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ミアシャイマー(著)『大国政治の悲劇』アメリカはオフショア・バランサーなのであって、世界の保安官ではないのである。
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投稿者 TORA 日時 2007 年 3 月 31 日 15:57:04: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu140.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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ミアシャイマー(著)『大国政治の悲劇』アメリカはオフショア・
バランサーなのであって、世界の保安官ではないのである。

2007年3月31日 土曜日

◆大国政治の悲劇 ミアシャイマー(著)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4772704566.html

◆仲裁者アメリカの未来

アメリカの外交政策の根底にある目標は「西半球で覇権国になること」であり、「ヨーロッパや北東アジアにライバル覇権国を出さないこと」である。アメリカは競争相手を欲していない。冷戦後もアメリカの政治家たちはこの目標をしっかりと守っていた。

一九九二年に報道陣ヘリークされた国防省の重要な企画文書には、「我々の一番の目標は、新しいライバルの出現を防ぐことである…我々の戦略は今、あらゆる潜在的な未来の世界的競争相手の出現を排除することに再び集中しなければならない」と書かれている。

この目標を達成するため、アメリカは歴史的にヨーロッパと北東アジアで「オフショア・バランサー」として行動してきた。アメリカはある地域の大国が自分たちだけで封じ込められないような潜在覇権国が出てきた場合に限って、その地域に軍を駐留させてきた。

要するに、アメリカは今まで潜在的な競争相手に直面した時はバックパッシング(責任転嫁:他の大国に封じ込めを無理やり肩代わりさせる戦略)を行ってきたのだ。従って、アメリカ軍が将来にわたりヨーロッパと北東アジアヘ介入するかどうかという問題は、アメリカの助けがないと封じ込められないような潜在覇権国がそれらの地域に出現するかどうかにかかってくる。

もし潜在覇権国が出現しなければ、近い将来に各地域で十万人規模の駐留を続ける米軍が撤退する可能性もある。以下でも論じるが、中国を除けば、どの大国も近い将来にヨーロッパか北東アジアを侵略できるような国力を得ることはなさそうだ。よってアメリカは、初の十年の問に両地域から軍を撤退させることになるかも知れない。

◆「平和の番人アメリカ」論

しかしながら、各地域におけるアメリカの駐留を維持するための別の解釈もある。ヨーロッパと北東アジアの平和を保つことはアメリカにとって根本的な国益であり、米軍撤退は各地域の不安定化や大国間の戦争につながるかも知れない、という議論である。

アメリカにとって両地域の平和が致命的に重要だと考えられている理由は二つある。一つ目が「この地域のどちらかで大規模な戦争が起こることは、アメリカの経済的繁栄にとって害になる」というものだ。

世界で最も豊かな大国の間で高密度の経済相互依存状態が維持されているため、大国間の戦争は戦闘参加国の経済を破壊するだけでなく、もしアメリカが戦争に巻き込まれることを上手く避けられたとしても、アメリカ経済にとっては結局のところ深刻な打撃になるζ言うものだ。

二つ目が、「アメリカは遠方で行われている大国間戦争にも必ず巻き込まれる」という意見である。これはアメリカ人にとってヨーロッパか北東アジアで行われる大きな戦争を外から安全に眺めることができるというのは単なる幻想にすぎないことを意味する。

これから考えると、アメリカにとってはこの二つの地域に兵力を維持して平和を保つのは理にかなっており、将来起こるかも知れない戦争で多くのアメリカ兵が死傷するのをあらかじめ防止することになる。この考え方を突き詰めていけば、大西洋と太平洋の両方を跨いだ制限のない米軍の駐留へと行き着くことになる。

ヨーロッパと北東アジアの平和がアメリカにとって望ましいことは、ほぼ疑いのない事実だ。ここで重要になってくるのが、この両地域の「平和」が、米軍を危険にさらさせておいてもなお正当化できるほど重要なものなのか、という点である。

これは、アメリカがある地域に軍を駐留させる際に抱える「リスク」の問題になってくる。ところが実際にはこの二つの地域の平和は、アメリカにとって死活的な国益というわけではない。両地域の平和が重要だという理論には論理的な根拠が欠けており、歴史を見てもこの根拠を裏づけるような史実はない。

「ヨーロッパや北東アジアでの戦争が、アメリカの経済的繁栄に害を及ぼす」という主張をよく考えてみてほしい。これは単に一方的な見方による断定であって、詳しい分析を元にしたものではない。実際、このテーマについて研究されたもので私が唯一知っているものでは、この主張と反対の結論を出している。

