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描かれた沖縄:―7 経済 基地と補助金、麻薬に(毎日新聞)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 6 月 04 日 18:34:29: twUjz/PjYItws
 

http://mainichi.jp/enta/art/news/20080604dde018040058000c.html

描かれた沖縄:/7 経済 基地と補助金、麻薬に


 沖縄には、多くの人が<麻薬>と言い表すものが二つある。米軍基地の軍用地料(借地料)と日本政府の補助金だ。これらは、戦前の倍以上に人口が増えた沖縄の経済を支えてきた。ただし、日本最高の失業率と、最低の県民平均所得を維持させたままで。

 基地がある土地は、もちろん元々、沖縄の人たちのもの。従って、軍用地料が払われる。松島泰勝・龍谷大准教授の『琉球の「自治」』(2006年、藤原書店)によると、その額は03年に計約766億円。72年の約123億円から大幅に増えた。軍用地料は日本政府が払っており、<軍用地主の地代収入への依存度を高めるために>値上げがされてきた。また、軍用地主に基地で働く人などを足して試算すれば、県民の4人に1人が基地関連の収入を得ている。

 大城立裕さんの小説『恋を売る家』(98年、新潮社)は、軍用地主の一家が舞台。一家は元々、ノロ(巫女(みこ))の家系で、戦後、2万坪の土地が基地になった。年間3000万円以上の軍用地料が手に入る。

 家長の英男は、これを元手にラブホテルを建てるが、管理は妻に任せて遊びほうける。しかも、やくざにはめられ、軍用地を巻き上げられる。その直後、基地が日本に返還された。

 大城さんは「不労所得が多過ぎれば、人間は必ず堕落する。それを描いた」と言う。人々は、いつどの基地が返還されるか<予測がつかないままに、惰性で軍用地料という不労所得を食っている。あたかも麻薬中毒のようなもので、軍用地返還はいわば麻薬患者の禁断症状に似たものではないか>。

 もう一つの<麻薬>について。『琉球の「自治」』によれば、沖縄の名目県民総所得は、約4割が国の補助金だ。その額は、メーンの沖縄振興開発事業費が72〜04年度で延べ約7兆5968億円。9割方が公共事業に使われ、<赤土が海に流出したことで、沖縄島(本島)周辺の珊瑚礁(さんごしょう)の九〇%以上が破壊された>。

 補助金も、基地がらみが多い。名護市辺野古への米軍ヘリ基地建設問題とリンクする形で、県北部には97年から10年間で1000億円が投下された。しかも、これで<各種の施設が建設されればされるほど、市町村はその運営・維持のため(略)財政が悪化し、(基地への)依存度を一層深めてしまう>。

 戦後の初めから、依存体質だったわけではない。ジャーナリストの奥野修司さんが『ナツコ』(05年、文芸春秋)で描いたような「密貿易」が栄えた。奥野さんは、当時を<誰の支配も受けず、誰の手も借りず、占領軍に対抗して(略)生き抜いた>沖縄自身が主人公の時代<ウチナー世>だったとする。奥野さんは、新しいウチナー世が来るとしたら、「建設業以外の産業が生まれ、補助金なしでやっていけるようになること」だと言う。

 ちなみに、今の沖縄県が検討する観光振興策の目玉は、建設業に利益をもたらす大規模なカジノの建設である。【鈴木英生】=つづく

==============

 ◇松島泰勝(まつしま・やすかつ)
 1963年、石垣島生まれ。南大東島、与那国島、沖縄本島などで育つ。早稲田大博士課程単位取得。東海大准教授などを経て現職。著書に『沖縄島嶼(とうしょ)経済史』など。

 ◇奥野修司(おくの・しゅうじ)
 1948年生まれ。立命館大卒。南米での日系移民調査から帰国後、フリージャーナリストに。『ナツコ』は講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞。

毎日新聞 2008年6月4日 東京夕刊

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