★阿修羅♪ > 戦争88 > 123.html
 ★阿修羅♪
Re:スンニ派・シーア派闘争の拡大を真剣に懸念するアラブ諸国(フォーサイト)
http://www.asyura2.com/07/war88/msg/123.html
投稿者 近藤勇 日時 2007 年 1 月 24 日 10:45:23: 4YWyPg6pohsqI
 

(回答先: イラク駐留米軍 サドル師派600人超拘束 シーア派反発懸念(産経) 投稿者 近藤勇 日時 2007 年 1 月 24 日 10:41:46)

スンニ派・シーア派闘争の拡大を真剣に懸念するアラブ諸国
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/h127.html

2007年1月上旬から中旬にかけて湾岸地域を回り改めて驚いたのは、(1)GCC諸国をはじめとするアラブ・中東諸国が米国の新イラク戦略の失敗は避けられまいと考えていること、(2)そうなれば、アラブ世界での米国の友好国でスンニ派の穏健派諸国(サウジアラビアほかのGCC諸国、ヨルダン、エジプト)がイランからイラク南部・中央部からシリア、レバノンへと伸びるシーア派の弧と対峙せざるを得なくなると考えていること、(3)このため、今後予想される混乱事態への具体的な対処策が既に真剣に検討されていること、であった。
 2007年1月11日、12日の二日間、ドバイのパーク・ハイアット・ホテルで開かれた湾岸研究センター(GRC)の第四回年次会合で開会演説を行ったアブドゥルアジズ・サグルGRC会長も「湾岸地域は現在歴史的な転換点に差し掛かっており噴火寸前の状況にある」と語り、同様の状況認識を示した。因みに、同会長の現在の湾岸情勢に対する見方を整理して紹介すれば、概要は次のようになる。

湾岸地域は、現在、極めて危険な歴史的転換点に差し掛かっており、噴火寸前の状況にある。なかでも内戦に近いイラク情勢は悲劇的な状態にある。
またイランの核開発を巡る交渉も、外交努力及び国連制裁が上手くいっておらず複雑化の様相を呈している。
その他の出来事も絡んで中東の先行きは混沌としており、イラクの完全崩壊やイランの核開発を巡る武力対決の可能性も懸念される。
米国の対湾岸・アラブ政策の明らかな失敗が混乱の一つの原因との見方には、多くの方が賛同されるであろう。
また米国のイスラエルへの絶対的な支持が、アラブ・イスラエル紛争の包括的な解決を妨げる主要因の一つとなっている。
これらに加えて、民主主義、人権での米国のダブル・スタンダード振りが、米国の湾岸、アラブでの信頼を喪失させている。
 実際、筆者が意見交換したGCCやアラブ諸国の中東専門家の多くは、イラクに派遣されている米軍の削減や撤退が実現されれば最早イラクは緩衝地帯ではなくなり、シーア派・スンニ派の両勢力が真空地帯を奪い取ろうと激突する地に変わると見ていた。彼らは、米国が今般とりあえずイラク増派と共にイラク復興支援を改めて表明した背景には、そうしたアラブ諸国の懸念を多少なりとも払拭する狙いもあったとも見ていた。
 事実、ブッシュ政権は、GCC及びアラブ諸国の懸念を振り払うと共に中東政策への支持を得ようとライス国務長官をアラブ8カ国に派遣し、米国がイランの台頭及びその結果としてのシーア派の影響力の拡大に対処する見返りとしてイラク問題及び中東和平問題で米国の政策に協力することを改めて求めている。
 アラブ・湾岸情勢を概観すると、GCC及びアラブ諸国の懸念に配慮するかのように、(1)米国のイラク増派、(2)米軍の湾岸増強、(3)米国の対GCC安保協力の申し出、(4)米国の対GCC防空システム強化の申し出、(5)米軍、特に米空軍とアラブ諸国との共同演習計画の検討、が同時並行的に進められている。但し、用心深い周辺のアラブ・中東諸国は万が一の事態も想定して、イラク分裂時の緊急対応策も作成済みである。例えば、サウジアラビアのイラク・スンニ派軍事支援、ヨルダンのイラク西部砂漠地帯派兵、トルコのイラク・トルクメン支援及び最悪時(イラク・クルド国家創設時)のイラク北部軍事侵攻等がこれに当たる。また事実関係が定かではないものの、昨秋から伝えられるようになったサウジアラビア、エジプト、ヨルダンとイスラエル、トルコの諜報協力の動きもこの文脈で捉えられよう。
 米国内でも周辺諸国を巻き込んだイラク全面内戦という最悪事態を想定した調査が既に行われている。数ヶ月に及ぶ調査は、周辺諸国を巻き込んだイラク全面内戦となった場合、(1)油価急騰、(2)難民急増、(3)テロ勢力にとってのイラクの聖域化、(4)周辺諸国(サウジアラビア、イラン、シリア、トルコ等)での少数民族の反乱の発生、といった事態が予想されると結論づけている。なかでも最も懸念されるのは、イラク・シーア派が同国南部の巨大石油資源を手中に収め結果としてイランを利する事態の出現である。これにイラク北部でのクルド人の独立を目指した動きが重なれば、トルコによるイラク北部派兵も不可避となり、イラクはまさに全面内戦を超えて全面戦争の場と化してしまう。
 何れにせよ、GCC・アラブ諸国は、中東・イスラム世界中でのシーア派・スンニ派の衝突を真剣に懸念しており、広範囲に亘る地域での宗派対立となればパンドラの箱を開いたのと同じで、各国国民の過激化や難民化した住民の大移動、さらには政権の交代等が十年単位で続くと危惧している。
 因みに、ある湾岸在住の中東政治の専門家は「イラクのシーア派による民族浄化を通じたシーア派系住民の多い地域や都市を奪取する動きが着実に進められつつあり、奪取を目指す地域・都市の3分の1程度が既に彼らの手中に落ちた」との独自の分析を聞かせてくれた。仮にそれが事実であるとすれば、米国がイランによるイラク内政干渉に如何に対処して行くのかが当面の焦点と言えそうだ。
(財)国際開発センター
エネルギー・環境室
研究顧問
畑中美樹

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 戦争88掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。