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石油で読み解く覇権争い
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投稿者 大西健二 日時 2007 年 10 月 07 日 21:43:20: Zg4goyIkX.Zhg
 

【ロシア政治経済ジャーナル】NO482石油で読み解く覇権争い
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm

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The Globe Now: 石油で読み解く覇権争い

 北野幸伯著『中国・ロシア同盟が
アメリカを滅ぼす日』を読む
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■1.アメリカは民主主義のために戦っているのか?■

 ブッシュ大統領は二言目には「民主化」「民主主義」と言う
が、それが「インチキなみせかけ」であることを、「一瞬にし
て証明しましょう」と北野幸伯氏は新著『中国・ロシア同盟
がアメリカを滅ぼす日』で語る。[1,p74]

 もしアメリカが民主主義のために戦っているなら、「独
裁者」と仲良くしてはいけないことになりますね。

 実際、アメリカはアフガンを攻め、イラクを攻め、今は
イランを敵視していますから、「そのとおり!」ではあり
ます。

 まるごと、そうでしょうか?

 サウジアラビア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ト
ルクメニスタン。

 思いつくままザッとあげましたが、この4国の特徴はな
んでしょう?

 そう、イスラム教の独裁国家であること。・・・

 これらの国々はイスラムで独裁なのに、アメリカとそこ
そこいい関係を築いているのです。

■2.アメリカにとって「石油は民主主義よりも大事」■

 アメリカと仲良くしているこれら4つのイスラム教独裁国家
には共通点がある、と北野氏は指摘する。[1,p75]

 そう、石油か天然ガス、あるいは両方がたっぷりある。

 そうなのです。これらの国々はイスラム教で独裁ですが、
石油・ガスがたっぷりあり、アメリカに反抗していない。
だから、アメリカは独裁者を保護しているのです。

 一言で言えば、アメリカにとって、「石油は民主主義よ
りも大事」ということ。

 アメリカの石油需要量は増え続ける。2000年の日量約2千万
バレルが、2030年には2580万バレルに達する。世界需要も大幅
に伸びるが、その中でのアメリカの消費シェアは2000年の26
%から2030年でも23%と、世界一の石油消費大国の地位は揺
るがない。

 アメリカは石油生産大国でもあり、2000年の国内生産量は
日量1000万バレルと、世界の原油生産の8分の1を占める。し
かし、国内の確認埋蔵量は約300億バレルで、11年後には
枯渇してしまう。輸入に頼らざるを得ない。

 世界の推定石油埋蔵量も2千億バレルから9千億バレルまで
とバラツキがあるが、2040年から2060年までには石油が枯渇す
る、というのが、多くの専門家の意見である。

 枯渇していく世界の石油供給の中で、いかに自国の生存と繁
栄をかけて、石油を確保するか。国際社会では激しい石油争奪
戦が繰り広げられており、その中でアメリカが本音では「石油
は民主主義よりも大事」と考えるのは、当然なのである。

■3.「アメリカ政府は躊躇なく武力を行使する」■

 その石油をどこから調達するか。埋蔵量で見ると、1位サウ
ジアラビア、2635億バレル、2位イラク1125億バレル、以下、
アラブ首長国連合、クウェート、イランと続くが、バーレーン、
オマールなどを含め、中東の9カ国で全世界の65%を占める。

 当然、中東石油への依存度は高まっていく。1999年の中東石
油は世界需要の27%をカバーしていたが、2020年には39%
となる。

 アメリカが中東の重要性を認識したのは、73〜74年のオイル
ショックだった。1973年に第4次中東戦争が勃発すると、アラ
ブ諸国はイスラエルの肩を持つアメリカへの原油輸出停止と他
諸国への輸出制限を行った。このオイルショックが世界経済に
大打撃を与えた。

 1975年、国務長官キッシンジャーは「(産油国の行動が)な
んらかの形で先進工業世界の首を絞める事態が起これば、アメ
リカ政府は躊躇なく武力を行使する」と断言した。

 1979年、イランの親米的な国王がイスラム原理主義勢力に追
放される革命が起こり、世界は第2次オイルショックに直面し
た。カーター大統領は「ペルシャ湾の支配権を握ろうとする外
部勢力の試みは、いかなるものであれ、アメリカ合衆国の死活
的国益に対する攻撃と見なされ、必要ならば武力行使を含むあ
らゆる手段によって排除される」と警告した。

 1980〜88年のイラン・イラク戦争では、アメリカはサダム・
フセインを支援したが、そのフセインがクウェートに侵攻する
と、アメリカを中心とする多国籍軍が湾岸戦争に踏み切った。

