢力掃討戦」によってイラクの治安が著しい改善を見せたとしてその「成果」を誇った。しかしそれが決してイラク情勢の構造的な安定化をもたらすものでないことはペンタゴンやCIA自身が知っていることである。
 他方、イランの「核開発」をめぐって米・西欧のイランへの制裁が強化されている。イランは「核兵器」の開発を明確に否定し、米CIAの報告によってもイランの「核兵器」保有計画は放棄されたことが認められているにもかかわらず、ブッシュ政権とイスラエルはイランへの新たな軍事的攻撃の可能性を示唆している。
 以下のジルベール・アシュカルへのインタビューはイラク、イラン、パレスチナを中心に中東全体の枠組みの中でこの問題に焦点をあてている。ジルベール・アシュカルはレバノン出身の国際政治学者で、パリ第8大学教員を務めてきた。現在ロンドンの中東・アフリカ研究スクールで教鞭を取っている。アシュカルは、イラク反戦運動などでも積極的に活動しており、邦訳書に『野蛮の衝突』(作品社刊)、編著に『エルネスト・マンデル――世界資本主義と二十世紀社会主義』(つげ書房新社刊)がある。このインタビューは「ステート・オブ・ネーション」のシハン・アクサンとジョン・バリーズが行ったもの。(本紙編集部)

米軍の占領と部族主義

――二〇〇七年は、イラクの米軍にとって致命的なものとなるということが立証された年となりましたが、ブッシュ政権は、死者の数が減少し、アルカイダがバグダッドから追い出され、アンバル州とディヤラ州のスンニ派部族指導者が米軍と協力しているなどと述べ、これはすべて主要に米軍の増派と結びついていると、楽観的なことを言っています。最近のイラクでの事態の展開についてどのように評価しますか。

 そうですね。ワシントンが発するあらゆる声明について否定することはありません。表面的にはそうでしょう。相対的には││あくまで相対的でしかないのですが││少なくとも記録の上では死者の数は減っています。バグダッドでの治安管理はある程度作動しているように見えますが、しかしそれもまたいわゆる米軍の「増派」が首都に集中したこと、ムクタダ・アル・サドルの「マハディ軍」が米軍との衝突の可能性があるあらゆる場所からの撤退を早期に決定したこと、そしてスンニ派の反対派グループもそうしたからです。
 したがって私は、こうした一連のことが一定の効果を発揮したと思うようになっていますが、それは純粋に一時的なことに過ぎません。構造的な変化はありません。現在の「増派」の結果にすぎません。そしてそれは永久に続くことはないのです。こうした作戦の中で、人びとはしばらくしてからそれに慣れてしまうようになり、もし政治的条件が変わらなければ死者数の相対的減少はすぐ逆に増えていく可能性があります。
 米軍の占領との協力という点については、一方ではイラクのアラブ人スンニ派と、他方ではアルカイダとの摩擦が増大しています。幾つかの例では、一部の部族首長と占領当局あるいはイラク政府との協調の一部として、彼らの地域でアルカイダに反対したり、排除したりする協力関係が作り上げられました。
 部族主義はつねに、イラクの近代化のさまざまな担い手たちが依拠する最後の手段でした。彼らは結局のところ、このイラク社会の最も後進的で伝統主義的要素を利用することになったのです。例えば、サダム・フセイン体制は表面的には近代的民族主義イデオロギーの外観を持っていましたが、サダムは、とりわけ米国の最初のイラク攻撃後の十二年間の支配において、部族主義をきわめて多く利用したのです。
 もちろんそれ以前においては、植民地主義も、その「近代化」の見せかけにもかかわらず部族主義を最大限に活用し、また一九五八年の王制打倒後の共和派のさまざまな指導者たちもそうでした。そして今や、部族指導者を多額の金や特権で買収するという同じメカニズムに依拠しているのが米占領者なのです。
 しかしこうしたことは、とても不安定で脆弱なものです。事実は次の通りです。イラクにおける暴力のレベルがいかに相対的には低下しようとも、アメリカにとっての政治的突破口は存在せず、イラクを真の意味で統治することはできません。それはきわめて明白です。
 おそらくその最もよい例証は、イラクの政治制度が示しています。この政治制度は米国の保護の下に設立されたものですが、たとえば米国は石油法を議会で通すことができません。米国政府が可決させたいと願っている法案に反対する多数派が議会にいるのです。この事実は、米国によるイラクの実効支配が欠落していることについて多くを語っています。そしてこれは大きな失敗です。米国がイラク「増派」を開始した時、石油法はイラクの全状況の評価を下すうえで、最重要なテストの一つだったからです。