自国の地域から遠い場所で行われる戦争は、経済的な富を、戦争に直接関わっている国々から戦争に関わっていない中立国へと再分配する作用があり、むしろ中立国を経済的に豊かにするものなのだ。アメリカはヨーロッパと北東アジアの戦争によって、おそらく経済的にかなり得をするはずであり、戦争を行っている当事国よりもパワーを「相対的」に高めることにもなる。

第一次世界大戦でアメリカが中立を保っていた時に起こったのがまさにこれであり、ヨーロッパ経済が戦争で大打撃を受けている最中に、アメリカの経済は大発展したのである。現代のヨーロッパ、もしくは北東アジアで大規模な戦争が起こったとしても、それがアメリカ経済に深刻なダメージを与えるとは考えられない。

ゴルツとプレスが論じるように、「アジアで起こる大規模な大国間戦争は、第一次世界大戦の時のような影響を与えるかも知れないが、それは今日と比較してみれば、二十世紀初期のヨーロッパでの混乱の半分程度の影響」を起こすくらいなのである。

もしこの分析が間違っていて、ヨーロッパもしくは北東アジアで起こる大国戦争がアメリカに利益をもたらさなかったと仮定しても、アメリカが経済の繁栄を守るためだけの目的で大規模な戦争を戦うことはほとんどあり得ない。たとえば最近起こった二つの出来事がこの主張を裏づけている。

まず、一九七〇年代中頃の石油危機で、OPECはアメリカ経済にダメージを与えていたにも関らず、アメリカはOPECに参加している国々に対して軍事力は使わなかったし、使おうと真剣に考えたこともなかった。

二つ目は一九九〇年の秋にジョージ・ブッシュ(父)政権が、ほんの短い間だけだったが、「イラクは米国経済を悪化させアメリカ人の仕事を奪う恐れがあるのでクウェートから撤退させよう」と主張し、目前に追ったペルシャ湾岸戦争を正当化しようとした時のことだ。

この主張は激しく批判され、ブッシュは二度とこのようなことは言わなくなった。もしアメリカが自国の経済繁栄を守るために弱い産油国に対して戦争を行うのが嫌だということならば、アメリカが同じ目的のために大国と戦争をすることはさらに考えにくい。

「アメリカはヨーロッパや北東アジアで行われる大国間戦争に必ず巻き込まれる」という主張も、説得力に欠ける。米英は双方ともオフショア・バランサーであり、潜在覇権国のある地域の大国が自分たちの力でその潜在覇権国を封じ込められなくなった場合に限って、大国間紛争に介入してきた。

たとえば普仏戦争(一八七〇〜七一年)と日露戦争(一九〇四〜〇五年)の時、米英はそれぞれの紛争に巻き込まれずに安心して傍観していた。それらは地域覇権を争うような戦争ではなかったからだ。

もしヨーロッパ周辺の大国が自分たちでドイツという潜在覇権国を封じ込めることができていたら、アメリカはわざわざ二つの世界大戦には参戦しなかったはずだ。しかしドイツは一九一七年初めと一九四〇年夏にヨーロッパ侵略を始めたため、アメリカはヨーロッパ大陸へ介入せざるを得なくなったのだ。

「もしアメリカがヨーロッパと北東アジアに居座り続けば、大国間戦争も起こらずアメリカが大きな被害をこうむるような危険もなくなる」と反論することもできるかも知れない。しかしこの反論には問題点が二つある。一つ目は、たとえ米軍の駐留が戦争を起こしにくくしているとしても、大国間の戦争が起こらないという保証はない、という点だ。

もしアメリカが北東アジアに駐留し続ければ、台湾問題で中国と戦争になることもあり得る。二つ目が、もし本当に大国間戦争が起こればアメリカは開戦当初から戦闘に確実に巻き込まれることになり、これは戦略的にも良い状況とは一言えない、という点だ。

アメリカにとって一番良いのは、全く戦闘に巻き込まれないか、もしくは戦闘に巻き込まれたとしてもなるべく遅れて参戦することである。そうすればアメリカは最初から最後までを戦わなくて済むので戦闘による損害を少なくすることができ、戦争の最終段階で和平交渉に出てきて、戦後の世界を自国に有利な形に作り上げることができるのだ。

このような理論の話はさておき、ヨーロッパや北東アジアにおける「平和建設者」、もしくは「平和維持者」としての役割を演じようとするアメリカの意志について、歴史は何を教えてくれるのだろうか? すでに述べたが、一九九〇年以前の歴史には、アメリカが両地域の平和維持のために軍を派遣していたという意見を裏づける証拠がほとんどない。

アメリカの軍隊はライバルの出現を阻止するために派遣されたのであって、平和維持のためではなかったのだ。ところがこの歴史的事実を認めながらも「一九九〇年代はどの大国も地域支配を行おうとしていなかったのに、アメリカ軍はヨーロッパと北東アジアに居残っていたではないか。この事実の方が決定的に重要なのではないか?」という反論をすることもできる。

◆一九九〇年代:例外もしくは先例?

