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アルジェリアの悲劇とパレスチナの悲劇
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投稿者 妹之山商店街 日時 2007 年 6 月 20 日 20:06:22: 6nR1V99SGL7yY
 

「アルジェの戦い」という映画があります。
宗主国フランスに対する植民地民族解放闘争で爆弾テロを行います。
買い物かごに爆弾を仕掛けてフランス人を殺害したゲリラに、
法廷で「卑怯者!」という罵声が浴びせかけられます。
「君達は戦闘機で我々を攻撃する。
もし君達が戦闘機をくれるなら、買い物かごを君達にあげよう」
そういい残して、そのゲリラは処刑されます。

1962年七年半にわたる激烈な武装闘争に勝利し、
植民地からの解放、独立を達成した民族解放戦線(FLN)
彼らは解放闘争の英雄として国家運営にあたります。

しかし、26年後、一党独裁の下、FLNは絵に描いたような独裁体制となり、
解放闘争の英雄達は腐敗した特権官僚層、利権集団へと変貌を遂げていました。
一般国民はFLNに完全に失望し、
1988年大規模な暴動が発生、死者500人、逮捕者四千人を出す
大弾圧を行いました。
翌1989年に国民投票を行い、複数政党制を認める憲法改正
1990年地方選挙実施
イスラム救済戦線(FIS)が65%の得票を得て圧勝
翌1991年第一回国政選挙でもFISが圧勝
しかし得票率は59%と下がり、百万票以上減少
軍部はクーデターを行い、FISを非合法化
過激なイスラミストGIAがテロを繰り返すという以後十年に及ぶ熾烈な内戦
十万人以上の犠牲者を出しました。

さて、FISが地方選で圧勝後、一年後の国政選挙では
支持を一定程度減少させています。

それは何故なのか、推測するに、
一般国民は、FLNに完全に愛想を尽かしていましたが、
FISの圧勝ぶりを見て、このままでは、
イスラム国家になってしまうという未来が垣間見えたからであり、
それに対して危機感を抱いた階層がFISに投票しなかったのでしょうね。
その社会的構成は、経済的中流層や世俗派が主体だろうと思われます。

さて、ファタハの腐敗ぶりは目を覆うばかりです。
それはパレスチナ人自身が一番分かっていると思います。
ファタハの官僚どもを見ていると、皆高級スーツを着て、高級車を乗り回し、
高級住宅に住み、別荘まで持っていて、子弟を海外留学させています。
絵に描いたような腐敗ぶりです。
対してハマスの閣僚は、何と難民キャンプに住み、
ある大臣の家の映像を観たことがあるんですが、
厚さ五センチ程の泥壁の家に住んでいました。
多分、足で蹴飛ばせば、ボコッと穴が開くような粗末な家でした。
ハマスはその宗教的教義に基づく情熱から、
不正を正し、善政を行っています。
特にガザでは、難民キャンプを中心に、
医療・教育といった社会サービスを提供してきました。
これがハマスのガザでの圧倒的な支持を支えていると思います。
人口140万人の内、百万人が難民というガザでの
ハマス支持基盤は強固だと思います。

しかし、ガザにも反ハマス、非ハマスの勢力も大勢存在します。
去年の選挙でガザでは、ハマスが圧勝したのは、
・ハマスのコアな支持基盤に加えて、
・ファタハへの愛想を尽かした批判票が加わっています。
この後者の勢力は、従来のファタハ独裁を否定すべくハマスに投票したのですが
現在のようにガザでのハマス一元支配という情勢でもハマス支持とは限りません。
15日のハマスの戦勝記念日には、早速、
CDショップやネットカフェが焼き討ちにあいました。
ガザのタリバン化が早くも始まったようです。
イスラム原理主義がその本性を現し始めたようです。
ハマスがガザでイスラム原理主義の本性を現せば現す程、
反ハマス、非ハマスの勢力が屹立してくると思います。

同様に西岸でも、反ファタハ、非ファタハの勢力が屹立してくると思います。

ただ、一つ救い?なのは、双方が人質を取り合っているということです。
つまり、ファタハは、ガザにファタハ支持者がおり、
ハマスは、西岸にハマス支持者を抱えています。
双方がその支持者を人質に取り合っている為、
強硬な弾圧はできないと思います。
つまり、抑止力が働いています。

私の着目点の一つは、反対勢力にどう対処するのか、ということです。
ハマスやファタハが自らへの批判勢力に対して、抑圧、弾圧するのか、
それとも、反対運動を容認するのかということです。
それは私にとっては見極めどころの一つです。

現在の臨時政府は、いずれは総選挙を行わねばならないでしょう。
規定通りに実行されるかどうかは、ともかく、
半年、一年の内には実施されると思われます。
その場合、反対勢力の選挙活動を認めるかどうかが問題になります。
おそらくは、それ以前に合意があって、相互に認めるだろうと推測しています。