キルクークとクルド人問題

 失敗はまぎれもなく明らかです。制度的枠組みの中で活動しようと望んでいた様々な勢力間の、政府レベルでの矛盾がたくさんあります。こうした深刻な問題に、キルクークをめぐるクルド人とその他の勢力の間での予想される緊張を付け加えるべきでしょう。それはいまだ完全には前面に現れていません。「その他の勢力」という場合、私は他のイラク人コミュニティー、すなわちアラブ人多数派やトルクメン人少数派だけではなく、トルコのことについても言っているのです。
 トルコそれ自身は、イラク北部への軍事侵攻の脅しをエスカレートさせています。それは公式にはPKK(クルド労働者党)を理由にしていますが、実際には当初(二〇〇七年)十一月に計画され、その後延期された住民投票によってキルクーク問題を解決するということとの関係で進められています。これはトルコ政府が非常にナーバスになっている問題です。トルコは、キルクークが事実上のクルド人自治国家に引き渡されることを受け入れようとしないし、必要なあらゆる手段を通じてそれを阻止しようとしています。これは米国にとってさらに重大な問題です。これは二つの地域的同盟者、すなわちイラクにおけるクルド人の同盟者とトルコ軍部の衝突の可能性を含んでいるからです。
 私がここに上げたすべてを考慮に入れれば、米国にとって完全なまでに惨憺たる失敗です。イラクでの失敗だけではありません。実際は米国の中東政策全体の破滅なのです。

パキスタンとアフガニスタン

 「広域中東」と言われる地域全体をとってみれば、その破綻はいっそう明白になります。アフガニスタンを見れば、タリバンの復活には目を見張るものがあります。そして今やパキスタンはまさに混沌の間際にあり、それは米国にとって不安の種です。パキスタンは米国の重要な同盟国であるだけではなく、核保有国家でもあるからです。もし、最終的にパキスタンを混沌が支配することになれば、それがアフガニスタン、イラク、イランにどのような結果をもたらすかを想像できるでしょう。イラン政府は、米国がこうした諸問題の泥沼にはまりこんでいることを良く知っており、したがってイランは米国の脅しを深刻なものとして受け取ってはおらず、少なくともこうした脅しで思いとどまりはしないことを示しています。
 私たちはここに、米国のパワーの信頼性といわれる問題を見ています。それはブッシュ政権の破滅的なバランスシートによって大きく影響を受けています。ブッシュ政権は、米国が冷戦の終焉とソ連の崩壊によって得た資産のほとんどを使い果たしてしまいました。
 ソ連の麻痺と崩壊は、レーガンの時代に構築された米国の巨大な火力と新鋭兵器を圧倒的に見せつけたイラクへの最初の戦争と時期を同じくしていました。そこからもたらされた全体的なイメージは、米国は以前よりもさらに強力になり、ソ連が核兵器を手に入れた前世紀の中葉以後のどの時点よりも、世界の他のどの国をも大きく引き離してしまった、というものでした。ジョージ・W・ブッシュは、ソ連崩壊以後の全年月を通じて増強してきたこの軍事的優位性だけではなく、米国の歴史上最も長期にわたる経済成長をも引き継いだのです。
 したがって米国が優位性を享受する多くの要素があったのです。ブッシユ政権は、この巨大な資産を運営する責任があり、そして米帝国の収支勘定を赤字にしてしまうという偉大な「業績」を達成しました。これはまさしく「業績」です! ブッシュ政権は、米国で最も反動的な政権である――彼はすでにスタート地点からこの記録を更新しました――というだけではなく、米帝国のプロジェクトにとって最も破滅的だという点でも、確実に歴史に名を残すことでしょう。このことはまったく明らかであると私は思います。

サドルとマハディ軍の関係

――あなたは、ムクタダ・アル・サドルとマハディ軍が米国との衝突を避けるために撤退したことに言及しましたね。サドルはさる八月、軍を「そのイデオロギー的イメージを守りながら再建する」ためにマハディ軍の作戦を六カ月間停止することを命じました。この命令は、カルバラでの対立するシーア派分派との二日間の衝突の後に出されたものです。この衝突では五十人以上の生命を奪い、聖地から数十万人もの巡礼者を追い払うことになりました。サドルにとって「再建」とは何なのでしょうか。彼はマハディ軍全体の統制を保てるのでしょうか。彼の長期的目標は何でしょうか。