もちろんこうしたことはすべて事実であり、これまで起こったことはオフェンシヴ・リアリズムの予測と矛盾するように見えるかも知れない。ところがそれらの状況をよく見てみると、「ソ連クラスの大国の脅威が存在しない」という事実を元にしてアメリカ軍が両地域に引き続き駐留するかどうかを判断するには、冷戦終了からまだ時間があまりたっていない。

一九九一年にソ連が崩壊したのはたった十年前(註:本書が出版されたのは二〇〇一年)であり、ロシア軍が旧東ドイツから完全撤退したのが一九九四年で、七年前だ。ソ連崩壊の悲劇と、ヨーロッパ、北東アジアにおけるバランス・オブ・パワーへの大きな影響を考えれば、アメリカには両地域の新しい構造が自国の国益に対してどのような意味を持つのかをじっくり考える時間が必要なのである。

参考になるのは以下の歴史的事実である。一九一八年に第一次世界大戦が終了したにも関わらず、米軍はヨーロッパから完全撤退するのに一九二三年までかかっており、英軍は一九三〇年(終戦から十二年後)までかかっていた、という事実だ。

米軍の撤退が遅れたのは単なる"惰性"であるとも言える。アメリカが第二次世界大戦でヨーロッパに派兵したのはイタリアに侵攻した一九四三年からであるし、北東アジアでは第二次世界大戦の終了時に日本を占領した一九四五年からである。

また、冷戦に勝利できたのは、NATOや北東アジアの同盟国とアメリカとの強い結びつきがあったことが大きい。このような理由から、アメリカは彼らのもとを一夜にして去ることができなかったのだ。

その上、一九九〇年代以降のアメリカにとってはヨーロッパや北東アジアで兵力を維持するのは比較的安上がりであり、痛みも伴わなかった。アメリカ経済はこの時期に拡大して大規模な財政黒字を出していただけでなく、当時の中国とロシアは現在よりもはるかに国力が弱かったため、アメリカにとっては封じ込めやすかったのである。

このような撤退時期の遅れという問題を別にしても、アメリカと冷戦時代から同盟関係にある国々との関係が「疎遠になりつつある」という証拠は確かに存在する。特にヨーロッパではこの傾向が強く、一九九〇年にNATOによって行われたセルビアに対する戦争とそれによってもたらされた破滅的な状況は米欧関係にダメージを与え、ヨーロッパ連合はNATO要するにアメリカとの軍事同盟軍とは別個の、独立した軍事機構の創設を考えるようになったくらいだ。

イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどは、安全保障を自分たちの手で整えるために、ゆっくりとではあるが着実に、軍事の指揮権を掌握しなければならないことに気づいたのだ。彼らは冷戦の頃と比べると明らかにアメリカの命令を聞くことに熱心ではなくなっている。

あの日本でさえも、独自の行動をしようとしている。.さらに、ヨーロッパと北東アジアを守ろうとするアメリカの熱意にもかげりが見え始めている。世論調査や議会で出される意見などによれば、アメリカは世界の「やる気のない保安官」であり、両戦略重要地域におけるアメリカの軍事的な役割は、むしろ減少傾向にあることを示している。

ヨーロッパと北東アジアでアメリカが仲裁者的な役割をしていることは広く知られているが、なぜ米国の同盟国は(「分離」でないとすれば)「摩擦」を引き起こすことを知りつつ、わざわざアメリカからの軍事独立を宣言するのだろうか、と疑問に思う人もいるかも知れない。「このような行動こそが、元同盟国がアメリカに対してバランシングしようとしている証拠だ」と考える人も出てきそうなくらいである。

しかしこのような意見は説得力に欠ける。なぜならアメリカは、西半球にある土地以外の場所を征服して支配する欲望を持っていないからだ。米英のような「オフショア・バランサー」は、自国に対抗してくる反英同盟もしくは反米同盟のような「バランシング同盟」の結成を促すような行動はしない。彼らの本当の狙いは「危険なライバルに対してバランシングをすること」にあるからだ。