選挙になれば、今回の内部抗争を通して、
ファタハにもハマスにも嫌気がさしたという民衆が何割もいると思われます。
それが一体何割かは分かりませんが、確かに存在します。
しかし、その受け皿たる第三勢力の政党が結成されるかどうかは分かりません。
PFLPやDFLPといった既存の組織には余り期待できません。
私が知らないだけで、地元で地道な活動を行い、地元民衆に信頼されている
中小の勢力が連合して、第三政治勢力として現れることを期待しています。


@<『貧者の革命』という要素>
ガザ140万人の内、百万人が難民であり、ガザでは七割の失業率
ガザでは、官僚化したファタハに抗する
『貧者の革命』という要素もあると思います。
マルクス主義的には、失業者はプロレタリアートではなく、
ルンペン・プロレタリアートですが。

A<思想・イデオロギー対立、路線対立>という要素
アラブ世界全体で進行しつつある
<没落しゆくアラブ民族主義>と<台頭するイスラム原理主義>

AのB<ダーランについて>
ハマスからの怨念を一身に集めるダーラン、
パレスチナのピノチェトとも揶揄されていました。
しかし彼個人の問題、個性の問題ではありません。
確かに残忍な人間性かもしれませんが、その『手腕・実績』を評価し、
ガザの治安責任者に抜擢したのは、ファタハ指導層全体の判断であり、
その責任があります。
ダーランはアラファトの遣り口の『正統な後継者』だと思います。
アラブ民族主義勢力がイスラム勢力を弾圧してきたのは、歴史的事実であり、
アルジャリアで、エジプトで、シリアで、行われてきたことであり、
現在も依然として行われていることです。

AのC<エジプトとハマスの対立>
ガザと接する唯一のアラブ国たるエジプト
エジプトでムスリム同胞団を弾圧し続けるエジプト政府と
ムスリム同胞団パレスチナ支部たるハマスとは根源的に対立します。

AのD<シリアとハマス>
シリアとハマスの関係は、思想的、教義的同一性を基礎にした同盟ではなく、
あくまでも汚らわしい政治技術的な相互利用主義です。
シリアのアラブ民族主義バース党独裁政権は、
ムスリム同胞団を弾圧し続けてきました。
大きな水車で有名なハマの街でムスリム同胞団数万人を
文字通り血の海に沈め、そのまま埋めてしまったのです・
現在でもシリアではムスリム同胞団は非合法な反政府勢力です。

B<占領>という要素
ガザを軍事的に実効支配しているのはハマスですが、
西岸を軍事的に実効支配しているのはイスラエルです。

C<アメリカ・イスラエルの傀儡という要素>
もう一年半も経済封鎖が続けられており、
一般民衆の生活は限界だと思われます。
特に16万人の公務員には殆ど給与が支払われていません。
難民の人の方が、国連から支援を受けているので、
まだマシな生活をしているという笑えない悲喜劇まで起きています。
従って国際支援再開はどうしても必要です。
一年分前後の給与を貰っていない公務員にとってはやっとの救いです。
皆現金を持っていないので、掛け売りしている商売人達にとっても
やっとも救いです。
経済的には、国際援助再開は、全パレスチナ民衆が喜ぶと思いますが、
それは同時に欧米イスラエルの紐付きであり、
従ってアッバスは欧米イスラエルの傀儡だという主張に
根拠を与えてしまいます。

D<囚人文書に基づく統一戦線の結成>
http://www.ngy1.1st.ne.jp/~ieg/06/3/palestina-j.htm
ファタハとハマスの現状では、統一戦線の結成など遠のいてしまいました。
文書をまとめたバルグーティ自身が、今回の事態を「ハマスのクーデター」と
規定しているのですから、そういう意味でも当面はあり得ません。
完全には死んでしまってはいないし、
私個人はこれしかないとはいまでに考えていますが。

DのB<バルグーティの釈放>
マルワン・バルグーティの釈放は必要だと思われますが、
それが、いつ、どのような形で行われるかは不明です。
選挙が行われれば、ファタハの凋落に歯止めがかからないことは明瞭だと
思われますので、ファタハにテコ入れする意味でも、
バルグーティの釈放は行われるのだとは思っています。
しかしその釈放の仕方それ自体も問題です。
余りに露骨にイスラエルの意図に沿って釈放されれば、
ファタハの凋落に歯止めをかけることすらできないからです。
バルグーティ氏が「ハマスのクーデター」と規定したことは、
私にとっては少し意外でした。
獄中にあり、現実政治に対して、『手が汚れていない』という立場を活用して、
双方に対して一定の距離をとり、双方を非難するということもできたと
思われるのですが、そうはしませんでした。
所詮、ファタハの枠内の人間ということでしょうか。
それはファタハとしての最低限の共通認識ということでしょうか。
しかしガザの一部のファタハは、ダーランとは距離を置いていた、
今回、ハマスと協力しているガザのファタハもいると聞いているのですが、
それは、思想的にそう判断したというよりは、生き残りという『実益』を
追求したものなのか、私には今の所、まだ判断できません。


