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がれきの中で決然と しかし再建復興が中国政府の試金石に――フィナンシャル・タイムズ(1)
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投稿者 gataro 日時 2008 年 5 月 31 日 20:40:42: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20080529-01.html

がれきの中で決然と しかし再建復興が中国政府の試金石に――フィナンシャル・タイムズ(1)
2008年5月29日(木)19:29

(フィナンシャル・タイムズ 2008年5月22日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー、ジェフ・ダイヤー、ジャミル・アンダリーニ

北京五輪はいきなり、さほど重要ではなくなってしまった。

中国四川省のかなりの部分を引き裂いた地震から10日たち、救助隊はまだ散発的に生存者を助け出している。22日にはがれきの下に216時間も埋まっていた35歳男性が救出された。

しかし中国政府は21日夜、8万人以上が死亡あるいは不明、負傷者は30万人以上に上ると発表。こうした状況で中国は、これから取り組む復興再建と人道支援のとてつもない深刻さを、徐々に受け入れ始めている。政府によると地震で家を失った人は約500万人。これは2004年のインド洋大津波で被害に遭ったどの国の被災者よりも多い。

中国政府による直後の対応は、国のトップダウン体制を速やかに動員して膨大な人員資材を動かし、各方面から高く評価されている。しかし今後の長きにわたる再建・復興の課題と、その中で求められるだろう透明性・開放性の要請に、トップダウン式の国家体制が同じように速やかに対応できるか。それが今後の課題となるだろう。

今後のあまりにも複雑な復興作業は、支援団体など色々な組織と協力して行わなくてはならない。また被害の大きさゆえに国民の悲しみは実に深く、それゆえに中国社会はかつてなかった形で動き始めているのだ。たとえば市民からの寄付金が、災害支援NGOに次々と流れ込んでいる。これは中国の人たちが今までにない形で、責任の所在の明確化を求めていること、そして被災地救済に密接に関わりたいと願っていることの、ひとつの表れだろう。ただでさえ急激な社会の変化によって、中国の一党支配体制はかつてのような統制力を失っている。今回の地震はこの変化をさらに加速化させるかもしれない。

「政府が自分たちだけで何もかもやるのは不可能だ」 中国のHIV感染者・エイズ患者を支援するNGO活動を長年続けるワン・ヤンハイさんはこういう。

地震発生の5月12日以降、中国国内は活発に動いている。公式な死者数が22日現在で3000人を越した被災地・都江堰(ドゥジャンイェン)では、13日早朝の時点ですでに本格的な救助活動が始まっていた。以来、中国全国から10万人以上の人民解放軍兵士が被災地に投入されたし、医療関係者5000人以上が感染症発生などの危険と戦っている。プレハブ住宅の村があちこちに誕生し、当局はこれまでにテント40万張りを被災地に送ったが、中国政府はテント300万張り以上という目標達成のため、22日に改めて各国に提供を要請した。

震災被害の規模が日に日に明らかになるに伴い、中国政府は今年度100億ドル(約1兆円)の震災復興基金の設立を決定。それ以外にも復興費の拠出を約束している。行政府トップの中国国務院は中央政府の各省庁に対し、震災救助復興費用を捻出するため、今年度支出を5%削減するよう指示している。

国営メディアによると、被災者支援の急先鋒に立ってきた温家宝(ウェン・チアパオ)首相は、国民に対して質素倹約を呼びかけ、全ての政府部局には会議や出張の費用を切り詰め、官庁ビルの工事中止を命令。「被災地の救助と支援、そして社会経済の急成長促進。この両方の課題に決然として取り組む」と首相は述べている。

しかし中国がどれほどたくさんの人的・物的資源を持っていたとしても、被災地支援は中国一国だけでまかなえるものでは到底ない。被災地に必要な取り組みが長期的に継続する性質のものになれば、内外NGOの参加受け入れがますます重要になってくる。

「長期的復興の段階に入れば、これまで農村開発に関わってきた草の根組織が、健康や教育、貧困対策といった生活の基本的部分できわめて重要な役割を担えるようになる」 地域開発支援団体「アジア基金」の在中国代表、ジョナサン・ストロムセスさんはこう指摘。こうした草の根組織は専門分野において素早く効果的に対応できるものだという。

アジア開発銀行北京事務所の上級エコノミスト、庄健(ズアン・チャン)氏は、NGOは災害後の復興に貴重な専門知識や経験を提供するだけでなく、NGOが関わることで復興作業の透明性や効率性が向上すると指摘する。

たとえば子供の問題だ。地震のせいで約300万人の子供が自宅から避難させられた、あるいは親と離れ離れになったと言われている。これはインド洋大津波のときとほぼ同じ人数だ。中国政府は行方不明児童の所在確認のため、ウエブサイトや特別電話を含む一元管理システムを設け、複数団体が同じようなことをして情報が錯綜するのを防ごうとしている。

その一方で、多くの被災児童がこれから必要とする心理カウンセリングやその他の支援については、中国政府の得意分野とは言えなさそうだ。「被災地支援はこれまで見事なほど効率的に進んできた。しかし長期的な戦いでは、ほかの団体からの手助けが必要になるだろう」 国際援助団体「セーブ・ザ・チルドレン」のケート・レッドマン氏は、四川省の成都(チェンドゥ)市でこう話す。

中国の支援団体のもとには義援金が途切れなく寄せられている。自分たちは公的団体よりも透明性が高いと自認する新顔の民間団体にも、多くの義援金が集っている。

中国で新階級として成長著しい裕福な起業家たちも、この義援金ラッシュに参加している。ほんの数年前まで中国本土の中国人には、慈善や社会奉仕という発想はほとんどなかった。しかし中国の長者番付を作る上海の経済誌「胡潤百富(フールン・バイフ)」によると、中国トップ10に入る富豪たちは19日までに計3500万ドル(約35億円)を被災地のために寄付したという。胡潤百富のCEO、ルパート・フーゲワーフ氏(中国名「胡潤」フールン)は「今回の地震は中国における慈善活動にとって、本物の分水嶺となった。公にされた寄付の件数にびっくりしている」と話している。

しかしその一方で中国政府は、民間団体や外国団体に被災地での活動の自由をどれだけ認めるつもりなのか。これはまだ不明なままだ。中国共産党の指導層はかねてから、「市民社会」を掲げる民間組織の台頭に危機感を抱いてきた。そうした団体の成長は、共産党の一党独裁を脅かしかねないからだ。

2000年代にグルジア、ウクライナ、キルギスタンと続いた民主化の「カラー革命」において、こうした「市民社会組織」は、独裁政府の打倒に大きな役割を果たした。それを目の当たりにしているだけに中国政府は、国内NGOに対する締め付けを厳しくして、海外NGOへの監視も強めてきたのだ。米マリスト大学のショーン・シー助教授(政治学)は「中国政府は、統制が利かなくなることを警戒している」と話す。

警戒するが故に中国政府は、「政府系の非政府組織(NGO)」(GONGOと呼ぶ)を好んで使い、自らの政治的影響力を損なうことなく、国民の幅広い支援を得ようとする。本当の非政府組織(NGO)に対する柔軟な規則がないため、多くの中国内NGOはグレーな状態で活動しており、いつなんどき政府に閉鎖・解散させらるかもしれない状態だ。

それでも中国政府はここ数年、社会福祉やHIV/エイズ、環境などの分野でNGOに対してずいぶんオープンになってきた。シー助教授はそう指摘する。「社会サービスや救援活動を自分たちだけで面倒みるのは無理だし、GONGOだけでない本物のNGOの協力も必要だ。中国政府はそれを自覚していると思う」   (2へ続く)


 

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