冷戦時代からアメリカと同盟関係を結んでいる国々の中で、アメリカの属国以下、もしくは同盟からの独立国以上のように振る舞い始めている国は一国もない。なぜなら、彼らは自分たちをこれまで守ってきてくれたオフショア・バランサーが、実は有事の際に頼りない存在であったことが明らかになってしまうのが怖いからだ。

冷戦時代を通じて、同盟国にとってはアメリカが有事の際に信頼できる国かどうかというのは深刻な問題ではなかった。ソ連の脅威のおかげで、アメリカにはワルシャワ条約機構の国々による軍事攻撃から自国を満足に守れないような弱い同盟国を保護しようとする強烈な動機があったからである。しかしその強烈な脅威がいざなくなってみると、ドイツや日本のような自分たちを守る力を持つことが可能な同盟国にとってみれば、アメリカは頼りない国として映り始めたのである。

ヨーロッパと北東アジアにあるアメリカと同盟関係を結んでいる国々の間で共通の懸念の一つは、「アメリカの駐留軍が撤退する」と広く信じられていることである。アメリカは本当に撤退を検討しているのか、また、有事の際に同盟国を守る力を本当に持っているのかこの点について、同盟国の間では疑惑が生じている。

また、アメリカの国益が同盟国のそれと一致しなかった場合、アメリカが同盟関係を無視する政策をとるのは確実だという懸念もある。たとえば一九九八年にクリントン大統領は米中関係を改善するため九日問も中国に滞在したが、日本には立ち寄らなかった。このクリントンの行動は、日本の指導者層にとってアメリカとの同盟関係が弱まっている証拠として映った。

またヨーロッパでは、その当時勃発していたコソボ危機によって、アメリカのリーダーシップに疑問が生じていた。さらにアメリカの中東政策や、ヨーロッパ以外の地域へのNATO軍の展開、特にミサイル防衡システムの配備について、アメリカと欧州の同盟国の間では大きな意見の食い違いが生まれてきている。

時が経過するにつれて、このような意見の違いはアメリカの同盟諸国の間に「アメリカの保護に頼るよりも自分たちで安全保障を備えよう」という動きを加速させることになりそうだ。そもそも国際システムというのは「自助の世界」だからだ。

簡潔に言えば、一九九〇年代という短い歴史だけでは、アメリカがヨーロッパと北東アジアで将来どのような軍事的関与をして行くのかを予測するのは難しい。このような議論は二十一世紀の早い時期に解決されるであろうし、それを決定するのは両地域にアメリカが封じ込めの援助をしなければならないほど強力な潜在覇権国が出現するかどうかという点にかかってくる。

アメリカが遠方の大国戦争に巻き込まれるリスクをあえて引き受けるのは、強力なライバルが脅威を及ぼし始めた時だけだ。アメリカはオフショア・バランサーなのであって、世界の保安官ではないのである。(P497〜P505)


(私のコメント)
時事問題のブログなどを読んでいて感ずる事は、時事問題を扱った本などの書評が少ない事だ。時事問題を考える上で専門書などを読むことは欠かせないことですが、私なども週に2〜3冊の本を読んでいる。だからこそ毎日のようにブログを書いていてもグダグダとコメントを書くことが出来るのだと思う。

『大国の悲劇』の書評などをグーグルで探してみても出て来るのは28件のみであり、出て来るのは朝日新聞の書評のコピペだ。特に世界戦略を考える上では『大国の悲劇』は必読の書だと思うですが、読んでる人は少ないようだ。本書は値段が5460円もして500ページを越す本だから手が出ない人も多いのだろう。

特に外国の学者の専門書は厚手のものが多く、通勤電車の中で読むようなものではない。特にこのような国際政治戦略の書は専門家しか用のない本であり、素人は読んでも意味が分からない。だから時々「株式日記」で紹介します。

『大国の悲劇』で一番のポイントは、アメリカの国際軍事戦略がどうなっているかについてです。ミアシャイマーはリアリストと呼ばれる政治学者ですが、株式日記でも何度か紹介しましたが、本人が書いた本を紹介するのは初めてです。

チャルマーズ・ジョンソンが左翼的な政治学者ならジョン・J・ミアシャイマーは右翼的な政治学者であり、対中国政策に関しても二人の意見は対照的だ。最近の言論を見てもチャルマーズ・ジョンソンは中国に買収されたとしか思えないほど親中国的でありブッシュを手厳しく批判している。