ハマスは、アルジェリアの経験を教訓に、
先手を打って軍事攻勢をかけたという分析もあります。
確かに一理あると思います。
しかし、ガザでいくらファタハ側に軍事的にテコ入れしようとも、
ガザでハマスを軍事的に打倒できるような力関係だったとは到底思えません。
その逆にせいぜいハマスによって軍事的に打倒されない程度の
現状を維持するのがせいぜいだったと認識しています。
確かに権力を笠に着て、ハマス系を暴力的に弾圧するファタハの遣り口は
目を覆いたくなる程残忍な行為を歴史的に繰り返してきました。
それはダーラン個人の個性では全くなく、
アラファトの遣り口そのままの継続です。
いや、アラブ連盟の政治権力者達に共通する手口です。
そういう意味では、ハマスには同情しますが、
だからといって、完全に軍事的に一元支配するという
パレスチナの歴史上の全く新しい局面に対して、
その後の責任をとれる責任と能力があるかどうかは、別問題です。
目出度く『ハマス国家』を樹立しても、
ガザの140万人が餓死に瀕するような状況になるのなら、
一体何の為の変革運動なのでしょうか。


欧米諸国権力者達の偽善
イスラエルの欺瞞
アラブ諸国権力者達の欺瞞
ファタハの欺瞞
ハマスの欺瞞

この複雑な状況に日々苦吟するパレスチナの一般民衆の立場を共有すべく
それに迫ろうと日々努力し続けること
これが私の立脚点です。
しかし<パレスチナ人一般>などどこにも実在していません。
現実に実在する個々のパレスチナ人は、
経済的にも政治的にもその置かれている境遇は一人一人異なります。
一人一人の考えも異なります。
宗教、思想、党派性、所属部族、世俗度、嗜好、様々要素に於いて
一人一人異なるのです。
そして、パレスチナ問題を考える者自身の立場、思想性も問われるのです。

私は囚人文書に基づく統一戦線結成という方向性を支持する立場です。
現状では殆ど展望喪失状態ですが、
それでもそれしかないと現在でも確信しています。


戦わず投降したファタハ将校の本音
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2007/06/no_34.html

ハマスとファタハは報復の殺人、攻撃、誘拐をやめなければならない
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=313

No Alternative to Political Dialogue:
PCHR's Position towards the Current Crisis in Gaza and the PNA
http://www.alternativenews.org/news/english/no-alternative-to-political-dialogue-pchrs-position-towards-the-current-crisis-in-gaza-and-the-pna-20070618.html

Marwan Barghouthi issues statement from prison cell
http://www.imemc.org/article/49034
1. Condemn the military coup against the legitimate Palestinian
Authority and its institutions in the Gaza Strip.
2. Consider the military coup by Hamas in Gaza a dangerous threat
to the Palestinian unity and cause, a shift in the choice of
resistance and the destruction of the principles of partnership.
3. Consider the coup a threat to the democratic process and
democratic choice, which led Hamas to win the legislative elections.
4. Fully support the decision to compose a new Palestinian government
under Salam Fayyad, hoping it will restore the sovereignty of law
and end the state of chaos in order to protect the Palestinian unity.
5. Censure any attacks against people or institutions of the Hamas
movement in the West Bank, and absolutely refuse the extension
of chaos into the West Bank.
6. Call on President Abbas, as the general commander of the Fatah
movement, to appoint a new leadership of Fatah in the Gaza Strip.
7. Dismiss all the leaders of the security services and appoint new
leaders capable of reforming and developing the security institutions
relying on professionalism. This will render the security services
more efficient in attempts to defend the Palestinian homeland and
citizens

Leftist PFLP clams attacks against a Church in Gaza,
Statue of Unknown Soldier
http://www.imemc.org/article/49063

The Crisis in Gaza: Made in Israel
http://www.palsolidarity.org/main/2007/06/19/made-in-israel/

The Free Gaza Movement
http://www.palsolidarity.org/main/2007/06/19/free-gaza-movement/
1. To open Gaza to unrestricted international access,
i.e. Palestinian sovereignty
2. To demonstrate that Israel still occupies Gaza,
despite its claims to the contrary
3. To show international solidarity with the people of Gaza
and the rest of Palestine
4. To demonstrate the potential of nonviolent resistance methods

Palestinian killed at Erez crossing
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/8D0AB11F-4475-4077-9E7F-C28D3F78A45D.htm

Towards a Geography of Peace: Whither Gaza?:Ilan Pappe
http://electronicintifada.net/v2/article7036.shtml

Whose Coup, Exactly?
http://electronicintifada.net/v2/article7038.shtml

Decoding the media's Palestinian "civil war"
http://electronicintifada.net/v2/article7042.shtml

Hamas uncovers PA, CIA intel trove
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=13177§ionid=351020202

Hamas seizes PA intelligence materials, says Israeli tactics exposed
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3413019,00.html

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