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解放のゆくえ 第21回 アンバルの部族長は作り話 2007/09/20 (イラク情勢ニュース)
http://www.asyura2.com/07/war96/msg/184.html
投稿者 新世紀人 日時 2007 年 9 月 21 日 14:13:47: uj2zhYZWUUp16
 

httbbbp://www.geocities.jp/tomesannew/uruknews-shiro_yamamoto_0920-2007.html
第21回 2007年9月20日

 前回書いたのが4月22日だったので、5ヶ月ぶりになってしまった。奇しくも駐留米軍の増派作戦が本格的に着手された期間に重なる。そのような時期だから、否が応でも、米軍増派作戦の評価を抜きに語ることはできない。

 2003年3月にブッシュ政府がイラク侵攻に踏み切って以来、いや、イラク侵攻を準備する段階から、「イラクは大量破壊兵器を持っている」「アルカイダと連携している」という開戦理由からして、イラク報道はずっとプロパガンダに覆われてきたし、現在もこの種のペテンが続いている。と言っても、仕掛けが大がかりというだけで、その内容たるや、暴露されてみると滑稽このうえない。

 いやいや、こんなことを書きだすと、話が長くなりすぎる。もっと直近の具合的な話、「アルカイダと戦った部族長」というブッシュの「友人」のことから始めよう。
■アンバルの部族長は作り話
 最近のイラク情勢に少しでも関心を持った人なら、ブッシュ大統領が先週、イラクに電撃訪問をおこなったとき、アンバル州で「アブダル・サッタル・アブ・リシャ」という名の部族長に会ったことは知っていると思う。
 アブ・リシャの名前は覚えてないとしても、その後、米国議会に対して駐留米軍司令官からイラク現地の報告が行われ、アンバル州での「治安改善」をもたらしたのは、地元部族が米軍と協力してアルカイダと戦ったからであり、それを率いたのがアブ・リシャだと紹介されたことは記憶にあるだろう。その数日後には、「アルカイダによって殺害された」と大きく報道された、あの部族長のことだ。
 ホワイトハウスの意向に沿って、イラク駐留米軍のトップであるペトレアス司令官は、米軍増派作戦によりアンバル州の治安改善という「成果」があり、来年夏までに2万〜3万の兵力削減が可能になった、と、アメリカ議会に報告した。だが兵力削減とは名ばかりで、その実、増派分を削減し増派前の規模に戻すだけのことだとイラク情勢ニュースでも指摘した(※)。
 ※ブッシュは忍耐を要求、撤退兵力は2万余 2007/09/14
 兵力を増強して掃討作戦をやり、その成果があったというのなら、増派以前の兵力規模より削減してもおかしくない。それができないというのは、文字通り、米軍にとっての現地情勢は、引くことも進むこともできない、という意味である。
 前線が特定地域に限られているわけではなく、グリーンゾーンはもとより各地の大規模な基地でさえ迫撃砲やミサイルで断続的に攻撃されている状況では、基地の外での戦闘・掃討作戦を主任務にする戦闘部隊以外にも基地を守る部隊が不可欠なうえに、直接の戦闘に加わらない兵站任務や補給部隊、工兵部隊も相当数が必要になる。中途半端な部分撤退はかえって危険な窮地にあると考えてよい。
 アブ・リシャなる「部族長」に話を戻すと、なるほど、米軍がそのような苦境にあるからこそ、「成果」を粉飾するために担ぎ出された人物とその英雄物語だったことがわかる。「成果」を示さないことには、本格的な撤退を求める国民世論がいっそう強まるのは、日を見るよりも明らかなのだ。
 そのアブリシャの話には、アルジャジーラ(英語版)も疑問をなげかけている(※)が、もっと詳細にこの物語がブッシュ政府の偽造したプロパガンダであることを指摘するレポートもある。
 ※Anbar's Ghost
 それによると、1)アブ・リシャはほんとうの部族長ではなく、2)アルカイダに殺されたのでもなく、3)アンバル州において元ゲリラ勢力と同盟を結んだという話自体がとんでもない作り話という。(※)
 ※Bush’s Fake Sheik Whacked: The Surge and the Al Qaeda Bunny
 つまり、米軍は「成果」を作りだすために、アンバル州において諸部族が米軍に協力(同盟)しているという話を偽造し、アブ・リシャに「再建契約」として約100万ドルを渡して、その先頭に立っている「部族長」を演じさせた、というわけだ。
 この真相をさぐるためにアンバル州にみずから出かけたカメラマンは、何人かいるドレイミ族(幾つもの支族がある)の本当の部族長たちやメンバーにも取材したが、彼らはアブ・リシャについて、「いかさま師だ。どこに彼の部族がいるのか? アメリカ人はディズニー漫画の英雄を作るのが好きなんだ」と語っている。上記のアルジャジーラに録画もある。
 これをレポートしたグレグ・パラスト(ジャーナリスト)は、本物の部族長の1人が、アンバル州では「アブ・リシャはもう歓迎されない」と語ったことを紹介し、その後の事実としてアブ・リシャが殺されたことについて、それは部族長たちの指図でないにしろ、その暗黙の承認がなければ爆弾殺人などできないと指摘している。
 アンバル州においては、以前からアブ・リシャを非難する部族長が少なくなかったこと、アンバル救済会議(米軍発表ではこの指導者がアブ・リシャとされた)のメンバーにさえ、アブ・リシャの評価は芳しくなかったこと−−それを伝えるレポートは他にもある。例えば、ブログ・サイト<RodadstoIraq>もそうだ。
 ※RodadstoIraq: Who killed Abu Risha?…update
 米軍は、アブ・リシャがアルカイダと戦った英雄でなければならないので、「アル・カイダに殺された」と声明を発表したが、それは「アブ・リシャたちが米軍に協力してアル・カイダを一掃した」という話と矛盾する。それ以上に、部族メンバーに支持されて守られている部族長なら、このような時期に、いとも簡単に殺されるとは考えられない。
 では、誰がアブ・リシャを殺したのだろうか? 
 アンバル州でアルカイダ勢力を追放するために戦ったのが米軍やアブ・リシャではなく、アルカイダから攻撃を受けていたイラク・レジスタンス勢力や、犠牲を払ってきたそれこそ地元アンバル州の諸部族であったことを正しく認識する(※)なら、これは難しい問題ではない。個人を特定することはできないが、地元部族がアルカイダと戦ったのは米軍と関係なく自発的なものであり、当然、横から手柄を掠(かす)めとるような米軍とアブ・リシャの「英雄物語」をににがにがしく思っていた者は多い。
 ※Abu Risha murdered
 米軍のイラク増派であげた「成果」については、堅苦しく論評する前に、ブッシュ大統領によるイラク侵略と占領がどのような窮地に追い込まれているか、この1つの事件、とんでもないプロパガンダの結末が象徴的に物語ってくれている。

 このブッシュ好みのサクセス・ストーリーは、既に早くから、スンニ派系のレジスタンス組織がアルカイダ掃討の米軍作戦に協力しているとか、米軍が武器も提供したという伏線を用意してきたが、それについては既に指摘した(※)ので繰り返さないでおこう。
※レジスタンス組織が米軍との連携を完全に否定 2007年6月23日 
 このようなお粗末なデッチアゲが大統領の肝いりで行われるあたり、改めて、アメリカのイラク侵略に末期症状を見る思いがする。
(つづく)


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