 彼にとって統制は非常に難しいことです。というのは、マハディ軍は初めからならず者の集まりであり、サドルはサダム・フセインの打倒後に登場したにすぎないきわめて若い人物で、彼が頼ることができる組織や指揮官のネットワークを持っていません。
 彼の影響力は、実に多様な多くの人びとを引きつけました。その一部はおそらく彼が信頼できると確信している人びとであり、もっとありそうなのは彼自身や彼の「カリスマ性」というよりは、彼の家族、あるいは父親への支持者です。「カリスマ」は通例、たんなる期待です(いわゆる「カリスマ」の社会学的根拠は、何かしら「カリスマ的」人物の生得の特徴というよりは、期待の産物だということはご存じですよね)。
 サドルもまた、彼の影響力を機会主義的に利用しようと望んだ多くの人びとを引きつけました。サドルの組織の構造が非常に弱いので、自分たちの振る舞いに対して大きく束縛されることはないと知ってのことです。そして実際にそれが彼の抱えている問題なのです。
 マハディ軍を、以前SCIRI(イラク・イスラム革命最高評議会)と呼ばれたバドルの組織と比較してみましょう。バドルの組織を構成しているのは、イラクから補給と軍事訓練を受け、何年にもわたって自分たちの組織を建設してきた人びとです。彼らはすでに二〇〇三年以前から軍事的構造を持っており、したがってサドルの運動の現実、あるいはそれが予見しうる将来になりうるよりものも、はるかに組織され、集権化されています。
 私は、現在の条件下で、真に彼の堅固な統制の下にある何らかのものを、彼がいかに組織しうるか考えられないのです。そう、私はこうしたプロジェクトの実現可能性はきわめて限られていると思います。

アメリカとイランの思惑

――米国は、一九七九年の革命と米大使館占拠による危機以来の最も厳しい経済制裁を、イランに対して一方的に課しています。欧州諸国の政府、とりわけイギリス、フランス、ドイツは米国のキャンペーンを支持しているように見えます。米国以外の多国籍企業は、もしテヘランとのビジネスを続けるのならば、米国に関する彼らの利害が危機にさらされるというリスクを負うことになるという、ワシントンからの脅しにさらされています。イランに対する経済的圧力に続いて軍事行動が取られるという可能性はどの程度でしょうか。

 まず最初にイランの観点から見てみましょう。イランは何が進行していると認識しているのでしょうか。彼らは米国がイラクとアフガニスタンで泥沼にはまりこみ、米軍がすでにその人的資源の点で手足を伸ばしすぎた状況に直面していることを知っています。
 それは軍事テクノロジーやハードウェアの問題ではありません。ペンタゴンはきわめて巨大な存在です。米国の抱えている問題とは人間的要因であり、米国の兵員はまさに不足しています。これは私が強調している問題です。米国の真のアキレス腱は、米国の民衆なのです。いわゆるベトナム・シンドロームは依然として存在しています。全く反対のことがたくさん言われてきたにもかかわらずです。それは9・11の後でしばらくは、攻撃の影響によって薄れました。しかし、イラクでうまくいかず、嘘をつかれていたことに人びとが気づいたとき、その気持ちは激しさを伴って戻ってきました。
 今日の米国とベトナム戦争当時の米国を比べたなら、軍事力では兵員数という一点を除いたすべての面で、現在の方がはるかに強力です。ベトナム戦争当時、米国は徴兵制であり、さらに職業軍人の数ももっと多かったのです。ベトナム戦争後、米国は徴兵制を廃止し、どの政権でも徴兵制を再確立することは政治的に非常に困難です。とりわけイラク問題を背景にしたところでは。ペンタゴンは兵員募集キャンペーンに成功せず、兵員の数は、イラクでの経験に照らして現政権が確立しようとしてきた新たな侵略主義的激情と軍事的支配を支えるために、理想として求めている数をはるかに下回っています。
 イラン側はこうした事情をすべて見ており、したがって彼らは、まず第一に、イランへの地上軍の侵攻が始まるということは問題外であることを知っています。彼らは、現在の条件において、米軍の制服組であるペンタゴンの高官連中が、イランに対する大軍事作戦を行うという考え方そのものに反対であることも知っています。したがって彼らが予見する事態は最悪でも、イランの核施設の一部に遠方からのミサイル攻撃がありうる、という程度です。しかし彼らはそうした脅威の可能性、ならびにそれは米国にとって容易ではないことをすでに考慮に入れており、したがってこうした攻撃がもたらすあらゆる実質的な結果から防衛することも考えています。
 そして最後に、イランの支配者たちは、米国はイランが報復できること、そしてイランがさまざまな報復の方法と報復目標を持っていることを了解していること、を分かっています。米国の領土はそうしたターゲットの一つではないことは確かです。イランはそこに到達するミサイルや航空機を持っていないし、自爆攻撃を支援することはあってもイランの体制は自殺的ではないからです。
 しかし米軍はイラクを中心にして湾岸地域に配備されており、それは目標になりうるし、イスラエルもまた目標になります。その上、最近サウジアラビアの外相自身がインタビューで述べたように、サウジ王国はすばらしい目標となるでしょう。おそらく最も効果的な目標です。なぜならサウジ王国への攻撃は、世界経済に巨大な崩壊的影響をもたらすからです。つまり、もしサウジの石油生産・輸出施設への攻撃が成功するならば、その甚大な経済的影響について容易に想像できるでしょう。
 イランの支配者たちはこうした報復と抑止の手段を持っており、ある意味で彼らは本当のところは核兵器を必要としていません。私は、彼らが核兵器を所有することに関心がないと言っているのではありません。実際に、核兵器は彼らの抑止力をとてつもなく強化します。しかしアフマディネジャド大統領は、イランは核兵器に関心がないと繰り返し語っています。核兵器はイスラム的ではない、などとさえ彼は言っています。
 いずれにせよ私はイランの意向について推量するゲームに立ち入ることに関心はありません。事実は、テヘランの側は効果的な抑止への努力を開始するために核兵器を必要としていない、ということです。彼らはすでに「通常」兵器による強力な抑止力を持っているからです。米国とその同盟者たちを刺激することもできるイランの同盟者たちのネットワークを、この地域に彼らが有しているという事実を別にしてもです。