 敗戦後、フセインは国連の許可を得て、石油輸出を再開した
が、相手はロシア、中国、フランスだった。国連常任理事国に
石油利権を与えて、アメリカの攻撃をかわそうとしたのである。
しかし、アメリカは3国の抵抗を押し切って、第2次湾岸戦争
を始め、この利権を取り戻した。

 こうして見ると、アメリカは中東石油の利権を脅かす存在に
は、武力行使をためらわない、というのが、石油ショック以来
の確固たる国策となっている事が分かる。

■4.イランと北朝鮮■

 イラクのフセイン政権が打倒されて、いまや中東産油大国で
アメリカの支配が及んでいないのは、イランだけとなった。そ
のイランの核開発問題に関して、ブッシュ大統領は武力行使も
ありうることを示唆している。

 しかし、ここでも核問題は表向きの理由のようだ。2005年に
ラムズフェルド国防長官(当時)は、「現時点では(核兵器を)
保有していないことは、イラン側の公式声明から極めて明らか
だ」と語っている。

 北朝鮮はNPT(核拡散防止条約)から脱退して、核実験に
踏み切ったのに対し、イランはNPTとIAEA(国際原子力
機関)の中での平和的な核技術開発を主張している。それなの
に、ブッシュ大統領は「北朝鮮を攻撃する意思はない」と明確
な意思表示をする一方、イランに対しては「どんな選択肢も決
して除外しない(武力攻撃もありえる)」と語っている。

 これほどあからさまな二重基準もないだろう。核兵器問題は
表向きの理由に過ぎず、本当の狙いはイランの石油にあるので
ある。

■5.中国とイランの接近■

 石油を巡ってアメリカとの覇権争いを演じているのが、中国
である。中国の石油消費量は、1999年の日量430万バレルか
ら2030年には1500万バレルまで、3.5倍に増加すると予
測されている。世界の石油需要において、アメリカの23%に
続き、第2位の13%を占める。

 自国の経済成長のためにも石油が必要であり、また枯渇して
いく石油資源を囲い込むことで、アメリカの覇権に横やりをい
れることができる。

 そこで、中国は中東産油国に着々と接近している。まずはア
メリカに睨まれているイラン。04年10月、イラン西部にある
確認埋蔵量300億バレルの巨大油田ヤダバランを中国のシノ
ペックが開発するという覚え書きを交わした。

 また06年1月、チャイナ・オイルフィールドがカスピ海の海
底油田採掘工事に関する契約を締結。駐イラン中国大使は、契
約締結後の式典で「中国とイランは世界の主要国から偏見を受
けている被害者で、両国の協力関係を強化すべきだ」と発言し
た。「世界の主要国」とは、もちろんアメリカのことである。
中国のイランからの石油輸入量は激増し、サウジからの輸入を
抜いてトップとなった。

■6.親米産油国にも接近する中国■

 中国の触手は、親米産油国にも伸びている。クウェートの
投資を得て、広東省広州市にクウェート産原油を精製する工場
を建設する計画が進んでいる。

 またサウジアラビアのアブドラ国王と、胡錦涛国家主席は相
互訪問し、石油・天然ガス・鉱物分野の協力強化に関する議定
書に調印した。

 2004年、胡錦涛主席がカイロを訪問した際に、第一回の「中
国・アラブ国家協力フォーラム」が開催され、翌2005年にはア
ラブ22カ国の代表を北京に招いて、第2回を開催した。その
場で2008年までに、初の「中国・アラブ石油協力会議」を開く
ことに合意した。

 こうした中国の暗躍を、アメリカは苦々しい思いで見ている
に違いない。

■7.カスピ海に手を伸ばすアメリカ■

 石油確保のために、中東の次に重視されているのが、カスピ
海沿岸の地域である。米エネルギー省は2000年6月に、この地
域の埋蔵量は2350億バレルに達する可能性がある、と発表して
いる。これは世界の埋蔵量の20%に相当する。

 特にカスピ海西岸のアゼルバイジャンは旧ソ連時代から石油
の一大供給地だった。ソ連が崩壊して、1991年にアゼルバイジャ
ンが独立すると、アメリカが目をつけた。

 しかし問題は、どうやって石油を運び出すかである。すぐ北
はロシア領土であり、そこを通るパイプラインは、ロシアの管
轄下に入ってしまう。1996年、クリントン大統領は、アゼルバ
イジャンのゲイダル・アリエフ大統領に電話をした。西の隣国
グルジアを経由し、トルコから地中海に抜けるパイプラインを
建設して、世界市場に供給する、という提案である。アリエフ
は即座に同意した。