それに対してミアシャイマーもブッシュのイラク攻撃に開戦前から反対してネオコンと論争していましたが、現在になって見るとミアシャイマーの批判は現実のものとなっている。株式日記でもアメリカのイラク攻撃には反対してきましたが、理由としては地政学的に戦争が長期化すればアメリカは負けるからだ。

その点でミアシャイマーのオフショア・バランサーの対外戦略が正しい事がわかる。決してアメリカは世界の保安官ではなく、サダム・フセインという無法者を懲らしめる為にイラクに攻め込んだのではない。しかしアメリカのプロパガンダではイラクに民主主義をもたらすという事でライス国身長官などは説明している。

オフショア・バランス外交戦略は大英帝国の伝統的な外交政策ですが、それをアメリカに当てはめたものであり、ソ連の崩壊でアメリカの単独覇権主義が暴走してしまったのがイラク戦争だ。イラク戦争で泥沼に浸かれば北朝鮮などが暴れだすのは目に見えていた。だから最近のアメリカは北朝鮮にもてあそばれている。

このような事はバランスオブパワーから見れば愚策であり、アメリカといえども二正面作戦は出来ないのであり、イラクで泥沼に嵌れば極東やヨーロッパでは何も出来なくなる。これはミアシャイマーのオフショア・バランスを乱す外交だ。

「株式日記」では石油エネルギー戦略やドルの基軸通貨などを絡めてイラク戦争を論じてきましたが、「大国の悲劇」では専ら軍事面だけで論じている。経済力=軍事力と考えれば経済のことから論じないと説得力に欠けるのですが、「大国の悲劇」も純粋な軍事面からの分析で理論を説明しているからいま一つピンと来ない。

日本の外交防衛戦略はアメリカに丸投げした無責任な政策ですが、株式日記ではこのような日本外交に警鐘を鳴らしている。日本の政治家達はアメリカの軍事外交戦略をどれだけ分かっているのだろうか? そんなに日米安保に依存していていいのだろうか? アメリカはそんなに信用が出来る国なのだろうか?

その意味において政治家にとっても『大国の悲劇』は必読書なのですが、読むヒマの無い人は「株式日記」を読んでいただければアメリカの正体がわかるはずだ。アメリカの核の傘はすでに破れ傘であり、日本が核攻撃を受けたところでアメリカは核で報復はしてくれない。日米安保もすでに空洞化しているのだ。

私がアメリカがそんなに信用できないと感じたのはクリントン外交からですが、2008年に選ばれるヒラリー・クリントン大統領も日本にとっては危険な大統領であり、親中派のヒラリーは中国と手を組んで日本を潰すつもりだ。つまり民主党のヒラリーは多極主義でありアジアの盟主を中国に決めている。

それに対するリアリスト派のミアシャイマーは日本の核武装にも理解を示すバランスオブパワーの考えだ。ミアシャイマーは二極構造こそ安定した体制と論じていますが多極構造は不安定化して戦争が起きやすい。日本こそが中国を封じ込めて置くべき主役となり、その意味でアメリカと日本との利害は一致する。

アメリカの国力の衰退によりアメリカ軍はアジアからも撤退して行くだろう。アメリカが撤退した空白を埋められるのは日本だけであり、アメリカの反共保守派を説得して日本の核武装を実現しなければならない。しかしヒラリー政権になってしまうと米中で日本を潰しにかかる。

従軍慰安婦問題をはじめとした歴史カードで中国はアメリカの国務省や民主党と言った親中派とジャパンバッシングを始めた。その狙いは安倍内閣つぶしだ。日本は小泉政権に見られるように共和党のブッシュ政権と密着しすぎて、対北朝鮮外交で裏切られて翻弄されている。

アメリカのオフショア・バランスこそが正しい政策であっても、ネオコンや親中派やいろいろな勢力がアメリカ国内を蹂躙して蝕んでいる。イスラエルロビーもアメリカで猛威をふるって批判する事はタブーになっていましたが、ミアシャイマーはイスラエルロビーを批判した論文を発表して波紋を呼んでいる。

イラク戦争もイスラエルロビーによるものですが、アメリカの利益になっているのだろうか? さらにはイスラエルロビーとチャイナロビーが連帯してアメリカ国内で南京大虐殺問題で日本叩きを始める。日本はアメリカの保守派と協力してこのような勢力を叩き潰さなければならない。


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