イスラエルとブッシュ政権

 ここでワシントンの側から見える展望について検討しましょう。まず最初に私は、私がここで挙げた諸要因についてブッシュ政権が十分に気づいていると言いたいのです。その上、大統領は政治的に末期症状を呈しています。彼は、議会の多数派を失い、世論調査での支持率はぞっとするほど低く、彼への信頼も極度に低下しています。したがって、アメリカの支配体制の中ではイランに対する制裁の強化を支持するという、ある種の超党派的一致が見られますが、いまだ何らかの軍事的行動についての合意がないのは確かなことです。
 したがって、こうした要素をすべて考慮すれば、イランに対する軍事的攻撃の可能性はきわめて低いと私は思います。少なくとも合理的な基準を取れば、それは極めて低いのです。この政権は、完全に合理性に従って行動するわけではなかったことが明らかになっているので、私は「少なくとも」という言葉を使ったのですが。それでは、彼らが何らかの常軌をはずれた新たな冒険主義作戦を取るでしょうか。ペンタゴンの気が進まず、あるいは敵対的である時に、再びそうしたことをやると認識するのは難しいですね。
 事実上、イランに対する軍事攻撃に最も利害関心を持っているのはイスラエルの体制です。イスラエルの支配体制は、米国の政権がイスラエルに対して借りがあると感じています。なぜなら、彼らはイラク侵攻以前に、真の敵はイランであると考えていると米国に主張し、ブッシュは彼らに対してこの次はイランだと語っていたからです。
 今や彼らは、ブッシュ政権が「ベトナム・シンドローム」の大規模な再来といった破局的なバランスシートを持って、この戦場から速やかに離脱することになるだろうと感じています。レーガンの時代にもそうであったように、何らかの将来に米国政府が大規模な軍事作戦に参加する可能性は、きわめて限られています。イスラエルがブッシュ政権に対して、この政権の最後の年にあたって、去っていく前に約束を履行するよう望んでいるのはそのためです。ブッシュ政権との、あるいは少なくともその一部との何らかの秘密了解の後に、イスラエルがイニシアティブを取る可能性さえあります。
 しかし、このシナリオの形式的側面にも問題があります。イスラエルが空からイランを攻撃するには、トルコ、ヨルダン、サウジ王国といった諸国によるゴーサインを得ることがなければ大きなリスクを伴うからです。そしてもちろん、イラク上空は米国が支配しているので、もしイスラエルがこのルートを取ることになれば、それは米国が結託していることの明白な証拠となります。
 イスラエルは全状況に点火するためにミサイル攻撃に依拠することもできるでしょう。しかし彼らが、そのレベルで何らかの意味ある結果を達成する手段を持っているかどうか私には定かではありません。そしてもしイラン国内のターゲットに対していかなる重要な軍事的打撃をももたらさないまま、この地域に火を放っただけだというのなら、彼らはいったい何を達成したというのでしょうか。それは、イスラエルの攻撃を将来ありうる核攻撃の先触れと見なして核兵器を手に入れようとするイランの意向を強めることになるだけです。