 グルジアも1991年に旧ソ連から独立し、親米路線をとってき
た国である。ロシアはパイプライン建設を阻止しようと、グル
ジアに圧力をかける。グルジア内で独立を目指して中央政府と
対立する地方政府を支援し、紛争を煽った。またグルジアへの
ガスや電力の供給を制限して、経済に大打撃を与えた。

 ロシアの圧力でグルジアがぐらついてきた処に、2003年11
月、議会選挙が実施され、与党が勝った。そこにアメリカが支
援するNPO(非営利団体)が、出口調査では野党が勝ってい
たと発表。これを口実に親米派の野党勢力が大々的なデモを展
開し、国会議事堂を占拠。ついには、政権を奪取した。

 アゼルバイジャンからグルジア経由でトルコに抜けるパイプ
ラインは2006年6月から稼働を始め、ロシアに大打撃を与えて
いる。

 この地域は、ロシアにとって裏庭のようなものである。しか
もかつては自分の領土だった。そこの石油をアメリカに奪われ
て、プーチン大統領は激怒した。

■8.反米同盟、上海協力機構■

 2001年6月、上海協力機構が創設された。加盟国は、中国、
ロシア、それに中央アジア4カ国(カザフスタン、ウズベキス
タン、キルギス、タジキスタン)。

 中国から見れば、ロシアは武器輸入の90%を占める貿易相
手であり、なおかつ石油の供給源でもある。ロシアにとっても、
アメリカはソ連崩壊後、IMF指導を通じた「経済改革」で大
混乱させられた敵であり[a]、その敵の敵・中国は味方である。

 そして中央アジアには巨大な石油があり、しかもそれは中ロ
の間に位置する防衛上、きわめて重要な地域である。

 中、ロ、中央アジア諸国の結びつきは地政学的に見ても、当
然のシナリオなのである。

 しかし、アメリカはこの動きを座視してはいない。キルギス
では、05年3月「チューリップ革命」が起きた。グルジアと同
様、アメリカが暗躍して親米勢力に政権を取らせたのである。
ウズベキスタンでも、その2カ月後に革命未遂が起きたが、も
うアメリカの手口は明らかになっていた。ウズベキスタン政府
は、親米勢力を武力鎮圧した。

 旧ソ連諸国の独裁者たちは、はっきりと理解したのである。
アメリカとつきあっていると、いつ「民主革命」を起こされる
かわからない。ロシアや中国は同じ独裁国家で話もしやすい。

 05年7月、上海協力機構の準加盟国として、イラン、インド、
パキスタンが承認された。中東で唯一、アメリカに従わない国
イランを準加盟国とする、ということは、中ロがイランをアメ
リカから守る、というメッセージであろう。これまで3回戦争
をしているインドとパキスタンが仲良く入っていることは、中
ロ同盟の影響力の強さを示している。

 中ロを枢軸として、ユーラシア大陸の内陸部は反米同盟で固
まりつつあるのである。

■9.石油争奪戦を超越するには■

 こうした石油を巡る覇権争いの中で、我が国はどう振る舞う
べきか。北野氏は、いくつかのシナリオを提示しているが、そ
れは著書を見ていただきたい。

 我が国のとるべき短期戦略について、私見を述べれば、米国
の覇権のもとで供給される中東石油に依存している以上、米国
の政策がいかに自国本位のものであれ、それに協力していくこ
とは我が国の国益にも適う。

 しかし日米同盟は、米軍のアジアからインド洋への展開に不
可欠であり、この点でアメリカは日本を同盟国として尊重せざ
るをえない[b]。したがってアメリカの戦略に盲従する属国で
はなく、主体的に物言う同盟国となりうるし、またそうなるべ
きなのである。

 それでも中期的には、世界の石油供給がいずれ枯渇してしま
う以上、石油はますます高価になり、その争奪戦はますます激
しくなっていくであろう。その争いから身を守るためにも、早
く代替エネルギーを開発し、石油依存から脱却すべきである。
それが真の平和、安定、繁栄への道である。[C]
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(382) 覇権をめぐる列強の野望
北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』を読む。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h17/jog382.html
b. JOG(084) 気がつけば不沈空母
 国民の知らないうちに、国内の米軍基地は、米国国際戦略の
拠点となっている。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_1/jog084.html
c. JOG(513) 石油で負けた大東亜戦争
 日本は石油供給をストップされて敗北したが、 現在でもその
リスクはさらに深刻化している。
http://blog.mag2.com/m/log/0000000699/108937198.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 北野幸伯『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』★★★
草思社、H19
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794216378/japanontheg01-22%22

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【ロシア政治経済ジャーナル】NO482石油で読み解く覇権争い
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm

本文で紹介されている(ネット上でかなり話題になっている)
北野幸伯著
「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日-一極主義vs多極主義」(草思社)
(→ http://tinyurl.com/yro8r7 )

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