シーア派コミュニティー

――ブッシュ政権は、イラン革命防衛隊をテロリズムの支援者だと名指しました。主権国家の軍隊にテロリスト組織だとのラベルを貼ったのは初めてです。革命防衛隊はどの程度まで中東全体の動きに関与しているのでしょうか。

 ここ数年、イランの外部での公然たる直接的な関与はありません。しかしイラン政府はもちろん、人目につかない方法でイラク、レバノンなどの諸国に積極的に介入しています。これらの諸国にはイランが容易に接触できる強力な同盟者がいます。パレスチナの一九六七年占領地にもハマスのような同盟者がいますが、そこでは相互協力の可能性はきわめて限られており、イラク、レバノンなどとは違います。
 いずれにせよわれわれは、誰が「テロリスト」であって誰がそうではないかというワシントンの名指しは、たんなる政治的マヌーバーに過ぎないことを良く知っています。それは、経済制裁や軍事的身振りと同様の圧力の一部です。ワシントンの支配者が、イラン革命防衛隊について何かしら新しいことを突然発見したというわけではありません。これらはまさに米国の全般的攻勢の一部なのです。

同盟軍としてのハマス・ヒズボラ

――イランの地域的願望にとって、超国家的なシーア派コミュニティーはどれほど重要なものなのでしょうか。

 イランは、同時に使えるようにしたいと願っている異なったカードを用いています。地域的に言えば、一方でシーア派という要素は重要なものです。したがってそれが、イランの影響力を拡大する上で最も「自然な」ネットワークであることには明白な理由があります。しかし汎イスラム的要素も存在しており、シーア派国家としてのイランは、ムスリムの圧倒的多数派であるスンニ派の中の反シーアの宗派的感情を促すことで自らを孤立化させようとするあらゆる試みに立ち向かうのに必死になっています。
 従って、イランの戦略の重要な一部は、スンニ派の中に幾つかの中心的な同盟者を確保することでした。だからこそイランの支配者から見て、彼らがハマスとの間で作り上げた同盟関係が非常に重要なものだったのです。それはしっかりとした基盤を持った現実的な権力という点でのハマスの客観的重要性によるものではありません。あるいはそれだけではありません。アルカイダをさておくとすれば、ハマスは最も名声の高い反西欧・反イスラエルのスンニ派イスラム原理主義者としての象徴的重要性を持っているからであり、そのように存在してきたからです。またアルカイダと違って、ハマスはその大衆的基盤のゆえに一定の現実的正統性を持っており、そのことがイランにとってハマスが巨大な象徴的重要性を持っている理由です。
 パレスチナ問題全般にわたっても同様です。イスラエルに関するアフマディネジャドの大言壮語は精神的失調の兆候ではなく、ある程度までは、現実にイランを最もラディカルで反イスラエルのイスラム国家であると押し出す、練り上げられた方法であり、したがって、他の者に競り勝ち、エジプトのムスリム兄弟団のような運動の積極的共感を呼び覚まし、アラブ世界のスンニ派大衆全体にアピールする方法だと、私は繰り返し説明してきました。
 イランはその影響力を拡大する手段としてシーア派カードを使っていますが、スンニ派への対抗勢力としての宗派的方法でそれを公然と使うことについては、注意深い態度を取っています。この意味で、イスラムの団結を強調するイランの言説と、サウジ王制に発する超宗派主義的なワッハーブ派の言説との間には明確な違いがあります。
 ワッハーブ派がイデオロギー的だけではなく政治的にも、つねにきわめて反シーア派の宗派主義であることは確かです。サウジとヨルダンの王制が、スンニ派のイランに対する宗派主義的感情に拍車をかけているのは、テヘランがやっていることに対抗するために彼らが使用できるイデオロギー的武器がそれだけだからです。なぜなら、彼らが米国と密接に連携しているために、反西欧・反イスラエルの表明においてイランに競り勝つことはできないからです。
 彼らはあらゆるところで宗派的緊張の火に油を注ごうとしています。最近の事例はレバノンでした。レバノンではシーア・スンニ間の緊張の歴史はなかったのですが、この数年、それは真の危険として突出的に表面化してきました。それはヒズボラの信用を失墜させるためにヒズボラがイランの単なる「かいらい」だと描きだすことで煽り立てられ、きわめて憂慮すべき方法で広がってきたのです。
(つづく)
(「インターナショナルビューポイント」07年12月号)
 

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